【開発秘話】”メジャーインディー”なクラフトマンシップから生まれる、持続可能なものづくりを目指して

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TAIKO アミキャップ カカオ染

靴下工場が作った無縫製ニットキャップ「アミキャップ」。肌触りの良いオーガニックコットン100%で編んでいます。

本品はダンデライオン・チョコレートの製造工程で出る「カカオハスク」を染色に活用したカカオ染の製品になります。
本来は廃棄してしまう「カカオハスク」を使用した、アップサイクルな製品になりました。

ダンデライオン・チョコレートで使用しているカカオ豆から出た外皮(カカオハスク)を利用した無縫製ニットキャップ「アミキャップ」。

チョコレート作りの過程では廃棄されてしまうカカオハスクですが、実は草木染めのように、染め物にも活用することができます。

このカカオハスクを利用した、カカオ染めのニットキャップ製作に携わったのは、靴下を中心にニット関連商品の企画製造を行う株式会社タイコー

今回は、このニットキャップ「アミキャップ」へのこだわりや想い、そして今後の挑戦について、開発を担当した株式会社タイコー プロダクトマネージャー 塚田克幸さんと、ダンデライオン・チョコレート 物江の対談をお届けします。

株式会社タイコー

1949年の創業以来、長野県で約70年に渡り靴下を中心に手袋や帽子などニット関連商品の企画開発・製造を手掛けるメーカー。最先端の編み機を先駆けて導入し、一貫生産で得た幅広い技術力と長年培ってきた高い開発力で足袋型ソックスなど専門性の高い製品を数多く生み出してきました。「新しいものづくりや価値観を生み出したい」という想いをもとに、大量生産ではなく履き心地や機能性を重視したものづくりにこだわり、長く愛される製品を届けています。

クラフトマンシップへの共感と、細部にまでこだわった「アミキャップ」

株式会社タイコー プロダクトマネージャー 塚田克幸さん(右)と、ダンデライオン・チョコレートの物江(左)。

━ 今回の企画は何がきっかけで実現しましたか?

物江:塚田さんとの最初の出会いは、2021年10月の「heres market」というイベントでしたね。ダンデライオン・チョコレートのブースに来ていただいて、お話ししたのがきっかけだったと思います。

塚田:そうでしたね。奥さんに「チョコレート買ってきて」とお願いされて伺いました(笑)。

物江:そこでお互いのクラフトマンシップや、機械を導入しながらも大量生産ではない、”メジャーインディー”な規模感が合うんじゃないか、と意気投合しました。例えば捨てられてしまうカカオハスクを利用して一緒に何か作れたら、と。

塚田:話はとんとん拍子で進みましたが、実際の製品作りは1年ちょっとかけてじっくり大事に進めていきましたね。イベントで知り合ってノリで始めたというより、よく話し合ってお互い共感する部分があったから、今回の企画が生まれました。

物江:タイコーさんは靴下を中心に展開されていますが、今回はダンデライオン・チョコレートのスタッフも身に付けられるように、ニットキャップにしました。自分が身に付けることで愛着も沸くし、お客さまとお話しする際に何かしらのフックにもなるかな、と。

染色は草木染めの技法で一つひとつ手作業で染めています。

━ 今回の商品作りで難しかった点やこだわった点、印象深かったことはありますか?

塚田:今回初めてカカオハスクで染色を行なったので、どのくらいの量でどんな風に染まるのか、試行錯誤でした。なかなか色みが出ないこともあって、カカオハスクの量を少しずつ増やしたり、媒染剤(染料を定着させるために使用するもの)を変えたりしながら調整しました。

物江:使用したカカオハスクの産地によって、色の出方が違ったのは印象的でしたね。最初の試作品はグアテマラ産のカカオハスクで、今回使用しているのはドミニカ共和国のもの。カカオ豆の産地によって味わいだけでなく、色の違いも出るとは思いませんでした。

塚田:自然のものだからこそ、ですね。同じ色を出そうとするのは難しかったですが、逆にもう同じ色は出ないかもしれない、ということを楽しんでもらえるといいかなと思います。

物江:実はニットキャップだけでなく、タグや紐にまでこだわっていて。タグの紙はカカオハスクが原料の一部として使われている紙を使用していて、タグをつけている紐は、残り糸を集めて編んでいるニット製の紐なんですよね。「アミキャップ」を手に取ったら細部まで目を凝らしていただきたいです。

カラーはスティール(左)とバタースコッチ(右)。スティールは鉄、バタースコッチはチタンで色を定着させています。

機械と手仕事、クラフトマンシップとは?

いち早く導入した、靴下のつま先まで縫うことができる機械。最新の機械から新しい発想の製品が生まれます。

お互いクラフトマンシップに共感する部分があったなかで、タイコーさんがブランドとして大事にしていることは何ですか?

塚田:まずは大量生産よりも付加価値が高く、お客さまに喜んでもらえるもの、想像を超えるものを生み出したい、ということですね。そのなかで、今までのやり方に囚われず、新しいことにもチャレンジしていくことだと思います。

物江:塚田さんにはダンデライオン・チョコレートのファクトリーを見学していただいて、今回僕らもタイコーさんの工場を見学させていただきましたが、大きな機械を使用していても最後は手作業の部分など、業界は違えど「作る」って同じことだなって思いました。

塚田:今回カカオ染めを依頼したのは、僕たちの製品も染めていただいているsolosolo(ソロソロ)さんという方なんですが、彼らが行う草木染めも一つひとつ手作業なんです。「ひとつのものを作る」ということは、モノが変わっても通ずる部分があるんだということを、今回solosoloさんとダンデライオン・チョコレートさん共に感じることができました。近い価値観を持つ人たちと一緒にひとつのものを作れたということが、今回とても良かったと思います。

物江:そうですね。機械を使っているとか、大きい工場だからクラフトじゃない、というレベルの話ではないですよね。結局、クラフトマンシップって何だと思いますか?

塚田:機械を使っていたとしても、要所要所に手作業が入りますし、最後は手仕事なんです。なのでやってることは結構アナログですよね。ひとつの作業にこだわる、という点が「クラフトマンシップ」なんではないかと思います。

たくさんの機械がある中でも要所に人の手が加わり、一つひとつに愛着のある製品が出来上がります。

細くても長く続く商品作りを目指して

━ タイコーさんの今後の展望について、教えてください。

塚田:製造業の立ち位置からすると、高齢化が進み技術継承が今後の課題だと思います。ものづくりに興味がある、やってみたい方に来てもらえたら嬉しいですね。

物江:確かにそうですね。タイコーさんのものづくりはなんかワクワクするような気がします。新しい機械をいち早く導入しておもしろいものを発信しながらも、地に足が着いているというか。

塚田:先代は新しくておもしろい機械があったら、とりあえず買ってみるんです。買ってから何ができるか考えてやってみる、というスタンスで。そこに職人の知識と技術が加わって、新しいものが生まれているんだと思います。

物江:儲かるからやる、というより、とりあえず何かやってみよう、という発想なんですね。そこから職人の方たちが頭を捻って考えて、僕たちが身に付けたときに新しさや心地良さを感じるものが生まれるって、とても素敵だと思います。

塚田:僕たちが作るものって、消耗品だけど場合によっては贅沢品にもなるんです。なので「誰かの生活の役に立つものを作る」というのが努めだというスタンスで、これからも続けていきたいと思っています。


━ お互いの今後の取り組みについて、何か企画があれば教えてください。

物江:まだ何か具体的には決まっていませんが、これを共通項に一緒にイベントやポップアップに出店できたらいいですよね。

塚田:そうですね。今回の企画をどう発展させるか、色々と構想が膨らみますね。廃棄されてしまうカカオハスクを少しでも有効活用できるように、一回ぽっきりではなく、細く長くやることのほうが価値があると思います。作った以上継続的にやることが、僕たちの使命かなと思います。

物江:本当にそうですね、それが今回の一番大事なポイントだと思います。まずは被っていただいて、良さを知っていただきたいです!

 

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本来は廃棄してしまう「カカオハスク」を使用した、アップサイクルな製品になりました。

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