チョコレートの主原料であるカカオ豆。どのようなカカオ豆を使うかによって、チョコレートの味や香りは大きく変わります。カカオ豆の風味はカカオの品種や産地によって異なり、さらに発酵や乾燥の方法によっても変化します。同じ原材料で作られたチョコレートでも、カカオ豆が異なることでさまざまな味わいが楽しめるのもそのためです。
ここでは、チョコレートを知る上で欠かせないカカオ豆について、その特徴や代表的な生産地、品種についてご紹介します。
カカオ豆とは?
チョコレートやココアの主原料であるカカオ豆とは、カカオの木に実る果実の中にある種子を指します。まずは、そもそもカカオとはどのようなものなのか見ていきましょう。
カカオは「神様の食べもの」?
カカオの学名は「テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)」。テオブロマとはギリシア語で「神様の食べもの」という意味を持ちます。この名前が表すように、かつてカカオ豆はとても珍重されていました。
例えば、メキシコのアステカ王国においては、カカオ豆は飲料としてだけでなく、神様への供ものや貨幣としても用いられていたといいます。
ヨーロッパでカカオ豆がチョコレートの原料として広まって以降も、しばらくのあいだは上流階級だけが口にすることのできる貴重な嗜好品だったのです。
カカオの木の特徴
カカオの木はアオギリ科の常緑種で、「カカオノキ」「ココアノキ」とも呼ばれています。高さは7~10m、幹は大きいもので30~40cmと、太く大きな木に育ちます。
また、カカオの木は花も特徴的で、無数の白い花が枝や幹に一年中咲きます。この花が「カカオポッド」と呼ばれるカカオの実の元になるのです。
カカオ豆の正体はカカオポッド
「カカオ豆」と呼ばれてはいるものの、カカオはマメ科の植ものではありません。カカオの実の内側にある種子が、カカオ豆と呼ばれています。
カカオの実は長さ15~30cm、直径10~15cm程のラグビーボール状で、枝や幹にたくさんぶら下がるようにして実るのも大きな特徴。
硬い殻で覆われたカカオポッドを割ると、中には「パルプ」という白い果肉があり、その内側にカカオ豆が並んでいます。ひとつのカカオポッドにつき、通常30~40個のカカオ豆が入っています。
発酵させたカカオ豆がチョコレートの主原料
カカオポッドからパルプごと取り出したカカオ豆を発酵させたものが、チョコレートの主原料になります。チョコレートらしい風味の元となる成分は、この発酵の過程を経ることで生まれるのです。
カカオの生産地は湿潤で雨の多い亜熱帯地域
カカオ豆は、どのような環境で育つのでしょうか。カカオの木の生育条件は、なるべく湿潤で降雨量の多い地域。具体的には、次のような気候や土壌などの環境が求められます。
【カカオの木の生育条件】
・平均気温27℃以上であり、年間を通じて気温差が少ない
・平均日照時間が1日5~7時間
・降雨量が年間1,500~2,500mm以上
・高温多湿
・規則的な降雨と排水の良い土壌がある
・風除けや日除けとなる樹木も育てられる
このような条件を満たすのは、通称「カカオベルト」と呼ばれる、赤道の南北20°に位置する中南米や西アフリカ、東南アジアといった亜熱帯の国々。
代表的なカカオの生産国としては、エクアドル、ベネズエラ、コートジボワール、ガーナ、インドネシアなどが挙げられます。
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・カカオベルトはどこにある?カカオ豆が育つ条件とは
なお、ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーは、ホンジュラスやコスタリカ、ベリーズ、グアテマラ、ベトナムといった国々のカカオ豆を原料として使用。私たちは、使用するすべてのカカオ豆の生産者の元を訪れ、良質なカカオ豆を選んでいます。
次の記事で、各産地について詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
連載「カカオの生産地を知ろう」
- コスタ・エスメラルダス, エクアドル
- アンバンジャ, マダガスカル
- ワンプゥ, ホンジュラス
- ハシエンダ・アズール, コスタリカ
- カアボン, グアテマラ
- マヤ・マウンテン, ベリーズ
- ソルサル・コミュにタリオ, ドミニカ共和国
- ベンチェ, ベトナム
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カカオ豆の品種
コーヒー豆と同じく、カカオ豆は品種によっても香りや味が変わってきます。
ここでは、代表的なカカオの品種を見ていきましょう。現在、カカオの主な品種は「クリオロ種」「フォラステロ種」「トリニタリオ種」の3系統に分類されています。
クリオロ種
中南米に多く生息し、豊かなフレーバーが特徴的なクリオロ種。病害虫に弱いため栽培が難しく、生産量全体のうち3~5%程の希少種です。
その希少性の高さから「幻のカカオ」とも呼ばれる「ホワイトカカオ」も、このクリオロ種の一種です。
フォラステロ種
アフリカをはじめ、広く分布するフォラステロ種は、苦味や渋味が強く、香りもクリオロ種ほど豊かではありません。しかし、病害虫に強く栽培しやすいことから、生産量は全体のおよそ80%を占めます。
大量生産のチョコレートに使用されるのも、このフォラステロ種が多いようです。
トリニタリオ種
トリニタリオ種は、クリオロ種とフォラステロ種のハイブリッド品種で、この2つの品種の強みを兼ね備えたカカオです。中米に多く生息し、風味もさまざま。病害虫に強いため、栽培もしやすい品種です。生産量は全体の15~20%程を占めています。
ただ、これらの品種がチョコレートの味わいにどれくらい影響するかは、さまざまな要因が絡んでくるので一口に言うのは難しいです。それは、チョコレートづくりにはカカオを収穫した後に発酵・乾燥というプロセスを経るため…など、さまざまな理由があるから。
詳しくは、次の記事で紹介していますので、興味のある方はご覧ください。
カカオ豆に注目すると、チョコレート選びがより楽しくなる!
カカオの生産地や品種によって、チョコレートの味や香りにもさまざまな違いが生まれます。
普段、何気なく口にしているチョコレートも、カカオ豆の産地や種類にも注目してみることで、選び方や味わい方に新たな楽しみを発見できるのではないでしょうか。
ダンデライオン・チョコレートのブログでは、チョコレートバーに使われているカカオ豆の産地紹介の他に、種類ごとのフレーバーやおすすめのペアリングなどもご紹介しています。チョコレート選びの際には、ぜひ参考にしてみてください。
シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。