OUR DAYS

日々の出来事

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Magic of 85

Magic of 85

  少し前から「ハイカカオ(高カカオ)」チョコレートなどと言う言葉を耳にするようになりました。健康や美容に興味がある方は一度は耳にしたことのあるフレーズかと思います。   日本チョコレート・ココア協会によると、チョコレートの「ハイカカオ」の表示に定義はなく、一般的にカカオ分40~60%くらいまでのチョコレートが『ビター』『ブラック』『ダーク』などと呼ばれ、それ以上カカオ分が高いチョコレートについてはハイカカオなどと言うことが多いそうです。食べ馴染みのあるチョコレートに比べ、健康にいいとされているカカオポリフェノールが効率的にとれるうえ、砂糖や乳脂肪が少なくヘルシーだということが人気の理由だそうです。     ダンデライオン・チョコレート・ジャパンで現在販売しているチョコレートは7種類。その中で最もカカオ含有量が高いのは85%の「ココアカミリ, タンザニア」と「サン・ファン・エステート, トリニダード」のチョコレートバーです。こちらの2種類のチョコレートは蔵前のファクトリーで初めて作られたバーで、ロット数も残りわずかとなりました。   サン・ファン・エステート, トリニダード開発者インタビュー →伴野智映子     現在、日本のダンデライオン・チョコレートでは85%、70%のチョコレートを、サンフランシスコでは100%、85%、70%のチョコレートを販売しています。ダンデライオン・チョコレートのチョコレートはカカオ本来の味を純粋に味わうために、シングルオリジンのカカオ豆とオーガニックのケインシュガーのみで作られています。 100%はお砂糖が一切入っていないので甘みがなく、カカオ豆自体の味が強く出ています。チョコレート通好みではありますが、日本人にはあまり馴染みのない味かもしれません。 70%はダンデライオン・チョコレートで一番ノーマルなチョコレートです。お砂糖が30%入っているので食べやすく、親しみやすい味わいです。Bean to Barメーカーでも一番多く作られているのが70%のチョコレートとも言われています。   そして、今回ご紹介させていただく85%は、チョコレートメーカーのトレバー・ファスト曰く「絶妙なバランスのチョコレート」。豆本来の味を楽しむことができ、Bean to Barを食べ慣れた人にも甘すぎず苦すぎない、まさに「ちょうどいい」チョコレートです。 以前「ココアカミリ, タンザニア 85%」と「サン・ファン・エステート, トリニダード 85%」のプロファイリングをし、久々に70%のチョコレートを食べた際、甘みの強さに衝撃を受けました。普段Bean to...

Magic of 85

  少し前から「ハイカカオ(高カカオ)」チョコレートなどと言う言葉を耳にするようになりました。健康や美容に興味がある方は一度は耳にしたことのあるフレーズかと思います。   日本チョコレート・ココア協会によると、チョコレートの「ハイカカオ」の表示に定義はなく、一般的にカカオ分40~60%くらいまでのチョコレートが『ビター』『ブラック』『ダーク』などと呼ばれ、それ以上カカオ分が高いチョコレートについてはハイカカオなどと言うことが多いそうです。食べ馴染みのあるチョコレートに比べ、健康にいいとされているカカオポリフェノールが効率的にとれるうえ、砂糖や乳脂肪が少なくヘルシーだということが人気の理由だそうです。     ダンデライオン・チョコレート・ジャパンで現在販売しているチョコレートは7種類。その中で最もカカオ含有量が高いのは85%の「ココアカミリ, タンザニア」と「サン・ファン・エステート, トリニダード」のチョコレートバーです。こちらの2種類のチョコレートは蔵前のファクトリーで初めて作られたバーで、ロット数も残りわずかとなりました。   サン・ファン・エステート, トリニダード開発者インタビュー →伴野智映子     現在、日本のダンデライオン・チョコレートでは85%、70%のチョコレートを、サンフランシスコでは100%、85%、70%のチョコレートを販売しています。ダンデライオン・チョコレートのチョコレートはカカオ本来の味を純粋に味わうために、シングルオリジンのカカオ豆とオーガニックのケインシュガーのみで作られています。 100%はお砂糖が一切入っていないので甘みがなく、カカオ豆自体の味が強く出ています。チョコレート通好みではありますが、日本人にはあまり馴染みのない味かもしれません。 70%はダンデライオン・チョコレートで一番ノーマルなチョコレートです。お砂糖が30%入っているので食べやすく、親しみやすい味わいです。Bean to Barメーカーでも一番多く作られているのが70%のチョコレートとも言われています。   そして、今回ご紹介させていただく85%は、チョコレートメーカーのトレバー・ファスト曰く「絶妙なバランスのチョコレート」。豆本来の味を楽しむことができ、Bean to Barを食べ慣れた人にも甘すぎず苦すぎない、まさに「ちょうどいい」チョコレートです。 以前「ココアカミリ, タンザニア 85%」と「サン・ファン・エステート, トリニダード 85%」のプロファイリングをし、久々に70%のチョコレートを食べた際、甘みの強さに衝撃を受けました。普段Bean to...

6月開催ワークショップ日程のお知らせ

6月開催ワークショップ日程のお知らせ

  6月のワークショップの日程が決定しました。Peatixページで本日より受付を開始いたします。 →お申し込みページ   6月のワークショップは初の試みとして、Chocolate 101 をプレミアムフライデーに開催いたします!土日は忙しくて参加できなかった皆さま、ぜひこの機会にご検討ください。   ■ Factory Tour 6/14(水) 18:45-19:30 6/21(水) 18:45-19:30 6/28(水) 18:45-19:30   ■【Step1】 Chocolate 101 6/18(土) 10:30-12:30 6/30(金) 17:00-19:00   ■ 【Step2】Chocolate 201 6/10(土)...

6月開催ワークショップ日程のお知らせ

  6月のワークショップの日程が決定しました。Peatixページで本日より受付を開始いたします。 →お申し込みページ   6月のワークショップは初の試みとして、Chocolate 101 をプレミアムフライデーに開催いたします!土日は忙しくて参加できなかった皆さま、ぜひこの機会にご検討ください。   ■ Factory Tour 6/14(水) 18:45-19:30 6/21(水) 18:45-19:30 6/28(水) 18:45-19:30   ■【Step1】 Chocolate 101 6/18(土) 10:30-12:30 6/30(金) 17:00-19:00   ■ 【Step2】Chocolate 201 6/10(土)...

日本酒とチョコレート(2)

日本酒とチョコレート(2)

  今回のレポートはダンデライオン・チョコレートのスタッフtomoがお届けします。     新幹線でJR名古屋駅に到着し、近鉄電車に乗り換えます。木曽三川を超え、桑名、四日市を経て40分ほどで白子駅に到着。駅西側のロータリーに停車しているタクシーを拾い、若松町にむかいます。道中は ところどころに旧伊勢街道の風情を残しています。その街道から路地に入ると、清水清三郎商店があります。事務所の戸を開けると、蔵元の奥様、雅恵さんがいらっしゃいました。暖かく迎えていただき事務所奥の応接間に入ります。室内は、1869年創業という伝統を感じさせます。椅子や机など調度品からも丁寧に使い込まれてきた歴史が溢れて来ます。     他の用務から蔵元である清水慎一郎さんがお戻りになられ、早速、最近の酒普及活動のご様子や、酒造りに関する哲学、そして鈴鹿という地域の歴史的な立ち位置について、多くのお話をいただきます。ダンデライオン・チョコレートが伊勢神宮外宮前に開店したこともよくご存知で、わたしたちの訪問に合わせ前日に店に足をお運びいただき、興味を持っていただいていることに恐縮します。   清水清三郎商店 蔵元 清水慎一郎さん   この鈴鹿から伊勢にかけての地が、大和朝廷を守るための一大拠点であると同時に美味しい米や魚、そして酒を作り供給する地であったこと。三重という県名が、ヤマトタケルが東征の帰途ここで、「わがまがり足は三重の勾のごとく、いと疲れたり」と残し、息絶えたことに由来すること。慎一郎さんは東京でワインの仕事に携われた後、この清水商店蔵元としてお戻りになられたとお聞きしましたが、その後のご活躍は地元への造詣と愛が原動力なのだと腑に落ちます。 蔵に戻られた頃の状況は最悪だったそうです。日本各地に数多存在した酒蔵は、戦中から1982年まで続いた酒税法体制、すなわち日本酒級別制度の中で、もうどうにもならない状況に陥っていたと言います。戦中戦後という混乱期にあって、酒の品質統制を行うのは自然なことであったのでしょうが、その後、原料米の確保ができるようになっても形骸化した制度の下で、日本酒(と定義されるもの)が平板な工業製品と化してしまったという皮肉な事態が起こったのです。 慎一郎さんは、地元の青年を杜氏として採用し、通年仕込みをして、より高みを目指す酒の製造を開始されました。同時に屋号も代々の蔵元の名前である清水清三郎の名前を使って、一新されます。さらりと行った施策ですが、長年の酒造りの歴史への敬意とたゆまぬ変化へのコミットメントが重なります。     フラッグシップであり伝統を守り芳醇な香りを誇る「鈴鹿川」、カジュアルかつしなやかな味を探求する「作(ざく)」、そして火入れ酒からの挑戦という意味をこめた「プロトタイプ作(ざく)」。それらのお酒を従来の殻を破り、日本全国はもとより世界中に出かけて、クラフト酒の普及に積極的に取り組んでおられます。 こうした、蔵元の姿は、チョコレートの歴史、そしてダンデライオン・チョコレートが今いる状況ともシンクロします。ダンデライオン・チョコレートの共同創業者であるトッドは、チョコレートを作りたいと思った時に、“自分が何も知らなかったことに愕然とした”といいます。子供の頃に食べたあのノスタルジックな風味を自分で作りたい。そう思って、チョコレートの歴史や作り方を調べ直し、チョコレート作りを再発見していったのです。カカオを求め世界を旅し、そして作り方を探求し、サンフランシスコで受け入れられた後、クラフトの意識に溢れた日本にやって来ました。チョコレートの歴史に敬意を評しつつ、チョコレートの可能性を広げるべく実験を重ね、その結果をシェアしています。     蔵は今増設中で、新旧の設備が渾然一体となって配置されています。 屋内には、いくつかのタンクがあります。通年仕込みをするために、ウォータージャケットを持つ二重槽タンクとなっています。タンクの温度をできる限り安定的に制御できるよう、外側の槽に水を回して発酵時の発熱を制御すると同時に、夏場の暑さから発酵槽を守る役目をしています。     麹室は、きちんと温調され、温度などの室内環境のデータが収集されています。最近、データがあれば、もはや杜氏はいらないという極論が出ることがあると言います。しかし、慎一郎社長はそれを否定します。「データはデータにすぎず、そこから(そしてデータ以外のことを勘案して)、次のアクションを決めるのは杜氏の仕事だから」です。よって、酒の味を決めるのは、「人」にあると断言されます。長年の歴史をもつ日本酒の世界では、米、水、そして麹がそれぞれ体系化され(無論複雑で未解決のこともあるのですが)ており、本当に「酒」の出来に貢献しているのは、杜氏ら酒造りに関わる「人」なのだと強調されます。   杜氏...

日本酒とチョコレート(2)

  今回のレポートはダンデライオン・チョコレートのスタッフtomoがお届けします。     新幹線でJR名古屋駅に到着し、近鉄電車に乗り換えます。木曽三川を超え、桑名、四日市を経て40分ほどで白子駅に到着。駅西側のロータリーに停車しているタクシーを拾い、若松町にむかいます。道中は ところどころに旧伊勢街道の風情を残しています。その街道から路地に入ると、清水清三郎商店があります。事務所の戸を開けると、蔵元の奥様、雅恵さんがいらっしゃいました。暖かく迎えていただき事務所奥の応接間に入ります。室内は、1869年創業という伝統を感じさせます。椅子や机など調度品からも丁寧に使い込まれてきた歴史が溢れて来ます。     他の用務から蔵元である清水慎一郎さんがお戻りになられ、早速、最近の酒普及活動のご様子や、酒造りに関する哲学、そして鈴鹿という地域の歴史的な立ち位置について、多くのお話をいただきます。ダンデライオン・チョコレートが伊勢神宮外宮前に開店したこともよくご存知で、わたしたちの訪問に合わせ前日に店に足をお運びいただき、興味を持っていただいていることに恐縮します。   清水清三郎商店 蔵元 清水慎一郎さん   この鈴鹿から伊勢にかけての地が、大和朝廷を守るための一大拠点であると同時に美味しい米や魚、そして酒を作り供給する地であったこと。三重という県名が、ヤマトタケルが東征の帰途ここで、「わがまがり足は三重の勾のごとく、いと疲れたり」と残し、息絶えたことに由来すること。慎一郎さんは東京でワインの仕事に携われた後、この清水商店蔵元としてお戻りになられたとお聞きしましたが、その後のご活躍は地元への造詣と愛が原動力なのだと腑に落ちます。 蔵に戻られた頃の状況は最悪だったそうです。日本各地に数多存在した酒蔵は、戦中から1982年まで続いた酒税法体制、すなわち日本酒級別制度の中で、もうどうにもならない状況に陥っていたと言います。戦中戦後という混乱期にあって、酒の品質統制を行うのは自然なことであったのでしょうが、その後、原料米の確保ができるようになっても形骸化した制度の下で、日本酒(と定義されるもの)が平板な工業製品と化してしまったという皮肉な事態が起こったのです。 慎一郎さんは、地元の青年を杜氏として採用し、通年仕込みをして、より高みを目指す酒の製造を開始されました。同時に屋号も代々の蔵元の名前である清水清三郎の名前を使って、一新されます。さらりと行った施策ですが、長年の酒造りの歴史への敬意とたゆまぬ変化へのコミットメントが重なります。     フラッグシップであり伝統を守り芳醇な香りを誇る「鈴鹿川」、カジュアルかつしなやかな味を探求する「作(ざく)」、そして火入れ酒からの挑戦という意味をこめた「プロトタイプ作(ざく)」。それらのお酒を従来の殻を破り、日本全国はもとより世界中に出かけて、クラフト酒の普及に積極的に取り組んでおられます。 こうした、蔵元の姿は、チョコレートの歴史、そしてダンデライオン・チョコレートが今いる状況ともシンクロします。ダンデライオン・チョコレートの共同創業者であるトッドは、チョコレートを作りたいと思った時に、“自分が何も知らなかったことに愕然とした”といいます。子供の頃に食べたあのノスタルジックな風味を自分で作りたい。そう思って、チョコレートの歴史や作り方を調べ直し、チョコレート作りを再発見していったのです。カカオを求め世界を旅し、そして作り方を探求し、サンフランシスコで受け入れられた後、クラフトの意識に溢れた日本にやって来ました。チョコレートの歴史に敬意を評しつつ、チョコレートの可能性を広げるべく実験を重ね、その結果をシェアしています。     蔵は今増設中で、新旧の設備が渾然一体となって配置されています。 屋内には、いくつかのタンクがあります。通年仕込みをするために、ウォータージャケットを持つ二重槽タンクとなっています。タンクの温度をできる限り安定的に制御できるよう、外側の槽に水を回して発酵時の発熱を制御すると同時に、夏場の暑さから発酵槽を守る役目をしています。     麹室は、きちんと温調され、温度などの室内環境のデータが収集されています。最近、データがあれば、もはや杜氏はいらないという極論が出ることがあると言います。しかし、慎一郎社長はそれを否定します。「データはデータにすぎず、そこから(そしてデータ以外のことを勘案して)、次のアクションを決めるのは杜氏の仕事だから」です。よって、酒の味を決めるのは、「人」にあると断言されます。長年の歴史をもつ日本酒の世界では、米、水、そして麹がそれぞれ体系化され(無論複雑で未解決のこともあるのですが)ており、本当に「酒」の出来に貢献しているのは、杜氏ら酒造りに関わる「人」なのだと強調されます。   杜氏...

Craft Chocolate Festival(3)Bean to Barとカカオビジネス

Craft Chocolate Festival(3)Bean to Barとカカオビジネス

  1月28日(土)・29日(日)と2日間にわたって開催した“Craft Chocolate Festival presented by Bean to Bar Summit(CCF)”。最終回は海外のBean to Bar関係者によるパネルディスカッション、「Bean to Barとカカオビジネス」の模様をお伝えします。     そもそもCCFの趣旨は、Bean to Barを単なる一過性のムーブメントではなく、カルチャーとして日本に根付かせること。そのためにも、海外で生まれたBean to Barの本質の部分をもっと理解したい・理解してほしいという思いから、「Bean to Barとカカオビジネス」というテーマを選びました。 Bean to Bar業界には、既存の価値観や常識に縛られず、新しいビジネスモデルを生み出している面白いプレーヤーがたくさんいます。そんなカカオ生産者、ブローカー、チョコレートメーカーを集めてこの業界について熱く語ってもらえたら、日本でのBean to Barが次のステップに進むための糸口が見えてくるかもしれないと。   そんな思いに快く応じ、世界各国から駆けつけてくれたのが今回のメンバー。前回に続きモデレーターを務めるのは、SFのダンデライオン・チョコレートでソーシング(カカオ豆の調達)を一手に引き受けるグレッグ。パネリストには、ブローカー側からMeridian...

Craft Chocolate Festival(3)Bean to Barとカカオビジネス

  1月28日(土)・29日(日)と2日間にわたって開催した“Craft Chocolate Festival presented by Bean to Bar Summit(CCF)”。最終回は海外のBean to Bar関係者によるパネルディスカッション、「Bean to Barとカカオビジネス」の模様をお伝えします。     そもそもCCFの趣旨は、Bean to Barを単なる一過性のムーブメントではなく、カルチャーとして日本に根付かせること。そのためにも、海外で生まれたBean to Barの本質の部分をもっと理解したい・理解してほしいという思いから、「Bean to Barとカカオビジネス」というテーマを選びました。 Bean to Bar業界には、既存の価値観や常識に縛られず、新しいビジネスモデルを生み出している面白いプレーヤーがたくさんいます。そんなカカオ生産者、ブローカー、チョコレートメーカーを集めてこの業界について熱く語ってもらえたら、日本でのBean to Barが次のステップに進むための糸口が見えてくるかもしれないと。   そんな思いに快く応じ、世界各国から駆けつけてくれたのが今回のメンバー。前回に続きモデレーターを務めるのは、SFのダンデライオン・チョコレートでソーシング(カカオ豆の調達)を一手に引き受けるグレッグ。パネリストには、ブローカー側からMeridian...

Craft Chocolate Festival (2)日本のクラフトチョコレートマーケット

Craft Chocolate Festival (2)日本のクラフトチョコレートマーケット

  1月28日(土)・29日(日)と2日間にわたって開催した“Craft Chocolate Festival presented by Bean to Bar Summit(CCF)”。前回のカカオ鑑定家、クロエ・ドゥートレ・ルーセルさんの基調講演に続き、今回は日本のBean to Barメーカーによるパネルディスカッションをお伝えしたいと思います。     日本国内からは、九州初のBean to Barメーカー「カカオ研究所」所長 中野利美さん。神奈川県横浜市にある「VANILLABEANS(チョコレートデザイン株式会社)」の代表 八木克尚さん。東京からは「Minimal - Bean to Bar Chocolate」代表 山下貴嗣さんの3名に登壇していただきました。そして、モデレーターを務めるのは、ダンデライオン・チョコレートのソーシング(カカオ豆の買い付け)を担当するグレッグ・ダレサンドレ。 “外(海外)”から見た日本のクラフトチョコレートマーケットを切り口にお話いただきました。   今回の”Bean to Bar...

Craft Chocolate Festival (2)日本のクラフトチョコレートマーケット

  1月28日(土)・29日(日)と2日間にわたって開催した“Craft Chocolate Festival presented by Bean to Bar Summit(CCF)”。前回のカカオ鑑定家、クロエ・ドゥートレ・ルーセルさんの基調講演に続き、今回は日本のBean to Barメーカーによるパネルディスカッションをお伝えしたいと思います。     日本国内からは、九州初のBean to Barメーカー「カカオ研究所」所長 中野利美さん。神奈川県横浜市にある「VANILLABEANS(チョコレートデザイン株式会社)」の代表 八木克尚さん。東京からは「Minimal - Bean to Bar Chocolate」代表 山下貴嗣さんの3名に登壇していただきました。そして、モデレーターを務めるのは、ダンデライオン・チョコレートのソーシング(カカオ豆の買い付け)を担当するグレッグ・ダレサンドレ。 “外(海外)”から見た日本のクラフトチョコレートマーケットを切り口にお話いただきました。   今回の”Bean to Bar...

マヤ・マウンテン ベリーズへの旅

マヤ・マウンテン ベリーズへの旅

  ダンデライオン・チョコレートには2種類の「マヤ・マウンテン, ベリーズ 70%」チョコレートバーがあるのをご存知でしょうか。一つは蔵前のファクトリーでトレバー・ファストがプロファイルしたもの、もう一つは、サンフランシスコ(SF)のファクトリーでエルマン・カブレラがプロファイルしたもの(現在SFでのみ販売)です。同じカカオと砂糖を使用していてもその味わいは異なります。 今回は、サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートのエルマンがマヤ・マウンテン・カカオのあるベリーズに出かけ、カカオ農園を訪れた際のレポートを翻訳し掲載します。 なお、2018年2月にこのベリーズを訪問するChocolate Trip(Chocolate 301)を実施します。情報アップデートを楽しみにしていてください。   ***** エルマンはSFダンデライオンのリードチョコレートメーカーの一人です。 今回彼がマヤ・マウンテン・カカオの新しいカカオ豆のプロファイリング(焙煎の温度や砂糖を入れるタイミングの条件を決定していく作業)を担当しました。この前の記事では、その様子について詳しく書かれています。本稿では、エルマンがベリーズに出かけ、マヤ・マウンテン・カカオでカカオの生産に携わっている人たちと出会い、経験したことを紹介しています。     わたしの故郷であるグアテマラにほど近いベリーズで生産されたカカオでチョコレートを作るのは、大変嬉しいことでした。マヤ・マウンテンの豆はとても美味しく、そこから引き出される味の可能性を考えると尚更です。この仕事で得られる喜びはロースト条件が定まればもうほとんどのないと思っていましたが、それはほんの始まりで、真の喜びはその後に続きました。 それだけでなく、産地を訪問する機会を得たのはとても嬉しいことでした。マヤ・マウンテン農園の年次総会が1月28日にプンタ・ゴルダにあるマヤ・マウンテン・カカオで開催されたのですが、カレンとダンデライオンのソーシング担当のグレッグから、行ってみてはどうかと言われました。 それを聞いた瞬間、速攻で荷造りをしたほどです(笑)。故郷に近いところに出張できる機会、そして自分がプロファイリングを担当した豆の産地を訪ねるという願ってもないチャンス、そうした思いは書きあらわすことができないほどエキサイティングなものでした。   テストバーを作り、試食に試食を重ねていく間マヤ・マウンテン・カカオのことについてずっと考えていました。発酵を適切に行うことでその地域の豆を供給する社会事業を営むこの会社についてです。ソーシングレポートを読み返し、さらに調べてみると、マヤ・マウンテン・カカオがいかにしてそこでカカオ生産農家をサポートしているのかを知り、その素晴らしさに改めて驚きました。Q’eqchi あるいはMopan Maya、農家の多くはそうした言葉を話す人々であり、まさにわたしの故郷からほど近い人たちなのです。     ベリーズに到着し、まずエミリー(マヤ・マウンテン・カカオの共同創業者)とミニ(マヤ・マウンテン・カカオ マネージャー)に会いました。この年次総会は、マヤ・マウンテンが共に働いている農家の全体集会で、そこでは農家全員とマヤ・マウンテン・カカオ事業の価値を再確認すると同時に方向性を共有することを目的としています。今回の集会ではマヤ・マウンテン・カカオは、長期的に良質のカカオ豆を市場に供給することを約束し、マーケットコンディションに変動がおこったり、ベリーズ内の収穫されたカカオに価格競争が起きても、十分に高い適正な価格で各農家から豆を購入すると宣言しました。マヤ・マウンテンはベリーズの小規模カカオ農家が、クラフトチョコレート市場にアクセスできるようにするというビジョンを掲げて創業されました。高品質のカカオを作り出すと同時に、それに対応した値段で取引をするということを実現しているのです。     わたしは大勢の農家の人たちと会いました。そして人生初のカカオ農園訪問を実現しました。カカオポッドを割りパルプを食べたり(三個も食べました!)、熱帯雨林の中を経て、きちんと整備されたカカオ農場に辿り着いたりするのは忘れることができない経験でした。また、カカオのデモ農場を管理しているエルマイン・レクエンタのことも忘れられません。彼はわたしたちにこのデモ農園について解説してくれる間中ずっと、強い誇りに漲っていました。新たにカカオ農園を始める人たちが遭遇する困難のことを聞いたことや、初めて発酵所を訪問したことはしっかりと脳裏に焼き付いています。発酵所を訪問することで、発酵が(その匂いも含め)どんなものであるかの実態を知ることもできました。発酵プロセス技術について、二人の専門家が詳細を解説してくれ、それらはわたしというチョコレートメーカーにとってあまりに新鮮な体験でした。 そこで経験したことや感じたことは筆舌に尽くしがたいものがあります。それぞれの生産者がいかに大変な作業をこなし、毎日の暮らしが悲喜こもごもであることか。これらの農家は、カカオを売ることで、生計をたて、食べ物を手に入れ、子供を学校に行かせ、そして日常生活の全てをまかなっています。自分たちの将来をカカオ生産にかけるその姿には、改めて敬意を送りたいと思います。  ...

マヤ・マウンテン ベリーズへの旅

  ダンデライオン・チョコレートには2種類の「マヤ・マウンテン, ベリーズ 70%」チョコレートバーがあるのをご存知でしょうか。一つは蔵前のファクトリーでトレバー・ファストがプロファイルしたもの、もう一つは、サンフランシスコ(SF)のファクトリーでエルマン・カブレラがプロファイルしたもの(現在SFでのみ販売)です。同じカカオと砂糖を使用していてもその味わいは異なります。 今回は、サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートのエルマンがマヤ・マウンテン・カカオのあるベリーズに出かけ、カカオ農園を訪れた際のレポートを翻訳し掲載します。 なお、2018年2月にこのベリーズを訪問するChocolate Trip(Chocolate 301)を実施します。情報アップデートを楽しみにしていてください。   ***** エルマンはSFダンデライオンのリードチョコレートメーカーの一人です。 今回彼がマヤ・マウンテン・カカオの新しいカカオ豆のプロファイリング(焙煎の温度や砂糖を入れるタイミングの条件を決定していく作業)を担当しました。この前の記事では、その様子について詳しく書かれています。本稿では、エルマンがベリーズに出かけ、マヤ・マウンテン・カカオでカカオの生産に携わっている人たちと出会い、経験したことを紹介しています。     わたしの故郷であるグアテマラにほど近いベリーズで生産されたカカオでチョコレートを作るのは、大変嬉しいことでした。マヤ・マウンテンの豆はとても美味しく、そこから引き出される味の可能性を考えると尚更です。この仕事で得られる喜びはロースト条件が定まればもうほとんどのないと思っていましたが、それはほんの始まりで、真の喜びはその後に続きました。 それだけでなく、産地を訪問する機会を得たのはとても嬉しいことでした。マヤ・マウンテン農園の年次総会が1月28日にプンタ・ゴルダにあるマヤ・マウンテン・カカオで開催されたのですが、カレンとダンデライオンのソーシング担当のグレッグから、行ってみてはどうかと言われました。 それを聞いた瞬間、速攻で荷造りをしたほどです(笑)。故郷に近いところに出張できる機会、そして自分がプロファイリングを担当した豆の産地を訪ねるという願ってもないチャンス、そうした思いは書きあらわすことができないほどエキサイティングなものでした。   テストバーを作り、試食に試食を重ねていく間マヤ・マウンテン・カカオのことについてずっと考えていました。発酵を適切に行うことでその地域の豆を供給する社会事業を営むこの会社についてです。ソーシングレポートを読み返し、さらに調べてみると、マヤ・マウンテン・カカオがいかにしてそこでカカオ生産農家をサポートしているのかを知り、その素晴らしさに改めて驚きました。Q’eqchi あるいはMopan Maya、農家の多くはそうした言葉を話す人々であり、まさにわたしの故郷からほど近い人たちなのです。     ベリーズに到着し、まずエミリー(マヤ・マウンテン・カカオの共同創業者)とミニ(マヤ・マウンテン・カカオ マネージャー)に会いました。この年次総会は、マヤ・マウンテンが共に働いている農家の全体集会で、そこでは農家全員とマヤ・マウンテン・カカオ事業の価値を再確認すると同時に方向性を共有することを目的としています。今回の集会ではマヤ・マウンテン・カカオは、長期的に良質のカカオ豆を市場に供給することを約束し、マーケットコンディションに変動がおこったり、ベリーズ内の収穫されたカカオに価格競争が起きても、十分に高い適正な価格で各農家から豆を購入すると宣言しました。マヤ・マウンテンはベリーズの小規模カカオ農家が、クラフトチョコレート市場にアクセスできるようにするというビジョンを掲げて創業されました。高品質のカカオを作り出すと同時に、それに対応した値段で取引をするということを実現しているのです。     わたしは大勢の農家の人たちと会いました。そして人生初のカカオ農園訪問を実現しました。カカオポッドを割りパルプを食べたり(三個も食べました!)、熱帯雨林の中を経て、きちんと整備されたカカオ農場に辿り着いたりするのは忘れることができない経験でした。また、カカオのデモ農場を管理しているエルマイン・レクエンタのことも忘れられません。彼はわたしたちにこのデモ農園について解説してくれる間中ずっと、強い誇りに漲っていました。新たにカカオ農園を始める人たちが遭遇する困難のことを聞いたことや、初めて発酵所を訪問したことはしっかりと脳裏に焼き付いています。発酵所を訪問することで、発酵が(その匂いも含め)どんなものであるかの実態を知ることもできました。発酵プロセス技術について、二人の専門家が詳細を解説してくれ、それらはわたしというチョコレートメーカーにとってあまりに新鮮な体験でした。 そこで経験したことや感じたことは筆舌に尽くしがたいものがあります。それぞれの生産者がいかに大変な作業をこなし、毎日の暮らしが悲喜こもごもであることか。これらの農家は、カカオを売ることで、生計をたて、食べ物を手に入れ、子供を学校に行かせ、そして日常生活の全てをまかなっています。自分たちの将来をカカオ生産にかけるその姿には、改めて敬意を送りたいと思います。  ...