【レポート】ドミニカ共和国 農園訪問(後編)

後編は、ダンデライオン・チョコレート・ジャパンのペストリーやドリンクなどに一番使用されているソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国のカカオ豆についてのレポートです。

前編はこちら→ドミニカ共和国 農園訪問(前編)





■ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国について
わたしたちが使用しているソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国のカカオ豆は、ソルサル・カカオ(Zorzal Cacao)という生産者が作ったものです。




ソルサル・カカオの創業者、チャック(Charles Kerchner)は日本でいうところの青年海外協力隊のようなもので、ドミニカ共和国に赴き、カカオ農園で発酵箱を作る等の業務に携わった後、大学院に戻り森林保全に関する博士号を取得します。そして森林保全に関する仕事をしようと思い出したのが、かつて住んでいたドミニカ共和国だったそうです。ここに私有保護地自然保護区域を作ろうと、チャックは動き出します。
私有保護地とは、自然保護区域の土地を国でははなく個人(又は企業)が購入・所有し、その区域を守っていこうとするスタイルのことです。(参考:The Nature Conservancy)


チャック(1列目の右から2番目)



この手法はアメリカを始め、コロンビア、ペルー、ブラジルではすでに行われていましたが、ドミニカ共和国では前例がありませんでした。
そのため、まずはプロジェクトの立ち上げから始めます。
それが、レザルバ・ソルサル(Reserva Zorzal)、ドミニカ共和国では初となる個人資本による絶滅危惧種の野鳥(ツグミ)の保護をはじめとした生物多様性の保全活動を行う団体です。チャックは2008年に、このレザルバ・ソルサルを立ち上げ、2012年には保全区域の一部でカカオを育てるため、ソルサル・カカオを立ち上げます。
最初は、ここでカカオ豆の収穫だけ行い、発酵と乾燥は中規模農園として有名なオコ・カリベで行っていました。


オコ・カリベの発酵所



2016年に保全区域近くに発酵施設を建てますが、山の中は寒く湿度が高かったため、乾燥に時間がかかりました。
そこで2018年には、新しい発酵施設を山の麓で交通の便が良いところに再度設立しました。


ソルサル・カカオの発酵所



たった10年で、ゼロから始めてここまで積み上げてきたと思うと、チャックはものすごい行動力がある人だと尊敬してしまいます。勢いよく前進していくその過程にワクワクしました。



最初(2016年)に使用したソルサル・カカオの発酵施設



特に新旧の発酵箱の違いと言ったら...たった2年で雲泥の差です。
以前は2つの木箱を並べていましたが、新しいものは4段の連続ボックス式になり、たった2年で最新の発酵施設に変身。


2018年に新しくつくられたソルサル・カカオの発酵施設



ココア・カミリ、カミーノ・ヴェルデなど周りのカカオ生産者に相談しながら作り上げた新施設ですが、Bean to Bar チョコレートを取り巻く、横の繋がりやオープンな関係性も改めて感じられました。



チャックさん(右)



チャックは、日本人にはどんな味わいのカカオが好まれるのか細かく聞いてくれます。
ドミニカ共和国のこのカカオ豆を、わたしたちダンデライオン・チョコレートでは主にドリンクやペストリーとして使用しています。そのため「あまり酸味が主張しすぎない方が良くて、キャラメルやナッツ感がある方が良い」と伝えると「じゃあ次に送る分はもう少し発酵を進めたものにしてみようか」と柔軟に対応をしてくれます。

カカオ生産者が作り上げたカカオ豆をいかに美味しくするかがチョコレートメーカーの仕事だと思っていたわたしたち。チャックのように生産者サイドから好みを聞いてくれることに「そこまでしてくれるのか」と驚きました。
しかし、生産者からすれば「実際にチョコレートにした時に美味しくなるカカオを作りたい」という気持ちの表れなのだということがわかります。




生産者と製造者がお互いを思い合って作ったチョコレートは絶対に美味しいはず!
現在、ファクトリー&カフェ蔵前では、ソルサルのカカオで作ったチョコレートバーを開発中です。今回のプロファイルは、カフェチームのスタッフが初めて行います。一刻も早くこのカカオで美味しいチョコレートをつくり、皆さまにお届けしたいと思います。



Text by Chieko ”


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