OUR DAYS > Craft Chocolate Festival (2)日本のクラフトチョコレートマーケット

Craft Chocolate Festival (2)日本のクラフトチョコレートマーケット

 

1月28日(土)・29日(日)と2日間にわたって開催した“Craft Chocolate Festival presented by Bean to Bar Summit(CCF)”。前回のカカオ鑑定家、クロエ・ドゥートレ・ルーセルさんの基調講演に続き、今回は日本のBean to Barメーカーによるパネルディスカッションをお伝えしたいと思います。

 

ccf22

 

日本国内からは、九州初のBean to Barメーカー「カカオ研究所」所長 中野利美さん。神奈川県横浜市にある「VANILLABEANS(チョコレートデザイン株式会社)」の代表 八木克尚さん。東京からは「Minimal - Bean to Bar Chocolate」代表 山下貴嗣さんの3名に登壇していただきました。そして、モデレーターを務めるのは、ダンデライオン・チョコレートのソーシング(カカオ豆の買い付け)を担当するグレッグ・ダレサンドレ。

“外(海外)”から見た日本のクラフトチョコレートマーケットを切り口にお話いただきました。

 

今回の”Bean to Bar Talk”の参加者のうち、1/3は国外からこのイベントのために来日。チョコレートメーカーはもちろん、農園や発酵所、ブローカー、機械メーカーなどBean to Barに関わる様々なバックグラウンドをもつ関係者が参加しました。

世界における日本のBean to Barマーケットの注目度の高さが伺われます。

 

パネルディスカッション「日本のクラフトチョコレートマーケット」の全容はこちらからご覧いただけます→パネルディスカッション「日本のクラフトチョコレートマーケット」

 

ccf09

 

日本国内のBean to Barメーカーの数は2013,14年から徐々に増え、現在では大小含め50~60件ほど。毎年どこかで新しいメーカーが誕生しています。なぜ日本でこれほどまでにBean to Barチョコレートが注目されるようになったのでしょうか。

 

パネリストの一人カカオ研究所の中野さんは、「日本には繊細な味の違いを感じ取る文化があります。チョコレートの世界でそれをどう表現するかを追求した先にあったのが、豆の違いや魅力全てを表すことができるBean to Barだった」とお話されています。

ダンデライオンの創業者であるトッド・マソニスも蔵前店をオープンするにあたり、日本にはBean to Barが受け入れられる素地があると考えていました。

日本の食文化は、素材そのものの味を生かすスタイルだと言われています。産地によって、収穫年によって、味わいの変化を楽しむことができるBean to Barは、甘味・塩味・酸味・苦味の他に旨味を感じる舌を持つ日本に合っていたのかもしれません。

 

ccf06

 

Bean to Barとは、Bean(豆)からBar(チョコレートバー)になるまでのことを言います。その際、チョコレートに何を入れるのか、チョコレートを作る工程をどうするか、またどんなチョコレートバーを目指すのかは各メーカーそれぞれです。そんな違いもBean to Barの楽しみとしてお客さまにお伝えしているのですが、今回登壇いただいた3組のメーカーが目指すチョコレートもそれぞれ個性的です。

 

Minimalさんはカカオの粒子を荒く残してザクザクしたチョコレートを作っています。今でこそショコラティエが社内にいるそうですが、創業当初はチョコレート作り経験者がいない素人集団だったそうです。そのため、従来のチョコレートのことを気にせず試行錯誤した結果、ザクザクと粒子を荒く残すことで、食感があり、カカオとその香りを感じるチョコレートになったと言います。

カカオ研究所さんはベトナムのカカオ豆を集中的に取り扱っています。ベトナムのカカオ豆は香りや酸味も非常に強い特徴があると考えておられます。日本人は酸味や香りを重視したチョコレートを好む傾向があることから、今のようなチョコレートになったのだと言います。

バニラビーンズ(チョコレートデザイン株式会社)さんは「カカオ農園に優しいチョコレート」を信念とし、「マイルドな」チョコレートを作っているそうです。「Bean to Barという新しいチョコレートの扉を開けた時に激しい味にしてしまうと驚かれる方が多くて。もちろん驚きもありますが、“もう一回食べたい”と思えるような商品を作りたいと思って、フレーバーなどを作っています。」とお話されていました。

 

ccf06

 

今回の様に、各メーカーの思いや背景を知ること、いろいろなBean to Barチョコレートを食べて好みのチョコレートを見つけていくことにも面白さを感じることができるのがBean to Barの魅力の一つだと思います。

最終回のCraft Chocolate Festival (3)では、海外のBean to Bar関係者によるパネルディスカッションの模様をお伝えいたします。

 

Craft Chocolate Festival (1)→基調講演 クロエ・ドゥートレ・ルーセル

 

Photo by Yuki Ohara

ブログに戻る