OUR DAYS

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

ダンデライオン・チョコレートでは、日々カカオ豆からチョコレートを作っています。ではその「カカオ豆」とはどのようにして出来るのか、ご存知でしょうか?私たちの手元には、カカオの生産国からこのような麻袋に入ったかたちで届きます。実は、この状態になるまでにも、カカオの品質に関わる重要な工程があり、私たちはカカオ生産者の努力のおかげで、毎日美味しいチョコレートが作れるのです。 今回はカカオ豆がどのような工程を経て私たちの手元に届くのか、ご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 カカオ農園 カカオ豆は、カカオの木(テオブロマ・カカオ)にできる実(カカオポッド)の中にある種のこと。カカオの収穫期は、年2回(5月と10月頃)の地域が多いです。カカオを育てるカカオ農家は、家族経営の小規模のものから、大規模な農園を所有するものまで事業規模は様々。日本茶や海苔、お米でイメージすると、分かりやすいかもしれません。【関連記事】●カカオの木はどう育てられている?おいしいチョコレートにつながる最初の一歩 カカオの収穫 カカオの収穫は全て手作業。生産地の多くが奥地や山の中にあるため、手でもいだり、ハサミを使用してカカオ農家が一つ一つ丁寧に収穫します。収穫したカカオポッドは、山積みにしてまとめます。 カカオの実と種の取り出し 収穫したカカオは、中の実の部分(パルプ)が腐りやすいため、なるべく早めに割り、パルプと種を取り出します。この段階で、中が熟しすぎているもの、逆に未熟なものとを選別し、スペシャルティカカオ用と一般流通用のカカオ(コモディティカカオ)に分ける生産地もあります。取り出したパルプと種は、バケツや袋に入れておきます。 発酵 取り出したパルプと種を発酵させます。そしてこの「発酵」こそ、カカオの産地特有のフレーバーが決まる肝と言っても過言ではない、最も大事な工程です。発酵は木箱などに入れ、バナナの葉や麻袋で蓋をして包み、6-8日間かけて行います。発酵方法はワインに近く、酵母や細菌の働きによって果肉に含まれる糖分を利用して熱とアルコールを生成し(嫌気性発酵 -けんきせいはっこう-)、発酵の途中でかき混ぜることで空気を含み、種の中に含まれるアミノ酸や糖分が変性し(好気性発酵 -こうきせいはっこう-)、香りの元を作り出します。発酵の方法は並べた木箱やひな壇式など生産者によって様々ですが、60-70%程度の発酵具合だとフルーティーなカカオ豆になったり、発酵する際培養菌を添加することで異なるフレーバーを生み出すことが出来たりと、とても奥の深い領域です。また、発酵を失敗してしまうとスペシャルティカカオとして販売することが難しくなるため、高い技術力も必要になります。カカオ農家の中には、カカオの栽培からカカオ豆になるまでの一連の工程を自身の農園で全て完結する場合と、カカオの実と種を取り出すところまでを行い、発酵施設を持つカカオ生産者に生のカカオ豆(ウェットビーンズ)の状態で売る場合があります。後者の利点として、カカオ農家にとっては設備投資もかかり難しい作業でもある発酵や乾燥の工程にかかる負担を軽減出来ること、そして発酵施設にウェットビーンズを納品した段階で金銭を受け取ることが出来ることから、安定的な収入の確保に繋がります。また、カカオ生産者にとっては、カカオ農園を持たずに周囲のカカオ農家からウェットビーンズを集め、発酵技術に特化したスタッフが加工することで、スペシャルティカカオを生産し、高値で販売することができます。その分、カカオ農家から高値でウェットビーンズを購入することができ、結果的にお互いの収益を上げることができます。もちろん、私たちチョコレートメーカーも、その恩恵を受けて、美味しいチョコレートが作れるようになります。【関連記事】●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み 乾燥 発酵が完了したら、カカオ豆を乾燥させます。目的は、これ以上発酵を進めると腐敗してしまうため発酵を止め、そして保存や輸送に備えて水分を7-8%以下にするためです。乾燥の方法も生産者により様々。カカオ豆をパティオと呼ばれるセメントの台に広げて直射日光の下で乾かしたり、ビニールハウス内に乾燥台を設置したり、両方を併用するところもあります。乾燥工程には約1週間かかりますが、発酵工程同様、乾燥にかける時間や方法によっても、最終的なカカオ豆のフレーバーが変わります。均一に乾燥が進むように、トンボのようなものでかき混ぜたり、カットテストをしてカカオ豆の品質を確認したりします。 梱包・出荷 いよいよ出来上がったカカオ豆を梱包します。現地でも選別を行った後、麻袋に詰めます(ビニール製の内袋に入れる生産者もあります)。容量は一袋50-70kg、最近は小規模のチョコレートメーカーの要望に応じて、20-30kgの小さい単位でも袋詰めされています。 カカオ生産者の協力なくして、美味しいチョコレートは生まれない 私たちが日本でカカオ豆を受け取るまでに、カカオの生産地でも長い道のりと様々な工程があります。カカオを収穫してからカカオ豆になるまで約1ヶ月、カカオ農家と生産者のおかげで、私たちはこの遠く離れた日本でも、美味しいBean to Bar チョコレートをみなさまにお届けすることが出来るのです。カカオの生産地は日本から遠く、なかなか現地の様子を知ることは難しいのが現状です。ダンデライオン・チョコレートではダイレクト・トレードでカカオ豆を購入しているため、現地の生産者や流通過程をよく理解しています。よって、これからもカカオの生産地のことをどんどんご紹介していこうと思います。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら SOURCING REPORT 現地報告として、毎年ソーシングレポートを公開しています。カカオ農園のこと、私たちのビジネス全体への取り組み方など、詳しくお知りになりたい方は下記のリンクからどうぞ。2015...

カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -

ダンデライオン・チョコレートでは、日々カカオ豆からチョコレートを作っています。ではその「カカオ豆」とはどのようにして出来るのか、ご存知でしょうか?私たちの手元には、カカオの生産国からこのような麻袋に入ったかたちで届きます。実は、この状態になるまでにも、カカオの品質に関わる重要な工程があり、私たちはカカオ生産者の努力のおかげで、毎日美味しいチョコレートが作れるのです。 今回はカカオ豆がどのような工程を経て私たちの手元に届くのか、ご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 カカオ農園 カカオ豆は、カカオの木(テオブロマ・カカオ)にできる実(カカオポッド)の中にある種のこと。カカオの収穫期は、年2回(5月と10月頃)の地域が多いです。カカオを育てるカカオ農家は、家族経営の小規模のものから、大規模な農園を所有するものまで事業規模は様々。日本茶や海苔、お米でイメージすると、分かりやすいかもしれません。【関連記事】●カカオの木はどう育てられている?おいしいチョコレートにつながる最初の一歩 カカオの収穫 カカオの収穫は全て手作業。生産地の多くが奥地や山の中にあるため、手でもいだり、ハサミを使用してカカオ農家が一つ一つ丁寧に収穫します。収穫したカカオポッドは、山積みにしてまとめます。 カカオの実と種の取り出し 収穫したカカオは、中の実の部分(パルプ)が腐りやすいため、なるべく早めに割り、パルプと種を取り出します。この段階で、中が熟しすぎているもの、逆に未熟なものとを選別し、スペシャルティカカオ用と一般流通用のカカオ(コモディティカカオ)に分ける生産地もあります。取り出したパルプと種は、バケツや袋に入れておきます。 発酵 取り出したパルプと種を発酵させます。そしてこの「発酵」こそ、カカオの産地特有のフレーバーが決まる肝と言っても過言ではない、最も大事な工程です。発酵は木箱などに入れ、バナナの葉や麻袋で蓋をして包み、6-8日間かけて行います。発酵方法はワインに近く、酵母や細菌の働きによって果肉に含まれる糖分を利用して熱とアルコールを生成し(嫌気性発酵 -けんきせいはっこう-)、発酵の途中でかき混ぜることで空気を含み、種の中に含まれるアミノ酸や糖分が変性し(好気性発酵 -こうきせいはっこう-)、香りの元を作り出します。発酵の方法は並べた木箱やひな壇式など生産者によって様々ですが、60-70%程度の発酵具合だとフルーティーなカカオ豆になったり、発酵する際培養菌を添加することで異なるフレーバーを生み出すことが出来たりと、とても奥の深い領域です。また、発酵を失敗してしまうとスペシャルティカカオとして販売することが難しくなるため、高い技術力も必要になります。カカオ農家の中には、カカオの栽培からカカオ豆になるまでの一連の工程を自身の農園で全て完結する場合と、カカオの実と種を取り出すところまでを行い、発酵施設を持つカカオ生産者に生のカカオ豆(ウェットビーンズ)の状態で売る場合があります。後者の利点として、カカオ農家にとっては設備投資もかかり難しい作業でもある発酵や乾燥の工程にかかる負担を軽減出来ること、そして発酵施設にウェットビーンズを納品した段階で金銭を受け取ることが出来ることから、安定的な収入の確保に繋がります。また、カカオ生産者にとっては、カカオ農園を持たずに周囲のカカオ農家からウェットビーンズを集め、発酵技術に特化したスタッフが加工することで、スペシャルティカカオを生産し、高値で販売することができます。その分、カカオ農家から高値でウェットビーンズを購入することができ、結果的にお互いの収益を上げることができます。もちろん、私たちチョコレートメーカーも、その恩恵を受けて、美味しいチョコレートが作れるようになります。【関連記事】●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み 乾燥 発酵が完了したら、カカオ豆を乾燥させます。目的は、これ以上発酵を進めると腐敗してしまうため発酵を止め、そして保存や輸送に備えて水分を7-8%以下にするためです。乾燥の方法も生産者により様々。カカオ豆をパティオと呼ばれるセメントの台に広げて直射日光の下で乾かしたり、ビニールハウス内に乾燥台を設置したり、両方を併用するところもあります。乾燥工程には約1週間かかりますが、発酵工程同様、乾燥にかける時間や方法によっても、最終的なカカオ豆のフレーバーが変わります。均一に乾燥が進むように、トンボのようなものでかき混ぜたり、カットテストをしてカカオ豆の品質を確認したりします。 梱包・出荷 いよいよ出来上がったカカオ豆を梱包します。現地でも選別を行った後、麻袋に詰めます(ビニール製の内袋に入れる生産者もあります)。容量は一袋50-70kg、最近は小規模のチョコレートメーカーの要望に応じて、20-30kgの小さい単位でも袋詰めされています。 カカオ生産者の協力なくして、美味しいチョコレートは生まれない 私たちが日本でカカオ豆を受け取るまでに、カカオの生産地でも長い道のりと様々な工程があります。カカオを収穫してからカカオ豆になるまで約1ヶ月、カカオ農家と生産者のおかげで、私たちはこの遠く離れた日本でも、美味しいBean to Bar チョコレートをみなさまにお届けすることが出来るのです。カカオの生産地は日本から遠く、なかなか現地の様子を知ることは難しいのが現状です。ダンデライオン・チョコレートではダイレクト・トレードでカカオ豆を購入しているため、現地の生産者や流通過程をよく理解しています。よって、これからもカカオの生産地のことをどんどんご紹介していこうと思います。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら SOURCING REPORT 現地報告として、毎年ソーシングレポートを公開しています。カカオ農園のこと、私たちのビジネス全体への取り組み方など、詳しくお知りになりたい方は下記のリンクからどうぞ。2015...

2017/2018 ソーシングレポートを公開

2017/2018 ソーシングレポートを公開

例年公開している、ダンデライオン・チョコレートが取り扱うカカオ豆や生産者についてまとめた「ソーシングレポート」の2017/2018年版が、ついに完成しました。 ここ数年、ダンデライオン・チョコレートではカカオ豆の使用量や一緒に取り組む生産地が増えるなど、様々な大きな変化がありました。そのためこのレポートの内容もより深く濃い内容にすべく、今回は2017年と2018年をまとめたものを作成しています。このレポートの目的は、私たちがつくるチョコレートについて知っていただくことだけでなく、私たちがどんな生産者と取り組んでいるかを知っていただくためのものでもあります。今回、生産者自身にも監修いただき、なるべく生産者の立場で、本人が伝えたいことが伝わるように製作しました。完成までとても長い時間がかかりましたが、これまで以上に分かりやすく透明度の高いレポートになっています。今回は、このレポートをより楽しんでいただける”tips”をお伝えしたいと思います。 カカオ豆の「発酵、乾燥、物流」 今回、各生産地でカカオ豆がどのように発酵・乾燥され、どのような商流で私たちの手元に届くのか、分かりやすくイラストで表しています(16-19ページ)。 発酵工程には、ひな壇式(Tiered Boxes)、並べた木箱(Linear Boxes)、重ねた麻袋(Stacked Bags)、バスケット(Baskets)と様々な方法があります。同じく、乾燥工程も、乾燥デッキ(Raised Wooden Beds)やセメントの中庭(Cement Patios)を数日に分けて行ったり、直射日光やビニールハウスの中など、その生産地に合わせた方法で行われています。各生産地のページでは、詳しい工程や写真をご紹介していますが、どれが正解ということはなく、各生産者の技術や工夫によって、産地特有のフレーバーが出来上がります。 カカオの生産者も、カカオ農園と発酵・乾燥施設が同じ団体であったり、数十人のカカオ農家から生のカカオを購入して、別の発酵・乾燥施設で加工している場合もあります。いずれにせよ、このレポートからは「誰がカカオ(実)を生産して、誰がカカオ豆(種)に加工して、誰が私たちの手元に届けてくれるのか」が明確に分かるようになっています。 新しく加わった生産地 前回の2016年版のものから新しく加わった産地は、下記になります。アナマライ, インド(オンライン&表参道店限定・ガトーショコラに使用)ベンチェ, ベトナム(70%チョコレートバーで販売中)ゴーラ・レインフォレスト, シエラレオネ(表参道店限定・オペラに使用)ハシエンダ・アズール, コスタリカ(70%・85%チョコレートバーで販売中)トゥマコ, コロンビア(日本では使用なし)ワンプゥ, ホンジュラス(70%チョコレートバーで販売中)通常、私たちがカカオ生産者と知り合ってから実際の購入に至るまでには、約2-3年かかります。私たちが彼らのことを知るだけでなく、彼らにも私たちのことを知っていただき、一度取引を始めたらなるべく長く継続的に購入できるように、信頼関係を築いてから購入するようにしているからです。今回は日本でもお馴染みのCacao Hunters や、同じチョコレートメーカーでもあるMarou、ダンデライオン・チョコレートがカカオ豆生産のアドバイスを行ってきた生産者など、多様な生産地をご紹介しています。 カカオの用語集「GLOSSARY」 最後のページですが、このレポートを読み込むために重要なコーナー、カカオの用語集(112-113ページ)も忘れずにご一読ください。「カカオ」と「ココア」の使い分けや、「カカオ農家」と「カカオ生産者」の違いなど、カカオ豆の生産に関係するマニアックな単語が並んでいます。これを覚えれば、いつでもカカオ農園に行って生産者と対等に会話が出来ると思いますよ。 最後に カカオは、奴隷制度や児童労働の問題が何かと取り上げられる作物ではありますが、このレポートに登場する多くのカカオ農家や生産者は、そのような環境下では働いていません。どうしたらより良いカカオが栽培出来るか、発酵工程を日々工夫し、誇りを持って働いている方々ばかりです。ぜひ、彼らの取り組みを知っていただけると嬉しいです。このレポートにも書かれていますが、スペシャルティカカオ産業は、想像以上に早いスピードで成長しています。この市場が順調に育っていくためには、より多くのチョコレートメーカーが、プレミアム価格でカカオ豆を購入する必要がありますが、現時点では、カカオ生産者たちが製品を売り切るのに苦労している状況もあります。私たちも、より多くのお客様にチョコレートを届けることで、より多くのカカオ豆を使用できるように、様々な商品を展開していきたいと考えています。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップも随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから

2017/2018 ソーシングレポートを公開

例年公開している、ダンデライオン・チョコレートが取り扱うカカオ豆や生産者についてまとめた「ソーシングレポート」の2017/2018年版が、ついに完成しました。 ここ数年、ダンデライオン・チョコレートではカカオ豆の使用量や一緒に取り組む生産地が増えるなど、様々な大きな変化がありました。そのためこのレポートの内容もより深く濃い内容にすべく、今回は2017年と2018年をまとめたものを作成しています。このレポートの目的は、私たちがつくるチョコレートについて知っていただくことだけでなく、私たちがどんな生産者と取り組んでいるかを知っていただくためのものでもあります。今回、生産者自身にも監修いただき、なるべく生産者の立場で、本人が伝えたいことが伝わるように製作しました。完成までとても長い時間がかかりましたが、これまで以上に分かりやすく透明度の高いレポートになっています。今回は、このレポートをより楽しんでいただける”tips”をお伝えしたいと思います。 カカオ豆の「発酵、乾燥、物流」 今回、各生産地でカカオ豆がどのように発酵・乾燥され、どのような商流で私たちの手元に届くのか、分かりやすくイラストで表しています(16-19ページ)。 発酵工程には、ひな壇式(Tiered Boxes)、並べた木箱(Linear Boxes)、重ねた麻袋(Stacked Bags)、バスケット(Baskets)と様々な方法があります。同じく、乾燥工程も、乾燥デッキ(Raised Wooden Beds)やセメントの中庭(Cement Patios)を数日に分けて行ったり、直射日光やビニールハウスの中など、その生産地に合わせた方法で行われています。各生産地のページでは、詳しい工程や写真をご紹介していますが、どれが正解ということはなく、各生産者の技術や工夫によって、産地特有のフレーバーが出来上がります。 カカオの生産者も、カカオ農園と発酵・乾燥施設が同じ団体であったり、数十人のカカオ農家から生のカカオを購入して、別の発酵・乾燥施設で加工している場合もあります。いずれにせよ、このレポートからは「誰がカカオ(実)を生産して、誰がカカオ豆(種)に加工して、誰が私たちの手元に届けてくれるのか」が明確に分かるようになっています。 新しく加わった生産地 前回の2016年版のものから新しく加わった産地は、下記になります。アナマライ, インド(オンライン&表参道店限定・ガトーショコラに使用)ベンチェ, ベトナム(70%チョコレートバーで販売中)ゴーラ・レインフォレスト, シエラレオネ(表参道店限定・オペラに使用)ハシエンダ・アズール, コスタリカ(70%・85%チョコレートバーで販売中)トゥマコ, コロンビア(日本では使用なし)ワンプゥ, ホンジュラス(70%チョコレートバーで販売中)通常、私たちがカカオ生産者と知り合ってから実際の購入に至るまでには、約2-3年かかります。私たちが彼らのことを知るだけでなく、彼らにも私たちのことを知っていただき、一度取引を始めたらなるべく長く継続的に購入できるように、信頼関係を築いてから購入するようにしているからです。今回は日本でもお馴染みのCacao Hunters や、同じチョコレートメーカーでもあるMarou、ダンデライオン・チョコレートがカカオ豆生産のアドバイスを行ってきた生産者など、多様な生産地をご紹介しています。 カカオの用語集「GLOSSARY」 最後のページですが、このレポートを読み込むために重要なコーナー、カカオの用語集(112-113ページ)も忘れずにご一読ください。「カカオ」と「ココア」の使い分けや、「カカオ農家」と「カカオ生産者」の違いなど、カカオ豆の生産に関係するマニアックな単語が並んでいます。これを覚えれば、いつでもカカオ農園に行って生産者と対等に会話が出来ると思いますよ。 最後に カカオは、奴隷制度や児童労働の問題が何かと取り上げられる作物ではありますが、このレポートに登場する多くのカカオ農家や生産者は、そのような環境下では働いていません。どうしたらより良いカカオが栽培出来るか、発酵工程を日々工夫し、誇りを持って働いている方々ばかりです。ぜひ、彼らの取り組みを知っていただけると嬉しいです。このレポートにも書かれていますが、スペシャルティカカオ産業は、想像以上に早いスピードで成長しています。この市場が順調に育っていくためには、より多くのチョコレートメーカーが、プレミアム価格でカカオ豆を購入する必要がありますが、現時点では、カカオ生産者たちが製品を売り切るのに苦労している状況もあります。私たちも、より多くのお客様にチョコレートを届けることで、より多くのカカオ豆を使用できるように、様々な商品を展開していきたいと考えています。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップも随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。最近、さまざまな場所で「サステナブル」という言葉を耳にします。持続可能な、という意味のこの言葉。みなさんの暮らしの中にも、レジ袋やマイボトルの持参などを通して、少しずつ浸透してきているのではないでしょうか?この未来につながる一人ひとりのサステナブルな行動が、持続可能な社会づくりにつながるからこそ、それぞれの人や組織、企業が、どのように向き合っていくかに注目が集まっています。そんな中、今回は、ダンデライオン・チョコレートが、最も多く使用しているカカオ豆の産地、ドミニカ共和国のソルサル・カカオのサステナブルな取り組みを、皆さんにご紹介しようと思います。なぜ、数ある中から、私たちがソルサル・カカオのカカオ豆を選び、多く使用しているのか。それはカカオ豆のフレーバーはもちろん、彼らの理念にも、共感する部分が大きいからなのです。 自然保護とカカオ豆の栽培を両立する、ソルサル・カカオ ソルサル・カカオがあるドミニカ共和国自体は、世界で10番目のカカオ生産国。カカオ豆の生産は、国の一大産業の一つになっています。 ソルサル・カカオの創設者の一人、チャールズ・キルヒナー(通称チャック)が、初めてドミニカ共和国でカカオ豆に触れたのは、彼がまだ学生のころ。ピース・コープ(日本の青年海外協力隊)に参加した彼は、この地で、カカオ豆の発酵箱の製造や、オーガニック認証取得のための生産体制を整える経験をしました。当時、森林経済学を学んでいたチャックは、この活動を経て、森林保全とカカオを組み合わせることで持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えるようになったそうです。 そしてアメリカに帰国後、博士課程を終えたチャックは、カカオの栽培地域と生物多様性において注目されているエリアが相関していることに気づきます。 「ピース・コープでの経験と博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じてこの地域の経済活動を創ることができないだろうか」チャックは、ドミニカ共和国に戻り、仲間と共にビジネスを起こすことを決意しました。 ドミニカ共和国に戻ったチャックは仲間達と一緒にソルサル・カカオを創設後、まずドゥアルテ州の山中に、まだ開発されていない412ヘクタールの土地を購入。ドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域を設定しました。そして、その面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持し、残りを高品質カカオの栽培用として使用することを決めたのです。ちなみに、「ソルサル・カカオ」の「ソルサル」は、スペイン語で渡り鳥の「ツグミ」を意味します。 この土地はビックネルツグミという渡り鳥がバーモント州の雪を避け越冬するために訪れる貴重な場所。チャック達は、ここで「ツグミの保護」と「カカオ豆の生産」という挑戦をスタートしました。 出典:あきた森づくり活動サポートセンター 力強い自然と、豊かな森林を思わせるカカオ豆の誕生 こうしてツグミの保護と隣り合わせで栽培し、加工したカカオ豆「ソルサル・エステート」が生まれました。また、レゼルバ・ソルサル保護区近隣の農家からもカカオ豆を購入し、こちらは「ソルサル・コミュニタリオ」と命名。彼らソルサル・カカオでは、現在この2種類のカカオ豆を販売しています。彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、ドミニカ共和国のカカオ生産の中心地であるサンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。保全区域のため、緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる。思わず深呼吸したくなる、マイナスイオンたっぷりの環境です。この自然豊かな環境で育つカカオは、力強いカカオ感とウッディーな香り、そしてチェリーのような酸味が共存する、森林のイメージそのもの。作り手によって多種多様に七変化する、まさに自然保全区域を彷彿とさせる味わいになりました。 さらに続く、森林再生という彼らの挑戦 また、彼らはドミニカ共和国の森林再生活動にも積極的に関わり、プラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトにも参画しています。これにより、私たちチョコレート・メーカーがカカオ豆を購入すると、1トンあたり$200のカーボン・クレジットをソルサル・カカオが購入したことになります。そしてこの資金が、原生種の木を植える資金に当てられる仕組みとなっているのです。カカオ豆を購入するたびに、ドミニカ共和国に原生林が増える。私たちチョコレートメーカーが、彼らの豆を使ってチョコレートやお菓子、ドリンクを作り、お客様に美味しく召し上がっていただく。そのことが間接的に、ドミニカ共和国の野鳥保護や森林再生活動への貢献に繋がっている。遠く離れたドミニカ共和国と日本が、カカオを通じて笑顔になれる好循環が、ここに生まれています。 最後に ソルサル・カカオはカカオの生産を通して、野鳥保護と森林保全を行う、サステナブルなビジネスモデルを見事に作り上げました。私たちはソルサル・カカオのこのような取り組みや考え方に共感し、パートナーとしてこれを応援し、今後もより良い関係を築いていきたいと考えています。今年はこの状況下で開催中止となりましたが、ソルサル・カカオでは毎年”Chocolate Maker Week”として世界中のチョコレートメーカーが参加するカカオ農園ツアーを開催しています。また来年、彼らの取り組みを現地で体感出来るのを楽しみにしています。 また、ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートバーをはじめ、ハウスホットチョコレート、チョコレートブラウニーなど、ソルサル・カカオの味わいを感じることのできる商品をたくさん用意しております。ぜひ、皆さんもその自然豊かなフレーバーを感じにいらしてください。最後になりましたが、12月もチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しております。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込)自然豊かな野鳥の保護区域、レゼルバ・ソルサルの周辺で作られたカカオ豆です。トロピカルフルーツのような明るいフレーバーの広がりが印象的で、グリーンバナナ、アーモンド、クリーミーなカスタードと味わいの変化をお楽しみいただけます。 カヌレ¥2,808(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。

サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。最近、さまざまな場所で「サステナブル」という言葉を耳にします。持続可能な、という意味のこの言葉。みなさんの暮らしの中にも、レジ袋やマイボトルの持参などを通して、少しずつ浸透してきているのではないでしょうか?この未来につながる一人ひとりのサステナブルな行動が、持続可能な社会づくりにつながるからこそ、それぞれの人や組織、企業が、どのように向き合っていくかに注目が集まっています。そんな中、今回は、ダンデライオン・チョコレートが、最も多く使用しているカカオ豆の産地、ドミニカ共和国のソルサル・カカオのサステナブルな取り組みを、皆さんにご紹介しようと思います。なぜ、数ある中から、私たちがソルサル・カカオのカカオ豆を選び、多く使用しているのか。それはカカオ豆のフレーバーはもちろん、彼らの理念にも、共感する部分が大きいからなのです。 自然保護とカカオ豆の栽培を両立する、ソルサル・カカオ ソルサル・カカオがあるドミニカ共和国自体は、世界で10番目のカカオ生産国。カカオ豆の生産は、国の一大産業の一つになっています。 ソルサル・カカオの創設者の一人、チャールズ・キルヒナー(通称チャック)が、初めてドミニカ共和国でカカオ豆に触れたのは、彼がまだ学生のころ。ピース・コープ(日本の青年海外協力隊)に参加した彼は、この地で、カカオ豆の発酵箱の製造や、オーガニック認証取得のための生産体制を整える経験をしました。当時、森林経済学を学んでいたチャックは、この活動を経て、森林保全とカカオを組み合わせることで持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えるようになったそうです。 そしてアメリカに帰国後、博士課程を終えたチャックは、カカオの栽培地域と生物多様性において注目されているエリアが相関していることに気づきます。 「ピース・コープでの経験と博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じてこの地域の経済活動を創ることができないだろうか」チャックは、ドミニカ共和国に戻り、仲間と共にビジネスを起こすことを決意しました。 ドミニカ共和国に戻ったチャックは仲間達と一緒にソルサル・カカオを創設後、まずドゥアルテ州の山中に、まだ開発されていない412ヘクタールの土地を購入。ドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域を設定しました。そして、その面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持し、残りを高品質カカオの栽培用として使用することを決めたのです。ちなみに、「ソルサル・カカオ」の「ソルサル」は、スペイン語で渡り鳥の「ツグミ」を意味します。 この土地はビックネルツグミという渡り鳥がバーモント州の雪を避け越冬するために訪れる貴重な場所。チャック達は、ここで「ツグミの保護」と「カカオ豆の生産」という挑戦をスタートしました。 出典:あきた森づくり活動サポートセンター 力強い自然と、豊かな森林を思わせるカカオ豆の誕生 こうしてツグミの保護と隣り合わせで栽培し、加工したカカオ豆「ソルサル・エステート」が生まれました。また、レゼルバ・ソルサル保護区近隣の農家からもカカオ豆を購入し、こちらは「ソルサル・コミュニタリオ」と命名。彼らソルサル・カカオでは、現在この2種類のカカオ豆を販売しています。彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、ドミニカ共和国のカカオ生産の中心地であるサンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。保全区域のため、緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる。思わず深呼吸したくなる、マイナスイオンたっぷりの環境です。この自然豊かな環境で育つカカオは、力強いカカオ感とウッディーな香り、そしてチェリーのような酸味が共存する、森林のイメージそのもの。作り手によって多種多様に七変化する、まさに自然保全区域を彷彿とさせる味わいになりました。 さらに続く、森林再生という彼らの挑戦 また、彼らはドミニカ共和国の森林再生活動にも積極的に関わり、プラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトにも参画しています。これにより、私たちチョコレート・メーカーがカカオ豆を購入すると、1トンあたり$200のカーボン・クレジットをソルサル・カカオが購入したことになります。そしてこの資金が、原生種の木を植える資金に当てられる仕組みとなっているのです。カカオ豆を購入するたびに、ドミニカ共和国に原生林が増える。私たちチョコレートメーカーが、彼らの豆を使ってチョコレートやお菓子、ドリンクを作り、お客様に美味しく召し上がっていただく。そのことが間接的に、ドミニカ共和国の野鳥保護や森林再生活動への貢献に繋がっている。遠く離れたドミニカ共和国と日本が、カカオを通じて笑顔になれる好循環が、ここに生まれています。 最後に ソルサル・カカオはカカオの生産を通して、野鳥保護と森林保全を行う、サステナブルなビジネスモデルを見事に作り上げました。私たちはソルサル・カカオのこのような取り組みや考え方に共感し、パートナーとしてこれを応援し、今後もより良い関係を築いていきたいと考えています。今年はこの状況下で開催中止となりましたが、ソルサル・カカオでは毎年”Chocolate Maker Week”として世界中のチョコレートメーカーが参加するカカオ農園ツアーを開催しています。また来年、彼らの取り組みを現地で体感出来るのを楽しみにしています。 また、ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートバーをはじめ、ハウスホットチョコレート、チョコレートブラウニーなど、ソルサル・カカオの味わいを感じることのできる商品をたくさん用意しております。ぜひ、皆さんもその自然豊かなフレーバーを感じにいらしてください。最後になりましたが、12月もチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しております。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込)自然豊かな野鳥の保護区域、レゼルバ・ソルサルの周辺で作られたカカオ豆です。トロピカルフルーツのような明るいフレーバーの広がりが印象的で、グリーンバナナ、アーモンド、クリーミーなカスタードと味わいの変化をお楽しみいただけます。 カヌレ¥2,808(税込)香ばしくしっかりとした味わいの中に、すっきりとした酸味も持ち合わせるドミニカ共和国産カカオ豆のチョコレートを使用しています。香りづけのラム酒もチョコレートに合わせて、ドミニカ共和国産の「ロン バルセロ グラン・アニェホ」を選びました。アンバー(宝石の琥珀に似た色)に輝き、透き通ったラム酒は、ふくよかな甘みを持ちつつもすっきりとした飲み口が特徴です。

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、ダンデライオン・チョコレートでとても大切にしているカカオ豆の「産地の意味」についてお話したいと思います。 1. なぜ「産地」を記載するのか ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーは、一種類のカカオ豆で作られるシングルオリジンですが、その商品名を必ず「国名」+「産地」としています。例えば、商品名「WAMPU, HONDURAS」の場合は、「ホンジュラス」という国の「ワンプゥ」という産地(=オリジン)のカカオ豆を使っている、という意味です。つまり、商品名を見ただけで、そのチョコレートには「どこから来たカカオ」が使われているのかが伝わるようにしているのです。 最近では、街のコーヒースタンドでも、そのコーヒー豆がどこの産地のものか、生産者は誰か、どんな品種かまでオープンにしているお店を目にするようになりました。 写真はDandelion Chocolateのカフェ各店で使用させていただいているSingle Oさんのコーヒーの産地情報が記載されたカード(O File)またスーパーなどでも、「産地や生産者の顔」が商品のパッケージに載っていることがありますよね。近年、「自分の身体に入るものがどこから来たか」を知った上で口にする、そんな「食の透明性」が重要視されていることが分かります。ただ、ダンデライオン・チョコレートが商品に産地を記載する理由は、「食の透明性」を維持するためだけではありません。「産地」によって、カカオは「味わいそのもの」が異なるからなのです。 2. ホンジュラス産カカオで比べて感じる、カカオのテロワール では、ここから、ホンジュラス産のカカオ2種を例にとり、その違いをひもといていこうと思います。写真に写っている2種類のカカオ豆は、見た目の色が全く違っていますが、実は、同じホンジュラスで採れたものです。 左のカカオ豆はダンデライオン・チョコレートで現在使用している、「ワンプゥ, ホンジュラス」。このカカオ豆はホンジュラスの北東部、グラシアス・ア・ディオス県の「ワンプシルピ」という、ペトゥカ川とリオ・プラタノ生物保護区の近くにある場所で採れます。地元の人はこの「ワンプシルピ」のことを「ワンプゥ」と呼ぶので、私たちもこの名前で呼ぶことにしました。 右のカカオ豆はロメロ・トレードさんからいただいたMayan Red(マヤン・レッド)というカカオ豆(ダンデライオン・チョコレートでは取り扱っておりません)。ホンジュラスの中央部と北部のエリアで採れるカカオ豆です。(マヤン・レッドは、ホンジュラス地域でかつて栄えたマヤ文明を示す「マヤン」と、カカオの実のまぶしいほどビビットな赤色の「レッド」から名付けられたそう) 出典:Xoco Gourmet 2種のカカオ豆は、見た目はもちろんローストする前の香りも全く異っていました。【ワンプゥ】色・・・ダークブラウン香り・・・ナッティーで土壌感が強く、ほのかりシナモンのようなスパイスの香りがする。【マヤン・レッド】色・・・赤みの強い茶色香り・・・お酢のような酢酸臭、赤いベリー系の華やかな香りが特徴的。では、実際にローストして、チョコレートにしてみるとどうでしょうか。 左がワンプゥ、右がマヤン・レッド。どちらも同じ条件でローストし、同じきび砂糖を使用して作ったカカオ分70%のチョコレートですが、すでに色が違っています。ワンプゥはしっかりとした濃い茶色、マヤン・レッドの方が明るい茶色。カカオ豆の色が、最終的なチョコレートの色に影響していることがよく分かりますね。早速試食してみたところ、全く異なるフレーバーでした。【ワンプゥのチョコレートバー】フレーバー・・・コクのある黒糖や、カシューナッツのクリーミーなナッツ感、ほんのりとしたハーブ感がある。【マヤン・レッドのチョコレートバー】フレイバー・・・フランボワーズやカシスのような甘酸っぱさからエスプレッソやほうじ茶の余韻を感じさせる味わい。同じ国内でも、異なる場所で採れたカカオ豆では、フレーバーがまるで違っています。もちろん傾向として「この国のものはフルーティーなものが多い」などと表現することはありますが、カカオのフレーバーは必ずしも原産国で決まるわけではなく、やはり、産地(生産環境)が決め手となる場合が多いのです。例えば、ワインの世界には、「テロワール」(terroir:仏)という言葉があります。これは、「風土やその土地個性の」という意味で、ワインで言えば、原材料である葡萄を取り巻く環境すべてを指すそう。カカオにおいても、このテロワールがとても重要。産地の気候や環境、生産者さんのつくりかたが、そのフレーバーに大きく影響するのです。だからこそ、私たちは必ず「産地」を記載するようにしています。 3. 最後に ここまで、「カカオのフレーバーは国ではなく産地によって異なる」ということをお伝えしてきましたが、「どの産地のチョコレートを美味しいと感じるか」は、人それぞれだと私たちは考えています。大切なのは、それぞれの感性と「お気に入りのチョコレート」を発見する喜びです。皆さんも、チョコレートを購入する時に、産地のことをちょっと気にしてみてください。産地があなたの「お気に入り」を発見する鍵になるかもしれません。ちなみに、マヤン・レッドは有名なパティシエさんやチョコレートショップでも使用しているので、ワンプゥと一緒に食べ比べてみるのも面白いはず。「産地」の違いや、新しいフレーバーの発見につながるのではないでしょうか。現在ダンデライオン・チョコレートでは2017年収穫のワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆を使ったチョコレートバーを販売していますが、2018年収穫のカカオ豆でつくるチョコレートバーを今まさに開発中。皆さまに早くお届け出来るのを、楽しみにしております。「とはいえ産地名って、覚えるのが難しいな……」と思ったあなた。ダンデライオン・チョコレートでは、使用しているカカオ豆の産地にニックネーム(愛称)を付けて呼んでいます。ワンプゥ, ホンジュラスならWAM(ワム)、ココア・カミリ, タンザニアならKAM(カム)、カアボン, グアテマラならBON(ボン)のように。皆様も、ぜひ、愛着をもって産地をニックネームで呼んで覚えてみてください。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップ(オンライン)を随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。 詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品...

シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、ダンデライオン・チョコレートでとても大切にしているカカオ豆の「産地の意味」についてお話したいと思います。 1. なぜ「産地」を記載するのか ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーは、一種類のカカオ豆で作られるシングルオリジンですが、その商品名を必ず「国名」+「産地」としています。例えば、商品名「WAMPU, HONDURAS」の場合は、「ホンジュラス」という国の「ワンプゥ」という産地(=オリジン)のカカオ豆を使っている、という意味です。つまり、商品名を見ただけで、そのチョコレートには「どこから来たカカオ」が使われているのかが伝わるようにしているのです。 最近では、街のコーヒースタンドでも、そのコーヒー豆がどこの産地のものか、生産者は誰か、どんな品種かまでオープンにしているお店を目にするようになりました。 写真はDandelion Chocolateのカフェ各店で使用させていただいているSingle Oさんのコーヒーの産地情報が記載されたカード(O File)またスーパーなどでも、「産地や生産者の顔」が商品のパッケージに載っていることがありますよね。近年、「自分の身体に入るものがどこから来たか」を知った上で口にする、そんな「食の透明性」が重要視されていることが分かります。ただ、ダンデライオン・チョコレートが商品に産地を記載する理由は、「食の透明性」を維持するためだけではありません。「産地」によって、カカオは「味わいそのもの」が異なるからなのです。 2. ホンジュラス産カカオで比べて感じる、カカオのテロワール では、ここから、ホンジュラス産のカカオ2種を例にとり、その違いをひもといていこうと思います。写真に写っている2種類のカカオ豆は、見た目の色が全く違っていますが、実は、同じホンジュラスで採れたものです。 左のカカオ豆はダンデライオン・チョコレートで現在使用している、「ワンプゥ, ホンジュラス」。このカカオ豆はホンジュラスの北東部、グラシアス・ア・ディオス県の「ワンプシルピ」という、ペトゥカ川とリオ・プラタノ生物保護区の近くにある場所で採れます。地元の人はこの「ワンプシルピ」のことを「ワンプゥ」と呼ぶので、私たちもこの名前で呼ぶことにしました。 右のカカオ豆はロメロ・トレードさんからいただいたMayan Red(マヤン・レッド)というカカオ豆(ダンデライオン・チョコレートでは取り扱っておりません)。ホンジュラスの中央部と北部のエリアで採れるカカオ豆です。(マヤン・レッドは、ホンジュラス地域でかつて栄えたマヤ文明を示す「マヤン」と、カカオの実のまぶしいほどビビットな赤色の「レッド」から名付けられたそう) 出典:Xoco Gourmet 2種のカカオ豆は、見た目はもちろんローストする前の香りも全く異っていました。【ワンプゥ】色・・・ダークブラウン香り・・・ナッティーで土壌感が強く、ほのかりシナモンのようなスパイスの香りがする。【マヤン・レッド】色・・・赤みの強い茶色香り・・・お酢のような酢酸臭、赤いベリー系の華やかな香りが特徴的。では、実際にローストして、チョコレートにしてみるとどうでしょうか。 左がワンプゥ、右がマヤン・レッド。どちらも同じ条件でローストし、同じきび砂糖を使用して作ったカカオ分70%のチョコレートですが、すでに色が違っています。ワンプゥはしっかりとした濃い茶色、マヤン・レッドの方が明るい茶色。カカオ豆の色が、最終的なチョコレートの色に影響していることがよく分かりますね。早速試食してみたところ、全く異なるフレーバーでした。【ワンプゥのチョコレートバー】フレーバー・・・コクのある黒糖や、カシューナッツのクリーミーなナッツ感、ほんのりとしたハーブ感がある。【マヤン・レッドのチョコレートバー】フレイバー・・・フランボワーズやカシスのような甘酸っぱさからエスプレッソやほうじ茶の余韻を感じさせる味わい。同じ国内でも、異なる場所で採れたカカオ豆では、フレーバーがまるで違っています。もちろん傾向として「この国のものはフルーティーなものが多い」などと表現することはありますが、カカオのフレーバーは必ずしも原産国で決まるわけではなく、やはり、産地(生産環境)が決め手となる場合が多いのです。例えば、ワインの世界には、「テロワール」(terroir:仏)という言葉があります。これは、「風土やその土地個性の」という意味で、ワインで言えば、原材料である葡萄を取り巻く環境すべてを指すそう。カカオにおいても、このテロワールがとても重要。産地の気候や環境、生産者さんのつくりかたが、そのフレーバーに大きく影響するのです。だからこそ、私たちは必ず「産地」を記載するようにしています。 3. 最後に ここまで、「カカオのフレーバーは国ではなく産地によって異なる」ということをお伝えしてきましたが、「どの産地のチョコレートを美味しいと感じるか」は、人それぞれだと私たちは考えています。大切なのは、それぞれの感性と「お気に入りのチョコレート」を発見する喜びです。皆さんも、チョコレートを購入する時に、産地のことをちょっと気にしてみてください。産地があなたの「お気に入り」を発見する鍵になるかもしれません。ちなみに、マヤン・レッドは有名なパティシエさんやチョコレートショップでも使用しているので、ワンプゥと一緒に食べ比べてみるのも面白いはず。「産地」の違いや、新しいフレーバーの発見につながるのではないでしょうか。現在ダンデライオン・チョコレートでは2017年収穫のワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆を使ったチョコレートバーを販売していますが、2018年収穫のカカオ豆でつくるチョコレートバーを今まさに開発中。皆さまに早くお届け出来るのを、楽しみにしております。「とはいえ産地名って、覚えるのが難しいな……」と思ったあなた。ダンデライオン・チョコレートでは、使用しているカカオ豆の産地にニックネーム(愛称)を付けて呼んでいます。ワンプゥ, ホンジュラスならWAM(ワム)、ココア・カミリ, タンザニアならKAM(カム)、カアボン, グアテマラならBON(ボン)のように。皆様も、ぜひ、愛着をもって産地をニックネームで呼んで覚えてみてください。最後になりましたが、チョコレートやカカオにまつわるワークショップ(オンライン)を随時開催しておりますので、もっとチョコレートについて知ってみたいと思った方は、ぜひご参加ください。 詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品...

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインワークショップでもご質問いただくことが多い、フェアトレードを取り上げてみます。「フェアトレード( = Fair Trade)」は、直訳すると「公平・公正な貿易」。立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みで、この考えに基づく認証制度はチョコレートの原材料であるカカオに限らず、コーヒーや紅茶、スパイス等、広く取り入れられています。しかし、ダンデライオン・チョコレートで使用する豆はフェアトレードではなく、「ダイレクトトレード」と定義しています。では、「フェアトレード」と「ダイレクトトレード」はどう異なるのでしょうか?ダンデライオン・チョコレートの取り組みを交えて、お伝えしようと思います。 1. フェアトレードとは? これまで発展途上国で作られた作物や製品は、不公平な市場価格に左右され、国際協力団体の援助があっても経済的持続性がなく、生産者は低賃金労働や児童労働、また地球環境に負荷を与える生産方法を取らざるを得ない状況でした。そこで、この状況を打破するために生まれたのが、フェアトレードという概念です。生産者や労働者の適切な労働環境や安定した生活をサポートできる公正な取引や対価を保証し、地球環境にも配慮したサステナブルな貿易の必要性を訴えました。フェアトレードの歴史は約70年以上も前に遡り、1946年にアメリカのNGOに勤める女性が、プエルトリコの女性たちが作った刺繍製品を本国で販売したのが最初の試みと言われています。1950年代には、イギリスのオックスファムが手工芸品の販売を始め、1958年にはアメリカにフェアトレードショップの第1号店が開店しました。1960年代から欧米で動きが加速し、1970年代になると手工芸品だけではなく、コーヒー豆や紅茶、チョコレート、バナナといった食料品にも広がりました。その後、世界各国に様々なフェアトレード・ラベル団体が発足し、ラベルや基準の統一が必要となったため、1997年に「国際フェアトレードラベル機構(FLO、Fairtrade Labelling Organizations International)」という、フェアトレードラベル運動組織を一つにまとめた国際ネットワーク組織が設立されます。FLOにより設けられた経済的・社会的・環境的基準をクリアした製品に対して、フェアトレード認証ラベルが与えられるようになりました。 その他にも、フェアトレードを行う団体に対して認証を行う世界フェアトレード機関(WFTO、World Fair Trade Organization)や、各企業や団体が独自で設定している認証制度があります。 フェアトレードには、各団体が設ける基準をクリアすることにより与えられる認証ラベルをもとに、私たちが安心してその商品を購入することが出来るというひとつのメリットがあります。 2. ダイレクトトレードとは? 一方、ダンデライオン・チョコレートで行っている「ダイレクトトレード」は、フェアトレードとは取り組み方が少し異なります。まず、私たちはカカオ豆の買い付け担当であるグレッグ・ダレサンドレを筆頭に、使用する産地に必ず訪れ、自らの目で生産地、生産者、生活環境、私たちがカカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉し、購入しています。 農園で生産者らと談義するグレッグ(右端) 生産国では最終製品であるチョコレートを口にすることが少なく、カカオは生産者にとって収穫後どのように加工、消費されていくかが見えにくい作物です。産地に赴くことで、私たちは生産者の顔を知り、生産者は私たちがどのようなチョコレートを作っているかを知る。お互いの取り組みや考え方を、直接会って理解し合うことを、私たちは大切にしています。生産者とコンタクトを取り始めてから現地を訪問し、実際に購入するまで、約3年ほどかかります。生産者との関係性を築き、適正な価格を話し合い、時には技術指導者を紹介して品質向上のお手伝いをし、ようやく手にするカカオ豆には自然と思い入れが強くなり、「このカカオ豆で美味しいチョコレートを作るんだ」と気合いが入ります。フェアトレードでは認証団体側が設けた基準をクリアする必要があります。また、フェアトレード認証を受け、登録を維持するには一定の費用がかかりますが、ダイレクトトレードでは認証のための時間や費用が生産者側にかかることはありません。私たちには認証ラベルはありませんが、生産者と私たちの直接の関係性や信頼こそが基準となっています。私たちは生産者の方々の思いを少しでも届けようと、産地を紹介するソーシングレポートを発行し、取引に関する情報を開示しています。それぞれの産地の個性豊かなダンデライオンのチョコレート。産地の情景や生産者の顔を思い浮かべながら、ぜひ召し上がってみてください。 3. まとめ フェアトレードとダイレクトトレード、どちらが良いということはありません。「身体に入れるものを自分自身できちんと把握する」という食のアプローチの点においては、どちらも共通する部分があると思います。ご自身が購入する食品選びの基準として、参考になると嬉しいです。最後に、今回のお話はオンラインワークショップ Step 5 産地を知るとより美味しい「カカオの生産地とチョコレート」でも、生産者の取り組みとして詳しく触れています。その他にもチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しておりますので、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。

フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?

こんにちは。ダンデライオン・チョコレートで「チョコレート・エクスペリエンス」という部署を担当している伴野智映子です。普段はオンラインワークショップの講師として、皆さんにチョコレートの魅力や奥深さをお伝えしています。今回は、オンラインワークショップでもご質問いただくことが多い、フェアトレードを取り上げてみます。「フェアトレード( = Fair Trade)」は、直訳すると「公平・公正な貿易」。立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みで、この考えに基づく認証制度はチョコレートの原材料であるカカオに限らず、コーヒーや紅茶、スパイス等、広く取り入れられています。しかし、ダンデライオン・チョコレートで使用する豆はフェアトレードではなく、「ダイレクトトレード」と定義しています。では、「フェアトレード」と「ダイレクトトレード」はどう異なるのでしょうか?ダンデライオン・チョコレートの取り組みを交えて、お伝えしようと思います。 1. フェアトレードとは? これまで発展途上国で作られた作物や製品は、不公平な市場価格に左右され、国際協力団体の援助があっても経済的持続性がなく、生産者は低賃金労働や児童労働、また地球環境に負荷を与える生産方法を取らざるを得ない状況でした。そこで、この状況を打破するために生まれたのが、フェアトレードという概念です。生産者や労働者の適切な労働環境や安定した生活をサポートできる公正な取引や対価を保証し、地球環境にも配慮したサステナブルな貿易の必要性を訴えました。フェアトレードの歴史は約70年以上も前に遡り、1946年にアメリカのNGOに勤める女性が、プエルトリコの女性たちが作った刺繍製品を本国で販売したのが最初の試みと言われています。1950年代には、イギリスのオックスファムが手工芸品の販売を始め、1958年にはアメリカにフェアトレードショップの第1号店が開店しました。1960年代から欧米で動きが加速し、1970年代になると手工芸品だけではなく、コーヒー豆や紅茶、チョコレート、バナナといった食料品にも広がりました。その後、世界各国に様々なフェアトレード・ラベル団体が発足し、ラベルや基準の統一が必要となったため、1997年に「国際フェアトレードラベル機構(FLO、Fairtrade Labelling Organizations International)」という、フェアトレードラベル運動組織を一つにまとめた国際ネットワーク組織が設立されます。FLOにより設けられた経済的・社会的・環境的基準をクリアした製品に対して、フェアトレード認証ラベルが与えられるようになりました。 その他にも、フェアトレードを行う団体に対して認証を行う世界フェアトレード機関(WFTO、World Fair Trade Organization)や、各企業や団体が独自で設定している認証制度があります。 フェアトレードには、各団体が設ける基準をクリアすることにより与えられる認証ラベルをもとに、私たちが安心してその商品を購入することが出来るというひとつのメリットがあります。 2. ダイレクトトレードとは? 一方、ダンデライオン・チョコレートで行っている「ダイレクトトレード」は、フェアトレードとは取り組み方が少し異なります。まず、私たちはカカオ豆の買い付け担当であるグレッグ・ダレサンドレを筆頭に、使用する産地に必ず訪れ、自らの目で生産地、生産者、生活環境、私たちがカカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉し、購入しています。 農園で生産者らと談義するグレッグ(右端) 生産国では最終製品であるチョコレートを口にすることが少なく、カカオは生産者にとって収穫後どのように加工、消費されていくかが見えにくい作物です。産地に赴くことで、私たちは生産者の顔を知り、生産者は私たちがどのようなチョコレートを作っているかを知る。お互いの取り組みや考え方を、直接会って理解し合うことを、私たちは大切にしています。生産者とコンタクトを取り始めてから現地を訪問し、実際に購入するまで、約3年ほどかかります。生産者との関係性を築き、適正な価格を話し合い、時には技術指導者を紹介して品質向上のお手伝いをし、ようやく手にするカカオ豆には自然と思い入れが強くなり、「このカカオ豆で美味しいチョコレートを作るんだ」と気合いが入ります。フェアトレードでは認証団体側が設けた基準をクリアする必要があります。また、フェアトレード認証を受け、登録を維持するには一定の費用がかかりますが、ダイレクトトレードでは認証のための時間や費用が生産者側にかかることはありません。私たちには認証ラベルはありませんが、生産者と私たちの直接の関係性や信頼こそが基準となっています。私たちは生産者の方々の思いを少しでも届けようと、産地を紹介するソーシングレポートを発行し、取引に関する情報を開示しています。それぞれの産地の個性豊かなダンデライオンのチョコレート。産地の情景や生産者の顔を思い浮かべながら、ぜひ召し上がってみてください。 3. まとめ フェアトレードとダイレクトトレード、どちらが良いということはありません。「身体に入れるものを自分自身できちんと把握する」という食のアプローチの点においては、どちらも共通する部分があると思います。ご自身が購入する食品選びの基準として、参考になると嬉しいです。最後に、今回のお話はオンラインワークショップ Step 5 産地を知るとより美味しい「カカオの生産地とチョコレート」でも、生産者の取り組みとして詳しく触れています。その他にもチョコレートやカカオにまつわるワークショップを開催しておりますので、ぜひご参加ください。詳細・空き状況確認、お申し込みはPeatixから 関連商品 チョコレートバー各種¥1,296(税込)シングルオリジンカカオ豆とオーガニックのケインシュガー(きび砂糖)の2種類だけで作られたチョコレートバー。個性豊かなシングルオリジンのカカオ豆は、私たちが開発した独自の焙煎を行うことで、それぞれの豆が持っている独特のフレーバーやニュアンスを引き出しています。

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

ダンデライオン・チョコレートでは、8月17日(月)より全店舗ならびにオンラインストアにおいて、紙袋の有料化を開始することになりました。現在、大・中・小の3サイズにてご用意している紙袋は一律22円(税込)、保冷バッグセットは55円(税込)、保冷剤単品は11円(税込)にてご提供を開始する予定です。これらの紙袋類は、お手土産用などに必要な方のためにご用意するオプションとなります。従いまして、今後当店でのお買い物の際にはできる限りマイバッグをご持参頂きますよう、ご協力のほどお願い申し上げます。 時勢とはいえ、ギフト需要も高い商品を数多く取り扱うなかで、紙袋の有料化に踏み切るまでには少なからず躊躇もありました。とくに、お客さまに快適なショッピング体験をしていただくことが何よりも大事である接客スタッフにとっては、これからお買い上げ頂くたびに事情を説明しなければならないことを心苦しく感じることもあるでしょう。それでも、ダンデライオン・チョコレートを応援してくださる皆さまのなかには以前から、マイバッグをご持参くださる方や、意識的に紙袋のご利用をご遠慮くださる方も多く、そうした方々の姿勢から勇気を頂き、この飽和の時代に”ものづくり”に携わるものとして、遅れ馳せながら地球環境への配慮を改めて行動に移すことにいたしました。 皆さんは、「エコロジカル・フットプリント」という言葉をご存知でしょうか? これは人間の生活が地球や環境に与えている「負荷」を知る指標のことで、ある国の人間一人が、その生活をこれからも続けていくためには、どれくらいの量の資源とそれを生産する土地面積が必要かということを計算して、数字で表したものです。この指標は次の4項目から成り立ちます。1)化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積2)道路、建築物等に使われる土地面積3)食糧の生産に必要な土地面積4)紙、木材等の生産に必要な土地面積昨年の夏、サンフランシスコ郊外にある国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」 は、人間による消費資源の消費量が、地球が一年間に再生できる量を超えたと発表しました。また、彼らが算出した「エコロジカル・フットプリント」によれば、もし世界中の人間が、現在の日本人と同じ消費水準で暮らした場合、実に2.8個分の地球面積が必要だというのです。これは世界でも5番目の消費量です。もう少しわかりやすく日本の国土で置き換えてみると、本来であれば日本列島が7.7個分なければ日本人の消費生活は支えられない。そしてこの結果は、国別に見ると世界で断トツの第1位(2位はイタリアで国土4.7個分)なのです。これはかなり不名誉な結果ですよね。もともと資源が少ない日本ですから、他国の資源に頼らざるを得ないことは事実です。また、この指標は貿易自体を否定するものでもありません。各国からカカオ豆を輸入しなければ、チョコレートも作れないのですから。とはいえ、資源が少ないなりに、無駄な浪費をせず、再利用できるものは使い、利便性だけを追求しない節度ある生活を送ることは、もはや地球上すべての人に求められる急務と言えるでしょう。 ダンデライオン・チョコレートにとって、紙袋の有料化はあくまでも小さな一歩。今後の取り組みとしてやるべきこと、やりたいことが、まだまだ山のようにあります。すでに身近なところでは、フードロスを減らすための取り組みとして、廃棄処分となるはずのカカオ豆から培養した天然酵母でパンを焼いたり、クリームの香りづけに使用した”出涸らし”のカカオニブをクッキーに再利用したりといった日々の工夫を重ねています。また、昨年より販売開始した「伊勢木綿 手ぬぐいトート」は、マイバッグとしても多くの方にご愛用頂いています。このトートバッグの生地には、その名の通り、三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地を使っています。室町時代より、伊勢地方は最高級の木綿の産地として知られ、江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用されてきました。しかし戦後、安価な化学繊維の発展の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では作り手が臼井織布さん一社のみとなってしまいました。国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械と伝統の製法によって紡がれる伊勢木綿はしわになりにくく、丈夫で長持ち。洗えば洗うほど風合いが出ます。また、木綿は乾きやすく雑菌がたまりにくいという衛生的な利点もあります。優れたものを長く大切に使い続けるという古来の日本にあったはずのゆるやかな消費生活を取り戻すこと。それが、日本人として地球のためにまず行える「協力」であると考えます。そして、そのためにダンデライオン・チョコレートが踏み出す今回のささやかな一歩を、どうか暖かく見守っていただけましたら幸いです。 関連商品 伊勢木綿 手ぬぐいトート¥1,760 (税込)三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地に、京都ブランド「SOU・SOU」のテキスタイルデザイナーをつとめる脇阪克二氏によるたんぽぽの手書き柄をあしらったトートバッグです。丁寧に織り上げられた伊勢木綿は、手触り柔らかで大切なものを優しく包み込みます。取っ手部分には、伸びにくく丈夫な織物の紐「真田紐」を使用。普段使いに限らず、ちょっとしたお出かけにも最適です。 伊勢木綿 小巾折/ダンデライオン・チョコレート¥1,980 (税込)京都のブランド「SOU・SOU」とのコラボレーションから生まれた小巾折の袋物です。生地は三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」を使用し、ダンデライオンのチョコレートバーのパッケージデザインにも使用されているオリジナルの模様がパッチワークされています。お弁当入れやエコバックとして、様々なシーンで活躍します。

紙袋有料化にともなうマイバッグご持参のお願い

ダンデライオン・チョコレートでは、8月17日(月)より全店舗ならびにオンラインストアにおいて、紙袋の有料化を開始することになりました。現在、大・中・小の3サイズにてご用意している紙袋は一律22円(税込)、保冷バッグセットは55円(税込)、保冷剤単品は11円(税込)にてご提供を開始する予定です。これらの紙袋類は、お手土産用などに必要な方のためにご用意するオプションとなります。従いまして、今後当店でのお買い物の際にはできる限りマイバッグをご持参頂きますよう、ご協力のほどお願い申し上げます。 時勢とはいえ、ギフト需要も高い商品を数多く取り扱うなかで、紙袋の有料化に踏み切るまでには少なからず躊躇もありました。とくに、お客さまに快適なショッピング体験をしていただくことが何よりも大事である接客スタッフにとっては、これからお買い上げ頂くたびに事情を説明しなければならないことを心苦しく感じることもあるでしょう。それでも、ダンデライオン・チョコレートを応援してくださる皆さまのなかには以前から、マイバッグをご持参くださる方や、意識的に紙袋のご利用をご遠慮くださる方も多く、そうした方々の姿勢から勇気を頂き、この飽和の時代に”ものづくり”に携わるものとして、遅れ馳せながら地球環境への配慮を改めて行動に移すことにいたしました。 皆さんは、「エコロジカル・フットプリント」という言葉をご存知でしょうか? これは人間の生活が地球や環境に与えている「負荷」を知る指標のことで、ある国の人間一人が、その生活をこれからも続けていくためには、どれくらいの量の資源とそれを生産する土地面積が必要かということを計算して、数字で表したものです。この指標は次の4項目から成り立ちます。1)化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)の消費によって排出される二酸化炭素を吸収するために必要な森林の面積2)道路、建築物等に使われる土地面積3)食糧の生産に必要な土地面積4)紙、木材等の生産に必要な土地面積昨年の夏、サンフランシスコ郊外にある国際シンクタンク「グローバル・フットプリント・ネットワーク」 は、人間による消費資源の消費量が、地球が一年間に再生できる量を超えたと発表しました。また、彼らが算出した「エコロジカル・フットプリント」によれば、もし世界中の人間が、現在の日本人と同じ消費水準で暮らした場合、実に2.8個分の地球面積が必要だというのです。これは世界でも5番目の消費量です。もう少しわかりやすく日本の国土で置き換えてみると、本来であれば日本列島が7.7個分なければ日本人の消費生活は支えられない。そしてこの結果は、国別に見ると世界で断トツの第1位(2位はイタリアで国土4.7個分)なのです。これはかなり不名誉な結果ですよね。もともと資源が少ない日本ですから、他国の資源に頼らざるを得ないことは事実です。また、この指標は貿易自体を否定するものでもありません。各国からカカオ豆を輸入しなければ、チョコレートも作れないのですから。とはいえ、資源が少ないなりに、無駄な浪費をせず、再利用できるものは使い、利便性だけを追求しない節度ある生活を送ることは、もはや地球上すべての人に求められる急務と言えるでしょう。 ダンデライオン・チョコレートにとって、紙袋の有料化はあくまでも小さな一歩。今後の取り組みとしてやるべきこと、やりたいことが、まだまだ山のようにあります。すでに身近なところでは、フードロスを減らすための取り組みとして、廃棄処分となるはずのカカオ豆から培養した天然酵母でパンを焼いたり、クリームの香りづけに使用した”出涸らし”のカカオニブをクッキーに再利用したりといった日々の工夫を重ねています。また、昨年より販売開始した「伊勢木綿 手ぬぐいトート」は、マイバッグとしても多くの方にご愛用頂いています。このトートバッグの生地には、その名の通り、三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地を使っています。室町時代より、伊勢地方は最高級の木綿の産地として知られ、江戸から戦前まで日常着として全国の人々に愛用されてきました。しかし戦後、安価な化学繊維の発展の中で伊勢木綿の需要は激減し、現在では作り手が臼井織布さん一社のみとなってしまいました。国内最高級の純綿糸を使用し、明治時代から受け継がれた機械と伝統の製法によって紡がれる伊勢木綿はしわになりにくく、丈夫で長持ち。洗えば洗うほど風合いが出ます。また、木綿は乾きやすく雑菌がたまりにくいという衛生的な利点もあります。優れたものを長く大切に使い続けるという古来の日本にあったはずのゆるやかな消費生活を取り戻すこと。それが、日本人として地球のためにまず行える「協力」であると考えます。そして、そのためにダンデライオン・チョコレートが踏み出す今回のささやかな一歩を、どうか暖かく見守っていただけましたら幸いです。 関連商品 伊勢木綿 手ぬぐいトート¥1,760 (税込)三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」の生地に、京都ブランド「SOU・SOU」のテキスタイルデザイナーをつとめる脇阪克二氏によるたんぽぽの手書き柄をあしらったトートバッグです。丁寧に織り上げられた伊勢木綿は、手触り柔らかで大切なものを優しく包み込みます。取っ手部分には、伸びにくく丈夫な織物の紐「真田紐」を使用。普段使いに限らず、ちょっとしたお出かけにも最適です。 伊勢木綿 小巾折/ダンデライオン・チョコレート¥1,980 (税込)京都のブランド「SOU・SOU」とのコラボレーションから生まれた小巾折の袋物です。生地は三重県津市の伝統工芸品「伊勢木綿」を使用し、ダンデライオンのチョコレートバーのパッケージデザインにも使用されているオリジナルの模様がパッチワークされています。お弁当入れやエコバックとして、様々なシーンで活躍します。