ソフトクリーム奮闘記(前編)

2019年2月1日(金)にオープンした「ダンデライオン・チョコレート Bean to Bar Lounge 表参道 GYRE」には他店舗にはないソフトクリームがあります。このソフトクリームの機械は、わたしたちのチョコレートの良さを最大限引き出してくれる素晴らしい機械なのですが、とても高価な上に、取り扱いが大変難しいそうです。
そんなソフトクリームマシーンと Bean to Bar Lounge 表参道 GYRE(以下 Bean to Bar Lounge)でストアマネージャーを務めた小笹真さん(現在、鎌倉店勤務)の奮闘を2回にわたってお伝えしたいと思います。


“「可愛さ余って憎さ百倍」
大好きだった何かを、心から憎むようになったことはありますか?そして再び愛するようになったことは?
今回は、ダンデライオン・チョコレートの特別なソフトクリームを、愛し、憎み、再び愛するようになった僕とソフトクリームの物語です。


小笹真さん



■ソフトクリームとの出会い
それは2019年2月1日(金)にオープンを迎えたダンデライオン・チョコレートの国内5店舗目にあたる新店舗、ダンデライオン・チョコレート Bean to Bar Lounge 表参道 GYRE(以下 Bean to Bar Lounge)のオープン準備が慌ただしい最中。ストアマネージャーである僕はBean to Bar Loungeに新規導入されるソフトクリームマシーンの試食会に参加していました。





何やら、聞くところによるとそのマシンはイタリアのカルピジャーニ社というところの製品で、最上位機種、新品の値段は国産の乗用車が新車で買えるというではないですか。ソフトクリームと言えば某コンビニエンスストアのものを偏愛していた僕は、多少の違いはあれどもコストパフォーマンスであのソフトクリームに勝てるはずがないと、表面上はニコニコと笑顔を貼り付けながらも腹の底ではそう挑戦的な態度でいたのです。

しかしながら、マシン担当のKさんから差し出されたソフトクリームに口をつけた瞬間に、「え、やっば、うっま、やっば」と語彙力を3歳児程度まで失い、2秒で先ほどまでの考えを改めました。



ニブミルク ソフトクリーム



最初に食べたそれは、3種類ある味の内の一つニブミルクソフトクリーム。ニブミルクソフトクリームは、チョコレートの原材料であるカカオ豆を漬け込んで風味を移したミルクで作ったソフトクリーム。一見すると白い見た目からバニラ味かと思うのですが、バニラは全く入っておらずナッツやカカオ、ミルクのフレーバーが代わる代わる口の中を楽しくしてくれるスッキリとして最後まで飽きが来ず食べられるソフトクリームです。
その今まで食べたことのないフレーバーに驚きを隠せなかったのですが、それにも増してその食感が驚きでした。シルクのように滑らかな舌触りからメレンゲに口を付けたかのようなふわりとした質感へと変わり、それでいてコシのあるしっとりとクリーミーな口当たりなのです。

なぜこのような食感を生み出せるのかKさんに聞いたところ、秘密はオーバーランと攪拌器にあるとのことでした。
オーバーランとは空気の割合のことでこれが高ければ高いほどふわっと軽い口当たりに仕上がるそうです。このマシンは空気を含ませるための特殊なポンプを採用しており、ポンプが無いタイプのマシンに比べて最大2倍近くのオーバーランを可能にしているんです。
でも、それだけ空気を含むとすかすかで味がしないのではと質問したのですが、そこは特殊な攪拌器を用いることでコシのあるクリーミーさを担保しているそうなのです。
さすが新車の乗用車、よくある質問くらい軽々と乗り越えてきます。SUV車かもしれません。



ソフトクリーム



ニブミルク味に続いて、チョコレートソフトクリームを食べてみました。使用しているカカオ豆はニブミルクもこちらも、ソルサル・コミュニタリオ,ドミニカ共和国産のカカオ。質感は先ほどのニブミルクソフトクリームよりもややしっとり目、香りは濃厚なカカオの香りに始まり上質な洋酒を思わせる形で終わっていきます。チョコレート屋の本気を感じられる味わいでした。

そして最後はこの2つをいっぺんに楽しめるミックス味。こちらは、ガブリとかぶりつくと濃厚なチョコレート味の方の印象にニブミルクが押されてしまうので、始めはスプーンで別々に食べつつ途中からいっぺんに食べてまろやかなミックス具合を味わうのがオススメの変化が楽しい味わいでした。

3パターンを食べ終えた頃には試食前の斜に構えていた自分はただの欠片も残っておらず、このカルピジャーノ社製のマシンのソフトクリームの出来栄えに五体投地で感謝を捧げていたのです。



Bean to Bar Lounge のマシーン



帰り際にKさんが、「チョコレートの方の粘度調整が難しくてまだ最終の詰めをこれから行っていきます」と仰っていて、「あぁこれよりもさらに美味しくなるなんてなんて素晴らしいことなのだろう」とその時はひたすら感動していました。

それが悲劇の始まりとも知らず。



Text by Mako ”

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