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【開発秘話】Bean to Bar チョコレートアドベントカレンダー 2021

【開発秘話】Bean to Bar チョコレートアドベントカレンダー 2021

ダンデライオン・チョコレートが2019年に続いてお届けする、2回目の「Bean to Bar チョコレート アドベントカレンダー 2021」。11月1日(月)より、オンラインストアにて予約開始しています。 日本が誇るクラフトチョコレートメーカーたちの想いがぎっしりと詰まった、25種類チョコレートをアソートしたスペシャルギフトボックス。今回はこのアドベントカレンダーのこだわりや開発秘話をご紹介。クリスマスを迎えるまでの25日間を、一緒に毎日ワクワクしながら過ごしましょう。 一年越しの想いを込めて 実はこのアドベントカレンダー、昨年も発売する予定で2020年1月から動き始めていました。しかしコロナ禍で世の中が落ち着く様子もなく、このまま進めることが難しくなり、参加メーカーを募った段階で中止の連絡をせざるを得ない状況になってしまいました。 私たちクラフトチョコレートメーカーたちは、これまで少なくとも年1-2回はイベントなどで顔を合わせ交流する機会がありましたが、この2年間はイベントはもちろん会うこともほぼなく、歯痒くもどかしい時間でした。   「みんなで何かやりたい」 「チョコレートを楽しんでもらえる機会をつくりたい」 「少しでも明るくワクワクするものを届けたい」   来年こそ絶対に実現させよう、そんな気持ちで臨んだ2021年のアドベントカレンダーです。 星のストーリーに沿ったオリジナルチョコレート そんな今年のアドベントカレンダーのテーマは「冬空に輝く星」。カリフォルニア科学アカデミー(The California Academy of Sciences)協力のもと、12月のこの時期に観測できる流星群や星座について、それぞれの星の物語や観測方法などを、その日に合わせて解説しています。 前回は特にテーマを設けず、各ブランドからチョコレート菓子を届けていただきアソートしました。しかし、今年はより一体感のあるアドベントカレンダーをつくりたいという思いから、事前に12月1日から25日までの各日付の解説を皆で共有し、どの日付を担当したいか希望を募り、ブランドイメージに近い日にちを担当していただくことにしました。 各ブランドがその日の星のストーリーからイメージしたもの、小箱を開けたときに喜んでいただける顔を思い浮かべながら考案した、オリジナルスイーツが誕生しました。 北海道から鹿児島まで、18都道県のチョコレートメーカーが集結 今年は前回よりも多い、24のクラフトチョコレートメーカーが揃いました。前回から参加いただいているブランドだけでなく、この2年の間に創業したチョコレートメーカーを含め初参加のブランドが12社、半数を占めています。 日本では2010年頃から生まれたクラフトチョコレート業界ですが、今も新しいブランドが誕生しています。長く続いているブランドから新しいブランドまで、皆がオープンで一緒に楽しもうとする空気が、この業界の特徴です。 皆でクラフトチョコレート業界を盛り上げよう、お客さまに魅力を伝えていこう、そんなモチベーションから生まれた今年のアドベントカレンダーは、2021年唯一無二のスペシャルギフトになりました。 各日にちの商品の詳細については、ダンデライオン・チョコレート公式インスタグラム(@dandelion_chocolate_japan)で、12月1日より毎日公開します。購入できなかった方も、こちらをぜひご覧いただき、来年のアドベントカレンダーを楽しみにしていてください。  ...

【開発秘話】Bean to Bar チョコレートアドベントカレンダー 2021

ダンデライオン・チョコレートが2019年に続いてお届けする、2回目の「Bean to Bar チョコレート アドベントカレンダー 2021」。11月1日(月)より、オンラインストアにて予約開始しています。 日本が誇るクラフトチョコレートメーカーたちの想いがぎっしりと詰まった、25種類チョコレートをアソートしたスペシャルギフトボックス。今回はこのアドベントカレンダーのこだわりや開発秘話をご紹介。クリスマスを迎えるまでの25日間を、一緒に毎日ワクワクしながら過ごしましょう。 一年越しの想いを込めて 実はこのアドベントカレンダー、昨年も発売する予定で2020年1月から動き始めていました。しかしコロナ禍で世の中が落ち着く様子もなく、このまま進めることが難しくなり、参加メーカーを募った段階で中止の連絡をせざるを得ない状況になってしまいました。 私たちクラフトチョコレートメーカーたちは、これまで少なくとも年1-2回はイベントなどで顔を合わせ交流する機会がありましたが、この2年間はイベントはもちろん会うこともほぼなく、歯痒くもどかしい時間でした。   「みんなで何かやりたい」 「チョコレートを楽しんでもらえる機会をつくりたい」 「少しでも明るくワクワクするものを届けたい」   来年こそ絶対に実現させよう、そんな気持ちで臨んだ2021年のアドベントカレンダーです。 星のストーリーに沿ったオリジナルチョコレート そんな今年のアドベントカレンダーのテーマは「冬空に輝く星」。カリフォルニア科学アカデミー(The California Academy of Sciences)協力のもと、12月のこの時期に観測できる流星群や星座について、それぞれの星の物語や観測方法などを、その日に合わせて解説しています。 前回は特にテーマを設けず、各ブランドからチョコレート菓子を届けていただきアソートしました。しかし、今年はより一体感のあるアドベントカレンダーをつくりたいという思いから、事前に12月1日から25日までの各日付の解説を皆で共有し、どの日付を担当したいか希望を募り、ブランドイメージに近い日にちを担当していただくことにしました。 各ブランドがその日の星のストーリーからイメージしたもの、小箱を開けたときに喜んでいただける顔を思い浮かべながら考案した、オリジナルスイーツが誕生しました。 北海道から鹿児島まで、18都道県のチョコレートメーカーが集結 今年は前回よりも多い、24のクラフトチョコレートメーカーが揃いました。前回から参加いただいているブランドだけでなく、この2年の間に創業したチョコレートメーカーを含め初参加のブランドが12社、半数を占めています。 日本では2010年頃から生まれたクラフトチョコレート業界ですが、今も新しいブランドが誕生しています。長く続いているブランドから新しいブランドまで、皆がオープンで一緒に楽しもうとする空気が、この業界の特徴です。 皆でクラフトチョコレート業界を盛り上げよう、お客さまに魅力を伝えていこう、そんなモチベーションから生まれた今年のアドベントカレンダーは、2021年唯一無二のスペシャルギフトになりました。 各日にちの商品の詳細については、ダンデライオン・チョコレート公式インスタグラム(@dandelion_chocolate_japan)で、12月1日より毎日公開します。購入できなかった方も、こちらをぜひご覧いただき、来年のアドベントカレンダーを楽しみにしていてください。  ...

煎餅と、チョコレートと

煎餅と、チョコレートと

私たちダンデライオン・チョコレートはクラフトチョコレートメーカーとして日々チョコレートを作りBean to Bar チョコレートの魅力を発信していますが、私たちの周りには同じように、ものづくりを通してお客さまにおいしさと共にワクワクする体験を発信している素敵なブランドがたくさんあります。そんな同じビジョンを持つブランドと、お互いのこだわりや大事にしていることを深堀りする対談企画「◯◯と、チョコレートと」。商品の魅力やブランドについて考えていること、また今後どのように発展していきたいかなど、普段聞けない「うちに秘めた想い」をお伝えしたいと思います。ご紹介するブランドや商品を身近に感じ、毎日の暮らしをちょっと豊かにするための参考やきっかけになると嬉しいです。記念すべき第一回は、「煎餅と、チョコレートと」。おせんべいとチョコレート、あまじょっぱい組み合わせのストーリーをお楽しみください。 煎餅と、チョコレートと 松崎煎餅 8代目店主・松崎宗平さん(右)と、ダンデライオン・チョコレートの物江徹(左) チョコレートよりもはるか昔、日本に根付くお菓子のひとつが「おせんべい」。松崎商店は、文化元年(1804年)から続く老舗煎餅屋です。2021年7月にはこれまで本店があった銀座5丁目から4丁目に移転し、屋号も「銀座 松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」へと変更。煎餅を軸とした新たな「商店」としての展開に挑戦しています。今回、兼ねてから音楽を通してプライベートでも親交のある8代目店主・松崎宗平さんとダンデライオン・チョコレートの物江徹が、お互いの商品やこれからの挑戦について話しました。 銀座から東銀座に 藤色ののれんの横には松崎煎餅の看板商品「三味胴」を模したネオンサインが。歴史と現代の融合を感じます 物江:「銀座 松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」に変わって、雰囲気もガラッと変わったね。銀座から東銀座に移って、どんな変化があった?松崎:煎餅だけじゃなく、それを含めた身近なものを発信しやすくなったかな。銀座はどちらかというとフォーマルなイメージだと思うんだけど、もうそろそろそこから脱さないといけない時代だと感じていて。うちはそのちょっと先の立ち位置にいたいというか、もう少し気を抜いて楽しめるようになりたいなって想いもあって、より下町で敷居が高くない店も多い東銀座に移転を決意した。そもそも煎餅って、肩肘張って食べるものじゃないしね。物江:確かに、立地はブランドのイメージを発信する上でも大事だよね。ダンデライオン・チョコレートは本店があるサンフランシスコの立地と蔵前の雰囲気が似ていたからっていうのも理由のひとつで。古くからある倉庫や問屋さんと、新しいクリエーターが少しずつ増えているところとか。松崎:そういう意味では2016年にオープンした松陰神社前店※1が似ているかも。あのエリアがいいなって思った先駆者達がそれぞれお店を出し始めて、それに僕たちも引き寄せられて。街を訪れる人が増えると今度は企業が入ってきて街が栄えていく、みたいな。東銀座もそうなってほしいと思ってる。※1「地域密着・原点回帰」をテーマにしたコンセプトストア。カフェ併設型の店舗で店舗限定の煎餅も販売 煎餅の固定観念を新しいかたちに さまざまなアーティストとのコラボレーションや季節に合わせた限定のイラストを施した「三味胴」。ひとつひとつ手作業で描かれています 物江:長く愛されている伝統あるブランドでありながら、なぜ今敢えて新しく変わろうと思った?松崎:松崎煎餅はもともと瓦せんべいという小麦が主原料のメーカーだった。でも僕が継ぐ頃には草加煎餅という米菓子がメインになっていて、瓦せんべいの方は自社構成比が5%くらいまで落ちていたんだよね。だから「せっかくならもともとやっていたものを大事にしたほうがいいんじゃない?」という想いがあった。そしてこの業界の悩ましいところは、小麦や米の使用量で大体の商品価格が決まっちゃっているということ。業界的にもマーケット的にも動く(売れる)値段の範囲があって、なかなか商品価値を上げても値段を上げることができない。物江:日本に古くから根付いているからこそ、だね。確かに、その点チョコレートやコーヒー、ケーキは海外から来たもので、ある程度価格が上がっても受け入れやすい気がする。実際僕たちのチョコレートバー(板チョコレート)もオープンした2016年は「一枚1,200円の板チョコなんて高い」という声が多かったけど、この5年でそういった声を聞くことが減ったかな。松崎:だから見せ方やアプローチを変えて、本来の瓦せんべいの価値を高めてそれを根付かせるかが、今の課題だと思って。ちょっと見た目の違う「松崎ろうる」や天然着色料でイラストを描いた「三味胴」で興味を持ってもらったり、他の同業者とも意見交換しつつ、試行錯誤しながら新しいかたちを模索しているところかな。 物江:なるほど、その点は僕たちがやっていることと似ているかも。一番の看板商品はチョコレートバーだけど、日本人はなかなかチョコレートバーをそのまま食べる習慣がまだない。だから僕たちのお店も工場併設型のカフェになっていて、目の前で作ったチョコレートを使ったドリンクを飲めたり、ガトーショコラのような誰もが知っているお菓子でまずは関心を持ってもらう。そこでおいしいって思っていただけたら、「じゃあ次はチョコレートバーも試してみよう」ってもう一歩踏み込める。松崎:そうだね、この新しい店舗ではお煎餅に合うコーヒーが飲めたり、「ぎんざ空也 空いろ」のあんこを使った松崎ろうるがあったり、新しい瓦せんべいの楽しみ方が提供できていると思う。コーヒーに煎餅って意外だけど、実は合うんだっていうのもこのカフェスペースで体験できるし。物江:ダンデライオン・チョコレートのカカオニブとチョコレートを使った「黒格子」も新しいかたちのひとつだったね。すごくこだわって作ってくれて、確か最初に話があってから発売するまで1年くらいかかった気がする。松崎:そう、ものすごくいろんなパターンで試したね。僕はカカオニブだけが入ったものがおいしいなと思っていたんだけど、周りのスタッフからは生地にもチョコレートを混ぜたほうがおいしいという意見もあって、ちょっと見た目が茶色い「黒格子」になった。いろんなカカオの産地や配合割合で何度も試作して、時間はかかったけど長く続けていきたい定番商品になったよね。ちなみにこれから黒格子をミルクアイスに混ぜ込んだ「黒格子アイス」も発売予定なんだ。 「大江戸松崎 黒格子」は、ダンデライオン・チョコレートのチョコレートとカカオニブを使用した瓦せんべいです 伝統があるから変われること 「黒格子」の製造風景。職人さんが一枚一枚丁寧に焼いています 物江:実際に瓦せんべいを作っている様子を見学させてもらったけど、本当にひとつひとつ職人さんが手作りしているんだね。チョコレートも製造工程を見たお客さまから「こんなに時間をかけて丁寧に作られているなら大事に食べないと」と感想をいただくけど、この瓦せんべいの製造現場も実際にお客さまに生で見てほしいって思っちゃう。松崎:瓦せんべいは原材料が小麦粉や砂糖、卵ととてもシンプル。だからその日の気温や湿度、生地の状態を見て毎日職人さんがその日の火加減を決めている。機械も50年ものだから、こういった今も残る機械や製法を大事にしながら、どう新しく進化できるか、日々試行錯誤しているよ。物江:ダンデライオン・チョコレートでは新商品を開発するとき商品開発担当がいたりするんだけど、松崎商店ではどうやって開発しているの?松崎:例えば「松崎ろうる」は僕がイメージしたものを瓦せんべいの職人に伝えて、「だったらこんな風にできそう」と厚みや製法を変えて何パターンか作ってもらって進めて行った。あと三味胴は季節ごとにイラストが得意なスタッフに考えてもらったり。結構みんなで話し合って進めることが多いかな。物江:長く続くブランドだと、何かが変わったり新しいことに挑戦したりすることに消極的なイメージもあるけど、みんなで取り組めるっていい方向性だよね。松崎:そうだね、そのあたりは先代から「とりあえずやってみな」と挑戦しやすい環境ではあるのかも。もちろん失敗もあるけど、まずは動いてみないと分からないし、自分たちが発信したいことはどんどんかたちにしていきたいよね。 行ったら楽しい街にする 物江:屋号も変わって、これからどんな展開をして行きたい?松崎:今は松崎煎餅が主体のお店だけど、これから他のブランドや食品以外のものも販売して、ポップアップ的なことができたら、という構想がある。 この街にもおもしろいお店が徐々に増えてきてるし、僕たちも「商店」として人が集まる場所にできたらって考えてる。近隣のお店と一緒に盛り上げてワクワクする街にして、世代を問わず、「今日東銀座行こう」ってなるといいなと思うよ。 カフェスペースのテーブルは昭和39年に設立した松崎ビルで使用していたものをリメイク。街歩きの途中に足を休めるのにもおすすめです *  *  *...

煎餅と、チョコレートと

私たちダンデライオン・チョコレートはクラフトチョコレートメーカーとして日々チョコレートを作りBean to Bar チョコレートの魅力を発信していますが、私たちの周りには同じように、ものづくりを通してお客さまにおいしさと共にワクワクする体験を発信している素敵なブランドがたくさんあります。そんな同じビジョンを持つブランドと、お互いのこだわりや大事にしていることを深堀りする対談企画「◯◯と、チョコレートと」。商品の魅力やブランドについて考えていること、また今後どのように発展していきたいかなど、普段聞けない「うちに秘めた想い」をお伝えしたいと思います。ご紹介するブランドや商品を身近に感じ、毎日の暮らしをちょっと豊かにするための参考やきっかけになると嬉しいです。記念すべき第一回は、「煎餅と、チョコレートと」。おせんべいとチョコレート、あまじょっぱい組み合わせのストーリーをお楽しみください。 煎餅と、チョコレートと 松崎煎餅 8代目店主・松崎宗平さん(右)と、ダンデライオン・チョコレートの物江徹(左) チョコレートよりもはるか昔、日本に根付くお菓子のひとつが「おせんべい」。松崎商店は、文化元年(1804年)から続く老舗煎餅屋です。2021年7月にはこれまで本店があった銀座5丁目から4丁目に移転し、屋号も「銀座 松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」へと変更。煎餅を軸とした新たな「商店」としての展開に挑戦しています。今回、兼ねてから音楽を通してプライベートでも親交のある8代目店主・松崎宗平さんとダンデライオン・チョコレートの物江徹が、お互いの商品やこれからの挑戦について話しました。 銀座から東銀座に 藤色ののれんの横には松崎煎餅の看板商品「三味胴」を模したネオンサインが。歴史と現代の融合を感じます 物江:「銀座 松崎煎餅」から「MATSUZAKI SHOTEN」に変わって、雰囲気もガラッと変わったね。銀座から東銀座に移って、どんな変化があった?松崎:煎餅だけじゃなく、それを含めた身近なものを発信しやすくなったかな。銀座はどちらかというとフォーマルなイメージだと思うんだけど、もうそろそろそこから脱さないといけない時代だと感じていて。うちはそのちょっと先の立ち位置にいたいというか、もう少し気を抜いて楽しめるようになりたいなって想いもあって、より下町で敷居が高くない店も多い東銀座に移転を決意した。そもそも煎餅って、肩肘張って食べるものじゃないしね。物江:確かに、立地はブランドのイメージを発信する上でも大事だよね。ダンデライオン・チョコレートは本店があるサンフランシスコの立地と蔵前の雰囲気が似ていたからっていうのも理由のひとつで。古くからある倉庫や問屋さんと、新しいクリエーターが少しずつ増えているところとか。松崎:そういう意味では2016年にオープンした松陰神社前店※1が似ているかも。あのエリアがいいなって思った先駆者達がそれぞれお店を出し始めて、それに僕たちも引き寄せられて。街を訪れる人が増えると今度は企業が入ってきて街が栄えていく、みたいな。東銀座もそうなってほしいと思ってる。※1「地域密着・原点回帰」をテーマにしたコンセプトストア。カフェ併設型の店舗で店舗限定の煎餅も販売 煎餅の固定観念を新しいかたちに さまざまなアーティストとのコラボレーションや季節に合わせた限定のイラストを施した「三味胴」。ひとつひとつ手作業で描かれています 物江:長く愛されている伝統あるブランドでありながら、なぜ今敢えて新しく変わろうと思った?松崎:松崎煎餅はもともと瓦せんべいという小麦が主原料のメーカーだった。でも僕が継ぐ頃には草加煎餅という米菓子がメインになっていて、瓦せんべいの方は自社構成比が5%くらいまで落ちていたんだよね。だから「せっかくならもともとやっていたものを大事にしたほうがいいんじゃない?」という想いがあった。そしてこの業界の悩ましいところは、小麦や米の使用量で大体の商品価格が決まっちゃっているということ。業界的にもマーケット的にも動く(売れる)値段の範囲があって、なかなか商品価値を上げても値段を上げることができない。物江:日本に古くから根付いているからこそ、だね。確かに、その点チョコレートやコーヒー、ケーキは海外から来たもので、ある程度価格が上がっても受け入れやすい気がする。実際僕たちのチョコレートバー(板チョコレート)もオープンした2016年は「一枚1,200円の板チョコなんて高い」という声が多かったけど、この5年でそういった声を聞くことが減ったかな。松崎:だから見せ方やアプローチを変えて、本来の瓦せんべいの価値を高めてそれを根付かせるかが、今の課題だと思って。ちょっと見た目の違う「松崎ろうる」や天然着色料でイラストを描いた「三味胴」で興味を持ってもらったり、他の同業者とも意見交換しつつ、試行錯誤しながら新しいかたちを模索しているところかな。 物江:なるほど、その点は僕たちがやっていることと似ているかも。一番の看板商品はチョコレートバーだけど、日本人はなかなかチョコレートバーをそのまま食べる習慣がまだない。だから僕たちのお店も工場併設型のカフェになっていて、目の前で作ったチョコレートを使ったドリンクを飲めたり、ガトーショコラのような誰もが知っているお菓子でまずは関心を持ってもらう。そこでおいしいって思っていただけたら、「じゃあ次はチョコレートバーも試してみよう」ってもう一歩踏み込める。松崎:そうだね、この新しい店舗ではお煎餅に合うコーヒーが飲めたり、「ぎんざ空也 空いろ」のあんこを使った松崎ろうるがあったり、新しい瓦せんべいの楽しみ方が提供できていると思う。コーヒーに煎餅って意外だけど、実は合うんだっていうのもこのカフェスペースで体験できるし。物江:ダンデライオン・チョコレートのカカオニブとチョコレートを使った「黒格子」も新しいかたちのひとつだったね。すごくこだわって作ってくれて、確か最初に話があってから発売するまで1年くらいかかった気がする。松崎:そう、ものすごくいろんなパターンで試したね。僕はカカオニブだけが入ったものがおいしいなと思っていたんだけど、周りのスタッフからは生地にもチョコレートを混ぜたほうがおいしいという意見もあって、ちょっと見た目が茶色い「黒格子」になった。いろんなカカオの産地や配合割合で何度も試作して、時間はかかったけど長く続けていきたい定番商品になったよね。ちなみにこれから黒格子をミルクアイスに混ぜ込んだ「黒格子アイス」も発売予定なんだ。 「大江戸松崎 黒格子」は、ダンデライオン・チョコレートのチョコレートとカカオニブを使用した瓦せんべいです 伝統があるから変われること 「黒格子」の製造風景。職人さんが一枚一枚丁寧に焼いています 物江:実際に瓦せんべいを作っている様子を見学させてもらったけど、本当にひとつひとつ職人さんが手作りしているんだね。チョコレートも製造工程を見たお客さまから「こんなに時間をかけて丁寧に作られているなら大事に食べないと」と感想をいただくけど、この瓦せんべいの製造現場も実際にお客さまに生で見てほしいって思っちゃう。松崎:瓦せんべいは原材料が小麦粉や砂糖、卵ととてもシンプル。だからその日の気温や湿度、生地の状態を見て毎日職人さんがその日の火加減を決めている。機械も50年ものだから、こういった今も残る機械や製法を大事にしながら、どう新しく進化できるか、日々試行錯誤しているよ。物江:ダンデライオン・チョコレートでは新商品を開発するとき商品開発担当がいたりするんだけど、松崎商店ではどうやって開発しているの?松崎:例えば「松崎ろうる」は僕がイメージしたものを瓦せんべいの職人に伝えて、「だったらこんな風にできそう」と厚みや製法を変えて何パターンか作ってもらって進めて行った。あと三味胴は季節ごとにイラストが得意なスタッフに考えてもらったり。結構みんなで話し合って進めることが多いかな。物江:長く続くブランドだと、何かが変わったり新しいことに挑戦したりすることに消極的なイメージもあるけど、みんなで取り組めるっていい方向性だよね。松崎:そうだね、そのあたりは先代から「とりあえずやってみな」と挑戦しやすい環境ではあるのかも。もちろん失敗もあるけど、まずは動いてみないと分からないし、自分たちが発信したいことはどんどんかたちにしていきたいよね。 行ったら楽しい街にする 物江:屋号も変わって、これからどんな展開をして行きたい?松崎:今は松崎煎餅が主体のお店だけど、これから他のブランドや食品以外のものも販売して、ポップアップ的なことができたら、という構想がある。 この街にもおもしろいお店が徐々に増えてきてるし、僕たちも「商店」として人が集まる場所にできたらって考えてる。近隣のお店と一緒に盛り上げてワクワクする街にして、世代を問わず、「今日東銀座行こう」ってなるといいなと思うよ。 カフェスペースのテーブルは昭和39年に設立した松崎ビルで使用していたものをリメイク。街歩きの途中に足を休めるのにもおすすめです *  *  *...

食べる人のワクワクを思って――チョコレートメーカーが作るスイーツはどうあるべきか

食べる人のワクワクを思って――チョコレートメーカーが作るスイーツはどうあるべきか

作り手の欲をどれだけ削ぎ落として、受け手の心に響くお菓子を作るか――ダンデライオン・チョコレートのペストリーシェフ、辻舞のお菓子づくりの起点は、常に「食べる人」にあります。かつては、みずからのこだわりを詰め込みすぎて悩んだこともあると話す彼女。入社後の考え方の変遷や、チョコレートスイーツづくりで大切にしていることなどについて聞きました。 <これまでのスタッフインタビューはこちら> CEO・堀淵清治なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ペストリーシェフ・森本康志チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考 チョコレート・エクスペリエンスチーム・伴野智映子Bean to Bar チョコレートとの出会いで広がる世界、チョコレートを通して驚きと感動を伝えたい   辻舞(つじ・まい)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン ペストリーシェフ神戸のフランス菓子パティスリーでパティシエとしてキャリアをスタートし、上京後ジャン=ポール・エヴァン、デカダンダンスドュショコラなどでショコラティエ、製造責任者として勤務。2015年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンにペストリーチームのマネージャーとして入社し、製造管理やスタッフの育成、商品開発などを担当。 Bean to Bar チョコレートは実は好みじゃなかった ――ダンデライオン・チョコレートに入社された経緯から聞かせてください。フランス菓子のお店からキャリアをスタートして、その後は有名なチョコレート専門店を渡り歩いてパティシエや製造責任者をしていました。ただ、自分が作りたいお菓子と求められるお菓子とのギャップに悩んでしまって、少しお菓子づくりと距離を置こうと思って前職を辞めたんです。その後、偶然ダンデライオン・チョコレートの募集を見つけて、入社することになりました。――パティシエ時代から、チョコレートづくりには興味があったんですか?前職でボンボンショコラづくりを経験したときにすごく心が躍って、ずっとこの作業をしていたいと思うほど惹かれるものがありました。洋菓子とは違う、チョコレートを専門にする仕事にふれて、一般的にショコラティエと呼ばれるような専門職の魅力に引き込まれていきました。ダンデライオン・チョコレートの募集を見たとき、その記憶がよみがえってきて、ここでの仕事はおもしろそうだと思いました。 ――ボンボンショコラを作るときに感じた、洋菓子との最も大きな違いは何だったのでしょう。それまで作ってきたのは、材料のひとつにチョコレートがある洋菓子でしたが、ボンボンショコラはチョコレートが主役の洋菓子。生クリームでガナッシュを作ってチョコレートでコーティングする作業はとてもシンプルですが、ちょっとした温度差や乳化の具合などによって、ツヤも口溶けもまったく違うものになるんです。それがとてもおもしろくて。――元々、ダンデライオン・チョコレートの存在は知っていたんですか?仕事柄、Bean to Bar チョコレート自体は知っていましたが、ダンデライオン・チョコレートのことは知りませんでした。それに、ダンデライオン・チョコレートで働き始めるまでは、カカオの含有量が多いチョコレートやカカオニブそのものだけで食べるのは苦手だったんです。初めて、Bean to Bar のチョコレートを食べたときは、口溶けとフレーバーに対してキワモノだと感じ、いまだ成熟していない私の舌にとっては「おいしいけど、素材と合わせないと食べにくいな」という感じでした。――正直なところ、好みのチョコレートではなかった?はい(笑)。でも、面接のときに「食べたことがない」と正直に伝えると、その場で食べてごらんと渡されたチョコレートが、想像を遥かに超えておいしくて、衝撃を受けました。「これまでに食べたBean to Bar チョコレートとは違う、これは思いがけず幸運だな」と思いました。今思えば、これが自分の好みの分岐点だったかもしれません。ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーを食べるようになってからは、カカオの含有量が高い物も素直においしいと思うようになりました。 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。 作り手の思いと、食べる人の楽しさを両立させる ――入社後はチョコレートスイーツを開発するペストリーチームに配属になったんですね。これまでの私の経験に期待して採用していただいたので、自分にできることを最大限に形にして行こうと思っていました。とはいえ、入社したときからずっと「カカオ豆からチョコレートを作ってみたい」と思い続けていたので、2年目くらいにチョコレートバーのプロファイル(開発)を任せてもらえたのは本当にうれしかったですね。オレンジのフレーバーがすごく印象的なインドの豆で、「この豆で開発をさせてもらえるなんて!」と感動したのを覚えています。――お菓子づくりとは違うおもしろさがありましたか?いわゆる、お菓子づくりの考え方はまったく通用しなくて、そこがおもしろかったですね。パティシエの常識からすると違うんじゃないかなと思うことが、チョコレートづくりにおいては正しい場合も多くて、驚きと発見の連続でした。砂糖を加えるタイミングでフレーバーに変化があることなどは、その後のチョコレートスイーツ開発にも活きています。――辻さんが開発してきた商品のことも聞かせてください。最初は、サンフランシスコ本店で提供している商品のレシピを活かしつつ、日本人の味覚に合うようアレンジをするのが私のミッションでした。試行錯誤を経て初めて商品化したのが、ほうじ茶で香り付けした蔵前のカフェ限定の「クラマエホットチョコレート」です。サンフランシスコの「ミッションホットチョコレート」のような、“お店の顔”になる商品にしたいと考えて作りました。ミッションホットチョコレートという名前は、サンフランシスコの第1号店がミッション地区にあることにちなんでいたので、日本でも同じようなストーリーを商品に重ねたいと思い、名前に「蔵前」とつけようと。――名前が先に決まったのですね。そうなんです。そして、蔵前という言葉を冠するにふさわしい素材を求めてお店の近くを歩き、出会ったのが「NAKAMURA TEA LIFE...

食べる人のワクワクを思って――チョコレートメーカーが作るスイーツはどうあるべきか

作り手の欲をどれだけ削ぎ落として、受け手の心に響くお菓子を作るか――ダンデライオン・チョコレートのペストリーシェフ、辻舞のお菓子づくりの起点は、常に「食べる人」にあります。かつては、みずからのこだわりを詰め込みすぎて悩んだこともあると話す彼女。入社後の考え方の変遷や、チョコレートスイーツづくりで大切にしていることなどについて聞きました。 <これまでのスタッフインタビューはこちら> CEO・堀淵清治なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ペストリーシェフ・森本康志チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考 チョコレート・エクスペリエンスチーム・伴野智映子Bean to Bar チョコレートとの出会いで広がる世界、チョコレートを通して驚きと感動を伝えたい   辻舞(つじ・まい)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン ペストリーシェフ神戸のフランス菓子パティスリーでパティシエとしてキャリアをスタートし、上京後ジャン=ポール・エヴァン、デカダンダンスドュショコラなどでショコラティエ、製造責任者として勤務。2015年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンにペストリーチームのマネージャーとして入社し、製造管理やスタッフの育成、商品開発などを担当。 Bean to Bar チョコレートは実は好みじゃなかった ――ダンデライオン・チョコレートに入社された経緯から聞かせてください。フランス菓子のお店からキャリアをスタートして、その後は有名なチョコレート専門店を渡り歩いてパティシエや製造責任者をしていました。ただ、自分が作りたいお菓子と求められるお菓子とのギャップに悩んでしまって、少しお菓子づくりと距離を置こうと思って前職を辞めたんです。その後、偶然ダンデライオン・チョコレートの募集を見つけて、入社することになりました。――パティシエ時代から、チョコレートづくりには興味があったんですか?前職でボンボンショコラづくりを経験したときにすごく心が躍って、ずっとこの作業をしていたいと思うほど惹かれるものがありました。洋菓子とは違う、チョコレートを専門にする仕事にふれて、一般的にショコラティエと呼ばれるような専門職の魅力に引き込まれていきました。ダンデライオン・チョコレートの募集を見たとき、その記憶がよみがえってきて、ここでの仕事はおもしろそうだと思いました。 ――ボンボンショコラを作るときに感じた、洋菓子との最も大きな違いは何だったのでしょう。それまで作ってきたのは、材料のひとつにチョコレートがある洋菓子でしたが、ボンボンショコラはチョコレートが主役の洋菓子。生クリームでガナッシュを作ってチョコレートでコーティングする作業はとてもシンプルですが、ちょっとした温度差や乳化の具合などによって、ツヤも口溶けもまったく違うものになるんです。それがとてもおもしろくて。――元々、ダンデライオン・チョコレートの存在は知っていたんですか?仕事柄、Bean to Bar チョコレート自体は知っていましたが、ダンデライオン・チョコレートのことは知りませんでした。それに、ダンデライオン・チョコレートで働き始めるまでは、カカオの含有量が多いチョコレートやカカオニブそのものだけで食べるのは苦手だったんです。初めて、Bean to Bar のチョコレートを食べたときは、口溶けとフレーバーに対してキワモノだと感じ、いまだ成熟していない私の舌にとっては「おいしいけど、素材と合わせないと食べにくいな」という感じでした。――正直なところ、好みのチョコレートではなかった?はい(笑)。でも、面接のときに「食べたことがない」と正直に伝えると、その場で食べてごらんと渡されたチョコレートが、想像を遥かに超えておいしくて、衝撃を受けました。「これまでに食べたBean to Bar チョコレートとは違う、これは思いがけず幸運だな」と思いました。今思えば、これが自分の好みの分岐点だったかもしれません。ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーを食べるようになってからは、カカオの含有量が高い物も素直においしいと思うようになりました。 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。 作り手の思いと、食べる人の楽しさを両立させる ――入社後はチョコレートスイーツを開発するペストリーチームに配属になったんですね。これまでの私の経験に期待して採用していただいたので、自分にできることを最大限に形にして行こうと思っていました。とはいえ、入社したときからずっと「カカオ豆からチョコレートを作ってみたい」と思い続けていたので、2年目くらいにチョコレートバーのプロファイル(開発)を任せてもらえたのは本当にうれしかったですね。オレンジのフレーバーがすごく印象的なインドの豆で、「この豆で開発をさせてもらえるなんて!」と感動したのを覚えています。――お菓子づくりとは違うおもしろさがありましたか?いわゆる、お菓子づくりの考え方はまったく通用しなくて、そこがおもしろかったですね。パティシエの常識からすると違うんじゃないかなと思うことが、チョコレートづくりにおいては正しい場合も多くて、驚きと発見の連続でした。砂糖を加えるタイミングでフレーバーに変化があることなどは、その後のチョコレートスイーツ開発にも活きています。――辻さんが開発してきた商品のことも聞かせてください。最初は、サンフランシスコ本店で提供している商品のレシピを活かしつつ、日本人の味覚に合うようアレンジをするのが私のミッションでした。試行錯誤を経て初めて商品化したのが、ほうじ茶で香り付けした蔵前のカフェ限定の「クラマエホットチョコレート」です。サンフランシスコの「ミッションホットチョコレート」のような、“お店の顔”になる商品にしたいと考えて作りました。ミッションホットチョコレートという名前は、サンフランシスコの第1号店がミッション地区にあることにちなんでいたので、日本でも同じようなストーリーを商品に重ねたいと思い、名前に「蔵前」とつけようと。――名前が先に決まったのですね。そうなんです。そして、蔵前という言葉を冠するにふさわしい素材を求めてお店の近くを歩き、出会ったのが「NAKAMURA TEA LIFE...

Bean to Bar チョコレートとの出会いで広がる世界、チョコレートを通して驚きと感動を伝えたい

Bean to Bar チョコレートとの出会いで広がる世界、チョコレートを通して驚きと感動を伝えたい

イベントやワークショップを通じて、チョコレートの奥深さやダンデライオン・チョコレートの魅力を発信しているスポークスパーソン・伴野智映子。彼女は、ダンデライオン・チョコレートの日本上陸のタイミングに入社し、その後の躍進を支えてきた立役者でもあります。「ダンデライオン・チョコレートで働き始めて、広い世界を知った」と話す伴野に、立ち上げ時のことやこれまでの変遷、今後の展望を聞きました。 <これまでのスタッフインタビューはこちら> CEO・堀淵清治なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ペストリーシェフ・森本康志チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 伴野智映子(ばんの ちえこ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン チョコレート・エクスペリエンスチーム マネージャー 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科を卒業後、洋菓子メーカーやスパイス開発会社、某チョコレートブランドに勤務。2015年、アメリカはポートランドで一人旅をしていたときにBean to Bar チョコレートに出会う。2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパン入社。チョコレートバーの開発をはじめ、さまざまな業務に携わる。現在は、チョコレート・エクスペリエンスチームのマネージャーとして、ワークショップの講師やブログ記事の執筆などを行う。 ポートランドで出会ったBean to Bar チョコレートに魅せられて ──ダンデライオン・チョコレートの日本上陸と同時に入社されたんですよね。2016年の1月に入社したので、日本1号店が蔵前にオープンする1ヵ月前ですね。当時はアルバイトスタッフを含めて、20名程でのスタートでしたが、2021年現在は、総勢70名を超えました。――それまでも食に関わるお仕事をされていたのですか?はい。大学の栄養科学科を卒業後、洋菓子メーカーを経てスパイスの開発会社へ転職。3年にわたって開発や品質保証を担当した後、大手チョコレートブランドで4年半程働き、ダンデライオン・チョコレートに入社しています。――ダンデライオン・チョコレートに入社した経緯は?旅先のポートランドで、カカオ豆の焙煎からすべての工程を自社で一貫して行うBean to Bar チョコレートというものを初めて知ったんです。当時、私は大手チョコレートブランドで品質保証を担当していて、ベルギーの工場などにも視察に行っていたのですが、そこでは大きなタンクに入ったチョコレートがホースでどんどん型に流し込まれていくのが普通の光景で…。――なるほど。チョコレートブランドにいながら、チョコレートの作り方を知らなかったことにも、チョコレートの製造工程の奥深さにも衝撃を受けたんです。世界中に展開しているブランドだったので、各国に流通できる賞味期限を確保し、輸送にも耐えうる商品設計にしないといけないこともあり、「食の本質ってなんだろう」と考えていて、ポートランドでの出会いはまさにその答えをもらった感じで、余計心を動かされたのかもしれません。――そして、ダンデライオン・チョコレートとの出会いがあったわけですね。その旅から帰国後、偶然にも知り合いから「サンフランシスコのBean to Bar チョコレートメーカーが日本で事業展開するらしい」と、ダンデライオン・チョコレートのことを聞いたんです。お菓子を作るペストリーチームやカフェを担当するチームなどの募集があったのですが、私はチョコレートを作るプロダクションチームに応募して、採用されました。 戸惑いの日々でも心を動かされる発見があり、世界が広がっていった ――ダンデライオン・チョコレートのオープン当時のことを聞かせてください。日本でオープンする前から、サンフランシスコ本店のスタッフだった方が日本に来て、チョコレートづくりのインストラクターをしてくれました。彼女は英語しか話せないので、私が通訳してみんなに伝えることになったのですが、日本では多くのことが整っていない中でスタートしているので、戸惑うことも多かったですね。日本とアメリカでは常識が違うことも多く、アメリカから来てくれたインストラクターと日本のスタッフのあいだで板挟みになることもありました。――伴野さん自身も入社したばかりでありながら、チームをまとめ、通訳をしつつチョコレートづくりも覚えていかなければならないのは、大変だったと思います。そうですね。でも、チョコレートづくりは工程もシンプルなので覚えやすいですし、何よりその工程の一つひとつがおもしろくて。「本当にカカオ豆ときび砂糖だけでできるんだ」と驚いたり、チョコレートが一気に液体に変わる瞬間を見て感動したり…。毎日、何かしら心を動かされる発見があって、気づいたらハマっていた感じです。 チョコレートを繰り返し食べるうちに味覚が鍛えられていくのも実感しましたし、カカオ豆の産地ごとの味の違いもだんだん言葉で表現できるようになっていきました。Bean to...

Bean to Bar チョコレートとの出会いで広がる世界、チョコレートを通して驚きと感動を伝えたい

イベントやワークショップを通じて、チョコレートの奥深さやダンデライオン・チョコレートの魅力を発信しているスポークスパーソン・伴野智映子。彼女は、ダンデライオン・チョコレートの日本上陸のタイミングに入社し、その後の躍進を支えてきた立役者でもあります。「ダンデライオン・チョコレートで働き始めて、広い世界を知った」と話す伴野に、立ち上げ時のことやこれまでの変遷、今後の展望を聞きました。 <これまでのスタッフインタビューはこちら> CEO・堀淵清治なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ペストリーシェフ・森本康志チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 伴野智映子(ばんの ちえこ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン チョコレート・エクスペリエンスチーム マネージャー 東京農業大学応用生物科学部栄養科学科を卒業後、洋菓子メーカーやスパイス開発会社、某チョコレートブランドに勤務。2015年、アメリカはポートランドで一人旅をしていたときにBean to Bar チョコレートに出会う。2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパン入社。チョコレートバーの開発をはじめ、さまざまな業務に携わる。現在は、チョコレート・エクスペリエンスチームのマネージャーとして、ワークショップの講師やブログ記事の執筆などを行う。 ポートランドで出会ったBean to Bar チョコレートに魅せられて ──ダンデライオン・チョコレートの日本上陸と同時に入社されたんですよね。2016年の1月に入社したので、日本1号店が蔵前にオープンする1ヵ月前ですね。当時はアルバイトスタッフを含めて、20名程でのスタートでしたが、2021年現在は、総勢70名を超えました。――それまでも食に関わるお仕事をされていたのですか?はい。大学の栄養科学科を卒業後、洋菓子メーカーを経てスパイスの開発会社へ転職。3年にわたって開発や品質保証を担当した後、大手チョコレートブランドで4年半程働き、ダンデライオン・チョコレートに入社しています。――ダンデライオン・チョコレートに入社した経緯は?旅先のポートランドで、カカオ豆の焙煎からすべての工程を自社で一貫して行うBean to Bar チョコレートというものを初めて知ったんです。当時、私は大手チョコレートブランドで品質保証を担当していて、ベルギーの工場などにも視察に行っていたのですが、そこでは大きなタンクに入ったチョコレートがホースでどんどん型に流し込まれていくのが普通の光景で…。――なるほど。チョコレートブランドにいながら、チョコレートの作り方を知らなかったことにも、チョコレートの製造工程の奥深さにも衝撃を受けたんです。世界中に展開しているブランドだったので、各国に流通できる賞味期限を確保し、輸送にも耐えうる商品設計にしないといけないこともあり、「食の本質ってなんだろう」と考えていて、ポートランドでの出会いはまさにその答えをもらった感じで、余計心を動かされたのかもしれません。――そして、ダンデライオン・チョコレートとの出会いがあったわけですね。その旅から帰国後、偶然にも知り合いから「サンフランシスコのBean to Bar チョコレートメーカーが日本で事業展開するらしい」と、ダンデライオン・チョコレートのことを聞いたんです。お菓子を作るペストリーチームやカフェを担当するチームなどの募集があったのですが、私はチョコレートを作るプロダクションチームに応募して、採用されました。 戸惑いの日々でも心を動かされる発見があり、世界が広がっていった ――ダンデライオン・チョコレートのオープン当時のことを聞かせてください。日本でオープンする前から、サンフランシスコ本店のスタッフだった方が日本に来て、チョコレートづくりのインストラクターをしてくれました。彼女は英語しか話せないので、私が通訳してみんなに伝えることになったのですが、日本では多くのことが整っていない中でスタートしているので、戸惑うことも多かったですね。日本とアメリカでは常識が違うことも多く、アメリカから来てくれたインストラクターと日本のスタッフのあいだで板挟みになることもありました。――伴野さん自身も入社したばかりでありながら、チームをまとめ、通訳をしつつチョコレートづくりも覚えていかなければならないのは、大変だったと思います。そうですね。でも、チョコレートづくりは工程もシンプルなので覚えやすいですし、何よりその工程の一つひとつがおもしろくて。「本当にカカオ豆ときび砂糖だけでできるんだ」と驚いたり、チョコレートが一気に液体に変わる瞬間を見て感動したり…。毎日、何かしら心を動かされる発見があって、気づいたらハマっていた感じです。 チョコレートを繰り返し食べるうちに味覚が鍛えられていくのも実感しましたし、カカオ豆の産地ごとの味の違いもだんだん言葉で表現できるようになっていきました。Bean to...

チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考

チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考

ダンデライオン・チョコレートで販売している、カヌレやチョコレートプリンをはじめとしたチョコレートスイーツの数々。これらは、ダンデライオン・チョコレートで扱うカカオの風味を知りつくしたシェフの手によって生み出されています。「ダンデライオン・チョコレートのスイーツは、どれも“チョコレートありき”。Bean to Bar チョコレートの魅力を損なうことなく、どうすればもっと良さを引き出せるかを考えながら商品開発をしています」と話すのは、ダンデライオン・チョコレートのオンラインストアや各店舗で販売している、多くのスイーツの開発を担当する森本康志。今回は、京都で日々もくもくと商品開発にいそしむ森本に、新商品のアイディアが形になるまでのプロセスや、チョコレートスイーツづくりに込めた思いを聞きました。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 森本康志(もりもと やすし)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン ペストリーシェフ三重県伊勢市出身。製菓専門学校卒業後、名古屋市にある洋菓子店やカフェ&バーでパティシエとして研鑽を積む。デセールやプチガトーの開発・製造などを行う一方で、バリスタやバーテンダーとしても活躍の場を広げる。2016年ダンデライオン・チョコレート・ジャパンに入社。入社3ヶ月後に伊勢外宮前店ペストリーシェフに就任。2018年にオープンした京都東山一念坂店のペストリーシェフに抜擢される。インスピレーション溢れるアイディアで、現在は主に商品開発を担当。 パティシエやソムリエ、バーテンダーを経てダンデライオン・チョコレートへ ――ダンデライオン・チョコレートには、どのような経緯で入社されたのですか?そろそろ自分のお店を持ちたいと思って地元の伊勢に帰っていたとき、「ちょっとおもしろいお店ができるらしい」と聞いたのがダンデライオン・チョコレートとの出会いです。当時、カフェのスタッフとパティシエを募集していたのですが、どっちもやりたいと応募したら両方で採用されて、今に至ります。――それまでは、どういったお仕事をされていたんですか?お菓子の専門学校を出てから小さなケーキ屋に就職して、パティシエとして一通りの経験をさせてもらいました。その後、コーヒーの勉強がしたくてカフェバーに移ったんです。カウンターでコーヒーやワイン、カクテルなどを提供しながら、デザートも作って出すスタイルのお店でした。そういったキャリアを踏まえて、ダンデライオン・チョコレートではお菓子づくりとカフェ、両方の知識と経験が活かせるようフレキシブルに働いています。――なるほど。そして今は、新商品の開発がメインのお仕事なんですね。そうですね。あとは、僕なりの視点で、社内のスタッフやお客さまのちょっとした気づきになるようなことをブログや写真、動画などで発信したり、僕が開発したカヌレやチョコレートプリンを紹介するインスタライブを配信したりしています。 スイーツメニューは、チョコレートを引き立てるための衣装 ――商品開発の際は、どのようにアイディアを形にしていくのでしょう。僕にとって、チョコレートは「人」。メニューはその人がまとう衣装みたいなイメージです。だから、チョコレートからスイーツを組み立てるときは、「この子(チョコレート)にはどんな色が似合うのかな」とか、「こんなアクセントがあったらいいよね」とか、その子がより魅力的に見えるジャンルや色の衣装をあてていく感じですね。反対に、スイーツからチョコレートを考えるときは、「この衣装に合うのはどんな子かな」というように、衣装にぴったりはまる人(チョコレート)を探すんです。――独特の感覚で、おもしろいですね!具体的な商品を例にとって、もう少し詳しく考え方のプロセスを教えてください。じゃあ、チョコレートプリンを例に紹介しましょう。 この商品は当初、「ベンチェ, ベトナム 70%」を使って作ることを前提に考えていました。ベトナム産のカカオは、マイルドな中にどこかエキゾチックなニュアンスがあるんです。それが僕には、「ベトナムの可憐な少女」のように感じられたので、そこから想像を膨らませていきました。少女は純粋でピュアだから、味は何層に組むよりもシンプルに。食感もぷるんと滑らかで、軽やかさや元気さが感じられる、はつらつとしたものが良いと思って、チョコレートプリンに行きつきました。 チョコレートプリン 5個セット¥3,780(税込)原材料は、牛乳、生クリーム、砂糖、卵、チョコレート、バニラビーンズのみ。カカオの味わいをダイレクトに感じていただけるように、シンプルな素材で仕上げました。ベトナム産カカオのマイルドな中に感じられるエキゾチックなニュアンスを存分に味わえる、Bean to Bar チョコレート専門店ならではのチョコレートプリンです。 ――同じ衣装(スイーツ)で、人(チョコレート)を変えることもありますか?ありますね。例えば、伊勢店のカヌレは、日本酒っぽさのあるフレーバーのチョコレートに合わせて三重の地酒を使っていますが、オンラインで販売しているカヌレはチョコレートもお酒も変えています(※)。 ※伊勢店で販売しているカヌレには、タンザニア産のカカオを使用したチョコレートと三重の地酒「義左衛門」を使用し、オンラインで販売しているカヌレには、ドミニカ共和国産のカカオを使用したチョコレートとラム酒を使用しています。同じカヌレなら伊勢店の物をそのまま販売すればいいように思いますが、実店舗とオンラインでは食べてもらうタイミングも、シチュエーションも違いますよね。伊勢で焼きたてのカヌレを食べるなら、酒感のあるチョコレートと伊勢の地酒を組み合わせるストーリーが活きてくるけど、オンラインで購入して冷凍で届いた物を「伊勢発の商品ですよ」といわれても、そのストーリーには没入しづらいと思うんですよ。 カヌレ¥3,564(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。 ――確かに、地の物はその土地で食べるからこそ伝わるメッセージがありますよね。なので、オンラインで販売するカヌレは「時間が経ってもカカオのおいしさを味わえるチョコレート体験」を重視して、使用するチョコレートとお酒を変えました。このように、お酒を使うスイーツを開発するにあたっては、合わせるお酒のバランスやマリアージュといった点で、ソムリエやバーテンダーをしていた経験を活かせています。――では、スイーツ開発において、使用するチョコレートが先に決まっていたメニューは?ダンデライオン・チョコレート初のクリスマス商品として作ったH2Oチョコレートムースは、ドミニカ共和国産のカカオを使用したチョコレートを使うことが決まっていました。こういうときは、そのチョコレートにとことん向き合うしかありません。 ※現在は販売していませんじっとチョコレートと対峙していると、「君にはそんな魅力もあるのね」「ここ(の要素)は隠しておきたいのね」というように、チョコレートのパーソナルな部分が少しずつ見えてきます。そこまで行けば、あとはどうすればそのチョコレートがもっとチャーミングになるかを考えるだけですね。――その子にどういう衣装を着せ、メイクを施すと、より美しく見えるかを考える…みたいなイメージですか?そうですね。「チョコレートのキリッとした酸味はすごく良いけど、それだけだときつく感じる人がいるかもしれないから、ムースにしたらやわらかくなるんじゃない?」とか、「生クリームでちょっと角を取ったら、優しい部分も引き立つんじゃない?」とか…。コーディネーターとして、もっと似合う着こなしを提案するような感じかもしれません。 「材料の良さが際立ったおいしい物」を作る努力が、人々の幸せにつながる ――お話しいただいたプロセスは、ダンデライオン・チョコレートが1種類のカカオ豆だけで作るシングルオリジンだからこそではないかと思いました。確かに、同じ商品でも使うチョコレートによって見える風景が全然違うのは、個性豊かなシングルオリジンにしかないおもしろさですね。スイーツづくりを計算式にすると、一つひとつの材料やプロセスを「1」として、それらを全部足した合計が完成形。でも、Bean...

チョコレートの個性を最大限に活かしたスイーツづくりの舞台裏――1+1を3にする思考

ダンデライオン・チョコレートで販売している、カヌレやチョコレートプリンをはじめとしたチョコレートスイーツの数々。これらは、ダンデライオン・チョコレートで扱うカカオの風味を知りつくしたシェフの手によって生み出されています。「ダンデライオン・チョコレートのスイーツは、どれも“チョコレートありき”。Bean to Bar チョコレートの魅力を損なうことなく、どうすればもっと良さを引き出せるかを考えながら商品開発をしています」と話すのは、ダンデライオン・チョコレートのオンラインストアや各店舗で販売している、多くのスイーツの開発を担当する森本康志。今回は、京都で日々もくもくと商品開発にいそしむ森本に、新商品のアイディアが形になるまでのプロセスや、チョコレートスイーツづくりに込めた思いを聞きました。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 森本康志(もりもと やすし)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン ペストリーシェフ三重県伊勢市出身。製菓専門学校卒業後、名古屋市にある洋菓子店やカフェ&バーでパティシエとして研鑽を積む。デセールやプチガトーの開発・製造などを行う一方で、バリスタやバーテンダーとしても活躍の場を広げる。2016年ダンデライオン・チョコレート・ジャパンに入社。入社3ヶ月後に伊勢外宮前店ペストリーシェフに就任。2018年にオープンした京都東山一念坂店のペストリーシェフに抜擢される。インスピレーション溢れるアイディアで、現在は主に商品開発を担当。 パティシエやソムリエ、バーテンダーを経てダンデライオン・チョコレートへ ――ダンデライオン・チョコレートには、どのような経緯で入社されたのですか?そろそろ自分のお店を持ちたいと思って地元の伊勢に帰っていたとき、「ちょっとおもしろいお店ができるらしい」と聞いたのがダンデライオン・チョコレートとの出会いです。当時、カフェのスタッフとパティシエを募集していたのですが、どっちもやりたいと応募したら両方で採用されて、今に至ります。――それまでは、どういったお仕事をされていたんですか?お菓子の専門学校を出てから小さなケーキ屋に就職して、パティシエとして一通りの経験をさせてもらいました。その後、コーヒーの勉強がしたくてカフェバーに移ったんです。カウンターでコーヒーやワイン、カクテルなどを提供しながら、デザートも作って出すスタイルのお店でした。そういったキャリアを踏まえて、ダンデライオン・チョコレートではお菓子づくりとカフェ、両方の知識と経験が活かせるようフレキシブルに働いています。――なるほど。そして今は、新商品の開発がメインのお仕事なんですね。そうですね。あとは、僕なりの視点で、社内のスタッフやお客さまのちょっとした気づきになるようなことをブログや写真、動画などで発信したり、僕が開発したカヌレやチョコレートプリンを紹介するインスタライブを配信したりしています。 スイーツメニューは、チョコレートを引き立てるための衣装 ――商品開発の際は、どのようにアイディアを形にしていくのでしょう。僕にとって、チョコレートは「人」。メニューはその人がまとう衣装みたいなイメージです。だから、チョコレートからスイーツを組み立てるときは、「この子(チョコレート)にはどんな色が似合うのかな」とか、「こんなアクセントがあったらいいよね」とか、その子がより魅力的に見えるジャンルや色の衣装をあてていく感じですね。反対に、スイーツからチョコレートを考えるときは、「この衣装に合うのはどんな子かな」というように、衣装にぴったりはまる人(チョコレート)を探すんです。――独特の感覚で、おもしろいですね!具体的な商品を例にとって、もう少し詳しく考え方のプロセスを教えてください。じゃあ、チョコレートプリンを例に紹介しましょう。 この商品は当初、「ベンチェ, ベトナム 70%」を使って作ることを前提に考えていました。ベトナム産のカカオは、マイルドな中にどこかエキゾチックなニュアンスがあるんです。それが僕には、「ベトナムの可憐な少女」のように感じられたので、そこから想像を膨らませていきました。少女は純粋でピュアだから、味は何層に組むよりもシンプルに。食感もぷるんと滑らかで、軽やかさや元気さが感じられる、はつらつとしたものが良いと思って、チョコレートプリンに行きつきました。 チョコレートプリン 5個セット¥3,780(税込)原材料は、牛乳、生クリーム、砂糖、卵、チョコレート、バニラビーンズのみ。カカオの味わいをダイレクトに感じていただけるように、シンプルな素材で仕上げました。ベトナム産カカオのマイルドな中に感じられるエキゾチックなニュアンスを存分に味わえる、Bean to Bar チョコレート専門店ならではのチョコレートプリンです。 ――同じ衣装(スイーツ)で、人(チョコレート)を変えることもありますか?ありますね。例えば、伊勢店のカヌレは、日本酒っぽさのあるフレーバーのチョコレートに合わせて三重の地酒を使っていますが、オンラインで販売しているカヌレはチョコレートもお酒も変えています(※)。 ※伊勢店で販売しているカヌレには、タンザニア産のカカオを使用したチョコレートと三重の地酒「義左衛門」を使用し、オンラインで販売しているカヌレには、ドミニカ共和国産のカカオを使用したチョコレートとラム酒を使用しています。同じカヌレなら伊勢店の物をそのまま販売すればいいように思いますが、実店舗とオンラインでは食べてもらうタイミングも、シチュエーションも違いますよね。伊勢で焼きたてのカヌレを食べるなら、酒感のあるチョコレートと伊勢の地酒を組み合わせるストーリーが活きてくるけど、オンラインで購入して冷凍で届いた物を「伊勢発の商品ですよ」といわれても、そのストーリーには没入しづらいと思うんですよ。 カヌレ¥3,564(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。 ――確かに、地の物はその土地で食べるからこそ伝わるメッセージがありますよね。なので、オンラインで販売するカヌレは「時間が経ってもカカオのおいしさを味わえるチョコレート体験」を重視して、使用するチョコレートとお酒を変えました。このように、お酒を使うスイーツを開発するにあたっては、合わせるお酒のバランスやマリアージュといった点で、ソムリエやバーテンダーをしていた経験を活かせています。――では、スイーツ開発において、使用するチョコレートが先に決まっていたメニューは?ダンデライオン・チョコレート初のクリスマス商品として作ったH2Oチョコレートムースは、ドミニカ共和国産のカカオを使用したチョコレートを使うことが決まっていました。こういうときは、そのチョコレートにとことん向き合うしかありません。 ※現在は販売していませんじっとチョコレートと対峙していると、「君にはそんな魅力もあるのね」「ここ(の要素)は隠しておきたいのね」というように、チョコレートのパーソナルな部分が少しずつ見えてきます。そこまで行けば、あとはどうすればそのチョコレートがもっとチャーミングになるかを考えるだけですね。――その子にどういう衣装を着せ、メイクを施すと、より美しく見えるかを考える…みたいなイメージですか?そうですね。「チョコレートのキリッとした酸味はすごく良いけど、それだけだときつく感じる人がいるかもしれないから、ムースにしたらやわらかくなるんじゃない?」とか、「生クリームでちょっと角を取ったら、優しい部分も引き立つんじゃない?」とか…。コーディネーターとして、もっと似合う着こなしを提案するような感じかもしれません。 「材料の良さが際立ったおいしい物」を作る努力が、人々の幸せにつながる ――お話しいただいたプロセスは、ダンデライオン・チョコレートが1種類のカカオ豆だけで作るシングルオリジンだからこそではないかと思いました。確かに、同じ商品でも使うチョコレートによって見える風景が全然違うのは、個性豊かなシングルオリジンにしかないおもしろさですね。スイーツづくりを計算式にすると、一つひとつの材料やプロセスを「1」として、それらを全部足した合計が完成形。でも、Bean...

持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコレートの本質

持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコ...

サンフランシスコで生まれたダンデライオン・チョコレートの日本進出を主導した堀淵清治は、日本第1号店の出店場所として東京・蔵前を選びました。窓の外に区立精華公園の緑が広がるこの場所は、元々戦後に建てられた倉庫だったといいます。なぜ、あえて都心の繁華街ではなく蔵前を選んだのでしょうか。蔵前の地に対する思い、そして日本のダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞きました。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現●Vol.2 不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を根づかせる ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 景色も建物も情緒のある「自分が毎日来たくなる」店に ――ダンデライオン・チョコレートの日本1号店として、蔵前を選んだのはなぜですか?まず、サンフランシスコの店と同じようにカフェを併設した大きなファクトリーを作るには、ある程度の広さが必要でした。そうなると、都心の繁華街では難しいですよね。ブルーボトルコーヒーの日本1号店を清澄白河にオープンして成功した経験もあるので、ブランドとお店に魅力があれば、繁華街でなくてもお客様は来てくれると思って、東京の東側を中心に場所を探していました。それで、あちこち見て歩いているとき、たまたま蔵前で良い所を見つけたんです。――何か、惹かれるものがあったんですね。蔵前は、職人文化が色濃く残る街。さらに、少し前からアーティストが拠点にし始めている場所でもあって、新しいものづくりの機運が高まっていました。そんな街の雰囲気にも魅力を感じたし、この建物にも惚れ込みました。元々は、戦前に使われていた倉庫だったそうなんですが、建物に歴史を感じるでしょ。お店に作り変えるにあたっても、建物自体の魅力を損なわないように気をつけて工事をし、古き良き雰囲気をできるだけ残すようにしました。あとは、建物から見える景色ですね。目の前に区立公園があって、春には桜の木がきれいな花を咲かせるし、初夏は新緑がとてもきれいなんです。2階から見える借景がとにかくすばらしくて、気持ちがいい。そういった要素が全部しっくりきて、「ここがお店になったら、自分なら毎日来てもいいな」と思えたから、蔵前に1号店を作ったわけです。ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前 ――2号店は、東京を遠く離れて、伊勢に建てられたのも意外でした。蔵前店をオープンしてすぐ、「伊勢神宮に良い物件があるけどどうか」と声をかけてくれる人がいたんです。僕は、アメリカにいるときから毎年秋になると必ず伊勢神宮へお参りに行っていて、特に伊勢の外宮が大好きだったから、これはもうやるしかないと。実際に見に行ってみたら、それが大正時代に建てられた、本当に素敵な建物だったんですよ。このときも、大正ロマンの香りがする建物と、ロケーションに一目惚れでした。一般的に、2号店を1号店とこれほど離れた場所に出すなんて、ありえないかもしれないけど、そういうことは抜きにして、伊勢でやりたいと思った。その直感はおかげさまで正しくて、伊勢外宮店も地元の皆さんに愛されるお店に育っています。ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店 “正しいこと”をやり続けることで、本質的なクラフトムーブメントは定着する ――世界的なクラフトムーブメントはいずれ定着し、日本にも浸透するはずだと確信して、ダンデライオン・チョコレートの日本展開を決めたとおっしゃっていましたが、現時点での手応えはいかがでしょうか。人にも自然にも優しい生産と消費のサイクルで、持続可能な市場を作っていくことは、これからの人類が必ず進まなければならない道。だから、僕らが今やっている取り組みは、廃れることはないはずです。そういう時代の潮流にのって“正しいこと”をちゃんとやり続けてさえいれば、「おいしいチョコレート屋さんができた」「新しいブランドができた」といった話題性にとどまらない、もっと本質的なクラフトムーブメントが定着していく…いや、定着していかざるをえないと確信しています。――「世界にとって必要なこと」を、変わらずやり続けることが肝になりますね。正しくないことをやっていたら、どこかで無理が来るでしょう。もちろん、いろいろなビジネスがあっていいんだけど、僕は社会から本当に求められることをやっていたい。そこがぶれなければ、ビジネスは有機的に成長していくと思っています。 ――今は“サスティナブル”や“SDGs”といった言葉が叫ばれるようになっていますが、これがただのトレンドではなくなるときは来るのでしょうか。もっといえば、もうすぐサスティナブルさえ薄っぺらだと感じるようになるかもしれません。ウイルスとの戦いがあり、災害が起き、自然が破壊されていく中で、今ある快適な状況を維持するサスティナブルは、どんどん難しくなっていくでしょう。そうしてサスティナブルなことができなくなって、捨てる、あきらめるといったことが求められるようになる世界で、ダンデライオン・チョコレートはどうしていくか。僕は、そこに「こだわりを持って少しずつ」というクラフトの考え方が活きてくると思っています。新しい世界でのダンデライオン・チョコレートの在り方を常に考えながら、クラフト市場を育てていきたいですね。――日本のダンデライオン・チョコレートは、今後どのような展開を考えていますか?コロナ禍はさまざまな影響を多方面に及ぼしましたが、新しい考え方も与えてくれました。オンラインでの販売はそのひとつです。2020年に店舗が閉鎖している時期に需要が拡大したオンラインストアは、今では店舗と並ぶ販売の軸になりました。在宅ワークがメインの人が増えているなど、新しい暮らしのスタイルが定着しつつある中で、今後はこれまで以上に直接お客様へ商品を届けるビジネスモデルに力を入れていくことになるでしょう。かといって、オンラインだけでは僕たちが伝えたいチョコレートの本質、ダンデライオン・チョコレートの本質を伝えきることができません。カカオ豆からチョコレートができるまでの工程や、カカオ豆の個性の引き出し方など、カカオの魅力と個性を体感してもらうチョコレート体験は、僕たちがずっと大切にしてきたこと。お店でのチョコレート体験で感じた驚きや感動を踏まえて、オンラインを通じても引き続きつながっていただけるモデルを作っていきたいと思っています。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中

持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコ...

サンフランシスコで生まれたダンデライオン・チョコレートの日本進出を主導した堀淵清治は、日本第1号店の出店場所として東京・蔵前を選びました。窓の外に区立精華公園の緑が広がるこの場所は、元々戦後に建てられた倉庫だったといいます。なぜ、あえて都心の繁華街ではなく蔵前を選んだのでしょうか。蔵前の地に対する思い、そして日本のダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞きました。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現●Vol.2 不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を根づかせる ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 景色も建物も情緒のある「自分が毎日来たくなる」店に ――ダンデライオン・チョコレートの日本1号店として、蔵前を選んだのはなぜですか?まず、サンフランシスコの店と同じようにカフェを併設した大きなファクトリーを作るには、ある程度の広さが必要でした。そうなると、都心の繁華街では難しいですよね。ブルーボトルコーヒーの日本1号店を清澄白河にオープンして成功した経験もあるので、ブランドとお店に魅力があれば、繁華街でなくてもお客様は来てくれると思って、東京の東側を中心に場所を探していました。それで、あちこち見て歩いているとき、たまたま蔵前で良い所を見つけたんです。――何か、惹かれるものがあったんですね。蔵前は、職人文化が色濃く残る街。さらに、少し前からアーティストが拠点にし始めている場所でもあって、新しいものづくりの機運が高まっていました。そんな街の雰囲気にも魅力を感じたし、この建物にも惚れ込みました。元々は、戦前に使われていた倉庫だったそうなんですが、建物に歴史を感じるでしょ。お店に作り変えるにあたっても、建物自体の魅力を損なわないように気をつけて工事をし、古き良き雰囲気をできるだけ残すようにしました。あとは、建物から見える景色ですね。目の前に区立公園があって、春には桜の木がきれいな花を咲かせるし、初夏は新緑がとてもきれいなんです。2階から見える借景がとにかくすばらしくて、気持ちがいい。そういった要素が全部しっくりきて、「ここがお店になったら、自分なら毎日来てもいいな」と思えたから、蔵前に1号店を作ったわけです。ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前 ――2号店は、東京を遠く離れて、伊勢に建てられたのも意外でした。蔵前店をオープンしてすぐ、「伊勢神宮に良い物件があるけどどうか」と声をかけてくれる人がいたんです。僕は、アメリカにいるときから毎年秋になると必ず伊勢神宮へお参りに行っていて、特に伊勢の外宮が大好きだったから、これはもうやるしかないと。実際に見に行ってみたら、それが大正時代に建てられた、本当に素敵な建物だったんですよ。このときも、大正ロマンの香りがする建物と、ロケーションに一目惚れでした。一般的に、2号店を1号店とこれほど離れた場所に出すなんて、ありえないかもしれないけど、そういうことは抜きにして、伊勢でやりたいと思った。その直感はおかげさまで正しくて、伊勢外宮店も地元の皆さんに愛されるお店に育っています。ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店 “正しいこと”をやり続けることで、本質的なクラフトムーブメントは定着する ――世界的なクラフトムーブメントはいずれ定着し、日本にも浸透するはずだと確信して、ダンデライオン・チョコレートの日本展開を決めたとおっしゃっていましたが、現時点での手応えはいかがでしょうか。人にも自然にも優しい生産と消費のサイクルで、持続可能な市場を作っていくことは、これからの人類が必ず進まなければならない道。だから、僕らが今やっている取り組みは、廃れることはないはずです。そういう時代の潮流にのって“正しいこと”をちゃんとやり続けてさえいれば、「おいしいチョコレート屋さんができた」「新しいブランドができた」といった話題性にとどまらない、もっと本質的なクラフトムーブメントが定着していく…いや、定着していかざるをえないと確信しています。――「世界にとって必要なこと」を、変わらずやり続けることが肝になりますね。正しくないことをやっていたら、どこかで無理が来るでしょう。もちろん、いろいろなビジネスがあっていいんだけど、僕は社会から本当に求められることをやっていたい。そこがぶれなければ、ビジネスは有機的に成長していくと思っています。 ――今は“サスティナブル”や“SDGs”といった言葉が叫ばれるようになっていますが、これがただのトレンドではなくなるときは来るのでしょうか。もっといえば、もうすぐサスティナブルさえ薄っぺらだと感じるようになるかもしれません。ウイルスとの戦いがあり、災害が起き、自然が破壊されていく中で、今ある快適な状況を維持するサスティナブルは、どんどん難しくなっていくでしょう。そうしてサスティナブルなことができなくなって、捨てる、あきらめるといったことが求められるようになる世界で、ダンデライオン・チョコレートはどうしていくか。僕は、そこに「こだわりを持って少しずつ」というクラフトの考え方が活きてくると思っています。新しい世界でのダンデライオン・チョコレートの在り方を常に考えながら、クラフト市場を育てていきたいですね。――日本のダンデライオン・チョコレートは、今後どのような展開を考えていますか?コロナ禍はさまざまな影響を多方面に及ぼしましたが、新しい考え方も与えてくれました。オンラインでの販売はそのひとつです。2020年に店舗が閉鎖している時期に需要が拡大したオンラインストアは、今では店舗と並ぶ販売の軸になりました。在宅ワークがメインの人が増えているなど、新しい暮らしのスタイルが定着しつつある中で、今後はこれまで以上に直接お客様へ商品を届けるビジネスモデルに力を入れていくことになるでしょう。かといって、オンラインだけでは僕たちが伝えたいチョコレートの本質、ダンデライオン・チョコレートの本質を伝えきることができません。カカオ豆からチョコレートができるまでの工程や、カカオ豆の個性の引き出し方など、カカオの魅力と個性を体感してもらうチョコレート体験は、僕たちがずっと大切にしてきたこと。お店でのチョコレート体験で感じた驚きや感動を踏まえて、オンラインを通じても引き続きつながっていただけるモデルを作っていきたいと思っています。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中