Chocolate Class(1)グラウンドチョコレート

 

ダンデライオン・チョコレートでは、チョコレートに関して日々多くの質問を受けています。そこで、Our daysに「Chocolate Class」というコーナーを設け、皆さんに質問いただいた内容についてお答えしていきたいと思います。


今回は11月1日(水)より販売を開始したグラウンドチョコレートについてお話したいと思います。この内容については、サンフランシスコ(SF)のスタッフ、シンシアがご紹介します。(EDUCATION STATION: GROUND CHOCOLATE)


 



グラウンドチョコレート


 


「ホットチョコレートはどのように作るの?」と聞かれることがあります。


チョコレートと同じように作るのでしょうか?


メランジャー(カカオニブを挽いて砂糖と一緒に練ってチョコレートにする機械)からペースト状のチョコレートをカップに直接注ぐのでしょうか?


残念ながら、メランジャーから出したチョコレートを直接カップに注ぐだけでは、しばらく時間が経つと固まってしまいますし、飲むには濃すぎます。


では、風味豊かな美味しいホットチョコレートを作るにはどうしたら良いのでしょうか?


 


答えは、「グラウンドチョコレート」を使います。


通常ホットチョコレートはグラウンドチョコレートの一種のようなカカオパウダーを使って作ります。しかし、カカオパウダーとグラウンドチョコレートは似て非なるものなのです。よく混同されることなので、両者の違いについて説明しますね。


 


 


カカオパウダーとは?


カカオパウダーとは、カカオニブを挽いた粉だと思っている方がほとんどだと思います。


しかし実は、カカオニブは挽くとパウダー状ではなく、液状になるのです。カカオニブの約50%がカカオバターと呼ばれる油分を含んでいるため、挽く時の摩擦熱で液状になります。挽いた後の状態は、粒入りのピーナッツバターに似ています。(カカオニブをミキサーやフードプロセッサーにかけたり、すり鉢ですってみるとわかりやすいです。ワークショップでも実際の様子を見学できます。)


 


 



 


挽いたカカオニブでないのであれば、カカオパウダーとはどのようなものなのでしょう?


カカオニブは、大雑把に言うと、油分を含まない固形物「カカオマス*」と油分「カカオバター」という2つの要素からできています。このカカオマスを粉状にしたものがカカオパウダーです。


*「カカオマス」の定義は正式には決まっていません。


また、カカオニブに熱と高圧を加えて抽出されたものがカカオバターです。


下の映像では、シードオイル抽出器でカカオバターを搾り出しています。これは簡易抽出なので、出てくるバターは茶色い色をしていますが、大体のイメージはつかんでいただけると思います。


 


 



 


メモ:カカオパウダーは、酸味を抑え、より「チョコレートらしい」風味にするため、アルカリ溶液を使って製造されることもあります。この工程は「ダッチプロセス」または「アルカリ処理」と呼ばれます。ダッチプロセスとナチュラル・カカオパウダーについては、シェフのデイビット・ルボービッツのブログをご覧ください。


 


 


グラウンドチョコレートとは?


簡単に言うと、「チョコレートを挽いて粉にしたもの」です。カカオパウダーは基本的に「カカオマス」のみですが、グラウンドチョコレートには、カカオニブと砂糖が含まれています。ダンデライオン・チョコレートでは、通常カカオ70%のダークチョコレートを作っています(原材料:カカオニブ70%、砂糖30%)。


 


SFのダンデライオン・チョコレートでは、テンパリングをしていないチョコレートブロックからグラウンドチョコレートを作る機械を新たに導入しました。チョコレートは溶けるので、ブロックは熱しすぎないように、また挽く時は時間をかけすぎないようにしなければなりません。以前、ブロックを挽く時は業務用のフードプロセッサーを使っていましたが、より静かで速く、一定の質を保てる高性能の粉砕機にグレードアップしました。


 



グラウンドチョコレートの魔術師、エリック。“隠れ家”で作業中。


 



大きなブロックチョコレートを割ってグラウンドチョコレートにしていきます。


1番目の機械にかけます。大きな刃でブロックを小さく砕きます。


 



おいしそう!でも、まだまだ塊が大きすぎます。


 



粗く砕いたチョコレートをさらに細かく砕く粉砕機にかけます。


複数の刃が高速で回転しています。


 



ホットチョコレート用のグラウンドチョコレートができました。


 


 


実際にホットチョコレートを作ってみましょう。


まずは、カカオパウダーとグラウンドチョコレートを少しずつ温めてみましょう。


 



 


グラウンドチョコレートは溶けますが、カカオパウダーは溶けません。


カカオパウダーには11~22%の脂肪分が含まれます(カカオバターを完全に搾り出すのは不可能)。一方、グラウンドチョコレートには35%ほどの脂肪分が含まれているため、熱した時に違いが出るのです。ココアパウダーを熱しても、何の変化もありません。少し固まりができますが、少し混ぜればすぐに元どおりになります。それに対してグラウンドチョコレートには脂肪分と砂糖が入っているため、すぐに溶けます。温める前の状態に戻すには、冷やしてからフードプロセッサーにかける必要があります。


でも、このままではホットチョコレートは完成しません。温めたミルクを加えてホットチョコレートを作ると、2つの違いがハッキリと分かります。ご覧ください。


 



 


温めたミルクに、小さじ2杯のココアパウダーまたはグラウンドチョコレートを加えると、ココアパウダーは容器の上の方に浮かび上がります。しかし、グラウンドチョコレートは溶け始めました。


かき混ぜると、両方ともミルクと粉が混ざって同じような見た目になりますが、グラウンドチョコレートの方がやや粘度が高くなりクリーミーさとコクがあります。カカオパウダーから作られたホットチョコレートには砂糖が加えられていないため、より苦く、チョコレートの味が強く感じられますが、クリーミーさとコクは控えめで粘度もやや低いです。


 



 


多くのお菓子屋さんでは、カカオパウダーを焼き菓子に使用しています。


しかし、ダンデライオン・チョコレートではカカオバター抽出機がなく、カカオパウダーを作ることができません。そのためわたしたちのペストリーチームでは、ケーキ、クッキー、カスタードなどのお菓子を作る際、カカオパウダーの代わりに、シングルオリジンのチョコレートを使用しています。シングルオリジンのチョコレートは、産地や収穫年により脂肪分の量が違うため、それぞれ使用する際には工夫が必要になります。上の写真でもご覧いただいたように、カカオパウダーとグラウンドチョコレートはまったく違うため、代用することができません。


 


それでは、そろそろホットチョコレートのお代わりを注文しに行こうかな。次回も「Chocolate Class」で、チョコレートのミステリーを一緒に探求しましょう。


 


“Keep your eyes on the stars, and your feet on the ground [chocolate].” Theodore Roosevelt


「目では星を見、足は地(ョコレート)につけなさい」セオドア・ルーズベルト


 



SFスタッフシンシアさん


 


 


 


店頭ではグラウンドチョコレートの販売を開始しました。ダンデライオン・チョコレートのホームメイドホットチョコレートは、とてもシンプル。チョコレートを最高においしく味わえるドリンクです。マシュマロやカカオニブの入ったホイップクリームを浮かべるのがお勧めです。ご自宅でもぜひお楽しみください!


 


品名:グラウンドチョコレート


価格:960円(税別)


内容量:150g


*時期によってカカオの産地が変わります。


 


【レシピ】


ダンデライオン・チョコレートグラウンドチョコレートを使用したホームメイドホットチョコレートの作り方


材料(1杯180ml)


ミルク 150ml


グラウンドチョコレート 30g


シュガー(はちみつなど) お好みで


*グラウンドチョコレート 1.5:牛乳 8.5がオススメです。


 


作り方


沸騰したお湯の入った鍋の上に大きな耐熱ボウルを置き、ミルクを入れて温めます。


温まったミルクの中にグラウンドチョコレートを加え、泡立て器で混ぜます。ボウルはお湯の上に置いたままにしてください。乳化してつやが出るまで、かき混ぜます。


ボウルを鍋からおろし、マグにホットチョコレートを注いだら、熱々のうちお召し上がりください。お砂糖はお好みで。

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