近年、食品ロスや廃棄物の削減に取り組むなかで、本来は捨てられるはずのものから新しいものを生み出す、アップサイクルが注目されています。
実はチョコレートの生産過程でも、廃棄されてしまうものがあります。それがカカオ豆の外皮「カカオハスク」です。
現在ダンデライオン・チョコレートでは、さまざまなメーカーとともに、カカオハスクをおいしく楽しくアップサイクルできる商品づくりに取り組んでいます。
今回は、カカオハスクがどのようにして新たな商品に生まれ変わるのか、活用事例についてご紹介します。
カカオハスクとは?
チョコレートの主原料であるカカオ。ラグビーボールほどの大きさの実からチョコレートに利用されるのは、実はほんのわずかです。
カカオの実の中にある「種」を発酵、乾燥させたものが「カカオ豆」。このカカオ豆一粒一粒は、ピーナッツのような薄い外皮「カカオハスク」で覆われています。
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カカオハスクは繊維質で粉砕しにくく、チョコレートにしたときに口当たりが悪くなってしまうため、製造過程で必ず取り除かれる部分。お米は玄米の状態では「ぬか層」に包まれていますが、精米することで白米になります。カカオハスクは、お米でいう「ぬか層」にあたります。
カカオハスクができるまで
チョコレートの製造工程は、カカオ豆の選別から始まり、ロースト(焙煎)、ウィノウイング(風選)、メランジング(磨砕)、テンパリング、成形です。
このなかでカカオハスクができるのは、ウィノウイングの工程。ローストしたカカオ豆をウィノワーという機械で細かく砕き、外皮と内側のカカオニブを分離します。そしてファンを使って風を当て、軽い外皮を吹き飛ばしてカカオニブを取り出します。
ローストしたカカオ豆からは、25-30%がカカオハスクとして分離されます。
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このカカオハスクを取り除いたカカオニブをチョコレートにするため、チョコレートを作る上では、カカオの実から換算すると、実は10%程度しか使われていないことになります。残りの約90%のうち、カカオ豆の発酵に利用される果肉(パルプ)部分を除けば、カカオの殻やハスクは廃棄されてしまっているのが現状です。
カカオハスクの成分
カカオハスクの主な栄養成分は食物繊維です。また、ウィノウイングの際に少量の細かいカカオニブが混入するため、ポリフェノールや脂質、ビタミンやミネラルも含まれています。
また、株式会社 明治の研究によると、ストレス緩和やリラックス効果が期待されるGABAが含まれているという研究結果もあり、その優れた栄養面からも、副産物として生まれるカカオハスクを廃棄するのではなく、有効活用しようという新たな取り組みが増えてきています。
カカオハスクの活用法
カカオハスクのもっとも一般的な活用事例として挙げられるのが、堆肥として利用する方法です。また、カカオの香りを楽しむ「カカオティー」として販売しているものもありますが、カカオハスクの生産量に対して有効利用されている量は、まだまだ少ないのが現状です。
ダンデライオン・チョコレートでは、そんなカカオハスクをもっとおいしく楽しくアップサイクルしようと、さまざまなメーカーと一緒に新たな商品づくりを進めています。
例えば、青果ミコト屋が手がけるクラフトアイスクリームブランド「KIKI natural Ice cream」では、寺田本家の酒粕と合わせた「カカオハスク x 酒粕」を発売。カカオハスクと酒粕という発酵食品の副産物どうしをかけあわせた、新しいアイスクリームです。
また、銀座 松崎煎餅では、「Soooo Silk Cracker(シルク煎餅)」と題したシルクの原材料である繭糸を取り終え、捨てられてしまう繭の中の蚕の蛹をパウダーにして煎餅に混ぜ込んだ商品を開発。このなかのフレーバーのひとつに、ダンデライオン・チョコレートのカカオハスクを使用した「cacao husk+cumin」があり、どちらも副産物がもつ栄養素と味わいを引き出した商品になっています。
※いずれの商品も期間限定での販売となります。詳しい販売状況については各ウェブサイト、SNSをご参照ください。
これから注目の副産物「カカオハスク」
まだまだこれからさまざまな活用法が期待されるカカオハスク。食べ物だけでなく、染め物の染料や紙の原料など、使用用途が広がってきています。
「カカオハスク」を活用した商品
TAIKO アミキャップ カカオ染
本品はダンデライオン・チョコレートの製造工程で出る「カカオハスク」を染色に活用したカカオ染の製品になります。
染色は長野県大町市で活動されるsolosoloさんに草木染めの技法で1点1点染めていただきました。
本来は廃棄してしまう「カカオハスク」を使用した、アップサイクルな製品になりました。