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【レポート】ホンジュラス 農園訪問

【レポート】ホンジュラス 農園訪問

ダンデライオン・チョコレートのチョコレートメーカー伴野智映子が、2018年10月15日(月)~22日(月)にホンジュラスのカカオ農園と発酵施設を訪れました。今回は、その時の貴重な体験記をご紹介します。想像を絶するアドベンチャーな旅を、お楽しみください。 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ホンジュラスまでの道のり ホンジュラスまでは、ソウル、ロサンゼルス、エルサルバドル、と飛行機を3回乗り換え、30時間半かけて到着。首都のサン・ペドロ・スーラから北部ラセイバまで車で移動し、6人でぎゅうぎゅうのセスナ機に乗り換え東に向かうこと1時間半、さらにそこから凸凹道をトラックで30分、ようやくカカオ生産者カカオ・ダイレクトの発酵施設があるワンプシルピにたどり着きました。一体いつになったらこの目でカカオを見られるんだろう・・・と思いながらも、私たちが普段使っているカカオ豆は相当遠いところにあるんだ、とこの時点で身を持って実感しました。 カカオとの初対面 私にとって今回は初めてのカカオ農園訪問でした。カカオの木を見たらきっと感動するだろうなと思っていましたが、現実はそんな悠長なことを言っている余裕はありませんでした。なにしろ、ワンプシルピのカカオ農園(もはや農園というより野生のジャングル)は沼地を歩いて30分の奥地にあり、そこらじゅうに蚊が粉雪のように舞っています。手で蚊を払い、沼地に足を取られないように足元を見ながら歩いていると突然「ここ!カカオがあるよ」声をかけられはっと顔を上げると、カカオがひょっこり現れます。おかげで、あまり良い写真は撮れずじまいでした。 ここでは基本的にカカオの木を日差しから守るシェイドツリーはなく、カカオのみを栽培しています。土壌が沼地で湿潤なため、水分が豊富にありカカオに日陰を作らなくても土壌が乾かず成長できるそうです。間引きして栄養分が一本一本に行き渡るようにしています。「農園」ということばからは想像もできないワイルドな環境。ここでカカオを育て収穫する労力はとんでもないものだ、と痛感しました。 カカオ豆とカヌーの長旅 このワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆をつくる上でもっとも大変なのが、この奥地からどうやってカカオを運び出すか、です。収穫の方法は2通りあり、ひとつは農家さん自身が収穫したカカオポッドを発酵施設に持ち込むパターン。もうひとつが、カカオ・ダイレクトのスタッフが各農家まで引き取りに行くパターンです。路上のアクセスは困難なので、各農家へはピパンテというカヌーでパトゥカ川を上って向かいます。各農家は、カヌーが来る日に合わせてカカオを収穫して実と種を取り出し、当日川辺まで担いで持っていきます。 収穫したカカオ豆は、カカオ・ダイレクトの発酵施設で発酵後、乾燥させます。この豆の特徴は、他の産地よりも乾燥時間を長くとっていること。通常1週間程度ですが、ここでは2-3週間ほどかけています。もともと湿度が高いエリアというのが理由ですが、ゆっくり乾燥することで、酸味やえぐみが完全に抜け、ミネラル感や土壌感のあるフレーバーになります。 乾燥したカカオ豆はまたカヌーに乗せて倉庫へ移動します。私たちも同行しましたが、これがまた長旅でした。このエリアは生物圏保護区域でもあるリオ・プラタノ地区ですが、コロンビアからの麻薬の輸送ルートとなっており、マフィアが森林を刈りそこで家畜を育てさせ、資金調達しているという話も(!)。さすが世界一危険な国と言われるだけあります。途中スコールに合い、激流のなか小さなボートに乗り換え急流すべり体験をしてようやくカカオ豆との旅が終了、丸2日間かかりました。ここまでして私たちの手元に届いたカカオ豆、とてつもなく貴重なものに思えてきました。 さいごに ホンジュラス東部をぐるっと回った旅になりましたが、多くのカカオ農園を訪れているダンデライオン・チョコレートのカカオ豆買い付け担当グレッグですら「これまでで一番アドベンチャーな体験だった」と言っていました。私は初めてのカカオ農園訪問だったので、それを聞いてもうどこへでも行ける気持ちになっています。あらためて、私たちが毎日作っているチョコレートの原材料は遠く離れた、日本では想像できない方法でつくられていることが分かりました。そして、これだけの労力をかけて作り上げられたカカオ豆を、いかにおいしいチョコレートにするか、私たちはもっともっと探求していきたいと強く思いました。 関連商品 ワンプゥ, ホンジュラス 70%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆は、まろやかで繊細なフレーバーを引き出すために優しくローストしています。フルボディのワインなら赤白ともに相性抜群です。 ワンプゥ, ホンジュラス 85%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆が持つクラシックなカカオ感に加え、繊細でフローラルな香りを引き出しています。緑茶や黒豆茶と合わせて、爽やかなペアリングをお楽しみいただけます。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら

【レポート】ホンジュラス 農園訪問

ダンデライオン・チョコレートのチョコレートメーカー伴野智映子が、2018年10月15日(月)~22日(月)にホンジュラスのカカオ農園と発酵施設を訪れました。今回は、その時の貴重な体験記をご紹介します。想像を絶するアドベンチャーな旅を、お楽しみください。 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ホンジュラスまでの道のり ホンジュラスまでは、ソウル、ロサンゼルス、エルサルバドル、と飛行機を3回乗り換え、30時間半かけて到着。首都のサン・ペドロ・スーラから北部ラセイバまで車で移動し、6人でぎゅうぎゅうのセスナ機に乗り換え東に向かうこと1時間半、さらにそこから凸凹道をトラックで30分、ようやくカカオ生産者カカオ・ダイレクトの発酵施設があるワンプシルピにたどり着きました。一体いつになったらこの目でカカオを見られるんだろう・・・と思いながらも、私たちが普段使っているカカオ豆は相当遠いところにあるんだ、とこの時点で身を持って実感しました。 カカオとの初対面 私にとって今回は初めてのカカオ農園訪問でした。カカオの木を見たらきっと感動するだろうなと思っていましたが、現実はそんな悠長なことを言っている余裕はありませんでした。なにしろ、ワンプシルピのカカオ農園(もはや農園というより野生のジャングル)は沼地を歩いて30分の奥地にあり、そこらじゅうに蚊が粉雪のように舞っています。手で蚊を払い、沼地に足を取られないように足元を見ながら歩いていると突然「ここ!カカオがあるよ」声をかけられはっと顔を上げると、カカオがひょっこり現れます。おかげで、あまり良い写真は撮れずじまいでした。 ここでは基本的にカカオの木を日差しから守るシェイドツリーはなく、カカオのみを栽培しています。土壌が沼地で湿潤なため、水分が豊富にありカカオに日陰を作らなくても土壌が乾かず成長できるそうです。間引きして栄養分が一本一本に行き渡るようにしています。「農園」ということばからは想像もできないワイルドな環境。ここでカカオを育て収穫する労力はとんでもないものだ、と痛感しました。 カカオ豆とカヌーの長旅 このワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆をつくる上でもっとも大変なのが、この奥地からどうやってカカオを運び出すか、です。収穫の方法は2通りあり、ひとつは農家さん自身が収穫したカカオポッドを発酵施設に持ち込むパターン。もうひとつが、カカオ・ダイレクトのスタッフが各農家まで引き取りに行くパターンです。路上のアクセスは困難なので、各農家へはピパンテというカヌーでパトゥカ川を上って向かいます。各農家は、カヌーが来る日に合わせてカカオを収穫して実と種を取り出し、当日川辺まで担いで持っていきます。 収穫したカカオ豆は、カカオ・ダイレクトの発酵施設で発酵後、乾燥させます。この豆の特徴は、他の産地よりも乾燥時間を長くとっていること。通常1週間程度ですが、ここでは2-3週間ほどかけています。もともと湿度が高いエリアというのが理由ですが、ゆっくり乾燥することで、酸味やえぐみが完全に抜け、ミネラル感や土壌感のあるフレーバーになります。 乾燥したカカオ豆はまたカヌーに乗せて倉庫へ移動します。私たちも同行しましたが、これがまた長旅でした。このエリアは生物圏保護区域でもあるリオ・プラタノ地区ですが、コロンビアからの麻薬の輸送ルートとなっており、マフィアが森林を刈りそこで家畜を育てさせ、資金調達しているという話も(!)。さすが世界一危険な国と言われるだけあります。途中スコールに合い、激流のなか小さなボートに乗り換え急流すべり体験をしてようやくカカオ豆との旅が終了、丸2日間かかりました。ここまでして私たちの手元に届いたカカオ豆、とてつもなく貴重なものに思えてきました。 さいごに ホンジュラス東部をぐるっと回った旅になりましたが、多くのカカオ農園を訪れているダンデライオン・チョコレートのカカオ豆買い付け担当グレッグですら「これまでで一番アドベンチャーな体験だった」と言っていました。私は初めてのカカオ農園訪問だったので、それを聞いてもうどこへでも行ける気持ちになっています。あらためて、私たちが毎日作っているチョコレートの原材料は遠く離れた、日本では想像できない方法でつくられていることが分かりました。そして、これだけの労力をかけて作り上げられたカカオ豆を、いかにおいしいチョコレートにするか、私たちはもっともっと探求していきたいと強く思いました。 関連商品 ワンプゥ, ホンジュラス 70%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆は、まろやかで繊細なフレーバーを引き出すために優しくローストしています。フルボディのワインなら赤白ともに相性抜群です。 ワンプゥ, ホンジュラス 85%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆が持つクラシックなカカオ感に加え、繊細でフローラルな香りを引き出しています。緑茶や黒豆茶と合わせて、爽やかなペアリングをお楽しみいただけます。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

ダンデライオン・チョコレートでは、日々カカオ豆からチョコレートを作っています。ではその「カカオ豆」とはどのようにして出来るのか、ご存知でしょうか?私たちの手元には、カカオの生産国からこのような麻袋に入ったかたちで届きます。実は、この状態になるまでにも、カカオの品質に関わる重要な工程があり、私たちはカカオ生産者の努力のおかげで、毎日美味しいチョコレートが作れるのです。 今回はカカオ豆がどのような工程を経て私たちの手元に届くのか、ご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 カカオ農園 カカオ豆は、カカオの木(テオブロマ・カカオ)にできる実(カカオポッド)の中にある種のこと。カカオの収穫期は、年2回(5月と10月頃)の地域が多いです。カカオを育てるカカオ農家は、家族経営の小規模のものから、大規模な農園を所有するものまで事業規模は様々。日本茶や海苔、お米でイメージすると、分かりやすいかもしれません。【関連記事】●カカオの木はどう育てられている?おいしいチョコレートにつながる最初の一歩 カカオの収穫 カカオの収穫は全て手作業。生産地の多くが奥地や山の中にあるため、手でもいだり、ハサミを使用してカカオ農家が一つ一つ丁寧に収穫します。収穫したカカオポッドは、山積みにしてまとめます。 カカオの実と種の取り出し 収穫したカカオは、中の実の部分(パルプ)が腐りやすいため、なるべく早めに割り、パルプと種を取り出します。この段階で、中が熟しすぎているもの、逆に未熟なものとを選別し、スペシャルティカカオ用と一般流通用のカカオ(コモディティカカオ)に分ける生産地もあります。取り出したパルプと種は、バケツや袋に入れておきます。 発酵 取り出したパルプと種を発酵させます。そしてこの「発酵」こそ、カカオの産地特有のフレーバーが決まる肝と言っても過言ではない、最も大事な工程です。発酵は木箱などに入れ、バナナの葉や麻袋で蓋をして包み、6-8日間かけて行います。発酵方法はワインに近く、酵母や細菌の働きによって果肉に含まれる糖分を利用して熱とアルコールを生成し(嫌気性発酵 -けんきせいはっこう-)、発酵の途中でかき混ぜることで空気を含み、種の中に含まれるアミノ酸や糖分が変性し(好気性発酵 -こうきせいはっこう-)、香りの元を作り出します。発酵の方法は並べた木箱やひな壇式など生産者によって様々ですが、60-70%程度の発酵具合だとフルーティーなカカオ豆になったり、発酵する際培養菌を添加することで異なるフレーバーを生み出すことが出来たりと、とても奥の深い領域です。また、発酵を失敗してしまうとスペシャルティカカオとして販売することが難しくなるため、高い技術力も必要になります。カカオ農家の中には、カカオの栽培からカカオ豆になるまでの一連の工程を自身の農園で全て完結する場合と、カカオの実と種を取り出すところまでを行い、発酵施設を持つカカオ生産者に生のカカオ豆(ウェットビーンズ)の状態で売る場合があります。後者の利点として、カカオ農家にとっては設備投資もかかり難しい作業でもある発酵や乾燥の工程にかかる負担を軽減出来ること、そして発酵施設にウェットビーンズを納品した段階で金銭を受け取ることが出来ることから、安定的な収入の確保に繋がります。また、カカオ生産者にとっては、カカオ農園を持たずに周囲のカカオ農家からウェットビーンズを集め、発酵技術に特化したスタッフが加工することで、スペシャルティカカオを生産し、高値で販売することができます。その分、カカオ農家から高値でウェットビーンズを購入することができ、結果的にお互いの収益を上げることができます。もちろん、私たちチョコレートメーカーも、その恩恵を受けて、美味しいチョコレートが作れるようになります。【関連記事】●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み 乾燥 発酵が完了したら、カカオ豆を乾燥させます。目的は、これ以上発酵を進めると腐敗してしまうため発酵を止め、そして保存や輸送に備えて水分を7-8%以下にするためです。乾燥の方法も生産者により様々。カカオ豆をパティオと呼ばれるセメントの台に広げて直射日光の下で乾かしたり、ビニールハウス内に乾燥台を設置したり、両方を併用するところもあります。乾燥工程には約1週間かかりますが、発酵工程同様、乾燥にかける時間や方法によっても、最終的なカカオ豆のフレーバーが変わります。均一に乾燥が進むように、トンボのようなものでかき混ぜたり、カットテストをしてカカオ豆の品質を確認したりします。 梱包・出荷 いよいよ出来上がったカカオ豆を梱包します。現地でも選別を行った後、麻袋に詰めます(ビニール製の内袋に入れる生産者もあります)。容量は一袋50-70kg、最近は小規模のチョコレートメーカーの要望に応じて、20-30kgの小さい単位でも袋詰めされています。 カカオ生産者の協力なくして、美味しいチョコレートは生まれない 私たちが日本でカカオ豆を受け取るまでに、カカオの生産地でも長い道のりと様々な工程があります。カカオを収穫してからカカオ豆になるまで約1ヶ月、カカオ農家と生産者のおかげで、私たちはこの遠く離れた日本でも、美味しいBean to Bar チョコレートをみなさまにお届けすることが出来るのです。カカオの生産地は日本から遠く、なかなか現地の様子を知ることは難しいのが現状です。ダンデライオン・チョコレートではダイレクト・トレードでカカオ豆を購入しているため、現地の生産者や流通過程をよく理解しています。よって、これからもカカオの生産地のことをどんどんご紹介していこうと思います。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら SOURCING REPORT 現地報告として、毎年ソーシングレポートを公開しています。カカオ農園のこと、私たちのビジネス全体への取り組み方など、詳しくお知りになりたい方は下記のリンクからどうぞ。2015...

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

ダンデライオン・チョコレートでは、日々カカオ豆からチョコレートを作っています。ではその「カカオ豆」とはどのようにして出来るのか、ご存知でしょうか?私たちの手元には、カカオの生産国からこのような麻袋に入ったかたちで届きます。実は、この状態になるまでにも、カカオの品質に関わる重要な工程があり、私たちはカカオ生産者の努力のおかげで、毎日美味しいチョコレートが作れるのです。 今回はカカオ豆がどのような工程を経て私たちの手元に届くのか、ご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 カカオ農園 カカオ豆は、カカオの木(テオブロマ・カカオ)にできる実(カカオポッド)の中にある種のこと。カカオの収穫期は、年2回(5月と10月頃)の地域が多いです。カカオを育てるカカオ農家は、家族経営の小規模のものから、大規模な農園を所有するものまで事業規模は様々。日本茶や海苔、お米でイメージすると、分かりやすいかもしれません。【関連記事】●カカオの木はどう育てられている?おいしいチョコレートにつながる最初の一歩 カカオの収穫 カカオの収穫は全て手作業。生産地の多くが奥地や山の中にあるため、手でもいだり、ハサミを使用してカカオ農家が一つ一つ丁寧に収穫します。収穫したカカオポッドは、山積みにしてまとめます。 カカオの実と種の取り出し 収穫したカカオは、中の実の部分(パルプ)が腐りやすいため、なるべく早めに割り、パルプと種を取り出します。この段階で、中が熟しすぎているもの、逆に未熟なものとを選別し、スペシャルティカカオ用と一般流通用のカカオ(コモディティカカオ)に分ける生産地もあります。取り出したパルプと種は、バケツや袋に入れておきます。 発酵 取り出したパルプと種を発酵させます。そしてこの「発酵」こそ、カカオの産地特有のフレーバーが決まる肝と言っても過言ではない、最も大事な工程です。発酵は木箱などに入れ、バナナの葉や麻袋で蓋をして包み、6-8日間かけて行います。発酵方法はワインに近く、酵母や細菌の働きによって果肉に含まれる糖分を利用して熱とアルコールを生成し(嫌気性発酵 -けんきせいはっこう-)、発酵の途中でかき混ぜることで空気を含み、種の中に含まれるアミノ酸や糖分が変性し(好気性発酵 -こうきせいはっこう-)、香りの元を作り出します。発酵の方法は並べた木箱やひな壇式など生産者によって様々ですが、60-70%程度の発酵具合だとフルーティーなカカオ豆になったり、発酵する際培養菌を添加することで異なるフレーバーを生み出すことが出来たりと、とても奥の深い領域です。また、発酵を失敗してしまうとスペシャルティカカオとして販売することが難しくなるため、高い技術力も必要になります。カカオ農家の中には、カカオの栽培からカカオ豆になるまでの一連の工程を自身の農園で全て完結する場合と、カカオの実と種を取り出すところまでを行い、発酵施設を持つカカオ生産者に生のカカオ豆(ウェットビーンズ)の状態で売る場合があります。後者の利点として、カカオ農家にとっては設備投資もかかり難しい作業でもある発酵や乾燥の工程にかかる負担を軽減出来ること、そして発酵施設にウェットビーンズを納品した段階で金銭を受け取ることが出来ることから、安定的な収入の確保に繋がります。また、カカオ生産者にとっては、カカオ農園を持たずに周囲のカカオ農家からウェットビーンズを集め、発酵技術に特化したスタッフが加工することで、スペシャルティカカオを生産し、高値で販売することができます。その分、カカオ農家から高値でウェットビーンズを購入することができ、結果的にお互いの収益を上げることができます。もちろん、私たちチョコレートメーカーも、その恩恵を受けて、美味しいチョコレートが作れるようになります。【関連記事】●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み 乾燥 発酵が完了したら、カカオ豆を乾燥させます。目的は、これ以上発酵を進めると腐敗してしまうため発酵を止め、そして保存や輸送に備えて水分を7-8%以下にするためです。乾燥の方法も生産者により様々。カカオ豆をパティオと呼ばれるセメントの台に広げて直射日光の下で乾かしたり、ビニールハウス内に乾燥台を設置したり、両方を併用するところもあります。乾燥工程には約1週間かかりますが、発酵工程同様、乾燥にかける時間や方法によっても、最終的なカカオ豆のフレーバーが変わります。均一に乾燥が進むように、トンボのようなものでかき混ぜたり、カットテストをしてカカオ豆の品質を確認したりします。 梱包・出荷 いよいよ出来上がったカカオ豆を梱包します。現地でも選別を行った後、麻袋に詰めます(ビニール製の内袋に入れる生産者もあります)。容量は一袋50-70kg、最近は小規模のチョコレートメーカーの要望に応じて、20-30kgの小さい単位でも袋詰めされています。 カカオ生産者の協力なくして、美味しいチョコレートは生まれない 私たちが日本でカカオ豆を受け取るまでに、カカオの生産地でも長い道のりと様々な工程があります。カカオを収穫してからカカオ豆になるまで約1ヶ月、カカオ農家と生産者のおかげで、私たちはこの遠く離れた日本でも、美味しいBean to Bar チョコレートをみなさまにお届けすることが出来るのです。カカオの生産地は日本から遠く、なかなか現地の様子を知ることは難しいのが現状です。ダンデライオン・チョコレートではダイレクト・トレードでカカオ豆を購入しているため、現地の生産者や流通過程をよく理解しています。よって、これからもカカオの生産地のことをどんどんご紹介していこうと思います。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら SOURCING REPORT 現地報告として、毎年ソーシングレポートを公開しています。カカオ農園のこと、私たちのビジネス全体への取り組み方など、詳しくお知りになりたい方は下記のリンクからどうぞ。2015...

2017/2018 ソーシングレポートを公開

2017/2018 ソーシングレポートを公開

例年公開している、ダンデライオン・チョコレートが取り扱うカカオ豆や生産者についてまとめた「ソーシングレポート」の2017/2018年版が、ついに完成しました。 ここ数年、ダンデライオン・チョコレートではカカオ豆の使用量や一緒に取り組む生産地が増えるなど、様々な大きな変化がありました。そのためこのレポートの内容もより深く濃い内容にすべく、今回は2017年と2018年をまとめたものを作成しています。このレポートの目的は、私たちがつくるチョコレートについて知っていただくことだけでなく、私たちがどんな生産者と取り組んでいるかを知っていただくためのものでもあります。今回、生産者自身にも監修いただき、なるべく生産者の立場で、本人が伝えたいことが伝わるように製作しました。完成までとても長い時間がかかりましたが、これまで以上に分かりやすく透明度の高いレポートになっています。今回は、このレポートをより楽しんでいただける”tips”をお伝えしたいと思います。 カカオ豆の「発酵、乾燥、物流」 今回、各生産地でカカオ豆がどのように発酵・乾燥され、どのような商流で私たちの手元に届くのか、分かりやすくイラストで表しています(16-19ページ)。 発酵工程には、ひな壇式(Tiered Boxes)、並べた木箱(Linear Boxes)、重ねた麻袋(Stacked Bags)、バスケット(Baskets)と様々な方法があります。同じく、乾燥工程も、乾燥デッキ(Raised Wooden Beds)やセメントの中庭(Cement Patios)を数日に分けて行ったり、直射日光やビニールハウスの中など、その生産地に合わせた方法で行われています。各生産地のページでは、詳しい工程や写真をご紹介していますが、どれが正解ということはなく、各生産者の技術や工夫によって、産地特有のフレーバーが出来上がります。 カカオの生産者も、カカオ農園と発酵・乾燥施設が同じ団体であったり、数十人のカカオ農家から生のカカオを購入して、別の発酵・乾燥施設で加工している場合もあります。いずれにせよ、このレポートからは「誰がカカオ(実)を生産して、誰がカカオ豆(種)に加工して、誰が私たちの手元に届けてくれるのか」が明確に分かるようになっています。 新しく加わった生産地 前回の2016年版のものから新しく加わった産地は、下記になります。アナマライ, インド(オンライン&表参道店限定・ガトーショコラに使用)ベンチェ, ベトナム(70%チョコレートバーで販売中)ゴーラ・レインフォレスト, シエラレオネ(表参道店限定・オペラに使用)ハシエンダ・アズール, コスタリカ(70%・85%チョコレートバーで販売中)トゥマコ, コロンビア(日本では使用なし)ワンプゥ, ホンジュラス(70%チョコレートバーで販売中)通常、私たちがカカオ生産者と知り合ってから実際の購入に至るまでには、約2-3年かかります。私たちが彼らのことを知るだけでなく、彼らにも私たちのことを知っていただき、一度取引を始めたらなるべく長く継続的に購入できるように、信頼関係を築いてから購入するようにしているからです。今回は日本でもお馴染みのCacao Hunters や、同じチョコレートメーカーでもあるMarou、ダンデライオン・チョコレートがカカオ豆生産のアドバイスを行ってきた生産者など、多様な生産地をご紹介しています。 カカオの用語集「GLOSSARY」 最後のページですが、このレポートを読み込むために重要なコーナー、カカオの用語集(112-113ページ)も忘れずにご一読ください。「カカオ」と「ココア」の使い分けや、「カカオ農家」と「カカオ生産者」の違いなど、カカオ豆の生産に関係するマニアックな単語が並んでいます。これを覚えれば、いつでもカカオ農園に行って生産者と対等に会話が出来ると思いますよ。 最後に カカオは、奴隷制度や児童労働の問題が何かと取り上げられる作物ではありますが、このレポートに登場する多くのカカオ農家や生産者は、そのような環境下では働いていません。どうしたらより良いカカオが栽培出来るか、発酵工程を日々工夫し、誇りを持って働いている方々ばかりです。ぜひ、彼らの取り組みを知っていただけると嬉しいです。このレポートにも書かれていますが、スペシャルティカカオ産業は、想像以上に早いスピードで成長しています。この市場が順調に育っていくためには、より多くのチョコレートメーカーが、プレミアム価格でカカオ豆を購入する必要がありますが、現時点では、カカオ生産者たちが製品を売り切るのに苦労している状況もあります。私たちも、より多くのお客様にチョコレートを届けることで、より多くのカカオ豆を使用できるように、様々な商品を展開していきたいと考えています。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップも随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから

2017/2018 ソーシングレポートを公開

例年公開している、ダンデライオン・チョコレートが取り扱うカカオ豆や生産者についてまとめた「ソーシングレポート」の2017/2018年版が、ついに完成しました。 ここ数年、ダンデライオン・チョコレートではカカオ豆の使用量や一緒に取り組む生産地が増えるなど、様々な大きな変化がありました。そのためこのレポートの内容もより深く濃い内容にすべく、今回は2017年と2018年をまとめたものを作成しています。このレポートの目的は、私たちがつくるチョコレートについて知っていただくことだけでなく、私たちがどんな生産者と取り組んでいるかを知っていただくためのものでもあります。今回、生産者自身にも監修いただき、なるべく生産者の立場で、本人が伝えたいことが伝わるように製作しました。完成までとても長い時間がかかりましたが、これまで以上に分かりやすく透明度の高いレポートになっています。今回は、このレポートをより楽しんでいただける”tips”をお伝えしたいと思います。 カカオ豆の「発酵、乾燥、物流」 今回、各生産地でカカオ豆がどのように発酵・乾燥され、どのような商流で私たちの手元に届くのか、分かりやすくイラストで表しています(16-19ページ)。 発酵工程には、ひな壇式(Tiered Boxes)、並べた木箱(Linear Boxes)、重ねた麻袋(Stacked Bags)、バスケット(Baskets)と様々な方法があります。同じく、乾燥工程も、乾燥デッキ(Raised Wooden Beds)やセメントの中庭(Cement Patios)を数日に分けて行ったり、直射日光やビニールハウスの中など、その生産地に合わせた方法で行われています。各生産地のページでは、詳しい工程や写真をご紹介していますが、どれが正解ということはなく、各生産者の技術や工夫によって、産地特有のフレーバーが出来上がります。 カカオの生産者も、カカオ農園と発酵・乾燥施設が同じ団体であったり、数十人のカカオ農家から生のカカオを購入して、別の発酵・乾燥施設で加工している場合もあります。いずれにせよ、このレポートからは「誰がカカオ(実)を生産して、誰がカカオ豆(種)に加工して、誰が私たちの手元に届けてくれるのか」が明確に分かるようになっています。 新しく加わった生産地 前回の2016年版のものから新しく加わった産地は、下記になります。アナマライ, インド(オンライン&表参道店限定・ガトーショコラに使用)ベンチェ, ベトナム(70%チョコレートバーで販売中)ゴーラ・レインフォレスト, シエラレオネ(表参道店限定・オペラに使用)ハシエンダ・アズール, コスタリカ(70%・85%チョコレートバーで販売中)トゥマコ, コロンビア(日本では使用なし)ワンプゥ, ホンジュラス(70%チョコレートバーで販売中)通常、私たちがカカオ生産者と知り合ってから実際の購入に至るまでには、約2-3年かかります。私たちが彼らのことを知るだけでなく、彼らにも私たちのことを知っていただき、一度取引を始めたらなるべく長く継続的に購入できるように、信頼関係を築いてから購入するようにしているからです。今回は日本でもお馴染みのCacao Hunters や、同じチョコレートメーカーでもあるMarou、ダンデライオン・チョコレートがカカオ豆生産のアドバイスを行ってきた生産者など、多様な生産地をご紹介しています。 カカオの用語集「GLOSSARY」 最後のページですが、このレポートを読み込むために重要なコーナー、カカオの用語集(112-113ページ)も忘れずにご一読ください。「カカオ」と「ココア」の使い分けや、「カカオ農家」と「カカオ生産者」の違いなど、カカオ豆の生産に関係するマニアックな単語が並んでいます。これを覚えれば、いつでもカカオ農園に行って生産者と対等に会話が出来ると思いますよ。 最後に カカオは、奴隷制度や児童労働の問題が何かと取り上げられる作物ではありますが、このレポートに登場する多くのカカオ農家や生産者は、そのような環境下では働いていません。どうしたらより良いカカオが栽培出来るか、発酵工程を日々工夫し、誇りを持って働いている方々ばかりです。ぜひ、彼らの取り組みを知っていただけると嬉しいです。このレポートにも書かれていますが、スペシャルティカカオ産業は、想像以上に早いスピードで成長しています。この市場が順調に育っていくためには、より多くのチョコレートメーカーが、プレミアム価格でカカオ豆を購入する必要がありますが、現時点では、カカオ生産者たちが製品を売り切るのに苦労している状況もあります。私たちも、より多くのお客様にチョコレートを届けることで、より多くのカカオ豆を使用できるように、様々な商品を展開していきたいと考えています。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップも随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。最近、さまざまな場所で「サステナブル」という言葉を耳にします。持続可能な、という意味のこの言葉。みなさんの暮らしの中にも、レジ袋やマイボトルの持参などを通して、少しずつ浸透してきているのではないでしょうか?この未来につながる一人ひとりのサステナブルな行動が、持続可能な社会づくりにつながるからこそ、それぞれの人や組織、企業が、どのように向き合っていくかに注目が集まっています。そんな中、今回は、ダンデライオン・チョコレートが、最も多く使用しているカカオ豆の産地、ドミニカ共和国のソルサル・カカオのサステナブルな取り組みを、皆さんにご紹介しようと思います。なぜ、数ある中から、私たちがソルサル・カカオのカカオ豆を選び、多く使用しているのか。それはカカオ豆のフレーバーはもちろん、彼らの理念にも、共感する部分が大きいからなのです。 自然保護とカカオ豆の栽培を両立する、ソルサル・カカオ ソルサル・カカオがあるドミニカ共和国自体は、世界で10番目のカカオ生産国。カカオ豆の生産は、国の一大産業の一つになっています。 ソルサル・カカオの創設者の一人、チャールズ・キルヒナー(通称チャック)が、初めてドミニカ共和国でカカオ豆に触れたのは、彼がまだ学生のころ。ピース・コープ(日本の青年海外協力隊)に参加した彼は、この地で、カカオ豆の発酵箱の製造や、オーガニック認証取得のための生産体制を整える経験をしました。当時、森林経済学を学んでいたチャックは、この活動を経て、森林保全とカカオを組み合わせることで持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えるようになったそうです。 そしてアメリカに帰国後、博士課程を終えたチャックは、カカオの栽培地域と生物多様性において注目されているエリアが相関していることに気づきます。 「ピース・コープでの経験と博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じてこの地域の経済活動を創ることができないだろうか」チャックは、ドミニカ共和国に戻り、仲間と共にビジネスを起こすことを決意しました。 ドミニカ共和国に戻ったチャックは仲間達と一緒にソルサル・カカオを創設後、まずドゥアルテ州の山中に、まだ開発されていない412ヘクタールの土地を購入。ドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域を設定しました。そして、その面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持し、残りを高品質カカオの栽培用として使用することを決めたのです。ちなみに、「ソルサル・カカオ」の「ソルサル」は、スペイン語で渡り鳥の「ツグミ」を意味します。 この土地はビックネルツグミという渡り鳥がバーモント州の雪を避け越冬するために訪れる貴重な場所。チャック達は、ここで「ツグミの保護」と「カカオ豆の生産」という挑戦をスタートしました。 出典:あきた森づくり活動サポートセンター 力強い自然と、豊かな森林を思わせるカカオ豆の誕生 こうしてツグミの保護と隣り合わせで栽培し、加工したカカオ豆「ソルサル・エステート」が生まれました。また、レゼルバ・ソルサル保護区近隣の農家からもカカオ豆を購入し、こちらは「ソルサル・コミュニタリオ」と命名。彼らソルサル・カカオでは、現在この2種類のカカオ豆を販売しています。彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、ドミニカ共和国のカカオ生産の中心地であるサンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。保全区域のため、緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる。思わず深呼吸したくなる、マイナスイオンたっぷりの環境です。この自然豊かな環境で育つカカオは、力強いカカオ感とウッディーな香り、そしてチェリーのような酸味が共存する、森林のイメージそのもの。作り手によって多種多様に七変化する、まさに自然保全区域を彷彿とさせる味わいになりました。 さらに続く、森林再生という彼らの挑戦 また、彼らはドミニカ共和国の森林再生活動にも積極的に関わり、プラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトにも参画しています。これにより、私たちチョコレート・メーカーがカカオ豆を購入すると、1トンあたり$200のカーボン・クレジットをソルサル・カカオが購入したことになります。そしてこの資金が、原生種の木を植える資金に当てられる仕組みとなっているのです。カカオ豆を購入するたびに、ドミニカ共和国に原生林が増える。私たちチョコレートメーカーが、彼らの豆を使ってチョコレートやお菓子、ドリンクを作り、お客様に美味しく召し上がっていただく。そのことが間接的に、ドミニカ共和国の野鳥保護や森林再生活動への貢献に繋がっている。遠く離れたドミニカ共和国と日本が、カカオを通じて笑顔になれる好循環が、ここに生まれています。 最後に ソルサル・カカオはカカオの生産を通して、野鳥保護と森林保全を行う、サステナブルなビジネスモデルを見事に作り上げました。私たちはソルサル・カカオのこのような取り組みや考え方に共感し、パートナーとしてこれを応援し、今後もより良い関係を築いていきたいと考えています。今年はこの状況下で開催中止となりましたが、ソルサル・カカオでは毎年”Chocolate Maker Week”として世界中のチョコレートメーカーが参加するカカオ農園ツアーを開催しています。また来年、彼らの取り組みを現地で体感出来るのを楽しみにしています。 また、ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートバーをはじめ、ハウスホットチョコレート、チョコレートブラウニーなど、ソルサル・カカオの味わいを感じることのできる商品をたくさん用意しております。ぜひ、皆さんもその自然豊かなフレーバーを感じにいらしてください。最後になりましたが、12月もチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しております。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込)自然豊かな野鳥の保護区域、レゼルバ・ソルサルの周辺で作られたカカオ豆です。トロピカルフルーツのような明るいフレーバーの広がりが印象的で、グリーンバナナ、アーモンド、クリーミーなカスタードと味わいの変化をお楽しみいただけます。 カヌレ¥2,808(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。最近、さまざまな場所で「サステナブル」という言葉を耳にします。持続可能な、という意味のこの言葉。みなさんの暮らしの中にも、レジ袋やマイボトルの持参などを通して、少しずつ浸透してきているのではないでしょうか?この未来につながる一人ひとりのサステナブルな行動が、持続可能な社会づくりにつながるからこそ、それぞれの人や組織、企業が、どのように向き合っていくかに注目が集まっています。そんな中、今回は、ダンデライオン・チョコレートが、最も多く使用しているカカオ豆の産地、ドミニカ共和国のソルサル・カカオのサステナブルな取り組みを、皆さんにご紹介しようと思います。なぜ、数ある中から、私たちがソルサル・カカオのカカオ豆を選び、多く使用しているのか。それはカカオ豆のフレーバーはもちろん、彼らの理念にも、共感する部分が大きいからなのです。 自然保護とカカオ豆の栽培を両立する、ソルサル・カカオ ソルサル・カカオがあるドミニカ共和国自体は、世界で10番目のカカオ生産国。カカオ豆の生産は、国の一大産業の一つになっています。 ソルサル・カカオの創設者の一人、チャールズ・キルヒナー(通称チャック)が、初めてドミニカ共和国でカカオ豆に触れたのは、彼がまだ学生のころ。ピース・コープ(日本の青年海外協力隊)に参加した彼は、この地で、カカオ豆の発酵箱の製造や、オーガニック認証取得のための生産体制を整える経験をしました。当時、森林経済学を学んでいたチャックは、この活動を経て、森林保全とカカオを組み合わせることで持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えるようになったそうです。 そしてアメリカに帰国後、博士課程を終えたチャックは、カカオの栽培地域と生物多様性において注目されているエリアが相関していることに気づきます。 「ピース・コープでの経験と博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じてこの地域の経済活動を創ることができないだろうか」チャックは、ドミニカ共和国に戻り、仲間と共にビジネスを起こすことを決意しました。 ドミニカ共和国に戻ったチャックは仲間達と一緒にソルサル・カカオを創設後、まずドゥアルテ州の山中に、まだ開発されていない412ヘクタールの土地を購入。ドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域を設定しました。そして、その面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持し、残りを高品質カカオの栽培用として使用することを決めたのです。ちなみに、「ソルサル・カカオ」の「ソルサル」は、スペイン語で渡り鳥の「ツグミ」を意味します。 この土地はビックネルツグミという渡り鳥がバーモント州の雪を避け越冬するために訪れる貴重な場所。チャック達は、ここで「ツグミの保護」と「カカオ豆の生産」という挑戦をスタートしました。 出典:あきた森づくり活動サポートセンター 力強い自然と、豊かな森林を思わせるカカオ豆の誕生 こうしてツグミの保護と隣り合わせで栽培し、加工したカカオ豆「ソルサル・エステート」が生まれました。また、レゼルバ・ソルサル保護区近隣の農家からもカカオ豆を購入し、こちらは「ソルサル・コミュニタリオ」と命名。彼らソルサル・カカオでは、現在この2種類のカカオ豆を販売しています。彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、ドミニカ共和国のカカオ生産の中心地であるサンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。保全区域のため、緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる。思わず深呼吸したくなる、マイナスイオンたっぷりの環境です。この自然豊かな環境で育つカカオは、力強いカカオ感とウッディーな香り、そしてチェリーのような酸味が共存する、森林のイメージそのもの。作り手によって多種多様に七変化する、まさに自然保全区域を彷彿とさせる味わいになりました。 さらに続く、森林再生という彼らの挑戦 また、彼らはドミニカ共和国の森林再生活動にも積極的に関わり、プラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトにも参画しています。これにより、私たちチョコレート・メーカーがカカオ豆を購入すると、1トンあたり$200のカーボン・クレジットをソルサル・カカオが購入したことになります。そしてこの資金が、原生種の木を植える資金に当てられる仕組みとなっているのです。カカオ豆を購入するたびに、ドミニカ共和国に原生林が増える。私たちチョコレートメーカーが、彼らの豆を使ってチョコレートやお菓子、ドリンクを作り、お客様に美味しく召し上がっていただく。そのことが間接的に、ドミニカ共和国の野鳥保護や森林再生活動への貢献に繋がっている。遠く離れたドミニカ共和国と日本が、カカオを通じて笑顔になれる好循環が、ここに生まれています。 最後に ソルサル・カカオはカカオの生産を通して、野鳥保護と森林保全を行う、サステナブルなビジネスモデルを見事に作り上げました。私たちはソルサル・カカオのこのような取り組みや考え方に共感し、パートナーとしてこれを応援し、今後もより良い関係を築いていきたいと考えています。今年はこの状況下で開催中止となりましたが、ソルサル・カカオでは毎年”Chocolate Maker Week”として世界中のチョコレートメーカーが参加するカカオ農園ツアーを開催しています。また来年、彼らの取り組みを現地で体感出来るのを楽しみにしています。 また、ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートバーをはじめ、ハウスホットチョコレート、チョコレートブラウニーなど、ソルサル・カカオの味わいを感じることのできる商品をたくさん用意しております。ぜひ、皆さんもその自然豊かなフレーバーを感じにいらしてください。最後になりましたが、12月もチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しております。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込)自然豊かな野鳥の保護区域、レゼルバ・ソルサルの周辺で作られたカカオ豆です。トロピカルフルーツのような明るいフレーバーの広がりが印象的で、グリーンバナナ、アーモンド、クリーミーなカスタードと味わいの変化をお楽しみいただけます。 カヌレ¥2,808(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、ダンデライオン・チョコレートでとても大切にしているカカオ豆の「産地の意味」についてお話したいと思います。 1. なぜ「産地」を記載するのか ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーは、一種類のカカオ豆で作られるシングルオリジンですが、その商品名を必ず「国名」+「産地」としています。例えば、商品名「WAMPU, HONDURAS」の場合は、「ホンジュラス」という国の「ワンプゥ」という産地(=オリジン)のカカオ豆を使っている、という意味です。つまり、商品名を見ただけで、そのチョコレートには「どこから来たカカオ」が使われているのかが伝わるようにしているのです。 最近では、街のコーヒースタンドでも、そのコーヒー豆がどこの産地のものか、生産者は誰か、どんな品種かまでオープンにしているお店を目にするようになりました。 写真はDandelion Chocolateのカフェ各店で使用させていただいているSingle Oさんのコーヒーの産地情報が記載されたカード(O File)またスーパーなどでも、「産地や生産者の顔」が商品のパッケージに載っていることがありますよね。近年、「自分の身体に入るものがどこから来たか」を知った上で口にする、そんな「食の透明性」が重要視されていることが分かります。ただ、ダンデライオン・チョコレートが商品に産地を記載する理由は、「食の透明性」を維持するためだけではありません。「産地」によって、カカオは「味わいそのもの」が異なるからなのです。 2. ホンジュラス産カカオで比べて感じる、カカオのテロワール では、ここから、ホンジュラス産のカカオ2種を例にとり、その違いをひもといていこうと思います。写真に写っている2種類のカカオ豆は、見た目の色が全く違っていますが、実は、同じホンジュラスで採れたものです。 左のカカオ豆はダンデライオン・チョコレートで現在使用している、「ワンプゥ, ホンジュラス」。このカカオ豆はホンジュラスの北東部、グラシアス・ア・ディオス県の「ワンプシルピ」という、ペトゥカ川とリオ・プラタノ生物保護区の近くにある場所で採れます。地元の人はこの「ワンプシルピ」のことを「ワンプゥ」と呼ぶので、私たちもこの名前で呼ぶことにしました。 右のカカオ豆はロメロ・トレードさんからいただいたMayan Red(マヤン・レッド)というカカオ豆(ダンデライオン・チョコレートでは取り扱っておりません)。ホンジュラスの中央部と北部のエリアで採れるカカオ豆です。(マヤン・レッドは、ホンジュラス地域でかつて栄えたマヤ文明を示す「マヤン」と、カカオの実のまぶしいほどビビットな赤色の「レッド」から名付けられたそう) 出典:Xoco Gourmet 2種のカカオ豆は、見た目はもちろんローストする前の香りも全く異っていました。【ワンプゥ】色・・・ダークブラウン香り・・・ナッティーで土壌感が強く、ほのかりシナモンのようなスパイスの香りがする。【マヤン・レッド】色・・・赤みの強い茶色香り・・・お酢のような酢酸臭、赤いベリー系の華やかな香りが特徴的。では、実際にローストして、チョコレートにしてみるとどうでしょうか。 左がワンプゥ、右がマヤン・レッド。どちらも同じ条件でローストし、同じきび砂糖を使用して作ったカカオ分70%のチョコレートですが、すでに色が違っています。ワンプゥはしっかりとした濃い茶色、マヤン・レッドの方が明るい茶色。カカオ豆の色が、最終的なチョコレートの色に影響していることがよく分かりますね。早速試食してみたところ、全く異なるフレーバーでした。【ワンプゥのチョコレートバー】フレーバー・・・コクのある黒糖や、カシューナッツのクリーミーなナッツ感、ほんのりとしたハーブ感がある。【マヤン・レッドのチョコレートバー】フレイバー・・・フランボワーズやカシスのような甘酸っぱさからエスプレッソやほうじ茶の余韻を感じさせる味わい。同じ国内でも、異なる場所で採れたカカオ豆では、フレーバーがまるで違っています。もちろん傾向として「この国のものはフルーティーなものが多い」などと表現することはありますが、カカオのフレーバーは必ずしも原産国で決まるわけではなく、やはり、産地(生産環境)が決め手となる場合が多いのです。例えば、ワインの世界には、「テロワール」(terroir:仏)という言葉があります。これは、「風土やその土地個性の」という意味で、ワインで言えば、原材料である葡萄を取り巻く環境すべてを指すそう。カカオにおいても、このテロワールがとても重要。産地の気候や環境、生産者さんのつくりかたが、そのフレーバーに大きく影響するのです。だからこそ、私たちは必ず「産地」を記載するようにしています。 3. 最後に ここまで、「カカオのフレーバーは国ではなく産地によって異なる」ということをお伝えしてきましたが、「どの産地のチョコレートを美味しいと感じるか」は、人それぞれだと私たちは考えています。大切なのは、それぞれの感性と「お気に入りのチョコレート」を発見する喜びです。皆さんも、チョコレートを購入する時に、産地のことをちょっと気にしてみてください。産地があなたの「お気に入り」を発見する鍵になるかもしれません。ちなみに、マヤン・レッドは有名なパティシエさんやチョコレートショップでも使用しているので、ワンプゥと一緒に食べ比べてみるのも面白いはず。「産地」の違いや、新しいフレーバーの発見につながるのではないでしょうか。現在ダンデライオン・チョコレートでは2017年収穫のワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆を使ったチョコレートバーを販売していますが、2018年収穫のカカオ豆でつくるチョコレートバーを今まさに開発中。皆さまに早くお届け出来るのを、楽しみにしております。「とはいえ産地名って、覚えるのが難しいな……」と思ったあなた。ダンデライオン・チョコレートでは、使用しているカカオ豆の産地にニックネーム(愛称)を付けて呼んでいます。ワンプゥ, ホンジュラスならWAM(ワム)、ココア・カミリ, タンザニアならKAM(カム)、カアボン, グアテマラならBON(ボン)のように。皆様も、ぜひ、愛着をもって産地をニックネームで呼んで覚えてみてください。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップ(オンライン)を随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。 詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品...

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、ダンデライオン・チョコレートでとても大切にしているカカオ豆の「産地の意味」についてお話したいと思います。 1. なぜ「産地」を記載するのか ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーは、一種類のカカオ豆で作られるシングルオリジンですが、その商品名を必ず「国名」+「産地」としています。例えば、商品名「WAMPU, HONDURAS」の場合は、「ホンジュラス」という国の「ワンプゥ」という産地(=オリジン)のカカオ豆を使っている、という意味です。つまり、商品名を見ただけで、そのチョコレートには「どこから来たカカオ」が使われているのかが伝わるようにしているのです。 最近では、街のコーヒースタンドでも、そのコーヒー豆がどこの産地のものか、生産者は誰か、どんな品種かまでオープンにしているお店を目にするようになりました。 写真はDandelion Chocolateのカフェ各店で使用させていただいているSingle Oさんのコーヒーの産地情報が記載されたカード(O File)またスーパーなどでも、「産地や生産者の顔」が商品のパッケージに載っていることがありますよね。近年、「自分の身体に入るものがどこから来たか」を知った上で口にする、そんな「食の透明性」が重要視されていることが分かります。ただ、ダンデライオン・チョコレートが商品に産地を記載する理由は、「食の透明性」を維持するためだけではありません。「産地」によって、カカオは「味わいそのもの」が異なるからなのです。 2. ホンジュラス産カカオで比べて感じる、カカオのテロワール では、ここから、ホンジュラス産のカカオ2種を例にとり、その違いをひもといていこうと思います。写真に写っている2種類のカカオ豆は、見た目の色が全く違っていますが、実は、同じホンジュラスで採れたものです。 左のカカオ豆はダンデライオン・チョコレートで現在使用している、「ワンプゥ, ホンジュラス」。このカカオ豆はホンジュラスの北東部、グラシアス・ア・ディオス県の「ワンプシルピ」という、ペトゥカ川とリオ・プラタノ生物保護区の近くにある場所で採れます。地元の人はこの「ワンプシルピ」のことを「ワンプゥ」と呼ぶので、私たちもこの名前で呼ぶことにしました。 右のカカオ豆はロメロ・トレードさんからいただいたMayan Red(マヤン・レッド)というカカオ豆(ダンデライオン・チョコレートでは取り扱っておりません)。ホンジュラスの中央部と北部のエリアで採れるカカオ豆です。(マヤン・レッドは、ホンジュラス地域でかつて栄えたマヤ文明を示す「マヤン」と、カカオの実のまぶしいほどビビットな赤色の「レッド」から名付けられたそう) 出典:Xoco Gourmet 2種のカカオ豆は、見た目はもちろんローストする前の香りも全く異っていました。【ワンプゥ】色・・・ダークブラウン香り・・・ナッティーで土壌感が強く、ほのかりシナモンのようなスパイスの香りがする。【マヤン・レッド】色・・・赤みの強い茶色香り・・・お酢のような酢酸臭、赤いベリー系の華やかな香りが特徴的。では、実際にローストして、チョコレートにしてみるとどうでしょうか。 左がワンプゥ、右がマヤン・レッド。どちらも同じ条件でローストし、同じきび砂糖を使用して作ったカカオ分70%のチョコレートですが、すでに色が違っています。ワンプゥはしっかりとした濃い茶色、マヤン・レッドの方が明るい茶色。カカオ豆の色が、最終的なチョコレートの色に影響していることがよく分かりますね。早速試食してみたところ、全く異なるフレーバーでした。【ワンプゥのチョコレートバー】フレーバー・・・コクのある黒糖や、カシューナッツのクリーミーなナッツ感、ほんのりとしたハーブ感がある。【マヤン・レッドのチョコレートバー】フレイバー・・・フランボワーズやカシスのような甘酸っぱさからエスプレッソやほうじ茶の余韻を感じさせる味わい。同じ国内でも、異なる場所で採れたカカオ豆では、フレーバーがまるで違っています。もちろん傾向として「この国のものはフルーティーなものが多い」などと表現することはありますが、カカオのフレーバーは必ずしも原産国で決まるわけではなく、やはり、産地(生産環境)が決め手となる場合が多いのです。例えば、ワインの世界には、「テロワール」(terroir:仏)という言葉があります。これは、「風土やその土地個性の」という意味で、ワインで言えば、原材料である葡萄を取り巻く環境すべてを指すそう。カカオにおいても、このテロワールがとても重要。産地の気候や環境、生産者さんのつくりかたが、そのフレーバーに大きく影響するのです。だからこそ、私たちは必ず「産地」を記載するようにしています。 3. 最後に ここまで、「カカオのフレーバーは国ではなく産地によって異なる」ということをお伝えしてきましたが、「どの産地のチョコレートを美味しいと感じるか」は、人それぞれだと私たちは考えています。大切なのは、それぞれの感性と「お気に入りのチョコレート」を発見する喜びです。皆さんも、チョコレートを購入する時に、産地のことをちょっと気にしてみてください。産地があなたの「お気に入り」を発見する鍵になるかもしれません。ちなみに、マヤン・レッドは有名なパティシエさんやチョコレートショップでも使用しているので、ワンプゥと一緒に食べ比べてみるのも面白いはず。「産地」の違いや、新しいフレーバーの発見につながるのではないでしょうか。現在ダンデライオン・チョコレートでは2017年収穫のワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆を使ったチョコレートバーを販売していますが、2018年収穫のカカオ豆でつくるチョコレートバーを今まさに開発中。皆さまに早くお届け出来るのを、楽しみにしております。「とはいえ産地名って、覚えるのが難しいな……」と思ったあなた。ダンデライオン・チョコレートでは、使用しているカカオ豆の産地にニックネーム(愛称)を付けて呼んでいます。ワンプゥ, ホンジュラスならWAM(ワム)、ココア・カミリ, タンザニアならKAM(カム)、カアボン, グアテマラならBON(ボン)のように。皆様も、ぜひ、愛着をもって産地をニックネームで呼んで覚えてみてください。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップ(オンライン)を随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。 詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品...

チョコレートの歴史を知ろう - 海を渡って進化するチョコレート

チョコレートの歴史を知ろう - 海を渡って進化するチョコレート

チョコレートは、原材料のカカオが採れる「生産地」から、実際に製造して喫食する「消費国」が遠く離れているという点で、とてもユニークな食べ物です。チョコレートの歴史を辿ると、なぜ生産地と消費国が異なるのか、謎が解けてきます。カカオの発祥から現在のクラフトチョコレートの成り立ちまで、海を渡って進化するチョコレートの歴史を見ていきましょう。 目次1. カカオの発祥(紀元前3300年頃・5300年前)2. マヤ・アステカ文明(紀元前2000年頃)3. ヨーロッパとカカオの出会い(1502年〜)4. ヨーロッパでの広がり(1606年頃)5. チョコレートの工業化(1730年〜)6. アメリカでの広がり7. 日本での広がり8. クラフトチョコレートへの回帰9. まとめ 1. カカオの発祥(紀元前3300年頃・5300年前) これまでの考古学的証拠から、カカオは4000年前から利用されており、主に中南米のメソアメリカ(メキシコ、ホンジュラス、ベリーズ、グアテマラ)で最初に栽培されたという説が定着していました。しかし、遺伝学的証拠からは、カカオとその近縁種は南アメリカ大陸の赤道付近で最も多様化していることが示されており、実はこちらがカカオ発祥の地なのではないか、という説もありました。そして2018年末、世紀の大発見が発表されました。南米・エクアドルにおいて、マヨ・チンチペ文化で知られ、最古の遺跡となるサンタ・アナ・ラ・フロリダ(Santa Ana-La Florida)遺跡で、カカオを栽培していたことを裏付ける土器が発掘されたのです。 出典:science alert この土器片の内面より、カカオ特有のデンプン粒と塩基配列を持つDNA、テオブロミンの残留物の3点が発見されました。土器がボトルのような形状をしていることから、この頃からカカオは何らかの形で喫食されていたことが明らかになりました。この事実により、カカオ発祥の地は5300年前のエクアドルに改められ、そこから世界に広がって行ったという歴史に書き換えられたのです。 2. マヤ・アステカ文明 作物としてカカオが栽培され始めたのは紀元前2000年頃のメソアメリカと言われています。マヤ文明の母体となったオルメカ文明時代の首都サン・ロレンツォ(San Lorenzo)(現メキシコ)では、テオブロミンの残留物が付着した土器が発見されています。 出典:PNAS, Cacao use and the San Lorenzo...

チョコレートの歴史を知ろう - 海を渡って進化するチョコレート

チョコレートは、原材料のカカオが採れる「生産地」から、実際に製造して喫食する「消費国」が遠く離れているという点で、とてもユニークな食べ物です。チョコレートの歴史を辿ると、なぜ生産地と消費国が異なるのか、謎が解けてきます。カカオの発祥から現在のクラフトチョコレートの成り立ちまで、海を渡って進化するチョコレートの歴史を見ていきましょう。 目次1. カカオの発祥(紀元前3300年頃・5300年前)2. マヤ・アステカ文明(紀元前2000年頃)3. ヨーロッパとカカオの出会い(1502年〜)4. ヨーロッパでの広がり(1606年頃)5. チョコレートの工業化(1730年〜)6. アメリカでの広がり7. 日本での広がり8. クラフトチョコレートへの回帰9. まとめ 1. カカオの発祥(紀元前3300年頃・5300年前) これまでの考古学的証拠から、カカオは4000年前から利用されており、主に中南米のメソアメリカ(メキシコ、ホンジュラス、ベリーズ、グアテマラ)で最初に栽培されたという説が定着していました。しかし、遺伝学的証拠からは、カカオとその近縁種は南アメリカ大陸の赤道付近で最も多様化していることが示されており、実はこちらがカカオ発祥の地なのではないか、という説もありました。そして2018年末、世紀の大発見が発表されました。南米・エクアドルにおいて、マヨ・チンチペ文化で知られ、最古の遺跡となるサンタ・アナ・ラ・フロリダ(Santa Ana-La Florida)遺跡で、カカオを栽培していたことを裏付ける土器が発掘されたのです。 出典:science alert この土器片の内面より、カカオ特有のデンプン粒と塩基配列を持つDNA、テオブロミンの残留物の3点が発見されました。土器がボトルのような形状をしていることから、この頃からカカオは何らかの形で喫食されていたことが明らかになりました。この事実により、カカオ発祥の地は5300年前のエクアドルに改められ、そこから世界に広がって行ったという歴史に書き換えられたのです。 2. マヤ・アステカ文明 作物としてカカオが栽培され始めたのは紀元前2000年頃のメソアメリカと言われています。マヤ文明の母体となったオルメカ文明時代の首都サン・ロレンツォ(San Lorenzo)(現メキシコ)では、テオブロミンの残留物が付着した土器が発見されています。 出典:PNAS, Cacao use and the San Lorenzo...