ストレス軽減や集中力アップにつながるといわれているチョコレート。デスクワークの合間や休憩時に、チョコレートを食べて気持ちをリフレッシュしている方も多いのではないでしょうか。実はチョコレートには、疲労回復の効果も期待できるのです。
ここでは、チョコレートが疲労回復に役立つ理由やおすすめのチョコレートの種類、食べ方などをご紹介します。
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疲労回復を促すチョコレートの栄養成分とは?
チョコレートが疲労回復に効果的といわれる理由。それは、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールやカフェインなどの成分の働きによるものです。
まずは、それぞれどのような成分なのかを見ていきましょう。
カカオポリフェノール
チョコレートの代表的な栄養成分であるカカオポリフェノール。体内の酸化を抑える抗酸化作用を持つため、疲労回復につながり、精神の安定・リラックスを促す他、皮膚の老化防止や動脈硬化の予防も期待できます。チョコレートに含まれるカカオ分が多いほど、カカオポリフェノールの含有量は多くなるため、チョコレートの苦味が強くなるのです。
カフェイン
カフェインはアルカロイドという化合物の一種で、覚醒作用や解熱鎮痛作用などを持つことから、医療でも用いられています。
カフェインにはリラックス効果も期待でき、ストレス状態にあるラットにカフェインを投与した結果、ストレス反応が減少したという研究もあります(日本栄養・食糧学会誌「ラットにおける拘束ストレスに伴う神経伝達物質放出に対するコーヒーの抑制作用」)。
また、カフェインは眠気を覚まし、集中力を高める成分としても有名。眠気の原因であるアデノシンという脳内物質の働きを妨げ、覚醒作用を促します。
テオブロミン
テオブロミンとは、カフェインに似た働きを持つチョコレートの苦味成分で、カカオ豆にも含まれています。
「幸せホルモン」とも呼ばれる、気分を落ち着かせる脳内物質であるセロトニンに働きかけることで、心身をリラックスさせてくれる成分です。
食物繊維
疲労回復との直接的なつながりはありませんが、チョコレートには腸内環境を整え、便通を良くする効果も望めます。これは、チョコレートの主原料であるカカオ豆に、腸のぜん動運動を活性化する働きを持つ食物繊維のリグニンが豊富に含まれているため。
便秘など、腸の不調は疲労やストレスの原因となるため、腸内環境を整えることも心身の健康を保つためには不可欠です。
さらに、腸内には体全体の約7割もの免疫細胞が存在するといわれています。よって、腸内環境を整えることで免疫力が強化され、疲労回復にも寄与すると考えられます。
疲労回復にはハイカカオチョコレートがおすすめ
疲労回復に役立つチョコレートの中でも特におすすめなのは、カカオ含有量が70%以上のハイカカオチョコレートです。なぜなら、前項でご紹介した疲労回復に有効な成分が、カカオ含有量の多いチョコレートほど多く含まれているから。
とはいえ、疲れたらたくさん食べればいいわけではありません。“適切な量”がポイントです。
1日25g程度にとどめる
ハイカカオチョコレートはカカオ含有率が高い分、他のチョコレートよりも脂質やエネルギーが多く、食べすぎると肥満や体重増加の原因となってしまいます。
また、チョコレートに含まれるカフェインは、とりすぎると不眠や依存症を引き起こす原因にも。
健康メリットが大きく、肥満や体重増加のリスクも見られないチョコレートの摂取量は、1日につき25g程度といわれています(株式会社明治「チョコレート摂取による健康効果に関する実証研究」)。
妊娠中の場合はカフェインの摂取量を抑える
妊娠中の方のカフェイン摂取量は、健康な成人の摂取量の半分である200mg程度が目安とされています。ハイカカオチョコレートには、100gあたり70~120mg相当のカフェインが含まれるため、妊娠中の方がチョコレートを食べる際は、カフェイン量に特に注意が必要です。
チョコレートとカフェインの関係や、カフェインの摂取量の目安については、こちらの記事でも解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
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チョコレートを食べるのにおすすめの食べ方は?
チョコレートは、もちろん好きなときに食べてOKなものですが、疲労回復に限らず、健康メリットを享受するためにおすすめの食べるタイミングや食べ方があります。それらについて見ていきましょう
食前に食べる
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、血糖値の急上昇を抑制し、空腹感を抑える働きもあります。食事の30分くらい前にチョコレートを少し食べておくことで、食べすぎ防止効果が期待できるでしょう。
14~16時に食べる
24時間のうち、特に体温が高く細胞が活性化する時間帯である14~16時にかけては、脂肪を溜め込みにくいといわれています。また、脂肪を溜める働きをするたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」は、14~15時頃に特に少なくなります(日本大学・榛葉繁紀教授の調査研究より)。
そのため、「(午後)3時のおやつ」は、ダイエット中の間食のタイミングとしても推奨されているようです。
少量を数回に分けて食べる
一般的に、カカオポリフェノールを含むポリフェノールの抗酸化作用は、摂取してから2~4時間程で血液中から消失するといわれています。つまり、チョコレートを一度にたくさん食べても、十分な疲労回復効果やリラックス効果が得られるわけではありません。
1日の摂取目安量である25gを、「昼食前・15時のおやつ・夕方(夕食前)」というように、数回に分けて食べると良いでしょう。
チョコレートは疲れたときのおやつに最適!
チョコレートは疲労回復効果が期待でき、気分をリフレッシュしたいときにも心強い味方となります。しかし、一度にたくさん食べてしまうと、肥満や依存症などの原因となるため、摂取量や食べるタイミングには気をつけてください。
香りや口溶けを楽しみながらゆっくりと味わうことで、少量でも満足感の高いおやつにすることができるでしょう。
【監修】管理栄養士 清水加奈子