ダンデライオン・チョコレートでチョコレートを開発するときは、通常一人の開発担当者がそのカカオ豆のフレーバーを最大限引き出せるよう、サンプルの試作とスタッフによるテイスティングを繰り返し、最終的な味わいを決定します。
今回は、最終的な味わいが「カカオハスクビールに合うフレーバー」ということが決まっていたため、通常とは逆の手順で開発を進めることになりました。
古野:カカオハスクを使用したビールの味わいに合わせ、ビールとチョコレートの相乗効果によるおいしさだけでなく、チョコレート単体でも楽しんでいただけるように、これまでの実績を参考にして開発を進めていきました。ビール自体に濃厚さがあるので、軽く食べられるようなチョコレートを意識して試飲と試食を重ね、チームの皆でイメージしながら作りました。
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開発する上では、ビールに合わせるが故に難しかったことや、普段とは違うこだわったポイントもあったそうです。
古野:今回はカカオニブをすり潰す工程において、砂糖を入れるタイミングを決めるのが難しかったですね。開発中もチョコレートにえぐみが残ってしまっていて、それをどう和らげて食べやすいチョコレートにするのか、砂糖の投入タイミングを見極めました。
ビール独特のキレを損なわず、かつチョコレートのフレーバーをしっかりと感じられるようなペアリングになるように心がけました。
出来上がったチョコレートバーのフレーバーは「ブラウニー、キャラメルクリーム、オレンジピール」。モルト由来のロースト風味とカカオの香りがする濃厚なインペリアルスタウトに寄り添う、バランスの良いチョコレートに仕上がりました。
古野:チョコレートの甘さのなかにオレンジピールのような酸味と苦味のあるフルーティーな要素も併せ持ち、コクのあるキャラメルのようなフレーバーもあります。ビールに負けず、でも主張し過ぎず包み込むような、優しさと可憐さのあるフレーバーになったと思います。
インペリアルスタウトの苦味と、チョコレートのオレンジのような酸味が口の中で混ざり合うことによって、お互いの良さが消えず、逆に甘みが際立ち、最後はキリッと締まる、おいしさの相乗効果が生まれました。