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持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコレートの本質

持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコ...

サンフランシスコで生まれたダンデライオン・チョコレートの日本進出を主導した堀淵清治は、日本第1号店の出店場所として東京・蔵前を選びました。窓の外に区立精華公園の緑が広がるこの場所は、元々戦後に建てられた倉庫だったといいます。なぜ、あえて都心の繁華街ではなく蔵前を選んだのでしょうか。蔵前の地に対する思い、そして日本のダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞きました。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現●Vol.2 不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を根づかせる ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 景色も建物も情緒のある「自分が毎日来たくなる」店に ――ダンデライオン・チョコレートの日本1号店として、蔵前を選んだのはなぜですか?まず、サンフランシスコの店と同じようにカフェを併設した大きなファクトリーを作るには、ある程度の広さが必要でした。そうなると、都心の繁華街では難しいですよね。ブルーボトルコーヒーの日本1号店を清澄白河にオープンして成功した経験もあるので、ブランドとお店に魅力があれば、繁華街でなくてもお客様は来てくれると思って、東京の東側を中心に場所を探していました。それで、あちこち見て歩いているとき、たまたま蔵前で良い所を見つけたんです。――何か、惹かれるものがあったんですね。蔵前は、職人文化が色濃く残る街。さらに、少し前からアーティストが拠点にし始めている場所でもあって、新しいものづくりの機運が高まっていました。そんな街の雰囲気にも魅力を感じたし、この建物にも惚れ込みました。元々は、戦前に使われていた倉庫だったそうなんですが、建物に歴史を感じるでしょ。お店に作り変えるにあたっても、建物自体の魅力を損なわないように気をつけて工事をし、古き良き雰囲気をできるだけ残すようにしました。あとは、建物から見える景色ですね。目の前に区立公園があって、春には桜の木がきれいな花を咲かせるし、初夏は新緑がとてもきれいなんです。2階から見える借景がとにかくすばらしくて、気持ちがいい。そういった要素が全部しっくりきて、「ここがお店になったら、自分なら毎日来てもいいな」と思えたから、蔵前に1号店を作ったわけです。ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前 ――2号店は、東京を遠く離れて、伊勢に建てられたのも意外でした。蔵前店をオープンしてすぐ、「伊勢神宮に良い物件があるけどどうか」と声をかけてくれる人がいたんです。僕は、アメリカにいるときから毎年秋になると必ず伊勢神宮へお参りに行っていて、特に伊勢の外宮が大好きだったから、これはもうやるしかないと。実際に見に行ってみたら、それが大正時代に建てられた、本当に素敵な建物だったんですよ。このときも、大正ロマンの香りがする建物と、ロケーションに一目惚れでした。一般的に、2号店を1号店とこれほど離れた場所に出すなんて、ありえないかもしれないけど、そういうことは抜きにして、伊勢でやりたいと思った。その直感はおかげさまで正しくて、伊勢外宮店も地元の皆さんに愛されるお店に育っています。ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店 “正しいこと”をやり続けることで、本質的なクラフトムーブメントは定着する ――世界的なクラフトムーブメントはいずれ定着し、日本にも浸透するはずだと確信して、ダンデライオン・チョコレートの日本展開を決めたとおっしゃっていましたが、現時点での手応えはいかがでしょうか。人にも自然にも優しい生産と消費のサイクルで、持続可能な市場を作っていくことは、これからの人類が必ず進まなければならない道。だから、僕らが今やっている取り組みは、廃れることはないはずです。そういう時代の潮流にのって“正しいこと”をちゃんとやり続けてさえいれば、「おいしいチョコレート屋さんができた」「新しいブランドができた」といった話題性にとどまらない、もっと本質的なクラフトムーブメントが定着していく…いや、定着していかざるをえないと確信しています。――「世界にとって必要なこと」を、変わらずやり続けることが肝になりますね。正しくないことをやっていたら、どこかで無理が来るでしょう。もちろん、いろいろなビジネスがあっていいんだけど、僕は社会から本当に求められることをやっていたい。そこがぶれなければ、ビジネスは有機的に成長していくと思っています。 ――今は“サスティナブル”や“SDGs”といった言葉が叫ばれるようになっていますが、これがただのトレンドではなくなるときは来るのでしょうか。もっといえば、もうすぐサスティナブルさえ薄っぺらだと感じるようになるかもしれません。ウイルスとの戦いがあり、災害が起き、自然が破壊されていく中で、今ある快適な状況を維持するサスティナブルは、どんどん難しくなっていくでしょう。そうしてサスティナブルなことができなくなって、捨てる、あきらめるといったことが求められるようになる世界で、ダンデライオン・チョコレートはどうしていくか。僕は、そこに「こだわりを持って少しずつ」というクラフトの考え方が活きてくると思っています。新しい世界でのダンデライオン・チョコレートの在り方を常に考えながら、クラフト市場を育てていきたいですね。――日本のダンデライオン・チョコレートは、今後どのような展開を考えていますか?コロナ禍はさまざまな影響を多方面に及ぼしましたが、新しい考え方も与えてくれました。オンラインでの販売はそのひとつです。2020年に店舗が閉鎖している時期に需要が拡大したオンラインストアは、今では店舗と並ぶ販売の軸になりました。在宅ワークがメインの人が増えているなど、新しい暮らしのスタイルが定着しつつある中で、今後はこれまで以上に直接お客様へ商品を届けるビジネスモデルに力を入れていくことになるでしょう。かといって、オンラインだけでは僕たちが伝えたいチョコレートの本質、ダンデライオン・チョコレートの本質を伝えきることができません。カカオ豆からチョコレートができるまでの工程や、カカオ豆の個性の引き出し方など、カカオの魅力と個性を体感してもらうチョコレート体験は、僕たちがずっと大切にしてきたこと。お店でのチョコレート体験で感じた驚きや感動を踏まえて、オンラインを通じても引き続きつながっていただけるモデルを作っていきたいと思っています。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中

持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコ...

サンフランシスコで生まれたダンデライオン・チョコレートの日本進出を主導した堀淵清治は、日本第1号店の出店場所として東京・蔵前を選びました。窓の外に区立精華公園の緑が広がるこの場所は、元々戦後に建てられた倉庫だったといいます。なぜ、あえて都心の繁華街ではなく蔵前を選んだのでしょうか。蔵前の地に対する思い、そして日本のダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞きました。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現●Vol.2 不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を根づかせる ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 景色も建物も情緒のある「自分が毎日来たくなる」店に ――ダンデライオン・チョコレートの日本1号店として、蔵前を選んだのはなぜですか?まず、サンフランシスコの店と同じようにカフェを併設した大きなファクトリーを作るには、ある程度の広さが必要でした。そうなると、都心の繁華街では難しいですよね。ブルーボトルコーヒーの日本1号店を清澄白河にオープンして成功した経験もあるので、ブランドとお店に魅力があれば、繁華街でなくてもお客様は来てくれると思って、東京の東側を中心に場所を探していました。それで、あちこち見て歩いているとき、たまたま蔵前で良い所を見つけたんです。――何か、惹かれるものがあったんですね。蔵前は、職人文化が色濃く残る街。さらに、少し前からアーティストが拠点にし始めている場所でもあって、新しいものづくりの機運が高まっていました。そんな街の雰囲気にも魅力を感じたし、この建物にも惚れ込みました。元々は、戦前に使われていた倉庫だったそうなんですが、建物に歴史を感じるでしょ。お店に作り変えるにあたっても、建物自体の魅力を損なわないように気をつけて工事をし、古き良き雰囲気をできるだけ残すようにしました。あとは、建物から見える景色ですね。目の前に区立公園があって、春には桜の木がきれいな花を咲かせるし、初夏は新緑がとてもきれいなんです。2階から見える借景がとにかくすばらしくて、気持ちがいい。そういった要素が全部しっくりきて、「ここがお店になったら、自分なら毎日来てもいいな」と思えたから、蔵前に1号店を作ったわけです。ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート ファクトリー&カフェ蔵前 ――2号店は、東京を遠く離れて、伊勢に建てられたのも意外でした。蔵前店をオープンしてすぐ、「伊勢神宮に良い物件があるけどどうか」と声をかけてくれる人がいたんです。僕は、アメリカにいるときから毎年秋になると必ず伊勢神宮へお参りに行っていて、特に伊勢の外宮が大好きだったから、これはもうやるしかないと。実際に見に行ってみたら、それが大正時代に建てられた、本当に素敵な建物だったんですよ。このときも、大正ロマンの香りがする建物と、ロケーションに一目惚れでした。一般的に、2号店を1号店とこれほど離れた場所に出すなんて、ありえないかもしれないけど、そういうことは抜きにして、伊勢でやりたいと思った。その直感はおかげさまで正しくて、伊勢外宮店も地元の皆さんに愛されるお店に育っています。ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店の詳細はこちら ダンデライオン・チョコレート 伊勢外宮店 “正しいこと”をやり続けることで、本質的なクラフトムーブメントは定着する ――世界的なクラフトムーブメントはいずれ定着し、日本にも浸透するはずだと確信して、ダンデライオン・チョコレートの日本展開を決めたとおっしゃっていましたが、現時点での手応えはいかがでしょうか。人にも自然にも優しい生産と消費のサイクルで、持続可能な市場を作っていくことは、これからの人類が必ず進まなければならない道。だから、僕らが今やっている取り組みは、廃れることはないはずです。そういう時代の潮流にのって“正しいこと”をちゃんとやり続けてさえいれば、「おいしいチョコレート屋さんができた」「新しいブランドができた」といった話題性にとどまらない、もっと本質的なクラフトムーブメントが定着していく…いや、定着していかざるをえないと確信しています。――「世界にとって必要なこと」を、変わらずやり続けることが肝になりますね。正しくないことをやっていたら、どこかで無理が来るでしょう。もちろん、いろいろなビジネスがあっていいんだけど、僕は社会から本当に求められることをやっていたい。そこがぶれなければ、ビジネスは有機的に成長していくと思っています。 ――今は“サスティナブル”や“SDGs”といった言葉が叫ばれるようになっていますが、これがただのトレンドではなくなるときは来るのでしょうか。もっといえば、もうすぐサスティナブルさえ薄っぺらだと感じるようになるかもしれません。ウイルスとの戦いがあり、災害が起き、自然が破壊されていく中で、今ある快適な状況を維持するサスティナブルは、どんどん難しくなっていくでしょう。そうしてサスティナブルなことができなくなって、捨てる、あきらめるといったことが求められるようになる世界で、ダンデライオン・チョコレートはどうしていくか。僕は、そこに「こだわりを持って少しずつ」というクラフトの考え方が活きてくると思っています。新しい世界でのダンデライオン・チョコレートの在り方を常に考えながら、クラフト市場を育てていきたいですね。――日本のダンデライオン・チョコレートは、今後どのような展開を考えていますか?コロナ禍はさまざまな影響を多方面に及ぼしましたが、新しい考え方も与えてくれました。オンラインでの販売はそのひとつです。2020年に店舗が閉鎖している時期に需要が拡大したオンラインストアは、今では店舗と並ぶ販売の軸になりました。在宅ワークがメインの人が増えているなど、新しい暮らしのスタイルが定着しつつある中で、今後はこれまで以上に直接お客様へ商品を届けるビジネスモデルに力を入れていくことになるでしょう。かといって、オンラインだけでは僕たちが伝えたいチョコレートの本質、ダンデライオン・チョコレートの本質を伝えきることができません。カカオ豆からチョコレートができるまでの工程や、カカオ豆の個性の引き出し方など、カカオの魅力と個性を体感してもらうチョコレート体験は、僕たちがずっと大切にしてきたこと。お店でのチョコレート体験で感じた驚きや感動を踏まえて、オンラインを通じても引き続きつながっていただけるモデルを作っていきたいと思っています。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中

不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を根づかせる

不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を...

「これは日本でやるべき」――サンフランシスコにあるダンデライオン・チョコレートの本店で、クラフトチョコレートが文化として定着する可能性を感じ取ったダンデライオン・チョコレート・ジャパンCEOの堀淵清治は、オーナーに働きかけて日本展開を実現させました。ダンデライオン・チョコレートとの出会いから、日本上陸に至るまでの経緯、今後の構想について堀淵に聞いたインタビューの第2回。ここでは、日本展開に際してのエピソードと、ダンデライオン・チョコレートのビジョンについて紹介します。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 日本進出にあたっては不安だらけだった ──サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートで体験された、「チョコレートってこうやって作るんだ」という驚きと感動が、日本での展開につながったのですね。ダンデライオン・チョコレートは、カカオ豆の選定から買いつけ、選別を経て、チョコレートバーになるまでのすべての工程を自社のファクトリーで行いますが、そもそもチョコレートがカカオ豆からできていること自体、ほとんどの人が忘れていると思うんですよ。――言われてみれば、普段意識することはない気がします…。そうですよね。だからこそ、僕も初めてダンデライオン・チョコレートでそのことを教えてもらったとき、とても感動したんです。ダンデライオン・チョコレートのオーナーたちは、遠い昔に編み出されたチョコレートの製法を現代にそのまま再現して、商品化にこぎつけました。「原材料はカカオ豆ときび砂糖だけ」というと、シンプルで簡単に作れるように感じるかもしれませんが、彼らがチョコレートの開発を始めた当時は、設備すらなかったわけです。――確かに、そこからのスタートですよね。チョコレートづくりに使う機械や道具の設計から、カカオ豆の焙煎やメランジング(※)にかける時間、きび砂糖を入れるタイミング、パッケージのデザインまで、すべてをゼロから考えて形にしていくプロセスは、イノベーションの連続です。まず、それがカッコイイでしょ。そういうイノベーションや、製品や店に込められたオーナーの理念や思いを変えることなく、日本に受け入れられるようにトランスレートして、訪れる人にも僕と同じように「カッコイイな」「おもしろいな」と思ってもらいたいと思いました。※メランジング…メランジャーと呼ばれるドラムシリンダーで、カカオニブと砂糖を合わせて挽き、滑らかなチョコレートにする工程。 ――ただ、そういったイノベーションが日本で受け入れられるのかという不安はなかったですか?それはもう、不安だらけでしたよ(笑)。当時、アメリカでも日本でもBean to Barのお店ができ始めていたけど、機械ひとつとってもまだ手探りの状態。ほとんど前例がないわけだから、起業にあたっては日本でどれだけ投資してもらえるかもわからない。お話ししたとおり、カリフォルニアには、新進気鋭の企業やユニークな取り組みをしているお店をみんなで盛り立てていこうという、イノベーションを受け入れる土壌があるんです。おもしろいからやってみようとチャレンジする人がいて、おもしろそうだから投資しようとする人がいる。加えて、おもしろいからとりあえず店に行ってみよう、製品を使ってみようとする市民がいるんですね。――「よくわからないけどおもしろそう」が通用する環境なんですね。サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートも、そういう街と、街に住む人、さらにはその可能性に賭けてくれる投資家に支えられて育ってきました。でも、日本にそうした風土は正直ありません。「お客様に感動や驚きを伝えることができれば、なるようになっていく」というのが僕の持論ですが、ビジネスとして形にするには、やっぱりお金がなくちゃいけない。僕らのやろうとしていることに可能性を感じて、「一緒にやろう」と思ってくれる同志を見つけるのに一番時間がかかりました。――同志となってくれた人たちは、どこに魅力を感じてくれたと思われますか?ビジネスは、結局のところやってみなくちゃわからないもの。なので、自分がこれまでどういう発想で事業に取り組んで、どんな結果を残してきたのかを話して、信用してもらうしかありません。そういう意味では、先にブルーボトルコーヒーが成功していたことは大きかったと思います。 ――と、いいますと?大衆的な飲み物としてコーヒーが普及した後、高品質の豆を深煎りするシアトル系コーヒーのブームを経て、僕が日本に持ってきたブルーボトルコーヒーは、作り手が見えるシングルオリジンで、焙煎や入れ方にもこだわったクラフトのコンセプトが受けて「サードウェーブの火つけ役」と呼ばれました。よく似たコンセプトを持つブルーボトルコーヒーがひとつのムーブメントを起こした実績は、「ダンデライオン・チョコレートもいけるかもしれない」と思ってもらえるきっかけになったのではないでしょうか。それから、世界の潮流に敏感な人の中に、いわゆるクラフトムーブメントが起きつつあることを察知して、興味を持っている人が少なからずいたことも追い風になりました。 ビジョンを伝えて理解を広め、文化として根づかせる ――そうしてダンデライオン・チョコレートの日本進出が実現して、近年はBean to Bar チョコレートもトレンドになっています。海外で人気のお店を日本に持ってきて、ぱっと人を集めて、3年くらいでどんどん入れ替えていくようなビジネスモデルもあるし、あって良いと思うけど、僕はそういうやり方には興味がなくて。一過性のトレンドを作って、ブランドを消費するような形にしたくなかったんです。その点、クラフトムーブメントには、一つひとつ手作りすることとか、生産工程が目に見えることとか、今の日本や世界にとって本質的なこと、やるべきことが反映されていて、瞬間的なブームでは終わらない予感があります。 ――そうですね、これからの社会に必要なことが詰まっていると感じます。そもそも、ダンデライオン・チョコレートのオーナーたちには、地球や人間にとって無理のないサステナブルな市場を作ることで、有機的に成長していこうとする気概がありました。だから、カカオ豆の生産者とはダイレクトトレード(※)を行っていたり、カカオ豆の生産を通して野鳥の保護や森林の保全を行う農園と取引していたりするんです。このように「世の中にとって必要なことをちゃんとやっている」ということを、商品や店舗での体験を通じて発信し続けていけば、日本でも僕らのビジョンを支持してくれる人が増えていくはず。ダンデライオン・チョコレートの取り組みはブームとして消費されるのではなく、ひとつのカルチャーとして日本に根づかせていくことができるんじゃないかと思っています。※ダイレクトトレード…ダンデライオン・チョコレートでは、使用するカカオ豆の産地に必ず訪れ、みずからの目で生産地、生産者、生活環境、カカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉して購入している。【関連記事】●フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み ――次回は、蔵前に1号店を構えた理由から、ダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞いていきます。●Vol.3 持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコレートの本質 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中

不安だらけのダンデライオン・チョコレート日本上陸、「世の中にとって必要なこと」がひとつの文化を...

「これは日本でやるべき」――サンフランシスコにあるダンデライオン・チョコレートの本店で、クラフトチョコレートが文化として定着する可能性を感じ取ったダンデライオン・チョコレート・ジャパンCEOの堀淵清治は、オーナーに働きかけて日本展開を実現させました。ダンデライオン・チョコレートとの出会いから、日本上陸に至るまでの経緯、今後の構想について堀淵に聞いたインタビューの第2回。ここでは、日本展開に際してのエピソードと、ダンデライオン・チョコレートのビジョンについて紹介します。 ●Vol.1 なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 日本進出にあたっては不安だらけだった ──サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートで体験された、「チョコレートってこうやって作るんだ」という驚きと感動が、日本での展開につながったのですね。ダンデライオン・チョコレートは、カカオ豆の選定から買いつけ、選別を経て、チョコレートバーになるまでのすべての工程を自社のファクトリーで行いますが、そもそもチョコレートがカカオ豆からできていること自体、ほとんどの人が忘れていると思うんですよ。――言われてみれば、普段意識することはない気がします…。そうですよね。だからこそ、僕も初めてダンデライオン・チョコレートでそのことを教えてもらったとき、とても感動したんです。ダンデライオン・チョコレートのオーナーたちは、遠い昔に編み出されたチョコレートの製法を現代にそのまま再現して、商品化にこぎつけました。「原材料はカカオ豆ときび砂糖だけ」というと、シンプルで簡単に作れるように感じるかもしれませんが、彼らがチョコレートの開発を始めた当時は、設備すらなかったわけです。――確かに、そこからのスタートですよね。チョコレートづくりに使う機械や道具の設計から、カカオ豆の焙煎やメランジング(※)にかける時間、きび砂糖を入れるタイミング、パッケージのデザインまで、すべてをゼロから考えて形にしていくプロセスは、イノベーションの連続です。まず、それがカッコイイでしょ。そういうイノベーションや、製品や店に込められたオーナーの理念や思いを変えることなく、日本に受け入れられるようにトランスレートして、訪れる人にも僕と同じように「カッコイイな」「おもしろいな」と思ってもらいたいと思いました。※メランジング…メランジャーと呼ばれるドラムシリンダーで、カカオニブと砂糖を合わせて挽き、滑らかなチョコレートにする工程。 ――ただ、そういったイノベーションが日本で受け入れられるのかという不安はなかったですか?それはもう、不安だらけでしたよ(笑)。当時、アメリカでも日本でもBean to Barのお店ができ始めていたけど、機械ひとつとってもまだ手探りの状態。ほとんど前例がないわけだから、起業にあたっては日本でどれだけ投資してもらえるかもわからない。お話ししたとおり、カリフォルニアには、新進気鋭の企業やユニークな取り組みをしているお店をみんなで盛り立てていこうという、イノベーションを受け入れる土壌があるんです。おもしろいからやってみようとチャレンジする人がいて、おもしろそうだから投資しようとする人がいる。加えて、おもしろいからとりあえず店に行ってみよう、製品を使ってみようとする市民がいるんですね。――「よくわからないけどおもしろそう」が通用する環境なんですね。サンフランシスコのダンデライオン・チョコレートも、そういう街と、街に住む人、さらにはその可能性に賭けてくれる投資家に支えられて育ってきました。でも、日本にそうした風土は正直ありません。「お客様に感動や驚きを伝えることができれば、なるようになっていく」というのが僕の持論ですが、ビジネスとして形にするには、やっぱりお金がなくちゃいけない。僕らのやろうとしていることに可能性を感じて、「一緒にやろう」と思ってくれる同志を見つけるのに一番時間がかかりました。――同志となってくれた人たちは、どこに魅力を感じてくれたと思われますか?ビジネスは、結局のところやってみなくちゃわからないもの。なので、自分がこれまでどういう発想で事業に取り組んで、どんな結果を残してきたのかを話して、信用してもらうしかありません。そういう意味では、先にブルーボトルコーヒーが成功していたことは大きかったと思います。 ――と、いいますと?大衆的な飲み物としてコーヒーが普及した後、高品質の豆を深煎りするシアトル系コーヒーのブームを経て、僕が日本に持ってきたブルーボトルコーヒーは、作り手が見えるシングルオリジンで、焙煎や入れ方にもこだわったクラフトのコンセプトが受けて「サードウェーブの火つけ役」と呼ばれました。よく似たコンセプトを持つブルーボトルコーヒーがひとつのムーブメントを起こした実績は、「ダンデライオン・チョコレートもいけるかもしれない」と思ってもらえるきっかけになったのではないでしょうか。それから、世界の潮流に敏感な人の中に、いわゆるクラフトムーブメントが起きつつあることを察知して、興味を持っている人が少なからずいたことも追い風になりました。 ビジョンを伝えて理解を広め、文化として根づかせる ――そうしてダンデライオン・チョコレートの日本進出が実現して、近年はBean to Bar チョコレートもトレンドになっています。海外で人気のお店を日本に持ってきて、ぱっと人を集めて、3年くらいでどんどん入れ替えていくようなビジネスモデルもあるし、あって良いと思うけど、僕はそういうやり方には興味がなくて。一過性のトレンドを作って、ブランドを消費するような形にしたくなかったんです。その点、クラフトムーブメントには、一つひとつ手作りすることとか、生産工程が目に見えることとか、今の日本や世界にとって本質的なこと、やるべきことが反映されていて、瞬間的なブームでは終わらない予感があります。 ――そうですね、これからの社会に必要なことが詰まっていると感じます。そもそも、ダンデライオン・チョコレートのオーナーたちには、地球や人間にとって無理のないサステナブルな市場を作ることで、有機的に成長していこうとする気概がありました。だから、カカオ豆の生産者とはダイレクトトレード(※)を行っていたり、カカオ豆の生産を通して野鳥の保護や森林の保全を行う農園と取引していたりするんです。このように「世の中にとって必要なことをちゃんとやっている」ということを、商品や店舗での体験を通じて発信し続けていけば、日本でも僕らのビジョンを支持してくれる人が増えていくはず。ダンデライオン・チョコレートの取り組みはブームとして消費されるのではなく、ひとつのカルチャーとして日本に根づかせていくことができるんじゃないかと思っています。※ダイレクトトレード…ダンデライオン・チョコレートでは、使用するカカオ豆の産地に必ず訪れ、みずからの目で生産地、生産者、生活環境、カカオ豆を手にするまでの商流を把握した上で、価格を交渉して購入している。【関連記事】●フェアトレードとダイレクトトレードの違いとは?●サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み ――次回は、蔵前に1号店を構えた理由から、ダンデライオン・チョコレートのこれからについて聞いていきます。●Vol.3 持続可能な世の中でなくなったら――古き良き文化が息づく蔵前から発信する、ダンデライオン・チョコレートの本質 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中

なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現

なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現

2013年、サンフランシスコにオープンしたダンデライオン・チョコレート。店舗を訪れた堀淵清治は、メランジャー(カカオニブときび砂糖を合わせて挽くドラムシリンダー)からスプーンですくったチョコレートを初めて口に入れたとき、そのシンプルな原料からは想像もつかない複雑なテイストに衝撃を受けたと話します。「カカオ豆ときび砂糖。たった2つの原材料で、ここまでの味の違いを生み出せるのか」初めてクラフトチョコレートにふれたときの新鮮な驚きと感動は、「クラフト」がやがてひとつの文化として浸透していくだろうという確信と相まって、のちにダンデライオン・チョコレート・ジャパンのCEOとなる堀淵を突き動かしました。そこで、堀淵にダンデライオン・チョコレートとの出会いから日本上陸に至るまでの経緯、今後の構想まで、日本の1号店である蔵前店で聞く、全3回のインタビューをお届けします。第1回は、サンフランシスコでのダンデライオン・チョコレートとの出会いと、日本での展開を決意した理由について。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 今すぐ日本でやるべきだ――シンプルな原材料で生み出される味わいの違いに感動 ――ダンデライオン・チョコレートとは、サンフランシスコで偶然出会われたそうですね。ダンデライオン・チョコレートが、サンフランシスコのミッション地区に本店をオープンしたのが2013年。ちょうど、私が経営していた会社の本社ビルに入るカフェを探していて、ブルーボトルコーヒーに出会った頃でした。「サンフランシスコにちょっとユニークなお店ができたよ」と人づてに聞いて、ファクトリー&カフェへ行ってみたんです。 サンフランシスコ・ミッション地区にあるダンデライオン・チョコレート1号店「Valencia Factory & Cafe」。 ――最初の印象はいかがでしたか?一言でいうと、とてもおもしろかった。チョコレートづくりの原点ともいうべき100年以上前の製法を手探りで再現し、実践しているところにイノベーションを感じました。何より衝撃を受けたのは、そのシンプルな原材料と、そこから生まれる複雑なニュアンスです。ダンデライオン・チョコレートで使っているカカオ豆は、ひとつの産地から成るシングルオリジンで、原材料はカカオ豆ときび砂糖だけなんですよね。サンフランシスコのファクトリー&カフェを見せてもらったとき、カカオ豆をローストして砕いたカカオニブをすりつぶして、滑らかなチョコレートを作るメランジャーが、カカオ豆の産地ごとに5つに分かれて並んでいました。各々から少しずつスプーンですくって食べ比べてみると、どれもまったくテイストが違う。たった2つの原料でここまで味の違いが出せることに、新鮮な驚きと感動を覚えました。 【関連記事】●シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に●ダンデライオン・チョコレートがなぜ「きび砂糖」を使うのか ――プロダクトは違いますが、シングルオリジンによる製法など、ブルーボトルコーヒーと通じるところが多いですね。そうですね。ブルーボトルコーヒーは、注文を受けてから1杯ずつハンドドリップするのが特徴。この丁寧さが多くの人の共感を得て広く受け入れられたわけですが、こうしたクラフトマンシップの概念はダンデライオン・チョコレートの考え方や製法にも共通しています。ブルーボトルコーヒーとの出会いで、「クラフト」は必ず世界的なトレンドになっていずれ定着すると確信していましたから、すぐに「チョコレートも、今すぐ日本でやるべきだ」と直感しました。 ダンデライオン・チョコレートの空気感を、作り変えるのではなく“翻訳する” ――その直感を起点に、どのように動かれたのでしょう。まず、ダンデライオン・チョコレートのオーナーに会おうと決めました。シンポジウムに出たり、メールを送ったりして、直接会えたのは3ヵ月後くらいだったかな。オーナーの2人(トッド・マソニス、キャメロン・リング)は柔和な雰囲気で、さらに良い意味で“オタク感”がある人たち。それがとても良かった。チョコレートそのものにも、チョコレートの製造工程にも、手を抜かないこだわりが感じられてね。 ダンデライオン・チョコレートのオーナー。左から、キャメロン・リング、トッド・マソニス。 ――それこそ、クラフトマンシップですね。大量生産大量消費のサイクルに反発や疑問を感じる人が増える中で、「一度に作れる量が少なくても、できる限り良い物を」「丁寧に、手間をかけて」といった考え方は時代にマッチしていて、一過性ではない新しい文化、新しい市場を切り拓いていく可能性が十分にあると思いました。すぐに「日本に持っていきたい」と話をしましたが、当時、ダンデライオン・チョコレートは創業から3年ほどで、     まだ本店をオープンしたばかり。「今はサンフランシスコで知名度を上げていくのが先で、とてもじゃないけど海外展開までは考えられない」と断られたんです。それでも、あきらめきれずにオファーし続けました。日本でもすでにBean to Bar チョコレートのお店ができつつあって、クラフトチョコレートはこれからさらに大きなムーブメントになる。「(クラフトチョコレートの)先駆者として、今やるべきだ」と伝えました。【関連記事】●Bean to Barとは ――その熱意が通じて、日本展開が決まったわけですね。何度か交渉を重ねるうちに意気投合して、合弁会社としてダンデライオン・チョコレート・ジャパンを立ち上げることになりました。――日本でダンデライオン・チョコレートを展開するにあたって、オーナー陣から言われたことはありましたか?彼らからは何の要望もなくて。僕としては、彼らのアイディアや商品のコンセプト、そしてダンデライオン・チョコレートが持つ独特の空気感を、カスタマイズする(作り変える)のではなくトランスレート(翻訳)していくことが大切だと思っていました。...

なぜダンデライオン・チョコレートを日本に?“オタク感”あふれるチョコレートづくりと空気感を徹底再現

2013年、サンフランシスコにオープンしたダンデライオン・チョコレート。店舗を訪れた堀淵清治は、メランジャー(カカオニブときび砂糖を合わせて挽くドラムシリンダー)からスプーンですくったチョコレートを初めて口に入れたとき、そのシンプルな原料からは想像もつかない複雑なテイストに衝撃を受けたと話します。「カカオ豆ときび砂糖。たった2つの原材料で、ここまでの味の違いを生み出せるのか」初めてクラフトチョコレートにふれたときの新鮮な驚きと感動は、「クラフト」がやがてひとつの文化として浸透していくだろうという確信と相まって、のちにダンデライオン・チョコレート・ジャパンのCEOとなる堀淵を突き動かしました。そこで、堀淵にダンデライオン・チョコレートとの出会いから日本上陸に至るまでの経緯、今後の構想まで、日本の1号店である蔵前店で聞く、全3回のインタビューをお届けします。第1回は、サンフランシスコでのダンデライオン・チョコレートとの出会いと、日本での展開を決意した理由について。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら 全国一律送料無料キャンペーン中 堀淵清治(ほりぶち せいじ)ダンデライオン・チョコレート・ジャパン CEO早稲田大学卒業後の1975年に渡米。放浪の時期を経て、1986年に日本のマンガをアメリカで出版するビズコミュニケーションを、2011年にはサンフランシスコから日本のポップカルチャーを発信するNEW PEOPLE, Incを設立する。一方で、サードウェーブコーヒーブームを牽引した「ブルーボトルコーヒー」の日本招致に尽力したほか、2016年にダンデライオン・チョコレート・ジャパンを設立し、代表に就任した。 今すぐ日本でやるべきだ――シンプルな原材料で生み出される味わいの違いに感動 ――ダンデライオン・チョコレートとは、サンフランシスコで偶然出会われたそうですね。ダンデライオン・チョコレートが、サンフランシスコのミッション地区に本店をオープンしたのが2013年。ちょうど、私が経営していた会社の本社ビルに入るカフェを探していて、ブルーボトルコーヒーに出会った頃でした。「サンフランシスコにちょっとユニークなお店ができたよ」と人づてに聞いて、ファクトリー&カフェへ行ってみたんです。 サンフランシスコ・ミッション地区にあるダンデライオン・チョコレート1号店「Valencia Factory & Cafe」。 ――最初の印象はいかがでしたか?一言でいうと、とてもおもしろかった。チョコレートづくりの原点ともいうべき100年以上前の製法を手探りで再現し、実践しているところにイノベーションを感じました。何より衝撃を受けたのは、そのシンプルな原材料と、そこから生まれる複雑なニュアンスです。ダンデライオン・チョコレートで使っているカカオ豆は、ひとつの産地から成るシングルオリジンで、原材料はカカオ豆ときび砂糖だけなんですよね。サンフランシスコのファクトリー&カフェを見せてもらったとき、カカオ豆をローストして砕いたカカオニブをすりつぶして、滑らかなチョコレートを作るメランジャーが、カカオ豆の産地ごとに5つに分かれて並んでいました。各々から少しずつスプーンですくって食べ比べてみると、どれもまったくテイストが違う。たった2つの原料でここまで味の違いが出せることに、新鮮な驚きと感動を覚えました。 【関連記事】●シングルオリジンだからこそ、カカオの「産地」を大切に●ダンデライオン・チョコレートがなぜ「きび砂糖」を使うのか ――プロダクトは違いますが、シングルオリジンによる製法など、ブルーボトルコーヒーと通じるところが多いですね。そうですね。ブルーボトルコーヒーは、注文を受けてから1杯ずつハンドドリップするのが特徴。この丁寧さが多くの人の共感を得て広く受け入れられたわけですが、こうしたクラフトマンシップの概念はダンデライオン・チョコレートの考え方や製法にも共通しています。ブルーボトルコーヒーとの出会いで、「クラフト」は必ず世界的なトレンドになっていずれ定着すると確信していましたから、すぐに「チョコレートも、今すぐ日本でやるべきだ」と直感しました。 ダンデライオン・チョコレートの空気感を、作り変えるのではなく“翻訳する” ――その直感を起点に、どのように動かれたのでしょう。まず、ダンデライオン・チョコレートのオーナーに会おうと決めました。シンポジウムに出たり、メールを送ったりして、直接会えたのは3ヵ月後くらいだったかな。オーナーの2人(トッド・マソニス、キャメロン・リング)は柔和な雰囲気で、さらに良い意味で“オタク感”がある人たち。それがとても良かった。チョコレートそのものにも、チョコレートの製造工程にも、手を抜かないこだわりが感じられてね。 ダンデライオン・チョコレートのオーナー。左から、キャメロン・リング、トッド・マソニス。 ――それこそ、クラフトマンシップですね。大量生産大量消費のサイクルに反発や疑問を感じる人が増える中で、「一度に作れる量が少なくても、できる限り良い物を」「丁寧に、手間をかけて」といった考え方は時代にマッチしていて、一過性ではない新しい文化、新しい市場を切り拓いていく可能性が十分にあると思いました。すぐに「日本に持っていきたい」と話をしましたが、当時、ダンデライオン・チョコレートは創業から3年ほどで、     まだ本店をオープンしたばかり。「今はサンフランシスコで知名度を上げていくのが先で、とてもじゃないけど海外展開までは考えられない」と断られたんです。それでも、あきらめきれずにオファーし続けました。日本でもすでにBean to Bar チョコレートのお店ができつつあって、クラフトチョコレートはこれからさらに大きなムーブメントになる。「(クラフトチョコレートの)先駆者として、今やるべきだ」と伝えました。【関連記事】●Bean to Barとは ――その熱意が通じて、日本展開が決まったわけですね。何度か交渉を重ねるうちに意気投合して、合弁会社としてダンデライオン・チョコレート・ジャパンを立ち上げることになりました。――日本でダンデライオン・チョコレートを展開するにあたって、オーナー陣から言われたことはありましたか?彼らからは何の要望もなくて。僕としては、彼らのアイディアや商品のコンセプト、そしてダンデライオン・チョコレートが持つ独特の空気感を、カスタマイズする(作り変える)のではなくトランスレート(翻訳)していくことが大切だと思っていました。...

おうちで蔵前散策「蔵前ご近所セレクション」

おうちで蔵前散策「蔵前ご近所セレクション」

5月20日(水)から、蔵前にある素敵なお店のイチオシの商品をパックした「蔵前ご近所セレクション」の販売を開始します。 ダンデライオン・チョコレートの旗艦店「ファクトリー&カフェ蔵前」がある街(東京都台東区蔵前)に点在するお店の一品を詰め合わせた限定商品です。 例年この季節は、お散歩や街歩きをする人で賑わっていますが、今年はそんな風景を見ることも難しい状況です。毎年5月下旬に開催される、蔵前の一大イベントの一つで、スタッフも楽しみにしている「モノマチ」も残念ながら延期となってしまいました。こんな状況だからこそ、この気持ちの良い時期に、ご自宅にいながらも蔵前を散策した気分になっていただけるセットを作りたいと思いつきました。そこで各店にご協力いただき実現したのが「蔵前ご近所セレクション」です。ご賛同いただいたのは、「ファクトリー&カフェ蔵前」 から徒歩10分圏内、ダンデライオン・チョコレートがオープンする前からこの土地で魅力的なお店を営まれている、クラフトマンシップのこだわりが光るブランドばかりです。蔵前を訪れたことのある方もない方も、きっと楽しんでいただけるラインナップになっていると思います。いつも応援してくださる皆さんに、蔵前から心地よい風をお届けできたらと思います。そして、この街でまたお会いできる日を心より楽しみにしております。 ■蔵前ご近所セレクション価 格 :5,600円(税別) 内 容 : NAKAMURA TEA LIFE STORE:ほうじ茶(100g) SOL'S COFFEE:HOUSE BLEND SERENDIP(5個) 結わえる:寝かせ玄米 小豆ブレンド&黒米ブレンド(各1個) Daily's Muffin:ビスコッティ ダンデライオン・チョコレート:ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%賞味期限:短いもので製造後30日間~長いもので約360日間(全て直射日光、高温多湿を避けて保存)取り扱い店舗:ダンデライオン・チョコレート オンラインストア

おうちで蔵前散策「蔵前ご近所セレクション」

5月20日(水)から、蔵前にある素敵なお店のイチオシの商品をパックした「蔵前ご近所セレクション」の販売を開始します。 ダンデライオン・チョコレートの旗艦店「ファクトリー&カフェ蔵前」がある街(東京都台東区蔵前)に点在するお店の一品を詰め合わせた限定商品です。 例年この季節は、お散歩や街歩きをする人で賑わっていますが、今年はそんな風景を見ることも難しい状況です。毎年5月下旬に開催される、蔵前の一大イベントの一つで、スタッフも楽しみにしている「モノマチ」も残念ながら延期となってしまいました。こんな状況だからこそ、この気持ちの良い時期に、ご自宅にいながらも蔵前を散策した気分になっていただけるセットを作りたいと思いつきました。そこで各店にご協力いただき実現したのが「蔵前ご近所セレクション」です。ご賛同いただいたのは、「ファクトリー&カフェ蔵前」 から徒歩10分圏内、ダンデライオン・チョコレートがオープンする前からこの土地で魅力的なお店を営まれている、クラフトマンシップのこだわりが光るブランドばかりです。蔵前を訪れたことのある方もない方も、きっと楽しんでいただけるラインナップになっていると思います。いつも応援してくださる皆さんに、蔵前から心地よい風をお届けできたらと思います。そして、この街でまたお会いできる日を心より楽しみにしております。 ■蔵前ご近所セレクション価 格 :5,600円(税別) 内 容 : NAKAMURA TEA LIFE STORE:ほうじ茶(100g) SOL'S COFFEE:HOUSE BLEND SERENDIP(5個) 結わえる:寝かせ玄米 小豆ブレンド&黒米ブレンド(各1個) Daily's Muffin:ビスコッティ ダンデライオン・チョコレート:ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%賞味期限:短いもので製造後30日間~長いもので約360日間(全て直射日光、高温多湿を避けて保存)取り扱い店舗:ダンデライオン・チョコレート オンラインストア

日本最大規模 クラフトチョコレートの祭典 「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」 2020年5月16日・17日 開催決定!

日本最大規模 クラフトチョコレートの祭典 「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENC...

【重要】「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」につきまして、新型コロナウイルスの感染拡大状況、国内外の政府および関係機関等からの注意喚起や要請を踏まえ、検討を重ねました結果、感染拡大抑止とご来場になるお客さま、出店者の皆さま、出演者の皆さま、並びにスタッフ・関係者の安全面を最優先し、開催を延期させていただきます。(詳細は、こちらをご確認ください) 2020年5月16日(土)、17日(日)に「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」が開催されます。「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」は、2016年より名称を変えながら発展してきた前身イベント「Craft Chocolate Market」を経て開催される、日本最大規模のクラフトチョコレートの祭典です。昨年の「Craft Chocolate Market 2019」では、延べ1,200人が来場し、年を追うごとに賑わいを増しています。 Bean to Bar チョコレートは、アメリカで生まれ、2014年ごろから日本でも徐々に広がり始めたチョコレートの新しいカテゴリーです。現在、国内には約100社以上のメーカーが存在し、今なお新たなブランドが誕生する最も勢いのあるクラフトシーンの一つとも言われています。「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」では、国内外のBean to Bar カルチャーを牽引するキーパーソンたちが東京の湾岸・天王洲アイルに集結。会場では、チョコレートの試食・購入ができるだけでなく、普段なかなか会えない作り手から直接話を聞 くことができます。さらに、ワークショップやセミナーを通して、各国のサステナブルなスペシャリティカカオの生産体制や Bean to Bar...

日本最大規模 クラフトチョコレートの祭典 「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENC...

【重要】「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」につきまして、新型コロナウイルスの感染拡大状況、国内外の政府および関係機関等からの注意喚起や要請を踏まえ、検討を重ねました結果、感染拡大抑止とご来場になるお客さま、出店者の皆さま、出演者の皆さま、並びにスタッフ・関係者の安全面を最優先し、開催を延期させていただきます。(詳細は、こちらをご確認ください) 2020年5月16日(土)、17日(日)に「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」が開催されます。「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」は、2016年より名称を変えながら発展してきた前身イベント「Craft Chocolate Market」を経て開催される、日本最大規模のクラフトチョコレートの祭典です。昨年の「Craft Chocolate Market 2019」では、延べ1,200人が来場し、年を追うごとに賑わいを増しています。 Bean to Bar チョコレートは、アメリカで生まれ、2014年ごろから日本でも徐々に広がり始めたチョコレートの新しいカテゴリーです。現在、国内には約100社以上のメーカーが存在し、今なお新たなブランドが誕生する最も勢いのあるクラフトシーンの一つとも言われています。「CRAFT CHOCOLATE EXPERIENCE TOKYO」では、国内外のBean to Bar カルチャーを牽引するキーパーソンたちが東京の湾岸・天王洲アイルに集結。会場では、チョコレートの試食・購入ができるだけでなく、普段なかなか会えない作り手から直接話を聞 くことができます。さらに、ワークショップやセミナーを通して、各国のサステナブルなスペシャリティカカオの生産体制や Bean to Bar...