カカオの生産地を知ろう(ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国)

生産者:Zorzal Cacao
生産国:ドミニカ共和国
地域:ドゥアルテ

事業形態:私有地の農園と鳥の保護区も持つ中央発酵施設
カカオ豆:16軒のカカオ農家からウェットビーンズを購入
発酵方式:並べた木箱
乾燥方法:ビニールハウス内のメッシュの乾燥台とセメントのパティオ
カカオ豆のフレーバー:ナッツ、甘い果実

ドミニカ共和国はどんな国?

ドミニカ共和国はカリブ海に浮かぶ島々の中では二番目に大きいイスパニョーラ島の東側に位置し、西側にはハイチ共和国があります。

国土の面積は約4.8万㎢、九州と高知県を合わせた広さで、人口は1,074万人(2019年)です。

 

ヨーロッパ人で初めてカカオを発見したのはコロンブスと言われていますが、実はヨーロッパ人で初めてドミニカ共和国に上陸したのもコロンブスだそうです。

ドミニカ共和国は原住民と様々な人種が混じり合う多民族国家で、様々な文化が混じり合っています。

 

また、ドミニカ共和国は米国メジャーリーグで活躍する選出を多く輩出する野球大国。日本プロ野球にもドミニカ共和国出身の選手がいると思うと、少し身近な国に感じられます。

 

公用語はスペイン語。国名の由来はスペイン語で「安息日」を意味し、スペイン人が入植した日がカトリック暦の「聖なる安息日」だったことに由来するそうです。

ドミニカ共和国のカカオ事情

国の主要産業はバナナ、ココナッツ、柑橘類などの農業で、その中でカカオは世界で10番目の生産国(2019年:89,000トン)で、国の一大産業のひとつになっています。

 

オーガニック認証を受けているカカオ豆が多いことも特徴で、ドミニカ共和国のカカオ生産の60%を占めているサンフランシスコ・デ・マコリスでは70%近くがオーガニック認証のカカオ豆を生産しています。

 

またドミニカ共和国では、カカオの品質が良くない、発酵せずに乾燥した安価な「サンチェス(Sanchez)」と、品質が良く発酵工程を経たBean to Bar メーカーが使用する「ヒスパニオラ(Hispaniola)」に分類しており、現状はサンチェスが60%、ヒスパニオラが40%と言われています。

ソルサル・カカオについて

彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、サンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる、自然と共存出来る環境です。

 

ソルサル・カカオは、チャールズ・キルヒナー博士(通称チャック)が2012年に創業した、自然保護と経済活動の両立を目指して立ち上げられました。

 

チャックがこの世界に飛び込んだきっかけは、在学中にピース・コープ(日本の青年海外協力隊)で訪れたドミニカ共和国で、カカオ豆の発酵箱の製造やオーガニック認証取得のための生産体制を整えたことでした。当時森林経済学を学んでいたチャックは、森林保全とカカオを組み合わせることで、持続可能な経済を創ることが出来るのではないか、と考えたのです。

その後、サンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあるドゥアルテ州の山中に412ヘクタールの土地を購入し、ドミニカ共和国では初となる個人資本による野鳥の保全区域を作り、このうち面積の70%をツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として、残りをスペシャルティカカオの栽培(ソルサル・エステート)用として設計しました。

 

この土地はビックネルツグミ(「ソルサル」はスペイン語で「ツグミ」の意味)という渡り鳥が越冬するために訪れる貴重な場所。この地でカカオを栽培し販売したカカオ豆の収益から森林保全活動に繋げる、そんな経済活動の循環を図っています。

ソルサル・カカオが目指すカカオ農園

ソルサル・カカオでは、自らの農園で栽培、発酵、乾燥したカカオ豆を「ソルサル・エステート」として、近隣の農家から収穫後の生のカカオ豆(ウェットビーンズ)を購入しソルサル・カカオの発酵施設で加工したものを「ソルサル・コミュニタリオ」として販売しています。

 

ソルサル・コミュニタリオのカカオは保全区域内に住む25の農家が育てており、バードフレンドリー認証を受けたカカオです。ソルサル・カカオは彼らと協力し農業技術や投資支援を通して、年間約200トンのカカオ豆を生産しています。

 

また、ソルサル・カカオはドミニカ共和国の森林再生活動にも参画しています。これはプラン・ヴィボというカーボン・オフセットプロジェクトで、地域の農家が自分の土地に原生種の木を植えると、毎年その分の報奨金を得られるというものです。チョコレートメーカーはソルサル・カカオからカカオ豆1トンを購入する毎に、$200分のカーボン・クレジットを購入していることになり、この仕組みによって基金を維持しています。

 

カカオを通した森林保護を持続可能な経済活動で実現するソルサル・カカオ。私たちがこのカカオ豆でチョコレートをつくることが、自然保護にも繋がっているのです。

関連商品

"野鳥保護区レゼルバ・ソルサルを囲むカカオ農園から集めたカカオ豆です。酸味と苦味のバランスを工夫し、ドイツの伝統菓子フォレノワールを彷彿とさせる味わいに仕上がりました。おすすめのペアリングはほうじ茶、辛口のスパークリングワイン、フルーティーなエール系のビールなど。

ブログに戻る