チョコレートの「ペアリング」について考える。

こんにちは。ペストリーシェフの森本です。

皆さんは食べ物の「ペアリング」というと、どんなものを想像するでしょう?
ワインの世界では、昔から「肉料理には赤、魚料理には白」と言われていますが、日本にも「抹茶に上生菓子」など、古くから親しまれているペアリングがあります。

最近ではレストランやカフェなど、様々な場所で目や耳にする「ペアリング」という言葉。
今日はこの言葉に注目しつつ、チョコレートにまつわるペアリングについて、お話させていただこうと思います。

1. そもそも、「ペアリング」って何のこと?

「ペアリング」と同じような使われ方をする言葉に「マリアージュ」があります。これらは共に「単体ではなく一緒に味わうことで相乗効果を引き出し、その美味しさを増幅させる食べ物の組み合わせ」を指す言葉。
どちらも以前は、ワインと料理など、飲み物と食べ物の組み合わせに使用されることが多かったようです。

そこから次第に、食品同士の組み合わせにも使われるようになったこれらの言葉ですが、厳密にいえば、ペアリングは「相性のよい最適の組み合わせ」、フランス語で結婚という意味を持つマリアージュは「新たな美味しさを生み出す組み合わせ」となるそう。

では皆さんは、これらの言葉からどんな組み合わせを思い起こしますか?

しっかり香りを抽出した紅茶とイチゴのショートケーキ、キンキンに冷えた生ビールと茹でたての枝豆、淹れたての緑茶と団子…...。
食事をより一層美味しく楽しく感じることが出来る組み合わせを、皆さんもきっとご存じですよね。

食品同士のペアリングについては、2011年に「フードペアリング理論」という食べ合わせについての論文も発表されています。
ざっくりと言うと「食品同士のフレーバーの相性に注目すれば、美味しさを引き出すことができる」というこのサイエンス理論。今や三ツ星シェフも活用するほど、世界的に注目されているようです。
科学的な視点からも、食べ物には最良の「ペアリング」が存在するということが証明されているんですね。

2. チョコレートの「ペアリング」を見つけよう。

ではここからは、チョコレートのペアリングについて考えてみましょう。
よくイメージされるのは「チョコレート」×「コーヒー」ですが、これらはなぜ相性が良いのでしょうか?

もちろん味わいのバランスというところもあります。
心地良い苦味と香ばしい香り、お互いの味わいを助長してくれる濃度。
その他、いわゆるフレイバーの部分以外にも、相性の良さにつながるものがあるのでは、と私は考えています。

例えば、チョコレートとコーヒーは「プロセス(作られる経過)が似ている」ということ。
どちらも元々は果実で、「発酵」、「乾燥」、「焙煎」とプロセスが似ていますよね。
このように同じ要素を持つものはペアリングがしやすい傾向にあるのではないでしょうか。

3. 因数分解で紐解く、ペアリングの面白さ。

チョコレートを因数分解して紐解くことで、ペアリングをさせやすいモノを見つけられるとしたら、その他には、どんな切り口があるのでしょうか?

1つは「産地」。
ドミニカ共和国産のカカオ豆から作られたチョコレートには、同じドミニカ共和国産のラム酒を合わせてみるのはどうでしょう。そこには、同じ国で作られたというテロワール(気候風土)やストーリーが紐付くかもしれません。

次に「アロマ」。
例えば、チェリーのようにジューシーな酸味を引き出す焙煎によって作られたチョコレートには、発酵させたサクランボから作られるブランデーのキルシュを。または、チェリーから連想される「色」から、華やかなピノ・ノワールの赤ワインを合わせるのもいいかもしれません。

その他にも「作られる過程」に注目してみるのも面白いでしょう。
作成プロセスにおける作業の強弱(急速な発酵なのか、緩やかな発酵なのか)や濃淡(しっかりとした深い焙煎なのか、じっくりと火入れする優しい焙煎なのか)によっても、そのチョコレートから感じる印象、風味は変わってきます。
ここに注目すると、意外なペアリングが見つかるかもしれません。

4. ぜひ、あなたならではの「ペアリング」を。

このように、「チョコレート」という1つのモノにしっかりと向き合い、紐解いていけば、何通りもの「ペアリング」が見つかりそうです。

自分好みのペアリングを見つける旅。ちょっと面白そうじゃありませんか?

ちなみに私が試してみたいのは、表参道店限定の「H2Oチョコレートムース」×デザートワイン。その他、ダンデライオン・チョコレートのバーを開発したプロファイラーたちがおススメするペアリングは、以下のようになっています。

ワンプゥ,ホンジュラス70%』× 赤ワイン(フルボディ)、白ワイン(フルボディ)

マヤ・マウンテン,ベリーズ70%』× フルーティーな日本酒、煎茶

何から組み合わせればいいの?と迷ってしまった方は、上記のような、おすすめのペアリングを試すところからスタートしてもいいかもしれません。
そして「いいな」と思うペアリングがあれば、それをぜひ因数分解してみてください。
そこにはご自身の嗜好の軸、好みのペアリングを見つける鍵があるはずです。

Bean to Barクラフトチョコレートでは、チョコレート自体にも産地は勿論、カカオ分や粒度、添加物など様々なバリエーションがあるので、ペアリングの探しがいがありそうです。
ぜひ、自分なりの楽しい、美味しいペアリングを探してみてください。

関連商品

日本酒とチョコレートのペアリングセット
¥8,140(税込)
「作 凝縮 concentration H」とチョコレートバーのペアリングセット。
フルーティーな酸味を持つマヤマウンテン, ベリーズ 70%とのペアリングでは、「作 凝縮 concentration H」の澄んだ果実感との調和を、黒糖やハニーキャラメルのような密度の濃い風味のベンチェ, ベトナム 70%とは、「作 凝縮 concentration H」のすっきりとしたリキュールのような味わいとのマリアージュをお楽しみいただけます。

チョコレートバー各種
¥1,296(税込)
シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。

ブログに戻る