見た目がつややかで美しく、舌触りと口溶けの良いチョコレートを作るために欠かせないのが「テンパリング」。チョコレートづくりの基本テクニックともいえる作業ですが、やってはみたもののうまくいかなかったり、自宅では難しいと最初からあきらめていたりする人も多いのではないでしょうか。
そこで、チョコレートの仕上がりをワンランクアップさせるテンパリング方法を、ダンデライオン・チョコレートのシェフ、辻舞(つじ まい)が紹介します。
テンパリングとは?
テンパリングとは、チョコレートに含まれるココアバターの結晶を、最も安定した状態にするために行う作業のこと。
ココアバターは、冷えて固まる際、大きさも形も構造も異なる分子に分類されます。そのため、ただ溶かして固めるだけでは口当たりが悪く、おいしさを十分に引き出すことができません。
よってテンパリングは、光沢のあるおいしいチョコレートを作るために、確実にマスターしておきたい工程といえます。
自宅でテンパリング!プロが教える基本の方法
ここからは、自宅でテンパリングをする際におすすめの方法を2つご紹介します。
◆ 水冷法(すいれいほう)
水冷法は、最も一般的なテンパリングの方法です。
【用意する物】
-
チョコレート
- ボウル
- ゴムベラ
- 温度計
- 鍋
【手順】
1.
1. チョコレートを細かく刻んでボウルに入れ、鍋で湯せんして溶かす
湯せんに適した温度はチョコレートによって異なりますが、ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーなら50℃弱がベスト。このとき、湯気や水蒸気などの水分が入らないよう、十分注意しましょう。
2.
2. 冷水にあてて26℃くらいまで温度を下げる
適切な温度まで上がってチョコレートが溶けたら、混ぜる手を止めずに湯せんから下ろし、冷水を溜めたボウルにチョコレートのボウルをあてて温度を下げていきます。
水が冷たすぎるとダマになりやすいので、手でふれて冷たいと感じる程度でOK。ボウルの周囲をなでるようにしてチョコを削ぎ落としましょう。混ぜ方は「優しく、ゆっくり」がコツです。
3.
3. 再び湯せんして、一定の温度になるまで調節する
ボウルを少しお湯につけ、すぐに離して全体を混ぜる作業を繰り返します。温かいところに長く置いておくとダマができる原因になるので注意しましょう。31℃まで上がったら、温度をキープして混ぜ続けます。
4.
4. テンパリングの状態を確認する
ツヤが出て滑らかな状態になったら、テンパリング完了のサイン。温度が上がりすぎていないのを確かめたら、ヘラやパレットナイフなど平たい物の先にチョコレートをつけ、冷蔵庫に入れてみましょう。しっかりテンパリングできていれば、チョコレートがしっかり固まります。
◆ シード法
もうひとつのテンパリングの方法は、知っておくと便利なプロの技、シード法(フレーク法)です。テンパリング済みの市販のチョコレートを種として使うことから、種付(たねづけ)法と呼ばれることも。
すでにテンパリングされているチョコレートが結晶核となって温度を下げるため、手早く簡単にテンパリングすることができます。
【用意する物】
- テンパリングをするチョコレート(一般的なチョコレートはテンパリングされていない物)
- 製菓用チョコレート(テンパリング済みのチョコレート※)
- 大きめのボウル
- ゴムベラ
- 温度計
- 鍋
製菓用チョコレートの代替におすすめ!
ラージチップス コスタ・エスメラルダス, エクアドル 70%
チョコレートの理想的な口溶けを追求して開発された「Large Chips」は、サンフランシスコのインダストリアルデザイナー、レミー・ラベスク紙が設計を手がけたチョコレート・チップです。口の中で瞬時に、そして段階的にフレーバーが広がるようにデザインされています。
【手順】
1.
1. チョコレートを湯せんして溶かす
水冷法と同じ要領で、テンパリングするチョコレートを湯せんして溶かします。ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバーなら、46℃を目安にしてください。これも水冷法と同様に、水分が入らないよう気をつけて。
2.
2. 溶かしたチョコレートに、製菓用チョコレートを加える
溶かしたチョコレートの3分の1の量を目安に、製菓用チョコレートを加えましょう。
ダンデライオン・チョコレートの商品では、「ラージチップス コスタ・エスメラルダス, エクアドル 70%」を使ってもOKです。
3.
3. 両者を混ぜて溶かす
室温で混ぜながら、2種類のチョコレートを溶かしていきます。混ぜているうちにどんどんチョコレートが固くなってきます。手を離してしまうと一気に固まるので、手を休めずにゆっくり混ぜ続けましょう。チョコレートの温度が31℃になればテンパリング完了です。
テンパリングをマスターして、手作りチョコレートをもっとおいしく!
テンパリングは、温度管理と混ぜ方のコツさえつかむことができれば、自宅でも簡単に実践できます。うまくテンパリングがとれたチョコレートは、つややかな見た目も、とろけるような味わいも、一味違うはず。
ダンデライオン・チョコレートの本格的なBean to Bar チョコレートも楽しんでいただきつつ、おうち時間にはここで紹介したテンパリング方法を参考に、手作りチョコレートにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。