読まれている記事

  • 高カカオ(ハイカカオ)チョコレートの効能、おすすめの商品を紹介!

    記事を読む 
  • チョコレートは何歳から食べても大丈夫?気をつけると良いポイントも紹介

    記事を読む 
  • 高カカオチョコレートを食べるタイミングはいつ、どれくらいが適切?

    記事を読む 
  • スーパーフード「カカオニブ」とは?

    記事を読む 
1 4

最新の記事

OUR DAYS

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインワークショップでもご質問いただくことが多い、フェアトレードを取り上げてみます。「フェアトレード( = Fair Trade)」は、直訳すると「公平・公正な貿易」。立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みで、この考えに基づく認証制度はチョコレートの原材料であるカカオに限らず、コーヒーや紅茶、スパイス等、広く取り入れられています。しかし、ダンデライオン・チョコレートで使用する豆はフェアトレードではなく、「ダイレクトトレード」と定義しています。では、「フェアトレード」と「ダイレクトトレード」はどう異なるのでしょうか?ダンデライオン・チョコレートの取り組みを交えて、お伝えしようと思います。 1. フェアトレードとは? これまで発展途上国で作られた作物や製品は、不公平な市場価格に左右され、国際協力団体の援助があっても経済的持続性がなく、生産者は低賃金労働や児童労働、また地球環境に負荷を与える生産方法を取らざるを得ない状況でした。そこで、この状況を打破するために生まれたのが、フェアトレードという概念です。生産者や労働者の適切な労働環境や安定した生活をサポートできる公正な取引や対価を保証し、地球環境にも配慮したサステナブルな貿易の必要性を訴えました。フェアトレードの歴史は約70年以上も前に遡り、1946年にアメリカのNGOに勤める女性が、プエルトリコの女性たちが作った刺繍製品を本国で販売したのが最初の試みと言われています。1950年代には、イギリスのオックスファムが手工芸品の販売を始め、1958年にはアメリカにフェアトレードショップの第1号店が開店しました。1960年代から欧米で動きが加速し、1970年代になると手工芸品だけではなく、コーヒー豆や紅茶、チョコレート、バナナといった食料品にも広がりました。その後、世界各国に様々なフェアトレード・ラベル団体が発足し、ラベルや基準の統一が必要となったため、1997年に「国際フェアトレードラベル機構(FLO、Fairtrade Labelling Organizations International)」という、フェアトレードラベル運動組織を一つにまとめた国際ネットワーク組織が設立されます。FLOにより設けられた経済的・社会的・環境的基準をクリアした製品に対して、フェアトレード認証ラベルが与えられるようになりました。 その他にも、フェアトレードを行う団体に対して認証を行う世界フェアトレード機関(WFTO、World Fair Trade Organization)や、各企業や団体が独自で設定している認証制度があります。 フェアトレードには、各団体が設ける基準をクリアすることにより与えられる認証ラベルをもとに、私たちが安心してその商品を購入することが出来るというひとつのメリットがあります。 2. ダイレクトトレードとは? 一方、ダンデライオン・チョコレートで行っている「ダイレクトトレード」は、フェアトレードとは取り組み方が少し異なります。まず、私たちはカカオ豆の買い付け担当であるグレッグ・ダレサンドレを筆頭に、使用する産地に必ず訪れ、自らの目で生産地、生産者、生活環境、私たちがカカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉し、購入しています。 農園で生産者らと談義するグレッグ(右端) 生産国では最終製品であるチョコレートを口にすることが少なく、カカオは生産者にとって収穫後どのように加工、消費されていくかが見えにくい作物です。産地に赴くことで、私たちは生産者の顔を知り、生産者は私たちがどのようなチョコレートを作っているかを知る。お互いの取り組みや考え方を、直接会って理解し合うことを、私たちは大切にしています。生産者とコンタクトを取り始めてから現地を訪問し、実際に購入するまで、約3年ほどかかります。生産者との関係性を築き、適正な価格を話し合い、時には技術指導者を紹介して品質向上のお手伝いをし、ようやく手にするカカオ豆には自然と思い入れが強くなり、「このカカオ豆で美味しいチョコレートを作るんだ」と気合いが入ります。フェアトレードでは認証団体側が設けた基準をクリアする必要があります。また、フェアトレード認証を受け、登録を維持するには一定の費用がかかりますが、ダイレクトトレードでは認証のための時間や費用が生産者側にかかることはありません。私たちには認証ラベルはありませんが、生産者と私たちの直接の関係性や信頼こそが基準となっています。私たちは生産者の方々の思いを少しでも届けようと、産地を紹介するソーシングレポートを発行し、取引に関する情報を開示しています。それぞれの産地の個性豊かなダンデライオンのチョコレート。産地の情景や生産者の顔を思い浮かべながら、ぜひ召し上がってみてください。 3. まとめ フェアトレードとダイレクトトレード、どちらが良いということはありません。「身体に入れるものを自分自身できちんと把握する」という食のアプローチの点においては、どちらも共通する部分があると思います。ご自身が購入する食品選びの基準として、参考になると嬉しいです。最後に、今回のお話はオンラインワークショップ Step 5 産地を知るとより美味しい「カカオの生産地とチョコレート」でも、生産者の取り組みとして詳しく触れています。その他にもチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しておりますので、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインワークショップでもご質問いただくことが多い、フェアトレードを取り上げてみます。「フェアトレード( = Fair Trade)」は、直訳すると「公平・公正な貿易」。立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みで、この考えに基づく認証制度はチョコレートの原材料であるカカオに限らず、コーヒーや紅茶、スパイス等、広く取り入れられています。しかし、ダンデライオン・チョコレートで使用する豆はフェアトレードではなく、「ダイレクトトレード」と定義しています。では、「フェアトレード」と「ダイレクトトレード」はどう異なるのでしょうか?ダンデライオン・チョコレートの取り組みを交えて、お伝えしようと思います。 1. フェアトレードとは? これまで発展途上国で作られた作物や製品は、不公平な市場価格に左右され、国際協力団体の援助があっても経済的持続性がなく、生産者は低賃金労働や児童労働、また地球環境に負荷を与える生産方法を取らざるを得ない状況でした。そこで、この状況を打破するために生まれたのが、フェアトレードという概念です。生産者や労働者の適切な労働環境や安定した生活をサポートできる公正な取引や対価を保証し、地球環境にも配慮したサステナブルな貿易の必要性を訴えました。フェアトレードの歴史は約70年以上も前に遡り、1946年にアメリカのNGOに勤める女性が、プエルトリコの女性たちが作った刺繍製品を本国で販売したのが最初の試みと言われています。1950年代には、イギリスのオックスファムが手工芸品の販売を始め、1958年にはアメリカにフェアトレードショップの第1号店が開店しました。1960年代から欧米で動きが加速し、1970年代になると手工芸品だけではなく、コーヒー豆や紅茶、チョコレート、バナナといった食料品にも広がりました。その後、世界各国に様々なフェアトレード・ラベル団体が発足し、ラベルや基準の統一が必要となったため、1997年に「国際フェアトレードラベル機構(FLO、Fairtrade Labelling Organizations International)」という、フェアトレードラベル運動組織を一つにまとめた国際ネットワーク組織が設立されます。FLOにより設けられた経済的・社会的・環境的基準をクリアした製品に対して、フェアトレード認証ラベルが与えられるようになりました。 その他にも、フェアトレードを行う団体に対して認証を行う世界フェアトレード機関(WFTO、World Fair Trade Organization)や、各企業や団体が独自で設定している認証制度があります。 フェアトレードには、各団体が設ける基準をクリアすることにより与えられる認証ラベルをもとに、私たちが安心してその商品を購入することが出来るというひとつのメリットがあります。 2. ダイレクトトレードとは? 一方、ダンデライオン・チョコレートで行っている「ダイレクトトレード」は、フェアトレードとは取り組み方が少し異なります。まず、私たちはカカオ豆の買い付け担当であるグレッグ・ダレサンドレを筆頭に、使用する産地に必ず訪れ、自らの目で生産地、生産者、生活環境、私たちがカカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉し、購入しています。 農園で生産者らと談義するグレッグ(右端) 生産国では最終製品であるチョコレートを口にすることが少なく、カカオは生産者にとって収穫後どのように加工、消費されていくかが見えにくい作物です。産地に赴くことで、私たちは生産者の顔を知り、生産者は私たちがどのようなチョコレートを作っているかを知る。お互いの取り組みや考え方を、直接会って理解し合うことを、私たちは大切にしています。生産者とコンタクトを取り始めてから現地を訪問し、実際に購入するまで、約3年ほどかかります。生産者との関係性を築き、適正な価格を話し合い、時には技術指導者を紹介して品質向上のお手伝いをし、ようやく手にするカカオ豆には自然と思い入れが強くなり、「このカカオ豆で美味しいチョコレートを作るんだ」と気合いが入ります。フェアトレードでは認証団体側が設けた基準をクリアする必要があります。また、フェアトレード認証を受け、登録を維持するには一定の費用がかかりますが、ダイレクトトレードでは認証のための時間や費用が生産者側にかかることはありません。私たちには認証ラベルはありませんが、生産者と私たちの直接の関係性や信頼こそが基準となっています。私たちは生産者の方々の思いを少しでも届けようと、産地を紹介するソーシングレポートを発行し、取引に関する情報を開示しています。それぞれの産地の個性豊かなダンデライオンのチョコレート。産地の情景や生産者の顔を思い浮かべながら、ぜひ召し上がってみてください。 3. まとめ フェアトレードとダイレクトトレード、どちらが良いということはありません。「身体に入れるものを自分自身できちんと把握する」という食のアプローチの点においては、どちらも共通する部分があると思います。ご自身が購入する食品選びの基準として、参考になると嬉しいです。最後に、今回のお話はオンラインワークショップ Step 5 産地を知るとより美味しい「カカオの生産地とチョコレート」でも、生産者の取り組みとして詳しく触れています。その他にもチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しておりますので、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。

ワークショップ 2020年9月

ワークショップ 2020年9月

本日より9月のワークショップの受講者募集を開始いたします。8月は夏休みの自由研究として、オンライン・オフライン共に多くのお子様にご参加いただきました!チョコレートやカカオに目をキラキラ輝かせる姿には、私たちチョコレートメーカーもより一層「美味しいチョコレートを作りたい」という想いが強くなりました。さて、これまで開催していたオンラインワークショップのStep1からStep5ですが、9月が最終月となります。7月から始めた5つのクラスですが、この短期間に全ステップ受講いただいた方、またリピーターの方も多く、改めてチョコレートを一緒に味わう楽しさや繋がりを感じることができました。10月からは新たなクラス展開にリニューアルし、お客様同士もよりコミュニケーションがとれる、参加型のワークショップを考えています。オンラインファクトリーツアーも引き続き開催するので、遠方の方もぜひ、私たちのファクトリーに遊びに来てください。オンラインの良さは全国どこにいても集まれること。多くのチョコレートに興味関心がある方々とお会い出来るのを楽しみにしております。 【オンラインワークショップ】カカオやチョコレートについてより深く、そして幅広く学んでいただけるよう5つのクラスをご用意しています。Step1からStep5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからのご参加でも可能です。各クラスとも、受講者のみなさまに事前にお送りする教材・テイスティングキットに加えて、ダンデライオン・チョコレートのバー(1枚)が含まれています。■Step 1 カカオ豆からチョコレートになるまで「Bean to Bar チョコレートのつくりかた」生のカカオ豆から一枚のチョコレートになるまでの製造工程を、工程毎ごとにテイスティングしながら学ぶクラスです。9月2日(水)14:00 - 15:00 9月19日(土)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 2 チョコレートをタイプ別に詳しく解説「進化するチョコレートの世界」ダーク・ミルク・ホワイトチョコレートの定義や新しいチョコレートの種類、トレンド等を解説、テイスティングしながら学ぶクラスです。9月5日(土)11:00 - 12:009月20日(日)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 3 チョコレートの原点を知ろう「奥深いカカオの世界」カカオの種から木が育ち、実がなり、収穫後カカオ豆となるまでのプロセスや品種について、テイスティングを交えて学びます。9月9日(水)14:00 - 15:009月21日(月祝)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 4 旅するチョコレート「知っておきたいおすすめチョコレートガイド」国内外の素晴らしいBean to Bar チョコレートをご紹介、テイスティングを通してその地域やこだわりをお伝えします。9月12日(土)11:00 - 12:009月22日(火祝)11:00...

ワークショップ 2020年9月

本日より9月のワークショップの受講者募集を開始いたします。8月は夏休みの自由研究として、オンライン・オフライン共に多くのお子様にご参加いただきました!チョコレートやカカオに目をキラキラ輝かせる姿には、私たちチョコレートメーカーもより一層「美味しいチョコレートを作りたい」という想いが強くなりました。さて、これまで開催していたオンラインワークショップのStep1からStep5ですが、9月が最終月となります。7月から始めた5つのクラスですが、この短期間に全ステップ受講いただいた方、またリピーターの方も多く、改めてチョコレートを一緒に味わう楽しさや繋がりを感じることができました。10月からは新たなクラス展開にリニューアルし、お客様同士もよりコミュニケーションがとれる、参加型のワークショップを考えています。オンラインファクトリーツアーも引き続き開催するので、遠方の方もぜひ、私たちのファクトリーに遊びに来てください。オンラインの良さは全国どこにいても集まれること。多くのチョコレートに興味関心がある方々とお会い出来るのを楽しみにしております。 【オンラインワークショップ】カカオやチョコレートについてより深く、そして幅広く学んでいただけるよう5つのクラスをご用意しています。Step1からStep5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからのご参加でも可能です。各クラスとも、受講者のみなさまに事前にお送りする教材・テイスティングキットに加えて、ダンデライオン・チョコレートのバー(1枚)が含まれています。■Step 1 カカオ豆からチョコレートになるまで「Bean to Bar チョコレートのつくりかた」生のカカオ豆から一枚のチョコレートになるまでの製造工程を、工程毎ごとにテイスティングしながら学ぶクラスです。9月2日(水)14:00 - 15:00 9月19日(土)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 2 チョコレートをタイプ別に詳しく解説「進化するチョコレートの世界」ダーク・ミルク・ホワイトチョコレートの定義や新しいチョコレートの種類、トレンド等を解説、テイスティングしながら学ぶクラスです。9月5日(土)11:00 - 12:009月20日(日)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 3 チョコレートの原点を知ろう「奥深いカカオの世界」カカオの種から木が育ち、実がなり、収穫後カカオ豆となるまでのプロセスや品種について、テイスティングを交えて学びます。9月9日(水)14:00 - 15:009月21日(月祝)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 4 旅するチョコレート「知っておきたいおすすめチョコレートガイド」国内外の素晴らしいBean to Bar チョコレートをご紹介、テイスティングを通してその地域やこだわりをお伝えします。9月12日(土)11:00 - 12:009月22日(火祝)11:00...

チョコレートの原材料とは?

チョコレートの原材料とは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。さて、早速ですが、皆さんは「チョコレートって何から作られているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?チョコレート好きな方は、パッケージ裏などに表記されている原材料をチェックしてみたことがあるかもしれません。実は一口に「チョコレート」と言っても、中に入っているものは少しずつ違っています。ということで今日は、ワークショップでも触れている「チョコレートの原材料」ついて、ここでも少しお話させていただこうと思います。まずは、一般的に多くの量販店で扱われている市販のチョコレートの原材料を見てみましょう。 名称「チョコレート」。そして原材料名は「カカオマス」や砂糖をはじめ、「ココアパウダー」「ココアバター」など、「カカオ◯◯」や「ココア◯◯」という表記が多数並んでいます。これらは、一体どんなものなのでしょうか? その他、「カカオ」と「ココア」って同じものじゃないの? 近頃よく見かける「カカオ70%」などの「カカオ分」ってなんのこと? など、多くの方が「?」と思いがちな内容について、ここから解説してみたいと思います。 1. チョコレートの主原料:カカオ豆 チョコレートを作るために必要なのは「カカオ豆」。このカカオ豆をローストして細かく砕き、外皮を取り除いたものが「カカオニブ」です。 このカカオニブはすり混ぜると、カカオに含まれる油分が溶け出て液状になります。これを「カカオリカー」と呼びます。 リカーというと「お酒?」と思ってしまいますが、”liquor” は「溶液」という意味もあるので、ここでは「カカオの液体」ということですね。そして、このカカオリカーを固めて固体にしたものが「カカオマス」。カカオマスはお砂糖が全く入っていない、カカオ分100%のチョコレートなのです。 では次に、「ココアバター」と「ココアパウダー」とはどんなものでしょうか?その内容の違いを説明すると、下記のようになります。「ココアバター」は、カカオニブから脂肪分だけを抽出したもの。 「ココアパウダー」は、カカオニブからココアバターを抽出した後に残る固形物(ココアケーキ)をパウダー状にしたもの。 カカオニブは、実に成分の45-50%が脂肪分です。(産地によって多少の差異があります)。このカカオニブから脂肪分を取り除く技術はオランダのバン・ホーテンによって開発されました。その名前は、日本でも「バンホーテン ココア」で知られていますね。そう、あのバンホーテン社の創始者。彼が脂肪分が多く水なじみの悪かったカカオから、水に溶けやすいココアパウダーを発明してくれたおかげで、多くの人がココアを楽しめるようになったのです。以上、ここまでは「カカオマス」「ココアパウダー」「ココアバター」など、「カカオ豆」に由来するチョコレートの主原料を紹介してきました。これらの原料はチョコレートのフレーバーや食感に深く関係します。チョコレートメーカーは表現したい味わいや食感に加え、効率や安定などの作業性を考慮しながら、それぞれのバランスを丹念に調整し、チョコレートを作っています。 2. チョコレートの副原料 チョコレートを作るために必要なものは、カカオ豆だけではありません。ここからは代表的な副原料をご紹介していきます。①砂糖 カカオだけでは苦いので、甘みをつけるために使用します。ダンデライオン・チョコレートではオーガニックきび砂糖を使用していますが、その他にココナッツシュガーや、アガベシロップ(アガべという植物由来の天然甘味料)などを使用しているメーカーもあります。余談ですが、以前グラニュー糖、三温糖、きび砂糖でチョコレートを作り、食べ比べをしたところ、全く味わいの異なるチョコレートになりました。使用するお砂糖も、チョコレートのフレーバーに大きな影響を与えるのです。②ミルクパウダー ミルクチョコレートやホワイトチョコレートを作るときに使用するのがミルクパウダー。ポイントは牛乳などの「液体」ではなく「粉体」を使用することです。カカオ豆は脂肪分が多く水分とは混ざりにくいため、必ず粉状のものを使用します。作りたい味わいによって脱脂粉乳や全粉乳を使い分けます。③バニラ 主に香り付けに使用するバニラ。チョコレートの歴史の中でも、飲み物として利用されていた時代に加えられていた名残とも言われていますが、香りが強いため、少量でも安定的な甘い香りやフレーバーを担保することが出来ます。本物のバニラはとても高額のため、現在は天然香料や合成香料を使用している場合が多くなっています。④レシチン レシチンは食品添加物のうち、「乳化剤」と呼ばれるものです。乳化剤には、製造時の作業性や製品の安定性をあげてくれる効果があります。特にテンパリングの作業においてチョコレートの粘性に大きな影響をもたらし、0.1%程度添加するだけでもチョコレートが粘性が下がり(なめらかになる)、温度調整や型入れが容易になります。レシチンの主な原材料は大豆や卵、菜種、ヒマワリなどになります。これらが、チョコレートの代表的な副材料です。どれも、チョコレートの味やフレーバー、食感をよくするために重要な役割を担っていることが、分かっていただけたのではないでしょうか?ちなみに、ダンデライオン・チョコレートでは、カカオ豆本来の純粋なフレーバーを引き出すため、オーガニックきび砂糖以外の副原料は一切使用していません。 3. 「カカオ分」って何? さて、ここまでチョコレートに使用する原材料を説明してきましたが、最近よく目にするカカオ「70%」や「85%」は何を指しているのでしょうか?これは、チョコレートの製品中に含まれる「カカオ原材料の割合」を指します。つまり、1.で紹介したカカオニブ、カカオリカー、カカオマス、ココアバター、ココアパウダーの使用割合の合算値、ということですね。ダンデライオン・チョコレートの場合、原材料は「カカオ豆」と「きび砂糖」のみのため、カカオ分70%のチョコレートは「カカオ豆が70%、残りの30%が砂糖」ということになります。シンプルなので、とても分かりやすいですね。 ただ、例えば原材料が「カカオニブ40%、ココアバター30%、砂糖30%」でも、カカオ分としては同じ70%(カカオニブ40%+ココアバター30%)と表記になるということを覚えておきましょう。この場合は、脂肪分であるココアバターが添加されている分、食感がなめらかであったり、少し油分を感じたりするはず。しかし、原材料表示を見ても何が何%入っているかまでは分からないので、それを予想することは難しいのです。ということで、「○○%」というカカオ分の表記は、大まかな意味での「カカオ原材料の割合」。お好みの食感やフレーバーを見つけるための「参考値」と考えるのがよいかもしれません。 4. 「カカオ」と「ココア」の違い 次に、「カカオ」と「ココア」の表現の違いについてご紹介します。実は、ここに決まった定義はありません。しかしながら、「カカオ」は、植物としての学名「Theobroma Cacao Linnaeus」に由来するため、基本的に「カカオ」と表現するものは「植物の状態(加工される前の状態)」のもの。加工を施したものは「ココア」と表現される、という説があります。これに沿うならば、植物としては、カカオの木(カカオツリー)、カカオの実(カカオポッド)。カカオの実を収穫して発酵、乾燥し加工を施した後のものは、本来ならば「ココア豆」、「ココアニブ」となるようです。英語では”cocoa beans”...

チョコレートの原材料とは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。さて、早速ですが、皆さんは「チョコレートって何から作られているんだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?チョコレート好きな方は、パッケージ裏などに表記されている原材料をチェックしてみたことがあるかもしれません。実は一口に「チョコレート」と言っても、中に入っているものは少しずつ違っています。ということで今日は、ワークショップでも触れている「チョコレートの原材料」ついて、ここでも少しお話させていただこうと思います。まずは、一般的に多くの量販店で扱われている市販のチョコレートの原材料を見てみましょう。 名称「チョコレート」。そして原材料名は「カカオマス」や砂糖をはじめ、「ココアパウダー」「ココアバター」など、「カカオ◯◯」や「ココア◯◯」という表記が多数並んでいます。これらは、一体どんなものなのでしょうか? その他、「カカオ」と「ココア」って同じものじゃないの? 近頃よく見かける「カカオ70%」などの「カカオ分」ってなんのこと? など、多くの方が「?」と思いがちな内容について、ここから解説してみたいと思います。 1. チョコレートの主原料:カカオ豆 チョコレートを作るために必要なのは「カカオ豆」。このカカオ豆をローストして細かく砕き、外皮を取り除いたものが「カカオニブ」です。 このカカオニブはすり混ぜると、カカオに含まれる油分が溶け出て液状になります。これを「カカオリカー」と呼びます。 リカーというと「お酒?」と思ってしまいますが、”liquor” は「溶液」という意味もあるので、ここでは「カカオの液体」ということですね。そして、このカカオリカーを固めて固体にしたものが「カカオマス」。カカオマスはお砂糖が全く入っていない、カカオ分100%のチョコレートなのです。 では次に、「ココアバター」と「ココアパウダー」とはどんなものでしょうか?その内容の違いを説明すると、下記のようになります。「ココアバター」は、カカオニブから脂肪分だけを抽出したもの。 「ココアパウダー」は、カカオニブからココアバターを抽出した後に残る固形物(ココアケーキ)をパウダー状にしたもの。 カカオニブは、実に成分の45-50%が脂肪分です。(産地によって多少の差異があります)。このカカオニブから脂肪分を取り除く技術はオランダのバン・ホーテンによって開発されました。その名前は、日本でも「バンホーテン ココア」で知られていますね。そう、あのバンホーテン社の創始者。彼が脂肪分が多く水なじみの悪かったカカオから、水に溶けやすいココアパウダーを発明してくれたおかげで、多くの人がココアを楽しめるようになったのです。以上、ここまでは「カカオマス」「ココアパウダー」「ココアバター」など、「カカオ豆」に由来するチョコレートの主原料を紹介してきました。これらの原料はチョコレートのフレーバーや食感に深く関係します。チョコレートメーカーは表現したい味わいや食感に加え、効率や安定などの作業性を考慮しながら、それぞれのバランスを丹念に調整し、チョコレートを作っています。 2. チョコレートの副原料 チョコレートを作るために必要なものは、カカオ豆だけではありません。ここからは代表的な副原料をご紹介していきます。①砂糖 カカオだけでは苦いので、甘みをつけるために使用します。ダンデライオン・チョコレートではオーガニックきび砂糖を使用していますが、その他にココナッツシュガーや、アガベシロップ(アガべという植物由来の天然甘味料)などを使用しているメーカーもあります。余談ですが、以前グラニュー糖、三温糖、きび砂糖でチョコレートを作り、食べ比べをしたところ、全く味わいの異なるチョコレートになりました。使用するお砂糖も、チョコレートのフレーバーに大きな影響を与えるのです。②ミルクパウダー ミルクチョコレートやホワイトチョコレートを作るときに使用するのがミルクパウダー。ポイントは牛乳などの「液体」ではなく「粉体」を使用することです。カカオ豆は脂肪分が多く水分とは混ざりにくいため、必ず粉状のものを使用します。作りたい味わいによって脱脂粉乳や全粉乳を使い分けます。③バニラ 主に香り付けに使用するバニラ。チョコレートの歴史の中でも、飲み物として利用されていた時代に加えられていた名残とも言われていますが、香りが強いため、少量でも安定的な甘い香りやフレーバーを担保することが出来ます。本物のバニラはとても高額のため、現在は天然香料や合成香料を使用している場合が多くなっています。④レシチン レシチンは食品添加物のうち、「乳化剤」と呼ばれるものです。乳化剤には、製造時の作業性や製品の安定性をあげてくれる効果があります。特にテンパリングの作業においてチョコレートの粘性に大きな影響をもたらし、0.1%程度添加するだけでもチョコレートが粘性が下がり(なめらかになる)、温度調整や型入れが容易になります。レシチンの主な原材料は大豆や卵、菜種、ヒマワリなどになります。これらが、チョコレートの代表的な副材料です。どれも、チョコレートの味やフレーバー、食感をよくするために重要な役割を担っていることが、分かっていただけたのではないでしょうか?ちなみに、ダンデライオン・チョコレートでは、カカオ豆本来の純粋なフレーバーを引き出すため、オーガニックきび砂糖以外の副原料は一切使用していません。 3. 「カカオ分」って何? さて、ここまでチョコレートに使用する原材料を説明してきましたが、最近よく目にするカカオ「70%」や「85%」は何を指しているのでしょうか?これは、チョコレートの製品中に含まれる「カカオ原材料の割合」を指します。つまり、1.で紹介したカカオニブ、カカオリカー、カカオマス、ココアバター、ココアパウダーの使用割合の合算値、ということですね。ダンデライオン・チョコレートの場合、原材料は「カカオ豆」と「きび砂糖」のみのため、カカオ分70%のチョコレートは「カカオ豆が70%、残りの30%が砂糖」ということになります。シンプルなので、とても分かりやすいですね。 ただ、例えば原材料が「カカオニブ40%、ココアバター30%、砂糖30%」でも、カカオ分としては同じ70%(カカオニブ40%+ココアバター30%)と表記になるということを覚えておきましょう。この場合は、脂肪分であるココアバターが添加されている分、食感がなめらかであったり、少し油分を感じたりするはず。しかし、原材料表示を見ても何が何%入っているかまでは分からないので、それを予想することは難しいのです。ということで、「○○%」というカカオ分の表記は、大まかな意味での「カカオ原材料の割合」。お好みの食感やフレーバーを見つけるための「参考値」と考えるのがよいかもしれません。 4. 「カカオ」と「ココア」の違い 次に、「カカオ」と「ココア」の表現の違いについてご紹介します。実は、ここに決まった定義はありません。しかしながら、「カカオ」は、植物としての学名「Theobroma Cacao Linnaeus」に由来するため、基本的に「カカオ」と表現するものは「植物の状態(加工される前の状態)」のもの。加工を施したものは「ココア」と表現される、という説があります。これに沿うならば、植物としては、カカオの木(カカオツリー)、カカオの実(カカオポッド)。カカオの実を収穫して発酵、乾燥し加工を施した後のものは、本来ならば「ココア豆」、「ココアニブ」となるようです。英語では”cocoa beans”...

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

ダンデライオン・チョコレートでは、8月17日(月)より全店舗ならびにオンラインストアにおいて、紙袋の有料化を開始することになりました。現在、大・中・小の3サイズにてご用意している紙袋は一律22円(税込)、保冷バッグセットは55円(税込)、保冷剤単品は11円(税込)にてご提供を開始する予定です。これらの紙袋類は、お手土産用などに必要な方のためにご用意するオプションとなります。従いまして、今後当店でのお買い物の際にはできる限りマイバッグをご持参頂きますよう、ご協力のほどお願い申し上げます。 時勢とはいえ、ギフト需要も高い商品を数多く取り扱うなかで、紙袋の有料化に踏み切るまでには少なからず躊躇もありました。とくに、お客さまに快適なショッピング体験をしていただくことが何よりも大事である接客スタッフにとっては、これからお買い上げ頂くたびに事情を説明しなければならないことを心苦しく感じることもあるでしょう。それでも、ダンデライオン・チョコレートを応援してくださる皆さまのなかには以前から、マイバッグをご持参くださる方や、意識的に紙袋のご利用をご遠慮くださる方も多く、そうした方々の姿勢から勇気を頂き、この飽和の時代に”ものづくり”に携わるものとして、遅れ馳せながら地球環境への配慮を改めて行動に移すことにいたしました。 皆さんは、「エコロジカル・フットプリント」という言葉をご存知でしょうか? これは人間の生活が地球や環境に与えている「負荷」を知る指標のことで、ある国の人間一人が、その生活をこれからも続けていくためには、どれくらいの量の資源とそれを生産する土地面積が必要かということを計算して、数字で表したものです。この指標は次の4項目から成り立ちます。1)化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積2)道路、建築物等に使われる土地面積3)食糧の生産に必要な土地面積4)紙、木材等の生産に必要な土地面積昨年の夏、サンフランシスコ郊外にある国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」 は、人間による消費資源の消費量が、地球が一年間に再生できる量を超えたと発表しました。また、彼らが算出した「エコロジカル・フットプリント」によれば、もし世界中の人間が、現在の日本人と同じ消費水準で暮らした場合、実に2.8個分の地球面積が必要だというのです。これは世界でも5番目の消費量です。もう少しわかりやすく日本の国土で置き換えてみると、本来であれば日本列島が7.7個分なければ日本人の消費生活は支えられない。そしてこの結果は、国別に見ると世界で断トツの第1位(2位はイタリアで国土4.7個分)なのです。これはかなり不名誉な結果ですよね。もともと資源が少ない日本ですから、他国の資源に頼らざるを得ないことは事実です。また、この指標は貿易自体を否定するものでもありません。各国からカカオ豆を輸入しなければ、チョコレートも作れないのですから。とはいえ、資源が少ないなりに、無駄な浪費をせず、再利用できるものは使い、利便性だけを追求しない節度ある生活を送ることは、もはや地球上すべての人に求められる急務と言えるでしょう。 ダンデライオン・チョコレートにとって、紙袋の有料化はあくまでも小さな一歩。今後の取り組みとしてやるべきこと、やりたいことが、まだまだ山のようにあります。すでに身近なところでは、フードロスを減らすための取り組みとして、廃棄処分となるはずのカカオ豆から培養した天然酵母でパンを焼いたり、クリームの香りづけに使用した”出涸らし”のカカオニブをクッキーに再利用したりといった日々の工夫を重ねています。また、昨年より販売開始した「伊勢木綿 手ぬぐいトート」は、マイバッグとしても多くの方にご愛用頂いています。このトートバッグの生地には、その名の通り、三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地を使っています。室町時代より、伊勢地方は最高級の木綿の産地として知られ、江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用されてきました。しかし戦後、安価な化学繊維の発展の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では作り手が臼井織布さん一社のみとなってしまいました。国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械と伝統の製法によって紡がれる伊勢木綿はしわになりにくく、丈夫で長持ち。洗えば洗うほど風合いが出ます。また、木綿は乾きやすく雑菌がたまりにくいという衛生的な利点もあります。優れたものを長く大切に使い続けるという古来の日本にあったはずのゆるやかな消費生活を取り戻すこと。それが、日本人として地球のためにまず行える「協力」であると考えます。そして、そのためにダンデライオン・チョコレートが踏み出す今回のささやかな一歩を、どうか暖かく見守っていただけましたら幸いです。 関連商品 伊勢木綿 手ぬぐいトート¥1,760 (税込)三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地に、京都ブランド「SOU・SOU」のテキスタイルデザイナーをつとめる脇阪克二氏によるたんぽぽの手書き柄をあしらったトートバッグです。丁寧に織り上げられた伊勢木綿は、手触り柔らかで大切なものを優しく包み込みます。取っ手部分には、伸びにくく丈夫な織物の紐「真田紐」を使用。普段使いに限らず、ちょっとしたお出かけにも最適です。 伊勢木綿 小巾折/ダンデライオン・チョコレート¥1,980 (税込)京都のブランド「SOU・SOU」とのコラボレーションから生まれた小巾折の袋物です。生地は三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」を使用し、ダンデライオンのチョコレートバーのパッケージデザインにも使用されているオリジナルの模様がパッチワークされています。お弁当入れやエコバックとして、様々なシーンで活躍します。

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

ダンデライオン・チョコレートでは、8月17日(月)より全店舗ならびにオンラインストアにおいて、紙袋の有料化を開始することになりました。現在、大・中・小の3サイズにてご用意している紙袋は一律22円(税込)、保冷バッグセットは55円(税込)、保冷剤単品は11円(税込)にてご提供を開始する予定です。これらの紙袋類は、お手土産用などに必要な方のためにご用意するオプションとなります。従いまして、今後当店でのお買い物の際にはできる限りマイバッグをご持参頂きますよう、ご協力のほどお願い申し上げます。 時勢とはいえ、ギフト需要も高い商品を数多く取り扱うなかで、紙袋の有料化に踏み切るまでには少なからず躊躇もありました。とくに、お客さまに快適なショッピング体験をしていただくことが何よりも大事である接客スタッフにとっては、これからお買い上げ頂くたびに事情を説明しなければならないことを心苦しく感じることもあるでしょう。それでも、ダンデライオン・チョコレートを応援してくださる皆さまのなかには以前から、マイバッグをご持参くださる方や、意識的に紙袋のご利用をご遠慮くださる方も多く、そうした方々の姿勢から勇気を頂き、この飽和の時代に”ものづくり”に携わるものとして、遅れ馳せながら地球環境への配慮を改めて行動に移すことにいたしました。 皆さんは、「エコロジカル・フットプリント」という言葉をご存知でしょうか? これは人間の生活が地球や環境に与えている「負荷」を知る指標のことで、ある国の人間一人が、その生活をこれからも続けていくためには、どれくらいの量の資源とそれを生産する土地面積が必要かということを計算して、数字で表したものです。この指標は次の4項目から成り立ちます。1)化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積2)道路、建築物等に使われる土地面積3)食糧の生産に必要な土地面積4)紙、木材等の生産に必要な土地面積昨年の夏、サンフランシスコ郊外にある国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」 は、人間による消費資源の消費量が、地球が一年間に再生できる量を超えたと発表しました。また、彼らが算出した「エコロジカル・フットプリント」によれば、もし世界中の人間が、現在の日本人と同じ消費水準で暮らした場合、実に2.8個分の地球面積が必要だというのです。これは世界でも5番目の消費量です。もう少しわかりやすく日本の国土で置き換えてみると、本来であれば日本列島が7.7個分なければ日本人の消費生活は支えられない。そしてこの結果は、国別に見ると世界で断トツの第1位(2位はイタリアで国土4.7個分)なのです。これはかなり不名誉な結果ですよね。もともと資源が少ない日本ですから、他国の資源に頼らざるを得ないことは事実です。また、この指標は貿易自体を否定するものでもありません。各国からカカオ豆を輸入しなければ、チョコレートも作れないのですから。とはいえ、資源が少ないなりに、無駄な浪費をせず、再利用できるものは使い、利便性だけを追求しない節度ある生活を送ることは、もはや地球上すべての人に求められる急務と言えるでしょう。 ダンデライオン・チョコレートにとって、紙袋の有料化はあくまでも小さな一歩。今後の取り組みとしてやるべきこと、やりたいことが、まだまだ山のようにあります。すでに身近なところでは、フードロスを減らすための取り組みとして、廃棄処分となるはずのカカオ豆から培養した天然酵母でパンを焼いたり、クリームの香りづけに使用した”出涸らし”のカカオニブをクッキーに再利用したりといった日々の工夫を重ねています。また、昨年より販売開始した「伊勢木綿 手ぬぐいトート」は、マイバッグとしても多くの方にご愛用頂いています。このトートバッグの生地には、その名の通り、三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地を使っています。室町時代より、伊勢地方は最高級の木綿の産地として知られ、江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用されてきました。しかし戦後、安価な化学繊維の発展の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では作り手が臼井織布さん一社のみとなってしまいました。国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械と伝統の製法によって紡がれる伊勢木綿はしわになりにくく、丈夫で長持ち。洗えば洗うほど風合いが出ます。また、木綿は乾きやすく雑菌がたまりにくいという衛生的な利点もあります。優れたものを長く大切に使い続けるという古来の日本にあったはずのゆるやかな消費生活を取り戻すこと。それが、日本人として地球のためにまず行える「協力」であると考えます。そして、そのためにダンデライオン・チョコレートが踏み出す今回のささやかな一歩を、どうか暖かく見守っていただけましたら幸いです。 関連商品 伊勢木綿 手ぬぐいトート¥1,760 (税込)三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地に、京都ブランド「SOU・SOU」のテキスタイルデザイナーをつとめる脇阪克二氏によるたんぽぽの手書き柄をあしらったトートバッグです。丁寧に織り上げられた伊勢木綿は、手触り柔らかで大切なものを優しく包み込みます。取っ手部分には、伸びにくく丈夫な織物の紐「真田紐」を使用。普段使いに限らず、ちょっとしたお出かけにも最適です。 伊勢木綿 小巾折/ダンデライオン・チョコレート¥1,980 (税込)京都のブランド「SOU・SOU」とのコラボレーションから生まれた小巾折の袋物です。生地は三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」を使用し、ダンデライオンのチョコレートバーのパッケージデザインにも使用されているオリジナルの模様がパッチワークされています。お弁当入れやエコバックとして、様々なシーンで活躍します。

ワークショップ 2020年8月

ワークショップ 2020年8月

本日より8月のワークショップの受講者募集を開始いたします。 8月はいよいよ4ヶ月ぶりに、ファクトリー&カフェ蔵前でのワークショップが復活します。夏休み限定イベントを含め、ファクトリー&カフェ蔵前での新たなチョコレート体験をお楽しみください。また、これまで休止していたファクトリーツアーについても、オンライン限定での開催が決定しました。遠方の方でも、私たちのファクトリーが実際に稼働している様子をご覧いただけます。 さらに、人気のオンラインワークショップは、より多くのお客様に受講いただけるように1,000円オフのキャンペーン価格にてご参加いただけます。盛りだくさんの8月のワークショップをお見逃しなく! 【オンラインワークショップ】カカオやチョコレートについてより深く、そして幅広く学んでいただけるよう5つのクラスをご用意しています。Step1からStep5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからのご参加でも可能です。各クラスとも、受講者のみなさまに事前にお送りする教材・テイスティングキットに加えて、ダンデライオン・チョコレートのバー(1枚)が含まれています。■Step 1 カカオ豆からチョコレートになるまで「Bean to Bar チョコレートのつくりかた」生のカカオ豆から一枚のチョコレートになるまでの製造工程を、工程毎ごとにテイスティングしながら学ぶクラスです。8月2日(日)11:00 - 12:00 8月13日(木)14:00 - 15:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 2 チョコレートをタイプ別に詳しく解説「進化するチョコレートの世界」ダーク・ミルク・ホワイトチョコレートの定義や新しいチョコレートの種類、トレンド等を解説、テイスティングしながら学ぶクラスです。8月5日(水)14:00 - 15:008月15日(土)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 3 チョコレートの原点を知ろう「奥深いカカオの世界」カカオの種から木が育ち、実がなり、収穫後カカオ豆となるまでのプロセスや品種について、テイスティングを交えて学びます。8月8日(土)11:00 - 12:008月19日(水)14:00 - 15:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 4 旅するチョコレート「知っておきたいおすすめチョコレートガイド」国内外の素晴らしいBean to Bar...

ワークショップ 2020年8月

本日より8月のワークショップの受講者募集を開始いたします。 8月はいよいよ4ヶ月ぶりに、ファクトリー&カフェ蔵前でのワークショップが復活します。夏休み限定イベントを含め、ファクトリー&カフェ蔵前での新たなチョコレート体験をお楽しみください。また、これまで休止していたファクトリーツアーについても、オンライン限定での開催が決定しました。遠方の方でも、私たちのファクトリーが実際に稼働している様子をご覧いただけます。 さらに、人気のオンラインワークショップは、より多くのお客様に受講いただけるように1,000円オフのキャンペーン価格にてご参加いただけます。盛りだくさんの8月のワークショップをお見逃しなく! 【オンラインワークショップ】カカオやチョコレートについてより深く、そして幅広く学んでいただけるよう5つのクラスをご用意しています。Step1からStep5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからのご参加でも可能です。各クラスとも、受講者のみなさまに事前にお送りする教材・テイスティングキットに加えて、ダンデライオン・チョコレートのバー(1枚)が含まれています。■Step 1 カカオ豆からチョコレートになるまで「Bean to Bar チョコレートのつくりかた」生のカカオ豆から一枚のチョコレートになるまでの製造工程を、工程毎ごとにテイスティングしながら学ぶクラスです。8月2日(日)11:00 - 12:00 8月13日(木)14:00 - 15:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 2 チョコレートをタイプ別に詳しく解説「進化するチョコレートの世界」ダーク・ミルク・ホワイトチョコレートの定義や新しいチョコレートの種類、トレンド等を解説、テイスティングしながら学ぶクラスです。8月5日(水)14:00 - 15:008月15日(土)11:00 - 12:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 3 チョコレートの原点を知ろう「奥深いカカオの世界」カカオの種から木が育ち、実がなり、収穫後カカオ豆となるまでのプロセスや品種について、テイスティングを交えて学びます。8月8日(土)11:00 - 12:008月19日(水)14:00 - 15:00参加費:4,000円(税別)※教材費・チョコレートバー・送料込■Step 4 旅するチョコレート「知っておきたいおすすめチョコレートガイド」国内外の素晴らしいBean to Bar...

カカオの品種とチョコレートの ”ちょっと複雑な関係” とは?

カカオの品種とチョコレートの ”ちょっと複雑な関係” とは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインクラスの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインクラスでも詳しく触れている、カカオの品種と、品種がチョコレートのフレーバーに与える影響についてお話しします。どんな食材でもそうですが、「品種」はその食材の価値を測る一つの指標になります。その分野に精通していなくても、例えば「日本3大ブランド米といえば、新潟のコシヒカリ、宮城のササニシキ、秋田のあきたこまち」、というような知識はあるものですよね。カカオも同様に、様々な品種があり、価値を測る一つの指標として示されています。 1. カカオの品種を知る 現在、カカオの主な品種はこちらの3系統に分類されています。 「クリオロ種」はフレーバーが豊かですが、病害虫に弱いため栽培しにくく、生産量は全体の約3-5%という希少種。世界でも生産量の極めて少ない「ホワイトカカオ」はこのクリオロの一種なのですが、とても貴重で幻のカカオとも評されています。対して「フォラステロ種」は、フレーバーは可もなく不可もなくというところですが、病害虫に強いため栽培しやすく、生産量は全体の約80%。主に大量生産のチョコレートに使用されると言われています。「トリニタリオ種」は上記2種の”いいとこ取り”をして掛け合わせたハイブリッド品種で、生産量は全体の約15~20%。トリニダード・トバゴで生まれたことからこの名前が付きました。上記のとおり、「クリオロ種=希少で良いカカオ」「フォラステロ種=安価なマスマーケット向け品種」という”レッテル”に近いものを貼られていますが、これはICCO (International Cocoa Organization)が「(品質の)良いカカオは、クリオロまたはトリニタリオの木からできたカカオである」という定義付けをしたことも影響しています。しかしその一方で、現在は遺伝学研究が進み、「実はカカオは10種に細分化出来るのでは・・・」という説も出てきました。これは2008年にUSDA(米国農務省)のJuan Carlos MotamayorとMars(米国の大手食品企業)の研究員によるグループが発表した考え。それによると、1,241種類の異なる地理的起源のサンプルを採取した結果、カカオは10種類のグループに分けられるというのです。(参考:https://www.nature.com/articles/s42003-018-0168-6)このように、カカオの品種については、まだまだこれから新しい研究結果が出てくる可能性が十分にあります。となると、まだ品種が完全に特定されない時点で、品種による価値は評価出来ないのでは? とも言えそうですね。 2. 品種はチョコレートのフレーバーにどのくらい影響するのか 私は、品種は最終的な商品(=チョコレート)に、そこまで大きなインパクトを与えるとは考えていません。もちろん全くゼロではありませんが、私がこのような意見を持つのには、大きく3つの理由があります。まず1つ目の理由は、「カカオの受粉方法」にあります。 カカオは、主に他家受粉(1つの植物の花粉が、異なる植物と受粉すること)をする植物です。多くの木が他の植物との受粉をし、ハーフやクオーターになっていきます。つまり、クリオロ種を植えたつもりでも、受粉を繰り返すことで「純粋なクリオロ」ではなくなっていくのです。もちろん単一品種を囲って生育することは可能です。しかし、そもそも他家受粉は遺伝的多様性、その植物が長く生き延びるための方法の一つなので、単一品種のみで生育するカカオは育てるのが難しいとされています(そのため希少とも言われます)。 2つ目の理由は「カカオの種の特性」にあります。チョコレートはカカオの種を使って作るのですが、実は、同じ品種のカカオの実から、全て同じ種が出てくるとは限らないのです。 通常、カカオを割ると中に20〜30個程の種が入っていますが(種の数はカカオの大きさにより異なります)、同じ親から生まれた兄弟でも顔や髪の色が異なるのと同様に、種たちも様々な形状をしています。例えば「クリオロ」と言われる品種の中でも種を割ってみると黄みがかったもの、うっすら紫のもの、真っ白なもの(これがホワイトカカオ)があります。私は幼少期シンガポールで育ったのですが、シンガポールは多民族国家で、中国人とマレーシア人のハーフ、中華系シンガポール人、マレー系中国人等ごちゃ混ぜで、純粋な「シンガポール人」にはあまり会いませんでした。それでも”I’m from Singapore”といえばシンガポール出身となるわけで、私はカカオもそんな捉え方でいいのかなと思います。「カカオの世界は多民族国家なんだ」と考えると、少し想像しやすくなりますよね。 さて最後に、私が「品種は最終的な商品であるチョコレートにそこまで大きなインパクトを与えるとは考えていない」最大の理由は、カカオは収穫後に「発酵・乾燥」するからです。 <発酵> <乾燥> カカオは収穫後、実と種を取り除いて1週間程度発酵箱に入れて発酵したのち、乾燥させて出荷されます。生産地によって様々ではありますが、多くの場合、カカオの栽培・収穫まではカカオ農家が、その後の発酵・乾燥・出荷は別の場所(多くは社会団体が作った発酵乾燥施設)で行います。この発酵乾燥施設では、周辺のいくつかの農園からカカオが集められ、同じ発酵箱に入ることも。つまり、この時点で品種がミックスする可能性があるのです。発酵には様々な手法があり、その時の気候や使用する機材によってもフレーバーが変わります。そしてこれが、最終的な「カカオの味わい」を決める一番のポイントになります。つまり、元々のカカオの品種によるポテンシャルに違いはあれど、良いとされる品種でも発酵を失敗してしまったら元も子もなく、一方で、さほど良い品種でなくても発酵が段違いに素晴らしければ、とても美味しいカカオ豆になるかもしれない、というわけなのです。 3. まとめ チョコレートメーカーならではの視点にはなりますが、フォラステロ種(安価なマスマーケット品種と言われる種)でも発酵工程によっては美味しいチョコレートを作ることができます。しかし、発酵がうまく行っていないカカオからは、それがどんなに良い品種であっても、美味しいチョコレートを作ることは、非常に困難です。それくらい、カカオの品質において発酵工程は重要。もちろん品種に特化するストーリーや意義はあると思います。しかしながら、そこから作られる「チョコレートの美味しさ」は、一概に「品種あってのこと」ではないのです。ちなみにダンデライオン・チョコレートでは、上記の理由から、品種を打ち出してはいませんが、農園を訪問し、農家や発酵施設の方々と直接お話しすることで、使用する豆を選んでいます。品種は一つの価値観である。カカオにおいては、そう捉えていただけると良いのかもしれません。 最後に、カカオやチョコレートについてもっと詳しく知りたいとご希望の方に、幅広くそして楽しく学んでいただけるよう、ダンデライオン・チョコレートでは、5つのオンラインクラスをご用意しております。Step1〜Step5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからでもご参加頂けます。ご興味のある方はぜひ! Step 1:カカオ豆からチョコレートになるまで  「Bean to...

カカオの品種とチョコレートの ”ちょっと複雑な関係” とは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインクラスの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインクラスでも詳しく触れている、カカオの品種と、品種がチョコレートのフレーバーに与える影響についてお話しします。どんな食材でもそうですが、「品種」はその食材の価値を測る一つの指標になります。その分野に精通していなくても、例えば「日本3大ブランド米といえば、新潟のコシヒカリ、宮城のササニシキ、秋田のあきたこまち」、というような知識はあるものですよね。カカオも同様に、様々な品種があり、価値を測る一つの指標として示されています。 1. カカオの品種を知る 現在、カカオの主な品種はこちらの3系統に分類されています。 「クリオロ種」はフレーバーが豊かですが、病害虫に弱いため栽培しにくく、生産量は全体の約3-5%という希少種。世界でも生産量の極めて少ない「ホワイトカカオ」はこのクリオロの一種なのですが、とても貴重で幻のカカオとも評されています。対して「フォラステロ種」は、フレーバーは可もなく不可もなくというところですが、病害虫に強いため栽培しやすく、生産量は全体の約80%。主に大量生産のチョコレートに使用されると言われています。「トリニタリオ種」は上記2種の”いいとこ取り”をして掛け合わせたハイブリッド品種で、生産量は全体の約15~20%。トリニダード・トバゴで生まれたことからこの名前が付きました。上記のとおり、「クリオロ種=希少で良いカカオ」「フォラステロ種=安価なマスマーケット向け品種」という”レッテル”に近いものを貼られていますが、これはICCO (International Cocoa Organization)が「(品質の)良いカカオは、クリオロまたはトリニタリオの木からできたカカオである」という定義付けをしたことも影響しています。しかしその一方で、現在は遺伝学研究が進み、「実はカカオは10種に細分化出来るのでは・・・」という説も出てきました。これは2008年にUSDA(米国農務省)のJuan Carlos MotamayorとMars(米国の大手食品企業)の研究員によるグループが発表した考え。それによると、1,241種類の異なる地理的起源のサンプルを採取した結果、カカオは10種類のグループに分けられるというのです。(参考:https://www.nature.com/articles/s42003-018-0168-6)このように、カカオの品種については、まだまだこれから新しい研究結果が出てくる可能性が十分にあります。となると、まだ品種が完全に特定されない時点で、品種による価値は評価出来ないのでは? とも言えそうですね。 2. 品種はチョコレートのフレーバーにどのくらい影響するのか 私は、品種は最終的な商品(=チョコレート)に、そこまで大きなインパクトを与えるとは考えていません。もちろん全くゼロではありませんが、私がこのような意見を持つのには、大きく3つの理由があります。まず1つ目の理由は、「カカオの受粉方法」にあります。 カカオは、主に他家受粉(1つの植物の花粉が、異なる植物と受粉すること)をする植物です。多くの木が他の植物との受粉をし、ハーフやクオーターになっていきます。つまり、クリオロ種を植えたつもりでも、受粉を繰り返すことで「純粋なクリオロ」ではなくなっていくのです。もちろん単一品種を囲って生育することは可能です。しかし、そもそも他家受粉は遺伝的多様性、その植物が長く生き延びるための方法の一つなので、単一品種のみで生育するカカオは育てるのが難しいとされています(そのため希少とも言われます)。 2つ目の理由は「カカオの種の特性」にあります。チョコレートはカカオの種を使って作るのですが、実は、同じ品種のカカオの実から、全て同じ種が出てくるとは限らないのです。 通常、カカオを割ると中に20〜30個程の種が入っていますが(種の数はカカオの大きさにより異なります)、同じ親から生まれた兄弟でも顔や髪の色が異なるのと同様に、種たちも様々な形状をしています。例えば「クリオロ」と言われる品種の中でも種を割ってみると黄みがかったもの、うっすら紫のもの、真っ白なもの(これがホワイトカカオ)があります。私は幼少期シンガポールで育ったのですが、シンガポールは多民族国家で、中国人とマレーシア人のハーフ、中華系シンガポール人、マレー系中国人等ごちゃ混ぜで、純粋な「シンガポール人」にはあまり会いませんでした。それでも”I’m from Singapore”といえばシンガポール出身となるわけで、私はカカオもそんな捉え方でいいのかなと思います。「カカオの世界は多民族国家なんだ」と考えると、少し想像しやすくなりますよね。 さて最後に、私が「品種は最終的な商品であるチョコレートにそこまで大きなインパクトを与えるとは考えていない」最大の理由は、カカオは収穫後に「発酵・乾燥」するからです。 <発酵> <乾燥> カカオは収穫後、実と種を取り除いて1週間程度発酵箱に入れて発酵したのち、乾燥させて出荷されます。生産地によって様々ではありますが、多くの場合、カカオの栽培・収穫まではカカオ農家が、その後の発酵・乾燥・出荷は別の場所(多くは社会団体が作った発酵乾燥施設)で行います。この発酵乾燥施設では、周辺のいくつかの農園からカカオが集められ、同じ発酵箱に入ることも。つまり、この時点で品種がミックスする可能性があるのです。発酵には様々な手法があり、その時の気候や使用する機材によってもフレーバーが変わります。そしてこれが、最終的な「カカオの味わい」を決める一番のポイントになります。つまり、元々のカカオの品種によるポテンシャルに違いはあれど、良いとされる品種でも発酵を失敗してしまったら元も子もなく、一方で、さほど良い品種でなくても発酵が段違いに素晴らしければ、とても美味しいカカオ豆になるかもしれない、というわけなのです。 3. まとめ チョコレートメーカーならではの視点にはなりますが、フォラステロ種(安価なマスマーケット品種と言われる種)でも発酵工程によっては美味しいチョコレートを作ることができます。しかし、発酵がうまく行っていないカカオからは、それがどんなに良い品種であっても、美味しいチョコレートを作ることは、非常に困難です。それくらい、カカオの品質において発酵工程は重要。もちろん品種に特化するストーリーや意義はあると思います。しかしながら、そこから作られる「チョコレートの美味しさ」は、一概に「品種あってのこと」ではないのです。ちなみにダンデライオン・チョコレートでは、上記の理由から、品種を打ち出してはいませんが、農園を訪問し、農家や発酵施設の方々と直接お話しすることで、使用する豆を選んでいます。品種は一つの価値観である。カカオにおいては、そう捉えていただけると良いのかもしれません。 最後に、カカオやチョコレートについてもっと詳しく知りたいとご希望の方に、幅広くそして楽しく学んでいただけるよう、ダンデライオン・チョコレートでは、5つのオンラインクラスをご用意しております。Step1〜Step5まで、一つ一つ段階を踏んでいただくことで、さまざまな角度からチョコレートの世界を体験しつつ学んでいただけるように構成しています。もちろん、ご希望に合わせてどのStepからでもご参加頂けます。ご興味のある方はぜひ! Step 1:カカオ豆からチョコレートになるまで  「Bean to...