エクアドルはどんな国?
南アメリカ大陸の北西部、コロンビアとペルーに接し、西は太平洋に面している赤道直下の国です。
国土の面積は約25.6万㎢で、日本の本州と九州を合わせた広さ。人口は1,737万人(2019年)で、日本の約1/10になります。
国土の中央をアンデス山脈が縦断しており、その両側に盆地があります。そのため気候も複雑で、標高などによって4つの地域に分類されており、中央のアンデス山脈が縦断する地域である「シエラ」、太平洋に面する亜熱帯低地である「コスタ」、東部のアマゾン川上流熱帯雨林が広がる地域である「オリエンテ」、そしてガラパゴス諸島、となっています。
公用語はスペイン語、ちなみに「エクアドル」という名前はスペイン語で「赤道」という意味だそうです。
エクアドルのカカオ事情
国の主要産業は石油などの鉱業、農業、水産業と言われていますが、その中でカカオは世界の生産量第5位(約5%)、南米では最もカカオ豆の生産量が多い国です(2019年:284千トン)。
現在の考古学的研究によると、実はカカオの起源はエクアドルと言われています。そんなエクアドルにはアリバ・ナシオナルという独特のフローラルな香りが特徴であるエクアドル固有の品種があります。しかし今から50年ほど前、ある農学者によってCCN-51という改良品種が開発されたことで、エクアドルのカカオ生産は一変します。CCN-51は大きな実をつける分その中の種の数も多く、また病害虫の耐性が強いため、生産性の高い品種です。同じカカオを育てるなら収益性の高い品種を育てたいと、アリバ・ナシオナル種からCNN-51に乗り換える農家が増え、アリバ・ナシオナル種は一時衰退の一途をたどっていました。
エクアドルの固有種に立ち返り栽培に尽力する生産者や、CNN-51をより美味しく加工しスベシャルティカカオとして販売する生産者など、エクアドル全体のカカオの品質価値向上に努める生産者が多くいます。一口に「エクアドル産カカオ」と言ってもフレーバーがそれぞれ異なるため、どんな生産者かまで知ることで、よりそのカカオの味わいを深く感じることができるでしょう。
コスタ・エスメラルダスについて
コスタ・エスメラルダスの「コスタ」は「海岸」の意味。エクアドルの北端、海岸沿いに位置するエスメラルダス郡に、サラザール一家が10年ほど前に土地を購入し始めた、家族経営のカカオ生産者です。
手付かずの土地から始めたカカオ栽培は苦難の連続でした。道路も整備されていない乾燥した牧草地は決してカカオを栽培するのに適した土地ではなく、小さな農園では適切なアドバイスを受けることも難しく、サラザール家は一時農園を手放すことを考えなくてはいけなくなるほどひどい赤字状態になりました。
しかし、サラザール家の息子フレディが経営に参画したことで、状況が少しずつ改善されました。フレディはビジネススクールで学んだことを農園経営に当てはめ、農園のマネージメント強化と栽培技術や知識の向上に努めました。
土作りから発酵に至るまで研究を重ね、現在はCCN-51をコモディティカカオとして、ネオ・ナシオナル種(アリバ・ナシオナルと、病気に強く生産性の高い品種の掛け合わせ)をスペシャルティカカオとして栽培・加工し、両方を育てながら、カカオ豆の品質向上と、農園の長期安定化に取り組んでいます。
若くしてコスタ・エスメラルダスの取締役で農場長も務めるフレディのカカオ豆は毎年安定した品質とフレーバーで、多くの努力を重ねたからこそ生まれる自信みなぎる味わいに、私たちも魅了されています。
コスタ・エスメラルダスが目指すカカオ農園
フレディは自らの事業を進める上で、周囲のコミュニティと共存共生することを最も大事にしています。例えば、現在も土地の一部でバナナや柑橘類を生産しているほか、野生動植物の繁殖地となっている原生林も残しています。
2017年に農園を拡大した際には、周囲の環境への影響を細かく分析し、またチョコレートメーカーが将来必要になるであろうカカオの品種を選定するなど、周囲で関わる全ての人たちにとって良い結果が生まれるように配慮しています。
発酵の専門家ダン・オドハティが設計した理想的な発酵・乾燥施設から生まれるフレディのカカオ豆は、安定的かつ繊細で複雑な香りを持ち合わせており、海外の多くのチョコレートメーカーから愛されるカカオ豆となっています。
エクアドルのBean to Bar チョコレートメーカー
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