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カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

近年、食品ロスや廃棄物の削減に取り組むなかで、本来は捨てられるはずのものから新しいものを生み出す、アップサイクルが注目されています。実はチョコレートの生産過程でも、廃棄されてしまうものがあります。それがカカオ豆の外皮「カカオハスク」です。 現在ダンデライオン・チョコレートでは、さまざまなメーカーとともに、カカオハスクをおいしく楽しくアップサイクルできる商品づくりに取り組んでいます。今回は、カカオハスクがどのようにして新たな商品に生まれ変わるのか、活用事例についてご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら カカオハスクとは? チョコレートの主原料であるカカオ。ラグビーボールほどの大きさの実からチョコレートに利用されるのは、実はほんのわずかです。カカオの実の中にある「種」を発酵、乾燥させたものが「カカオ豆」。このカカオ豆一粒一粒は、ピーナッツのような薄い外皮「カカオハスク」で覆われています。   【関連記事】 カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   カカオハスクは繊維質で粉砕しにくく、チョコレートにしたときに口当たりが悪くなってしまうため、製造過程で必ず取り除かれる部分。お米は玄米の状態では「ぬか層」に包まれていますが、精米することで白米になります。カカオハスクは、お米でいう「ぬか層」にあたります。 カカオハスクができるまで 1. 選別 2. ロースト(焙煎) 3. ウィノウイング(風選) 4. メランジング(磨砕) 5. テンパリング・成形 チョコレートの製造工程は、カカオ豆の選別から始まり、ロースト(焙煎)、ウィノウイング(風選)、メランジング(磨砕)、テンパリング、成形です。 このなかでカカオハスクができるのは、ウィノウイングの工程。ローストしたカカオ豆をウィノワーという機械で細かく砕き、外皮と内側のカカオニブを分離します。そしてファンを使って風を当て、軽い外皮を吹き飛ばしてカカオニブを取り出します。 ローストしたカカオ豆からは、25-30%がカカオハスクとして分離されます。   【関連動画】 Bean...

カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

近年、食品ロスや廃棄物の削減に取り組むなかで、本来は捨てられるはずのものから新しいものを生み出す、アップサイクルが注目されています。実はチョコレートの生産過程でも、廃棄されてしまうものがあります。それがカカオ豆の外皮「カカオハスク」です。 現在ダンデライオン・チョコレートでは、さまざまなメーカーとともに、カカオハスクをおいしく楽しくアップサイクルできる商品づくりに取り組んでいます。今回は、カカオハスクがどのようにして新たな商品に生まれ変わるのか、活用事例についてご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら カカオハスクとは? チョコレートの主原料であるカカオ。ラグビーボールほどの大きさの実からチョコレートに利用されるのは、実はほんのわずかです。カカオの実の中にある「種」を発酵、乾燥させたものが「カカオ豆」。このカカオ豆一粒一粒は、ピーナッツのような薄い外皮「カカオハスク」で覆われています。   【関連記事】 カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   カカオハスクは繊維質で粉砕しにくく、チョコレートにしたときに口当たりが悪くなってしまうため、製造過程で必ず取り除かれる部分。お米は玄米の状態では「ぬか層」に包まれていますが、精米することで白米になります。カカオハスクは、お米でいう「ぬか層」にあたります。 カカオハスクができるまで 1. 選別 2. ロースト(焙煎) 3. ウィノウイング(風選) 4. メランジング(磨砕) 5. テンパリング・成形 チョコレートの製造工程は、カカオ豆の選別から始まり、ロースト(焙煎)、ウィノウイング(風選)、メランジング(磨砕)、テンパリング、成形です。 このなかでカカオハスクができるのは、ウィノウイングの工程。ローストしたカカオ豆をウィノワーという機械で細かく砕き、外皮と内側のカカオニブを分離します。そしてファンを使って風を当て、軽い外皮を吹き飛ばしてカカオニブを取り出します。 ローストしたカカオ豆からは、25-30%がカカオハスクとして分離されます。   【関連動画】 Bean...

【レポート】ドミニカ共和国 農園訪問

【レポート】ドミニカ共和国 農園訪問

私たちダンデライオン・チョコレートは創業以来、ダイレクトトレードのカカオ豆を使用したBean to Bar チョコレートを作り続けています。生産者の元を訪問し、カカオ豆の栽培や加工にかける想いを汲み取り、それを日々の商品開発に活かしてきました。   2020年、2021年はコロナウイルスの影響により海外渡航の機会を失い、残念ながら現地との直接的なコミュニケーションを取ることが叶いませんでした。そして2022年5月末、ようやく私たちはドミニカ共和国を訪問し、現地でカカオの栽培・加工を行うZORZAL CACAOに会い、直接話を聞く機会を持つことができました。 ZORZAL CACAOのカカオ豆は私たちが多くのペストリーに使用しており、チョコレートバーでは「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」にも使用しています。今回の訪問では、現地の生産者の想いを知るとともに、私たちがチョコレートバーやペストリーに込めている想いを伝えてきました。 ZORZAL CACAOへの道のり 2022年5月末日、2回の乗り換えを含め30時間以上かけて、ドミニカ共和国(プエルト・プラタ空港)に入国。今回、アメリカのダンデライオン・チョコレートからソーシング(カカオ豆の買い付け)担当のGregを含む6名、日本からは3名のメンバーが農園を訪問しました。 左上から時計回りにコンフェクショナリーチームのDillon、ソーシング担当のGreg、コンフェクショナリーチームのAshley、 ラスベガス店のDenise 、商品開発担当のLauren 、プロダクションチームの田村、古野、クリエイションチームの辻、配送担当のHwan   到着初日、私たちはZORZAL CACAOが2018年から運営を始めたカカオの発酵・乾燥施設を訪問しました。 ZORZAL CACAOは私たちの滞在地から車でおよそ2時間半の場所にあるサンフランシスコ・デ・マコリスにあります。しばらく車を走らせると、車窓からはカカオの木が!青々と茂るカカオの葉の影にはラグビーボールのような形をしたカカオの実が、たわわとなっています。カカオの生産地域から遠く離れた地でチョコレート作りをしてきた私たちにとってカカオの木をこの目で見ることは、長い間待ち望んだ、とても感動的な瞬間でした。 車を降りた瞬間に私たちが感じたのは、カカオ豆が発酵している香りです。カカオと聞くと甘いチョコレートのような香りを想像しますが、実際にはカカオの実の中にある果肉部分を発酵させています。そのため酸の鋭い刺激的な香りとフルーツ由来の甘酸っぱい香りがして、鼻腔をくすぐります。   発酵施設には、階段状に4つの発酵ボックスが縦に並んでいます。それが横にずらりと整列することで、一度にたくさんのカカオ豆を発酵させることができます。 まず最初にカカオの果肉と種(カカオ豆)が最上段のボックスに入れられます。その後、下段のボックスに移しながら適宜攪拌しつつ、空気と接触させます。この攪拌のタイミングによって、カカオの香りや味わいをコントロールすることができます。 ここでは、最初のボックスで2日間、次のボックスで2日間、その後1日ずつボックスを移し、合計6日間かけて発酵を行っていました。...

【レポート】ドミニカ共和国 農園訪問

私たちダンデライオン・チョコレートは創業以来、ダイレクトトレードのカカオ豆を使用したBean to Bar チョコレートを作り続けています。生産者の元を訪問し、カカオ豆の栽培や加工にかける想いを汲み取り、それを日々の商品開発に活かしてきました。   2020年、2021年はコロナウイルスの影響により海外渡航の機会を失い、残念ながら現地との直接的なコミュニケーションを取ることが叶いませんでした。そして2022年5月末、ようやく私たちはドミニカ共和国を訪問し、現地でカカオの栽培・加工を行うZORZAL CACAOに会い、直接話を聞く機会を持つことができました。 ZORZAL CACAOのカカオ豆は私たちが多くのペストリーに使用しており、チョコレートバーでは「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」にも使用しています。今回の訪問では、現地の生産者の想いを知るとともに、私たちがチョコレートバーやペストリーに込めている想いを伝えてきました。 ZORZAL CACAOへの道のり 2022年5月末日、2回の乗り換えを含め30時間以上かけて、ドミニカ共和国(プエルト・プラタ空港)に入国。今回、アメリカのダンデライオン・チョコレートからソーシング(カカオ豆の買い付け)担当のGregを含む6名、日本からは3名のメンバーが農園を訪問しました。 左上から時計回りにコンフェクショナリーチームのDillon、ソーシング担当のGreg、コンフェクショナリーチームのAshley、 ラスベガス店のDenise 、商品開発担当のLauren 、プロダクションチームの田村、古野、クリエイションチームの辻、配送担当のHwan   到着初日、私たちはZORZAL CACAOが2018年から運営を始めたカカオの発酵・乾燥施設を訪問しました。 ZORZAL CACAOは私たちの滞在地から車でおよそ2時間半の場所にあるサンフランシスコ・デ・マコリスにあります。しばらく車を走らせると、車窓からはカカオの木が!青々と茂るカカオの葉の影にはラグビーボールのような形をしたカカオの実が、たわわとなっています。カカオの生産地域から遠く離れた地でチョコレート作りをしてきた私たちにとってカカオの木をこの目で見ることは、長い間待ち望んだ、とても感動的な瞬間でした。 車を降りた瞬間に私たちが感じたのは、カカオ豆が発酵している香りです。カカオと聞くと甘いチョコレートのような香りを想像しますが、実際にはカカオの実の中にある果肉部分を発酵させています。そのため酸の鋭い刺激的な香りとフルーツ由来の甘酸っぱい香りがして、鼻腔をくすぐります。   発酵施設には、階段状に4つの発酵ボックスが縦に並んでいます。それが横にずらりと整列することで、一度にたくさんのカカオ豆を発酵させることができます。 まず最初にカカオの果肉と種(カカオ豆)が最上段のボックスに入れられます。その後、下段のボックスに移しながら適宜攪拌しつつ、空気と接触させます。この攪拌のタイミングによって、カカオの香りや味わいをコントロールすることができます。 ここでは、最初のボックスで2日間、次のボックスで2日間、その後1日ずつボックスを移し、合計6日間かけて発酵を行っていました。...

新作チョコレートバー「ベンチェ, ベトナム 70%」 発売開始

新作チョコレートバー「ベンチェ, ベトナム 70%」 発売開始

2020年1月に初めて登場した「ベンチェ, ベトナム 70%」は、2018年に収穫したカカオ豆を使用したもの。この度、2020年収穫のカカオ豆に切り替わり、新たなフレーバーとしてリニューアルします! 2018年収穫のカカオ豆を使用した「ベンチェ, ベトナム 70%」は甘酸っぱいチェリーやハニーキャラメル、ジンジャースナップクッキーのような味わいでしたが、今回の2020年収穫のものはセミドライのアプリコットのような柔らかい甘酸っぱさ、香ばしいジンジャーブレッド、ほのかに甘いキャラメルのフレーバーと、全体的にほっこりとした印象に。果実感とスパイス感のバランスが良いチョコレートになりました。 ベンチェ, ベトナムについて このカカオ豆はベトナムの Bean to Bar チョコレート メーカー・マルゥ(MAROU)から購入しているもの。ホーチミン・シティから南西約86kmに位置するベンチェ省のアグリフォレスト農園で、ヤシの木陰を利用して育てられています。 植民地支配の歴史や社会事情に振り回されながらも今も残る農家たちによって大事に守られてきたベトナム産カカオは、南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なり、多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目する生産地です。   【関連記事】 カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム) 商品開発へのこだわり ダンデライオン・チョコレートでは新しい産地や収穫年のカカオ豆が届くと、毎回チョコレートの開発を一から行っています。 今回開発を担当したのは、前作に引き続きチョコレートメーカーの武内優季。実際にベトナムの生産地も訪れ、どのようにカカオが栽培されカカオ豆が出来上がるのかを知る彼女だからこそ、現地に想いを馳せながら開発したチョコレートです。 同じ産地でもカカオ豆の収穫年が変わるとチョコレートの味わいも変わるもの。今回の開発ではこのカカオ豆がもともと持つ芳醇で華やかなフレーバーは残しつつ、前年のものよりも酸味をより柔らかく引き立てられるように意識しました。   【関連記事】 チョコレートバーの開発ってどう進めるの? 【レポート】ベトナム...

新作チョコレートバー「ベンチェ, ベトナム 70%」 発売開始

2020年1月に初めて登場した「ベンチェ, ベトナム 70%」は、2018年に収穫したカカオ豆を使用したもの。この度、2020年収穫のカカオ豆に切り替わり、新たなフレーバーとしてリニューアルします! 2018年収穫のカカオ豆を使用した「ベンチェ, ベトナム 70%」は甘酸っぱいチェリーやハニーキャラメル、ジンジャースナップクッキーのような味わいでしたが、今回の2020年収穫のものはセミドライのアプリコットのような柔らかい甘酸っぱさ、香ばしいジンジャーブレッド、ほのかに甘いキャラメルのフレーバーと、全体的にほっこりとした印象に。果実感とスパイス感のバランスが良いチョコレートになりました。 ベンチェ, ベトナムについて このカカオ豆はベトナムの Bean to Bar チョコレート メーカー・マルゥ(MAROU)から購入しているもの。ホーチミン・シティから南西約86kmに位置するベンチェ省のアグリフォレスト農園で、ヤシの木陰を利用して育てられています。 植民地支配の歴史や社会事情に振り回されながらも今も残る農家たちによって大事に守られてきたベトナム産カカオは、南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なり、多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目する生産地です。   【関連記事】 カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム) 商品開発へのこだわり ダンデライオン・チョコレートでは新しい産地や収穫年のカカオ豆が届くと、毎回チョコレートの開発を一から行っています。 今回開発を担当したのは、前作に引き続きチョコレートメーカーの武内優季。実際にベトナムの生産地も訪れ、どのようにカカオが栽培されカカオ豆が出来上がるのかを知る彼女だからこそ、現地に想いを馳せながら開発したチョコレートです。 同じ産地でもカカオ豆の収穫年が変わるとチョコレートの味わいも変わるもの。今回の開発ではこのカカオ豆がもともと持つ芳醇で華やかなフレーバーは残しつつ、前年のものよりも酸味をより柔らかく引き立てられるように意識しました。   【関連記事】 チョコレートバーの開発ってどう進めるの? 【レポート】ベトナム...

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

ベンチェ, ベトナム 70% 生産者:Marou生産国:ベトナム地域:ベンチェ 事業形態:ベトナム国内の農家と直接取引を行うチョコレートメーカーカカオ豆:生産組合で栽培、発酵、乾燥したカカオ豆を購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:メッシュの乾燥台カカオ豆のフレーバー:砂糖がけした生姜、糖蜜、アップルサイダー ベトナムはどんな国? ベトナム社会主義共和国は、インドと中国の間、インドシナ半島東部に縦に細長くのびる東南アジアの国。北は中国、西はカンボジアとラオスに接しています。 国土の面積は約32.9万㎢(日本の0.88倍)で、人口は9,646万人(2019年)。現在多くの日本企業も進出し、急激な経済発展を遂げている新興国のひとつです。   ベトナムは、北部、中部、南部の3つの区域に分かれていて、北部には政治・文化の中心である首都ハノイ、中部にはリゾート地として人気の高いダナン、南部にはベトナム最大の商業都市ホーチミンがあります。   公用語はベトナム語。「ベトナム」という国名は「越(ベト)」「南(ナム)」の意味で、19世紀初めに誕生したベトナム最後の王朝・グエン朝が全土を統一した際に「越国南方の地」と称したとされています。 このようにベトナム語の単語の多くは漢字をベトナム式に読んだもので日本語の音読みに近く、日本人には学習しやすい外国語のひとつと言われています。 ベトナムのカカオ事情 国の主要産業は米、コーヒー、カシューナッツ、ブラックペッパー、ゴムなどの​​農林水産業で、その中でカカオは約4,000トン、世界の生産量の約0.1%ほどです。   ベトナムにカカオが伝わったのは、1800年代のフランスからと言われています。1882年にフランスがハノイを占領し、1884年にはベトナムがフランスの保護国となり実質的な植民地となります。当時カカオは高価に取り引きされていたため、フランスは植民地であるベトナムに大規模なカカオ農園をつくり、生産体制を拡大しようとしていました。しかし、想定以下の品質のものしかできず、カカオ農園はそのまま置き去りにされてしまいます。   その後1980年代にはソ連の支援を受け大規模なカカオ農園が再度増加しますが、ソ連崩壊後は買い手が激減し、ベトナムのカカオ生産は再度困難な状況に陥ってしまいます。   2000年代になると米国のSUCCESS Allianceなどの投資の元、ベトナムに残る小規模カカオ農家への技術支援や生産・輸出体制の強化に乗り出します。   このようにベトナム産カカオは歴史や社会事情に振り回されながらも、今も残る農家たちによって大事に守られてきました。南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なるカカオ豆には、今や多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目しています。また、フランスの影響を色濃く残すベトナムならでは、暑い国でもチョコレートは受け入れやすく、ベトナム産カカオに特化したチョコレートメーカーが多いのも特徴です。 マルゥについて マルゥを創業したのは、ベトナムを旅行中に出会った2人のフランス人、ヴィンセント・モローとサミュエル・マルタです。2人はカカオ農園を訪れた際にその品質に魅了され、2011年にカカオサプライヤー兼チョコレートメーカーを立ち上げます。ちなみに「マルゥ(Marou)」は2人の苗字から名付けられています。  ...

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

ベンチェ, ベトナム 70% 生産者:Marou生産国:ベトナム地域:ベンチェ 事業形態:ベトナム国内の農家と直接取引を行うチョコレートメーカーカカオ豆:生産組合で栽培、発酵、乾燥したカカオ豆を購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:メッシュの乾燥台カカオ豆のフレーバー:砂糖がけした生姜、糖蜜、アップルサイダー ベトナムはどんな国? ベトナム社会主義共和国は、インドと中国の間、インドシナ半島東部に縦に細長くのびる東南アジアの国。北は中国、西はカンボジアとラオスに接しています。 国土の面積は約32.9万㎢(日本の0.88倍)で、人口は9,646万人(2019年)。現在多くの日本企業も進出し、急激な経済発展を遂げている新興国のひとつです。   ベトナムは、北部、中部、南部の3つの区域に分かれていて、北部には政治・文化の中心である首都ハノイ、中部にはリゾート地として人気の高いダナン、南部にはベトナム最大の商業都市ホーチミンがあります。   公用語はベトナム語。「ベトナム」という国名は「越(ベト)」「南(ナム)」の意味で、19世紀初めに誕生したベトナム最後の王朝・グエン朝が全土を統一した際に「越国南方の地」と称したとされています。 このようにベトナム語の単語の多くは漢字をベトナム式に読んだもので日本語の音読みに近く、日本人には学習しやすい外国語のひとつと言われています。 ベトナムのカカオ事情 国の主要産業は米、コーヒー、カシューナッツ、ブラックペッパー、ゴムなどの​​農林水産業で、その中でカカオは約4,000トン、世界の生産量の約0.1%ほどです。   ベトナムにカカオが伝わったのは、1800年代のフランスからと言われています。1882年にフランスがハノイを占領し、1884年にはベトナムがフランスの保護国となり実質的な植民地となります。当時カカオは高価に取り引きされていたため、フランスは植民地であるベトナムに大規模なカカオ農園をつくり、生産体制を拡大しようとしていました。しかし、想定以下の品質のものしかできず、カカオ農園はそのまま置き去りにされてしまいます。   その後1980年代にはソ連の支援を受け大規模なカカオ農園が再度増加しますが、ソ連崩壊後は買い手が激減し、ベトナムのカカオ生産は再度困難な状況に陥ってしまいます。   2000年代になると米国のSUCCESS Allianceなどの投資の元、ベトナムに残る小規模カカオ農家への技術支援や生産・輸出体制の強化に乗り出します。   このようにベトナム産カカオは歴史や社会事情に振り回されながらも、今も残る農家たちによって大事に守られてきました。南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なるカカオ豆には、今や多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目しています。また、フランスの影響を色濃く残すベトナムならでは、暑い国でもチョコレートは受け入れやすく、ベトナム産カカオに特化したチョコレートメーカーが多いのも特徴です。 マルゥについて マルゥを創業したのは、ベトナムを旅行中に出会った2人のフランス人、ヴィンセント・モローとサミュエル・マルタです。2人はカカオ農園を訪れた際にその品質に魅了され、2011年にカカオサプライヤー兼チョコレートメーカーを立ち上げます。ちなみに「マルゥ(Marou)」は2人の苗字から名付けられています。  ...

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオの違いと魅力を解説 -

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリ...

ダンデライオン・チョコレートで販売している2種類のドミニカ共和国産カカオ70%のチョコレートバー「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」は、実は同じ生産者「ソルサル・カカオ」のカカオ豆を使用していますが、その味わいは大きく異なります。なぜ、同じ生産国、生産者でも異なるフレーバーのチョコレートができるのでしょうか?それぞれの特徴や魅力を解説します。 生産者「ソルサル・カカオ」とは ソルサル・カカオはチャールズ・キルヒナー(通称チャック)達によって創設されたカカオ生産者。チャックはピース・コープ(日本の青年海外協力隊)で滞在したドミニカ共和国で、自身が博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じて現地の経済活動を創ることができるのではと想い、この事業を始めました。 【関連記事】サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み   私たちがなぜソルサル・カカオのカカオ豆を使用しているのか、それは彼らの理念に共感している他にも、チャックがとったある誠実な行動にもあります。 事業を始めた当初、ソルサル・カカオはカカオ豆の発酵施設を持っていなかったため、近隣のオコ・カリベという生産者に発酵・乾燥工程を委託していました。 【関連記事】カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   私たちがチャックに初めて彼のカカオ豆を発注したとき、オコ・カリベはチャックのカカオ豆と別のカカオ豆をブレンドして発酵させてしまいました。ダンデライオン・チョコレートがシングルオリジンのカカオ豆にこだわっていることを知っていたチャックは、それを包み隠さず私たちに話し、「発注はキャンセルしても良い」と申し出てくれたのです。 おそらく、私たちは届いたカカオ豆を見ても、ブレンドされたかどうかまでは分からなかったと思います。チャックは私たちが何を大切にしているかを理解してくれていたからこそ、このように伝えてくれたのでした。 「顧客に対して誠実であることには価値がある。数千km離れた地でカカオ豆がどのように育てられたか事実を隠すのは簡単だが、長いパートナーシップの要は信頼を構築することであり、それが個人的にも経済的にも満足のいくビジネスになるんだ」   私たちはチャックを、そしてソルサル・カカオを信頼しているからこそ、自信を持って彼のカカオ豆を使用しているのです。 ソルサル・エステートのカカオ豆 「エステート」とは「私有地」のこと。ソルサル・エステートのカカオ豆はソルサル・カカオが購入したドゥアルテ州の山中412ヘクタールの土地のうち、約30%を占める地域で栽培されているカカオからできています。 この土地はドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域で、面積の70%はツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持されています。ここでチャック達はカカオ豆の生産を通したツグミの保護というビジネスモデルへの挑戦をスタートしたのです。 ソルサル・コミュニタリオのカカオ豆 「コミュニタリオ」はスペイン語で「コミュニティ」の意味。このカカオ豆はソルサル・カカオが保有する野鳥保護区「レゼルバ・ソルサル」の近隣地域にある農園で育てられたカカオからできています。つまりソルサル・カカオと同じコミュニティの仲間達によるカカオ豆です。 保全区域内に住む25の農家が育てた、バードフレンドリー認証を受けたカカオ。ソルサル・カカオは彼らと協力し農業技術や投資支援を通して、年間約200トンのカカオ豆を生産しています。 チョコレートの味わいの違い ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオのチョコレートバーを開発したのは、ダンデライオン・チョコレートで最も長くチョコレートメーカーを務める2人、古野真理子(写真左)と土屋まり(写真右)。2人のこれまでの経験と感性で出来上がったチョコレートバーは、それぞれ全く異なる味わいになりました。  ...

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリ...

ダンデライオン・チョコレートで販売している2種類のドミニカ共和国産カカオ70%のチョコレートバー「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」は、実は同じ生産者「ソルサル・カカオ」のカカオ豆を使用していますが、その味わいは大きく異なります。なぜ、同じ生産国、生産者でも異なるフレーバーのチョコレートができるのでしょうか?それぞれの特徴や魅力を解説します。 生産者「ソルサル・カカオ」とは ソルサル・カカオはチャールズ・キルヒナー(通称チャック)達によって創設されたカカオ生産者。チャックはピース・コープ(日本の青年海外協力隊)で滞在したドミニカ共和国で、自身が博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じて現地の経済活動を創ることができるのではと想い、この事業を始めました。 【関連記事】サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み   私たちがなぜソルサル・カカオのカカオ豆を使用しているのか、それは彼らの理念に共感している他にも、チャックがとったある誠実な行動にもあります。 事業を始めた当初、ソルサル・カカオはカカオ豆の発酵施設を持っていなかったため、近隣のオコ・カリベという生産者に発酵・乾燥工程を委託していました。 【関連記事】カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   私たちがチャックに初めて彼のカカオ豆を発注したとき、オコ・カリベはチャックのカカオ豆と別のカカオ豆をブレンドして発酵させてしまいました。ダンデライオン・チョコレートがシングルオリジンのカカオ豆にこだわっていることを知っていたチャックは、それを包み隠さず私たちに話し、「発注はキャンセルしても良い」と申し出てくれたのです。 おそらく、私たちは届いたカカオ豆を見ても、ブレンドされたかどうかまでは分からなかったと思います。チャックは私たちが何を大切にしているかを理解してくれていたからこそ、このように伝えてくれたのでした。 「顧客に対して誠実であることには価値がある。数千km離れた地でカカオ豆がどのように育てられたか事実を隠すのは簡単だが、長いパートナーシップの要は信頼を構築することであり、それが個人的にも経済的にも満足のいくビジネスになるんだ」   私たちはチャックを、そしてソルサル・カカオを信頼しているからこそ、自信を持って彼のカカオ豆を使用しているのです。 ソルサル・エステートのカカオ豆 「エステート」とは「私有地」のこと。ソルサル・エステートのカカオ豆はソルサル・カカオが購入したドゥアルテ州の山中412ヘクタールの土地のうち、約30%を占める地域で栽培されているカカオからできています。 この土地はドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域で、面積の70%はツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持されています。ここでチャック達はカカオ豆の生産を通したツグミの保護というビジネスモデルへの挑戦をスタートしたのです。 ソルサル・コミュニタリオのカカオ豆 「コミュニタリオ」はスペイン語で「コミュニティ」の意味。このカカオ豆はソルサル・カカオが保有する野鳥保護区「レゼルバ・ソルサル」の近隣地域にある農園で育てられたカカオからできています。つまりソルサル・カカオと同じコミュニティの仲間達によるカカオ豆です。 保全区域内に住む25の農家が育てた、バードフレンドリー認証を受けたカカオ。ソルサル・カカオは彼らと協力し農業技術や投資支援を通して、年間約200トンのカカオ豆を生産しています。 チョコレートの味わいの違い ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオのチョコレートバーを開発したのは、ダンデライオン・チョコレートで最も長くチョコレートメーカーを務める2人、古野真理子(写真左)と土屋まり(写真右)。2人のこれまでの経験と感性で出来上がったチョコレートバーは、それぞれ全く異なる味わいになりました。  ...

クラフトビールと、チョコレートと

クラフトビールと、チョコレートと

私たちダンデライオン・チョコレートと同じく「モノ」を通してお客さまに楽しくワクワクする体験を届けている素敵なブランドと、お互いのこだわりや大事にしていることを深堀りする対談企画「◯◯と、チョコレートと」。自身のブランドを今後どのように発展していきたいかなど、社内で語られるような普段聞けない「うちに秘めた想い」を中心に発信しています。 第4回は「クラフトビールと、チョコレートと」。コエドビールを手がけるコエドブルワリーとの対談です。2019年から始まったコラボレーションビールも今年で4回目。毎年さまざまな変遷を経てきたからこそ生まれる新たな味わいのビールは、私たちダンデライオン・チョコレートのなかでは「冬の風物詩」となっています。 関連記事:チョコレートを使用したCOEDOとのコラボレーションビール第3弾 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら クラフトビールと、チョコレートと ドミニカ共和国産カカオを使用した今年の「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」 2019年はタンザニア産カカオを使用した「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」、2020年はベリーズ産カカオの「CHOCOLATE WEIZEN(チョコレート・ヴァイツェン)」を経て、原点回帰となった2021年は、ビールのベースをブラッシュアップし、ドミニカ共和国産カカオを組み合わせた「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」を発売。Australian International Beer Awards 2021ではFlavoured Specialty Beer "Chocolate"部門でゴールドを受賞しました。今年は、その「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」を更にブラッシュアップし、親しみやすいチョコレートの甘さが活かされた、クラシカルなビー ルに仕上げました。 今回、COEDO 広報の田邊真さんとクラフトビール共創チームでこのビールの開発者である藤咲湖南さん、ダンデライオン・チョコレートの物江徹と伴野智映子が、商品やこれからのブランド像について話しました。 チョコレート・デュンケルを注文する 誰もがイメージできる、「チョコレートらしい」チョコレートビールを 今回使用するホップをタンクに投入する物江。私たちが作ったチョコレートと一緒にビールができあがると思うと、一層愛着が湧きます。 伴野:今回4回目のコラボレーションビールは前回と同じデュンケルですが、醸造するにあたりこだわったことはありますか?   藤咲:まずは自分がおいしいな、と思ったデュンケルにカカオニブを実際入れてみるなどしながらイメージを膨らませました。「チョコレートらしさ」がイメージしやすいように、麦芽の種類を調整して色や甘さ、焙煎香を吟味しています。あとは昨年同様ホップガンを使用して、カカオニブをビールの中で循環させることによってチョコレートの香りがビール全体にしっかりと残るようにしています。   物江:ビールと言えば夏のイメージが強いですが、ダンデライオン・チョコレートでは冬が来ると「今年もコエドビールの季節がやってきた」と冬の風物詩になっています。実際に工場を見学させていただいたり、年を重ねるごとにお互いの距離感も近づいてきて、それが商品にも反映されているように感じます。...

クラフトビールと、チョコレートと

私たちダンデライオン・チョコレートと同じく「モノ」を通してお客さまに楽しくワクワクする体験を届けている素敵なブランドと、お互いのこだわりや大事にしていることを深堀りする対談企画「◯◯と、チョコレートと」。自身のブランドを今後どのように発展していきたいかなど、社内で語られるような普段聞けない「うちに秘めた想い」を中心に発信しています。 第4回は「クラフトビールと、チョコレートと」。コエドビールを手がけるコエドブルワリーとの対談です。2019年から始まったコラボレーションビールも今年で4回目。毎年さまざまな変遷を経てきたからこそ生まれる新たな味わいのビールは、私たちダンデライオン・チョコレートのなかでは「冬の風物詩」となっています。 関連記事:チョコレートを使用したCOEDOとのコラボレーションビール第3弾 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら クラフトビールと、チョコレートと ドミニカ共和国産カカオを使用した今年の「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」 2019年はタンザニア産カカオを使用した「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」、2020年はベリーズ産カカオの「CHOCOLATE WEIZEN(チョコレート・ヴァイツェン)」を経て、原点回帰となった2021年は、ビールのベースをブラッシュアップし、ドミニカ共和国産カカオを組み合わせた「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」を発売。Australian International Beer Awards 2021ではFlavoured Specialty Beer "Chocolate"部門でゴールドを受賞しました。今年は、その「CHOCOLATE DUNKEL(チョコレート・デュンケル)」を更にブラッシュアップし、親しみやすいチョコレートの甘さが活かされた、クラシカルなビー ルに仕上げました。 今回、COEDO 広報の田邊真さんとクラフトビール共創チームでこのビールの開発者である藤咲湖南さん、ダンデライオン・チョコレートの物江徹と伴野智映子が、商品やこれからのブランド像について話しました。 チョコレート・デュンケルを注文する 誰もがイメージできる、「チョコレートらしい」チョコレートビールを 今回使用するホップをタンクに投入する物江。私たちが作ったチョコレートと一緒にビールができあがると思うと、一層愛着が湧きます。 伴野:今回4回目のコラボレーションビールは前回と同じデュンケルですが、醸造するにあたりこだわったことはありますか?   藤咲:まずは自分がおいしいな、と思ったデュンケルにカカオニブを実際入れてみるなどしながらイメージを膨らませました。「チョコレートらしさ」がイメージしやすいように、麦芽の種類を調整して色や甘さ、焙煎香を吟味しています。あとは昨年同様ホップガンを使用して、カカオニブをビールの中で循環させることによってチョコレートの香りがビール全体にしっかりと残るようにしています。   物江:ビールと言えば夏のイメージが強いですが、ダンデライオン・チョコレートでは冬が来ると「今年もコエドビールの季節がやってきた」と冬の風物詩になっています。実際に工場を見学させていただいたり、年を重ねるごとにお互いの距離感も近づいてきて、それが商品にも反映されているように感じます。...