サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。

最近、さまざまな場所で「サステナブル」という言葉を耳にします。
持続可能な、という意味のこの言葉。
みなさんの暮らしの中にも、レジ袋やマイボトルの持参などを通して、少しずつ浸透してきているのではないでしょうか?
この未来につながる一人ひとりのサステナブルな行動が、持続可能な社会づくりにつながるからこそ、それぞれの人や組織、企業が、どのように向き合っていくかに注目が集まっています。

そんな中、今回は、ダンデライオン・チョコレートが、最も多く使用しているカカオ豆の産地、ドミニカ共和国のソルサル・カカオのサステナブルな取り組みを、皆さんにご紹介しようと思います。

なぜ、数ある中から、私たちがソルサル・カカオのカカオ豆を選び、多く使用しているのか。それはカカオ豆のフレーバーはもちろん、彼らの理念にも、共感する部分が大きいからなのです。

自然保護とカカオ豆の栽培を両立する、ソルサル・カカオ

ソルサル・カカオがあるドミニカ共和国自体は、世界で10番目のカカオ生産国。カカオ豆の生産は、国の一大産業の一つになっています。

ソルサル・カカオの創設者の一人、チャールズ・キルヒナー(通称チャック)が、初めてドミニカ共和国でカカオ豆に触れたのは、彼がまだ学生のころ。ピース・コープ(日本の青年海外協力隊)に参加した彼は、この地で、カカオ豆の発酵箱の製造や、オーガニック認証取得のための生産体制を整える経験をしました。

当時、森林経済学を学んでいたチャックは、この活動を経て、森林保全とカカオを組み合わせることで持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えるようになったそうです。

そしてアメリカに帰国後、博士課程を終えたチャックは、カカオの栽培地域と生物多様性において注目されているエリアが相関していることに気づきます。

「ピース・コープでの経験と博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じてこの地域の経済活動を創ることができないだろうか」

チャックは、ドミニカ共和国に戻り、仲間と共にビジネスを起こすことを決意しました。

ドミニカ共和国に戻ったチャックは仲間達と一緒にソルサル・カカオを創設後、まずドゥアルテ州の山中に、まだ開発されていない412ヘクタールの土地を購入。ドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域を設定しました。

そして、その面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持し、残りを高品質カカオの栽培用として使用することを決めたのです。

ちなみに、「ソルサル・カカオ」の「ソルサル」は、スペイン語で渡り鳥の「ツグミ」を意味します。 この土地はビックネルツグミという渡り鳥がバーモント州の雪を避け越冬するために訪れる貴重な場所。

チャック達は、ここで「ツグミの保護」と「カカオ豆の生産」という挑戦をスタートしました。

力強い自然と、豊かな森林を思わせるカカオ豆の誕生

こうしてツグミの保護と隣り合わせで栽培し、加工したカカオ豆「ソルサル・エステート」が生まれました。また、レゼルバ・ソルサル保護区近隣の農家からもカカオ豆を購入し、こちらは「ソルサル・コミュニタリオ」と命名。彼らソルサル・カカオでは、現在この2種類のカカオ豆を販売しています。

彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、ドミニカ共和国のカカオ生産の中心地であるサンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。
保全区域のため、緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる。思わず深呼吸したくなる、マイナスイオンたっぷりの環境です。

この自然豊かな環境で育つカカオは、力強いカカオ感とウッディーな香り、そしてチェリーのような酸味が共存する、森林のイメージそのもの。作り手によって多種多様に七変化する、まさに自然保全区域を彷彿とさせる味わいになりました。

さらに続く、森林再生という彼らの挑戦

また、彼らはドミニカ共和国の森林再生活動にも積極的に関わり、プラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトにも参画しています。

これにより、私たちチョコレート・メーカーがカカオ豆を購入すると、1トンあたり$200のカーボン・クレジットをソルサル・カカオが購入したことになります。そしてこの資金が、原生種の木を植える資金に当てられる仕組みとなっているのです。

カカオ豆を購入するたびに、ドミニカ共和国に原生林が増える。
私たちチョコレートメーカーが、彼らの豆を使ってチョコレートやお菓子、ドリンクを作り、お客様に美味しく召し上がっていただく。そのことが間接的に、ドミニカ共和国の野鳥保護や森林再生活動への貢献に繋がっている。
遠く離れたドミニカ共和国と日本が、カカオを通じて笑顔になれる好循環が、ここに生まれています。

最後に

ソルサル・カカオはカカオの生産を通して、野鳥保護と森林保全を行う、サステナブルなビジネスモデルを見事に作り上げました。
私たちはソルサル・カカオのこのような取り組みや考え方に共感し、パートナーとしてこれを応援し、今後もより良い関係を築いていきたいと考えています。

今年はこの状況下で開催中止となりましたが、ソルサル・カカオでは毎年”Chocolate Maker Week”として世界中のチョコレートメーカーが参加するカカオ農園ツアーを開催しています。また来年、彼らの取り組みを現地で体感出来るのを楽しみにしています。

また、ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートバーをはじめ、ハウスホットチョコレート、チョコレートブラウニーなど、ソルサル・カカオの味わいを感じることのできる商品をたくさん用意しております。ぜひ、皆さんもその自然豊かなフレーバーを感じにいらしてください。

最後になりましたが、12月もチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しております。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。


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香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。

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