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ヴィーガンクッキーと、チョコレートと

私たちダンデライオン・チョコレートと同じく「モノ」を通してお客さまに楽しくワクワクする体験を届けている素敵なブランドと、お互いのこだわりや大事にしていることを深堀りする対談企画「◯◯と、チョコレートと」。自身のブランドを今後どのように発展していきたいかなど、社内で語られるような普段聞けない「うちに秘めた想い」を中心に発信しています。

第三回は「ヴィーガンクッキーと、チョコレートと」。アメリカンヴィーガンベイクショップ、ovgo B.A.K.E.R(オブゴベイカー)との対談です。クッキーとチョコレートは同じ「お菓子」というジャンルですが、ovgo B.A.K.E.Rが伝えたいことは「ライフスタイルそのもの」で「食」という概念を越えたもの。日々自分の身体に取り入れるものだからこそ、改めて自分の「食」を見つめ直すきっかけにもなるのではないでしょうか。


関連記事:ヴィーガン向けチョコレートってどういうもの?

ヴィーガンクッキーと、チョコレートと

ovgo B.A.K.E.R代表の溝渕由樹さん(中央)、ダンデライオン・チョコレートの物江徹(右)と伴野智映子(左)

初の路面店ovgo B.A.K.E.R Edo St.店が東京・小伝馬町にオープンしたのは2021年6月。ブランドの創設が2019年11月、青山ファーマーズマーケットやラフォーレ原宿での出店などを経て自身の店舗を構えるまでたった1年半という、行動力とスピード感あふれるブランド「ovgo B.A.K.E.R」。

「ovgo」の由来は”Oganic, Vegan, Gluten-free as Options”の頭文字から。「オーガニック、ヴィーガン、グルテンフリーという食のライフスタイルを選択肢のひとつとして」という意味が込められています。

 

今回ovgo B.A.K.E.Rで販売するクッキーやマフィンに、ダンデライオン・チョコレートのカカオニブとチョコレートを使っていただいたことがご縁で、ovgo B.A.K.E.R代表の溝渕由樹さんと、ダンデライオン・チョコレートの物江徹と伴野智映子が、お互いの商品やこれからのブランド像について話しました。

ヴィーガンではないからこそ生み出せるおいしさ

店内には奥の工房でつくったクッキーやマフィンが並び、定番商品から季節限定のものまで常時約20種類。目移りしてついつい大人買いしてしまいます

伴野:初めてovgo B.A.K.E.Rのクッキーとマフィンを食べたとき、率直に「ヴィーガンなのにおいしい」と思ったのですが、どのように商品開発をされているんですか?そもそも「ヴィーガンなのに」という表現がおかしいかもしれませんが・・・。

 

溝渕:まずは私たちスタッフ全員が必ずしもヴィーガンではない、ということが大きいかもしれません。私はもともとアメリカンクッキーが大好きで、海外経験を経てプラントベース(すべて植物由来原料から作られた食品)にも興味を持ったので、ニューヨークのLevain Bakery(ルヴァン・ベーカリー)のような”ザ・アメリカンクッキー”でプラントベースものがあったらおもしろいな、というところからこの世界に入りました。なのでヴィーガンではない方が食べてもおいしい、と思っていただけるようなものじゃないと意味がないと考えています。

 

物江:なるほど、僕も「ヴィーガン」と聞くと普段は自分が食べるものじゃないな、と敬遠してしまうけど、ここのお菓子はどれを食べても普通のお菓子と変わらなくて、むしろおいしいと思いました。確かにヴィーガンのものって、ヴィーガンじゃない人が食べてもいいものですもんね。そういう意味では、ovgo B.A.K.E.Rはヴィーガンと僕たちをとてもいい距離感で繋いでくれている感じがします。

 

溝渕:日本では「ヴィーガン」と聞くとおのずと「ベジタリアン」「グルテンフリー」「オーガニック」「ローフード」というワードも付いてきて、なぜか「そういう人が食べるもの」というイメージになっていますよね。そういったものではなくて、もっと気軽にヴィーガンの良さを知ってもらいたいなと思います。商品開発もみんなでアイディアを出しながらつくっているので、ヴィーガンのスタッフもそうでないスタッフも、みんなが「おいしい」って思える商品ができているんだと思います。

お客さまとの対話を大切に、直のコミュニケーション

商品の開発にもスタッフ全員が携わることで、商品への愛着や熱量がお客さまにも直接伝わります

伴野:ovgo B.A.K.E.Rではあまりヴィーガンやプラントベースの大切さなどを謳いながら販売していないように見受けるんですが、なにか「語らないこと」へのこだわりがあるんですか?

 

溝渕:前はリーフレットを作成するなどしていたんですが、なんとなく文字で伝えると印象が強くなりすぎてしまう気がして、今はあえて出さないようにしています。もともとヴィーガンなどに興味がある方はSNSのハッシュタグや友達の投稿から探し出してくれることも多いので、逆にまったく知らずに私たちのお店に入ってきてくれた方に私たちのことばで直接伝えられたほうが、興味を持っていただきやすいかな、と思っています。

 

物江:なるほど、ダンデライオン・チョコレートではBean to Bar チョコレートの魅力や奥深さをブログやSNSでも伝えているので、まったく逆のアプローチですね。スタッフの方々がどう上手に伝えるか、という部分もとても重要になってくるように感じました。

 

溝渕:そうですね、スタッフのみんなにはなぜこういう商品をつくっているかなど伝えるようにしています。あと商品もみんなで開発していて試食する機会も多いので、自分たちの商品のおいしさや魅力を伝えやすい環境なのかな、と思います。

 

伴野:お店に来るとスタッフの方が満面の笑顔で「これ私も大好きなんですよ」と話しかけてくれるので、みなさんとっても愛着があるんだな、と感じました。熱量のあるコミュニケーションから「ヴィーガンって実は環境負荷を低減させることもできるんだ」とか、自然と興味が生まれるのは素敵ですね。

ブランドのコアをことばに

ダンデライオン・チョコレートのチョコレートやカカオニブを使用したクランチーチョコレートマフィン、ラムチョコレートスコッキー、ドミニカンインポッシブルチョコチップクッキーは、ovgo B.A.K.E.Rスタッフも私たちも「これは本当においしい!」とお墨付きの商品です

伴野:ovgo B.A.K.E.Rができて2年が経ちますが、今取り組んでいることはありますか?

 

溝渕:まさに先ほど話した「どう伝えるか」という部分は、今取り組んでいる課題のひとつです。最近までヴィーガンというと、そういうライフスタイルの「人」を指していましたが、今ではヴィーガンの「商品」も増えてきて、若い世代の子たちはヴィーガンへの抵抗も少なかったり、環境負荷の観点から興味を持ったり、大人よりも身近に感じている傾向があります。そんな若い世代の関心に伴って、私たちのお店も成長して変化してきているので、もうそろそろブランドのコアを見直して、言語化する時期なんじゃないかと。

 

物江:出店までの道のりもそうだけど、もうその境地にいるとは、やっぱりものすごいスピード感ですね(笑)。確かに僕らの時代は実際ヴィーガンがなにかしっかりと理解している人は少なくて、小麦を使っていたらヴィーガンじゃないとか、なぜかグルテンフリーの考え方が混ざってしまっていたり。食べ物にこだわっている人が取り組むもの、みたいなイメージがありますよね、「自分とはジャンルが違うな」と思ってしまうというか。

 

溝渕:この2年で日本でもヴィーガンやプラントベースへの考え方は浸透してきたと思います。完全に植物性の食べ物はアレルギーや脂質制限があっても、またどんな宗教に属していても食べることができて、環境負荷も少ない。そういうさまざまな側面から興味を持っていただけるような表現をしていきたいと思います。

どんな人でも食べられる「食」を目指して

笑顔で明るい溝渕さん。今後のovgo B.A.K.E.Rの展望が楽しみです

伴野:これからもさまざまな変化が起きそうなovgo B.A.K.E.Rですが、これからブランドとしてどんな風になっていきたいと考えていますか?

 

溝渕:まずは各店舗やポップアップでその地域や人たちとコラボレーションしながら、その場所にしかないユニークな商品が常にあるといいなと思います。ovgo B.A.K.E.Rの店舗に来ていただいた方が、別の場所でも私たちの商品を見つけてくれて、そこにしかないものに出会えたらもっと楽しめると思うので。

あとはヴィーガンやプラントベースってどんな人でも食べれるんだよっていうことを伝えるためにも、さまざまな場所に出店していきたいですね。ラフォーレ原宿のポップアップでは若い世代に知っていただけたので、それこそアレルギーを持っている子どもを持つファミリー層や、コレステロールの制限がある中高年世代、宗教の関係で卵や乳製品が食べられない人など、アプローチできる場所はまだまだあると思います。その場所に合った伝え方をしていけたらいいなと思います。



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「アメリカンヴィーガンベイクショップ」というお店ひとつのなかに、多くの想いやストーリーがあり、クッキーという商品を通してその体験を伝えるovgo B.A.K.E.R。

これまでの食は希少な素材や高度な技術などで「食べ物自体」に付加価値を付けてきましたが、これからの食は「食べるという行為が何のためになるか」という付加価値こそが、重要視されてくるのではないかと感じます。

 

私たちがつくるBean to Bar チョコレートも、ただ「シングルオリジンのカカオ豆ときび砂糖のみを使った、手作業で丁寧につくるチョコレート」だけではありません。ヴィーガンでもあり、健康効果やフェアトレード・ダイレクトトレードの取り組み、カカオの栽培が環境保全に繋がるなど、さまざまな視点から興味を持つことができます。そんな幅広い視点からBean to Bar チョコレートの魅力を伝えることも、今後私たちが取り組んで行きたいことのひとつになりました。

 

クッキーを通して伝える”ovgo”なライフスタイルは、これからの新しい食文化として進化し、世の中に広く取り入れられるのではないかと思います。

 

ovgo B.A.K.E.Rは東京・小伝馬町のovgo B.A.K.E.R Edo St.店、軽井沢のovgo B.A.K.E.R Kiosk店のほか、全国各地でポップアップも開催しています。ぜひ最新の情報を公式アカウントから(@ovgo_official)チェックしてみてください!



第一回:「煎餅と、チョコレートと」

第二回:「自転車と、チョコレートと」

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