ダンデライオン・チョコレートでは、日々カカオ豆からチョコレートを作っています。ではその「カカオ豆」とはどのようにして出来るのか、ご存知でしょうか?
私たちの手元には、カカオの生産国からこのような麻袋に入ったかたちで届きます。実は、この状態になるまでにも、カカオの品質に関わる重要な工程があり、私たちはカカオ生産者の努力のおかげで、毎日美味しいチョコレートが作れるのです。
今回はカカオ豆がどのような工程を経て私たちの手元に届くのか、ご紹介します。
カカオ農園
カカオ豆は、カカオの木(テオブロマ・カカオ)にできる実(カカオポッド)の中にある種のこと。カカオの収穫期は、年2回(5月と10月頃)の地域が多いです。
カカオを育てるカカオ農家は、家族経営の小規模のものから、大規模な農園を所有するものまで事業規模は様々。日本茶や海苔、お米でイメージすると、分かりやすいかもしれません。
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カカオの収穫
カカオの収穫は全て手作業。生産地の多くが奥地や山の中にあるため、手でもいだり、ハサミを使用してカカオ農家が一つ一つ丁寧に収穫します。収穫したカカオポッドは、山積みにしてまとめます。
カカオの実と種の取り出し
収穫したカカオは、中の実の部分(パルプ)が腐りやすいため、なるべく早めに割り、パルプと種を取り出します。この段階で、中が熟しすぎているもの、逆に未熟なものとを選別し、スペシャルティカカオ用と一般流通用のカカオ(コモディティカカオ)に分ける生産地もあります。
取り出したパルプと種は、バケツや袋に入れておきます。
発酵
取り出したパルプと種を発酵させます。そしてこの「発酵」こそ、カカオの産地特有のフレーバーが決まる肝と言っても過言ではない、最も大事な工程です。
発酵は木箱などに入れ、バナナの葉や麻袋で蓋をして包み、6-8日間かけて行います。発酵方法はワインに近く、酵母や細菌の働きによって果肉に含まれる糖分を利用して熱とアルコールを生成し(嫌気性発酵 -けんきせいはっこう-)、発酵の途中でかき混ぜることで空気を含み、種の中に含まれるアミノ酸や糖分が変性し(好気性発酵 -こうきせいはっこう-)、香りの元を作り出します。
発酵の方法は並べた木箱やひな壇式など生産者によって様々ですが、60-70%程度の発酵具合だとフルーティーなカカオ豆になったり、発酵する際培養菌を添加することで異なるフレーバーを生み出すことが出来たりと、とても奥の深い領域です。
また、発酵を失敗してしまうとスペシャルティカカオとして販売することが難しくなるため、高い技術力も必要になります。
カカオ農家の中には、カカオの栽培からカカオ豆になるまでの一連の工程を自身の農園で全て完結する場合と、カカオの実と種を取り出すところまでを行い、発酵施設を持つカカオ生産者に生のカカオ豆(ウェットビーンズ)の状態で売る場合があります。
後者の利点として、カカオ農家にとっては設備投資もかかり難しい作業でもある発酵や乾燥の工程にかかる負担を軽減出来ること、そして発酵施設にウェットビーンズを納品した段階で金銭を受け取ることが出来ることから、安定的な収入の確保に繋がります。
また、カカオ生産者にとっては、カカオ農園を持たずに周囲のカカオ農家からウェットビーンズを集め、発酵技術に特化したスタッフが加工することで、スペシャルティカカオを生産し、高値で販売することができます。その分、カカオ農家から高値でウェットビーンズを購入することができ、結果的にお互いの収益を上げることができます。
もちろん、私たちチョコレートメーカーも、その恩恵を受けて、美味しいチョコレートが作れるようになります。
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乾燥
発酵が完了したら、カカオ豆を乾燥させます。目的は、これ以上発酵を進めると腐敗してしまうため発酵を止め、そして保存や輸送に備えて水分を7-8%以下にするためです。
乾燥の方法も生産者により様々。カカオ豆をパティオと呼ばれるセメントの台に広げて直射日光の下で乾かしたり、ビニールハウス内に乾燥台を設置したり、両方を併用するところもあります。
乾燥工程には約1週間かかりますが、発酵工程同様、乾燥にかける時間や方法によっても、最終的なカカオ豆のフレーバーが変わります。均一に乾燥が進むように、トンボのようなものでかき混ぜたり、カットテストをしてカカオ豆の品質を確認したりします。
梱包・出荷
いよいよ出来上がったカカオ豆を梱包します。現地でも選別を行った後、麻袋に詰めます(ビニール製の内袋に入れる生産者もあります)。容量は一袋50-70kg、最近は小規模のチョコレートメーカーの要望に応じて、20-30kgの小さい単位でも袋詰めされています。
カカオ生産者の協力なくして、美味しいチョコレートは生まれない
私たちが日本でカカオ豆を受け取るまでに、カカオの生産地でも長い道のりと様々な工程があります。カカオを収穫してからカカオ豆になるまで約1ヶ月、カカオ農家と生産者のおかげで、私たちはこの遠く離れた日本でも、美味しいBean to Bar チョコレートをみなさまにお届けすることが出来るのです。
カカオの生産地は日本から遠く、なかなか現地の様子を知ることは難しいのが現状です。ダンデライオン・チョコレートではダイレクト・トレードでカカオ豆を購入しているため、現地の生産者や流通過程をよく理解しています。よって、これからもカカオの生産地のことをどんどんご紹介していこうと思います。