コエドブルワリーとダンデライオン・チョコレートの冬の風物詩となっているコラボレーションビールも、今年で5回目になりました。
今年はどんなビールが発売されるか、毎年楽しみにしてくださっている方も多く、私たちも年々おいしさと奥深さが増していくコラボレーションビールの出来上がりにワクワクしています。
今回、一昨年からこのコラボレーションビールの開発を担当しているCOEDO クラフトビール共創チームの藤咲湖南さんに、商品開発の想いやこだわりをインタビューしました。
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今年のコラボレーションビール「Melting Pod(メルティングポッド)」はどんなビール?
毎年何か新しい挑戦を続けているこのコラボレーションビール。今年はこれまで使ったことのない、カカオパルプ(カカオの果肉部分)を使用することにしました。
藤咲:当初はカカオを丸ごと(カカオハスク、パルプ、カカオニブ、チョコレート)使用したビールはどうか、という提案もいただきました。 そのなかで、まだ扱ったことのないカカオパルプを主役に添えたビールを作ろう、と決めました。
ビールのスタイルはコラボレーションを始めてから初となるサワービール。カカオパルプの甘酸っぱい雰囲気と合いそうなスタイルを探した結果、サワースタイルになりました。
藤咲:カカオパルプに合わせて、カカオニブはグアテマラ産のものを選びました。カカオパルプの甘酸っぱさに、深みとコクを与えるようなものがいいなと思い、白ワインやヨーグルトのような特徴を持つグアテマラ産カカオを選びました。また、このビールに対する私のイメージのなかに、フランダースレッド(樽熟成したサワーエールの一種)があり、カカオニブから樽熟成のような雰囲気が出せたらいいなと思いました。
想像を巡らせ手間暇かけた、愛着のあるビール
ビールは樽の大きさや仕込み方法により、試作したものを実際の生産で忠実に再現することは難しいそうです。藤咲さんは、既存のビールを元にカカオパルプの使用量を検討しながら、今回のビールのイメージを具現化してきました。
藤咲:カカオニブの抽出方法については、今までは発酵後にカカオニブを入れていましたが、そうするとカカオニブの味わいが全面に出てきてしまうと考えました。そこで、今回はあえてカカオニブの使用量を減らし、仕込み段階で投入することで、カカオの香りをほのかに出しつつ、甘渋酸っぱいカカオニブの味を抽出するようにしました。
また、今回選んだモルトや酵母を使用する際、難しかったと感じるところもあったそうです。
藤咲:濃色のモルトを組み合わせることで、ビールの色から甘酸っぱさを想起させる、きれいな赤色にしたかったのですが、最終的に茶色に近い赤になりました。これはこれで良い色ですが、なかなか難しかったですね。また、今回はフィリーサワーという酵母を使用しましたが、この酵母は発酵がゆっくり進むため最後まで問題なく発酵するか、終了するまで目が離せませんでした。でも手がかかった分、愛着が湧きました!
落ち着きのある雰囲気と甘酸っぱいものを合わせて
全体的にさっぱりとして酸味がしっかりあり、カカオの風味も感じられる今回のビール。藤咲さんにおすすめのペアリングを伺いました。
藤咲:酸味があるので甘いチョコレートとはもちろん、チーズケーキやチーズとも相性が良さそうな気がします。あとはドライフルーツやスペアリブ、魚介のマリネ、甘酸っぱいものとは合いそうです。
ビールの味わいからイメージする、おすすめのシチュエーションも教えていただきました。
藤咲:個人的には全体的に落ち着きのある雰囲気が合いそうだと思います。落ち葉の散っている公園や仕事終わりのこたつ、ビアパブの3杯目、ゆったりとしたワインバル、昼間のカフェなど・・・。
とても具体的なイメージで、今の時期にもぴったりなビールになりました。最後に、出来上がりの満足度と感想を伺いました。
藤咲:ばっちり狙い通りというわけではなかったのですが、新しい試みとしてはおもしろいものができたと思います。かなりさっぱりとした酸味が感じられる仕上がりになっているので、個人的にはもう少しカカオパルプの味わいが強かったり、甘みを残して酸味とバランスを取ったりしても良かったと思いました。アロマに関しては、注ぎたてはカカオニブの香りから始まり、3分ほどでカカオパルプのアロマが立ってくる印象です。
カカオの実(カカオポッド)から、カカオパルプやカカオニブ、ビールが溶け合いながら完成した、というイメージから命名された「Melting Pod(メルティングポッド)」。藤咲さんはセーヌ川の日没や茜色の夕日の情景を思い描いたそうです。
「Melting Pod」はオンラインストアで販売中です。このビールからどんな景色を思い浮かべるか、ぜひ想像しながら、雰囲気と味わいを堪能してみてください。
COEDO メルティングポッド 6本入り
黒糖や黒酢を思わせる甘酸っぱいアロマ、口に含むとほのかに蜂蜜のような甘味、しっかりとした酸味が感じられます。
カカオパルプとカカオニブ、フルーツサワーエールが溶け合った味わいをじっくりとお楽しみください。