チョコレートは傷みにくい食品ではあるものの、温度変化の影響を受けやすく、保存方法には注意する必要があります。しかし、チョコレートの適切な保存方法は、実はあまり知られていません。
そのため、保存しておいたチョコレートを食べようとしたら、白っぽくなったり、ボソボソした食感になったり、風味が大きく落ちてしまったりした…なんて経験はありませんか?
ここでは、チョコレート本来のおいしさを保つための正しい保存方法をご紹介。基本的な保存方法に加えて、冷蔵保存のポイントや、チョコレートに多く見られる白い粉が浮き出る現象についても解説します。
チョコレートを保存する前に、賞味期限を確認しよう
チョコレートを保存するにあたってまず確認しておきたいのが、そのチョコレートの賞味期限と保存方法です。
賞味期限は、そのチョコレートを安心して食べられる期間のことで、チョコレートの種類によって変わってきます。特に、生クリームなどを使用した水分量の多いタイプは賞味期限が短いため、保存期間にも注意が必要。中には、数日しか持たない商品もあります。
チョコレートの賞味期限や保存方法はパッケージなどに記載されているので、あらかじめ確認しておきましょう。
種類別・チョコレートの保存方法
先程もふれたように、おすすめの保存方法もチョコレートの種類によって異なります。
ここでは、「チョコレートバー(板チョコレート)」「ガナッシュチョコレート」「ボンボンショコラ」の3つのタイプ別に見ていきましょう。
チョコレートバー(板チョコレート)の場合
チョコレートバーなどの一般的なチョコレートは、22℃以下を目安に保存するのがおすすめです。夏場を除けば、常温保存でも問題ないでしょう。ただし、暖房などによって室温が上がる場合はご注意ください。
また、直射日光や湿気もチョコレートを劣化させる原因となるため、高温多湿を避けられる場所に保存しましょう。
もし、ご自宅にワインセラーがあるようでしたら、そこに保存すると最適な環境をキープできますよ。
生チョコレート・ガナッシュの場合
生チョコレートとは、溶かしたチョコレートに生クリームを合わせ、冷やし固めた物。ケーキのデコレーションに使われたり、トリュフやフォンダンショコラの中に入っていたりする「ガナッシュ」は、生チョコレートを冷やし固める前の、ゆるい状態の物を指します。
生クリームが含まれていることから、生チョコレートやガナッシュは長期保存には不向き。そのため、保存する際には、必ず賞味期限を確認しておきましょう。10℃以下での保存が望ましく、シーズンを問わず冷蔵庫で保存するようにしてください。
ボンボンショコラの場合
果汁やアーモンド、ウイスキーなどを包んだ、トリュフのような一口サイズのチョコレートが、ボンボンショコラ。これは、16℃以下を目安に保存します。季節によっては、室温でも問題ないでしょう。
チョコレートを冷蔵庫で保存する際のポイント
チョコレートは、季節や種類によっては常温保存に向いておらず、冷蔵庫で保存する必要があります。
続いては、チョコレートを冷蔵保存する際の2つのポイントを見ていきましょう。
・急激な温度変化を防ぐため「野菜室」へ
チョコレートを冷蔵保存する際には、野菜室へ入れてください。これは、野菜室の温度は冷蔵室ほど低くないためです。
冷蔵庫の温度設定によっても多少異なりますが、冷蔵室は一般的に2~6℃前後、野菜室は3~8℃。冷蔵室はチョコレートを保存するには温度が低すぎるケースが多いです。
野菜室のない冷蔵庫の場合、比較的温度の高い扉側に入れたり、新聞紙等に包んだりして、チョコレート自体の温度を冷やしすぎないようにすると良いでしょう。
・アルミホイルで包み、ジッパーつき保存袋に入れて保存
チョコレートバーは一般的に、アルミホイルで包まれている物が多いです。これは、チョコレートに含まれるココアバターが光に弱いことから、遮光して風味を保つため。チョコレートを保存する際は、アルミホイルなどの包装は取らないようにしましょう。
さらに、アルミホイルなどに包んだチョコレートをジッパーつきの保存袋に入れることで、湿度の影響も受けにくくなります。湿気は、チョコレートの品質低下やカビの原因となるため、できるだけ密閉してください。
チョコレートに見られる白い粉は食べても問題ない?
保存しておいたチョコレートの表面に、白い粉のようなものが付着しているのを見たことがある人もいるのでは?この白い粉は「ブルーム」と呼ばれるもので、温度変化や湿気によってチョコレートから浮き出てきます。
ブルームには、「ファットブルーム」と「シュガーブルーム」の2種類があります。
「ファットブルーム」
ファットブルームは、溶けかけたチョコレートを再度冷却した際、チョコレートに含まれているココアバターの結晶が変化し、表面に白く浮き出てくる現象のこと。
「シュガーブルーム」
チョコレートの表面に結露が発生すると、チョコレート内の砂糖が溶け出し、その状態で再びチョコレートを冷やすと砂糖が表面で結晶化して、白い粉として浮き出てきます。この現象をシュガーブルームといいます。
ブルームの出たチョコレートを食べても、体に害はありません。ただし、チョコレート本来の風味は失われ、ざらざらとした食感になってしまいます。
ブルームを発生させないためにも、チョコレートの種類に合わせて正しく保存することをおすすめします。
チョコレートが劣化する原因は?
チョコレートが劣化する主な3つの原因についてまとめました。チョコレートの保存方法を考えるときは、これらを避けるようにしましょう。
急激な温度変化
高温の場所から冷蔵庫に移すなど、チョコレートに急激な温度変化を与えることで、ブルームが発生しやすくなります。
チョコレートの風味が大きく損なわれてしまうため、適正な温度での保存を心掛けてください。
日光
チョコレートに直射日光があたると、光や熱によって温度が上がり、品質低下を招きます。
また、直射日光によってチョコレートの包装が変形したり、破損したりする可能性も。包装が破損すると虫などが入ってしまうおそれもあるため、直射日光のあたらない場所に保存しましょう。
湿気
湿気もチョコレートの大敵。湿度の高い場所にチョコレートを保存しておくと、チョコレートが水分を吸収し、変色や品質の低下などを引き起こします。
さらに、カビが発生する可能性もあるため、保存場所の湿度には十分気をつけましょう。
冷蔵庫で保存したチョコレートをおいしく食べる方法
冷蔵保存しておいたチョコレートを食べるときは、取り出してから時間を置いて、常温に戻すことをおすすめします。冷蔵庫から出して、15~30分程置けばいいでしょう。
冷やされていたチョコレートを常温に戻すことで、チョコレートに含まれるココアバターという脂肪分が溶け出し、程良い口当たりとなります。なお、常温に戻す際には、火元やストーブなどのそばには置かないようにしてください。
とはいえ、固めの食感が好きであれば、冷蔵庫から取り出してすぐに食べてもOKです。
チョコレートは正しく保存しておいしく食べ切ろう
チョコレートは、高温多湿と直射日光を避けることを踏まえて、種類に応じて適切な方法で保存すること。これが、本来のおいしさを保つためのポイントです。チョコレートの保存方法について一度見直してみると、より長く、チョコレートのおいしさを楽しめるようになるかもしれません。
もちろん、チョコレートのおいしさや品質は、購入したときが最も良い状態ですから、保存しても長期間は放置せず、なるべく早めに食べ切るようにしてください。