ダンデライオン・チョコレートは、サンフランシスコでの創業から今年でちょうど10年を迎えます。その記念すべき年、世界は目を見張るほどの大きな変化に直面しています。それはまるで、この昨今の危機的な状況を通じて、深く眠っていた人々の目を覚まそうとするかのように、急激な勢いをもって未来を思いがけない方向へと導いています。
チョコレートを通じて、作り手と受け手の隔たりを埋め、世界をもっとシンプルに、フラットに繋ぎたいという想いのもとに始まった日本のダンデライオン・チョコレートにとっても、いまは試練の時です。特に緊急事態宣言が出されたいま、これまでと同じように実店舗においてゆっくりと寛げる時間をご提供することが難しい状況となってきました。(各店舗の休業期間および営業時間の変更については、こちらをご覧ください。)
ご周知のようにアメリカも同様な状況で、サンフランシスコにあるダンデライオン・チョコレートのカフェやファクトリーも、先月から全店舗の一時休業を余儀なくされています。コロナウイルス感染経路の特定できない複数の患者が出た2月25日に非常事態宣言、続いて3月16日には外出禁止令が出されてから、不要不急のビジネスはすべてクローズしています。多くの人々が外出を控えて自宅待機の状態となって既に3週間以上が経ち、カリフォルニア全域ではこの状態が少なくとも5月3日まで続くことになっています。
周囲と物理的な距離をとる”Social-distancing”を実行することが日常となってしまった現地ではいま、人々が「繋がり」というものの大切さを見直しています。失われてしまった過去の日常が、いかにして自分以外の多くの存在とその繋がりによって支えられていたのかを、あらためて痛感したからです。仕事以外で初めて、複数交えてのビデオカンファレンスを通じ、家族や友人、コミュニティとの「繋がり」を再確認しようとする人が増えています。そして今もなお、公共の生活を物理的に成り立たせるため外に出て働き続ける人々に感謝し、その無事を祈る毎日です。
そんななか、サンフランシスコではダンデライオン・チョコレートのスタッフたちが一部ペストリーのデリバリーサービスを市内限定で開始しました。現場で動くスタッフの数も最小限に抑えなければなりませんが、協力し合いながら配達業務を自ら行ない、今も多くの方々に焼きたてのペストリーを毎日お届けしています。自宅から仕事を続けるスタッフたちも、いま自分にできることは何か、他の誰かの役に立つにはどうすべきかを自問自答しながら、共にこの試練を乗り越えようと一致団結しています。
日本のダンデライオン・チョコレートもまた、彼らと同じ想いを抱いています。まだまだ先の見えない状況のなかで一時休業に踏み切ったいま、これまでチョコレートを通じて、いかに多くの方々と繋がっていたのかということを、あらためて感じずにはいられません。そして、こういう時だからこそ、むしろしっかりと繋がっていたい。その想いは日に日に強くなっています。
チョコレートで世界の笑顔を繋ぐこと。長年にわたって抱いてきたその夢が、このような非常事態においてますます大きな意味を持っていることにも気づかされます。限られた発育環境を選び、花から実を結ぶ確率は1%とも言われる奇跡のようなカカオの木の実から種子をいただいて作るチョコレート。カカオの生産者からチョコレートメーカーに至るまで、シングルオリジンの生きた個性と美味しさを、遠く海を越えて届けるために携わる多くの人々によって紡がれたその奇跡の糸の先に、ダンデライオン・チョコレートを応援してくださる皆さんがいます。
現在、ありがたいことに沢山の方々にオンラインストアをご利用いただいています。数あるチョコレートの中からダンデライオン・チョコレートを選んでくださることに心から感謝をするとともに、これからも皆さんと直接繋がっていける重要なインターフェースとしてのウェブサイトを充実させ、より喜んでいただける商品やサービス、そして役に立つ情報をお届けしたいと考えています。
また、営業中ならびに再開後の実店舗におきましては、いつも安心してお持ち帰りいただけるように各種ペストリーやドリンクを通常通りご用意してお待ちしております。ご要望の多いペストリー等のデリバリーサービスについても、準備が整い次第すぐに開始する予定ですので、しばしお待ちください。
いつまで続くのかまだわからない自粛態勢のなかではありますが、スタッフ一同、自分以外の多くの存在のために役立てるようアイディアを出し合い、これからも一人でも多くの方々の笑顔を奇跡の糸で繋いでいけることを願っています。
2020年4月吉日
ダンデライオン・チョコレート・ジャパン スタッフ一同