東京農業大学応用生物科学部栄養科学科を卒業後、洋菓子メーカーやスパイス開発会社、某チョコレートブランドに勤務。2015年、アメリカはポートランドで一人旅をしていたときにBean to Bar チョコレートに出会う。 2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパン入社。チョコレートバーの開発をはじめ、さまざまな業務に携わる。現在は、チョコレート・エクスペリエンスチームのマネージャーとして、ワークショップの講師やブログ記事の執筆などを行う。
旅先のポートランドで、カカオ豆の焙煎からすべての工程を自社で一貫して行うBean to Bar チョコレートというものを初めて知ったんです。 当時、私は大手チョコレートブランドで品質保証を担当していて、ベルギーの工場などにも視察に行っていたのですが、そこでは大きなタンクに入ったチョコレートがホースでどんどん型に流し込まれていくのが普通の光景で…。
チョコレートを繰り返し食べるうちに味覚が鍛えられていくのも実感しましたし、カカオ豆の産地ごとの味の違いもだんだん言葉で表現できるようになっていきました。 Bean to Barに関わる人、蔵前で働く人、世界のカカオ豆生産者たち…と、どんどん世界が広がっていく感覚も、それまで働いた会社にはなかったもので、とても新鮮でしたね。
一方で、オープン当初から企画・運営を任されていたワークショップでは、参加されるお子さんが、どうしてもチョコレートの苦みに抵抗がある様子なのが気になっていて。 日本では、まだBean to Bar チョコレートの独特の風味にハードルを感じる人も多いのではないかと感じて、今度はより広い層に愛されるチョコレートを作りたいと思いました。
――こういった取り組みを通じて、Bean to Bar チョコレートを知る方も増えているのではないでしょうか。
そうですね。最初は本国のプログラムや台本をお手本にしながら始めたものの、少しずつ独自の色合いが出てきていると思います。 主に、チョコレートの作り方や歴史をテーマにしてお話ししていますが、最近ではSDGsへの関心の高まりもあって、カカオ豆の産地や労働者の問題など、さまざまな切り口からBean to Barに興味を持ってくれる方が増えている印象です。
企業や学校からお声掛けいただき、元々チョコレートに興味のある方以外にもお話しすることも多くなりました。Bean to Bar チョコレートの認知が広がっているのを実感します。 これからも、「初めて知った!」「おもしろい!」という純粋な驚きや感動をより多くの人に味わってもらえるように、工夫を重ねていきたいですね。
――蔵前のダンデライオン・チョコレートでは、自社以外のチョコレートメーカーによる商品も販売されているなど、Bean to Bar チョコレート業界全体を盛り上げていこうという気持ちも強い印象があります。
狭い業界なので、横のつながりはとても強いんです。チョコレートメーカー同士で、テンパリングの仕方はどうしているとか、こんな機械を使っているとか、みんなオープンに情報交換をしてお互いを高め合っています。 お互いの工房を見に行くこともあって、「今度はファクトリーツアーをそれぞれのメーカーでやろう」なんて話もあるくらい(笑)。Bean to Barに対する共通の愛情や思いがあって、いっしょに成長していける可能性を感じています。