今夏のExchange Program*の期間も残りわずかとなりました。
先日の遠藤くんに続き、今回はチョコレートプロダクションチームで働く真理子さんの滞在の様子をお届けします。
*Exchange Programとは
サンフランシスコ(SF)と日本のスタッフを交換し、お互いの店舗で働くことを通して学び合うプログラムです。初回は1ヶ月間のスケジュールで開催。当事者であるスタッフの異文化理解や成長だけでなく、受け入れ側との化学反応や、今後ダンデライオン・チョコレートでより積極的に活躍するための方向性や指針を見つけてもらうことを目的としています。
真理子さんはダンデライオン・チョコレート・ジャパンの創業時から働くスタッフの1人。大学卒業後、パティスリー、カフェ、デリなどで様々な経験を積んできました。よく笑い明るい彼女はムードメーカーであり、プロダクションチームの縁の下の力持ちでもあります。
また、真理子さんは蔵前製チョコレートバー「サンフランシスコ・デ・マコリス, ドミニカ共和国 70%」のローストプロファイルも行いました。彼女の人柄を表すような親しみやすいこのバーは人気商品の一つ。先日の「The International Chocolate Awards 」アメリカ大陸部門では、見事銀賞を受賞しました。
チョコレートメーカーとしてSFのスタッフからも一目置かれている真理子さん。SFチームにも早い段階で打ち解け、蔵前とは違った雰囲気に日々影響を受けているようです。
「Exchange Programも早いものでもう最後の週となりました。
SFのプロダクションチームはミッション地区のバレンシアストリート沿いにある“Factory and Caf”と、近隣に建設中の“Factory”(一部稼働中)の2つの場所で作業をしています。
まずは“Factory and Caf”についてご紹介します。こちらは蔵前店と同じように、お客さまから大変近い場所(店内)でチョコレートを作っています。
チョコレートを作る過程は蔵前とまったく同じですが、扱っている機械に多少の違いがあります。例えば、カカオ豆を粉砕し、外皮とニブ(細かく砕いたカカオ豆)に分けるウィノワーは手作りです。
今でこそ、さまざまなメーカーがBean to Bar専用機械の開発に参入していますが、ダンデライオン・チョコレートが創設された当時は、Bean to Barメーカー向けの機械はほぼ手に入りませんでした。そのため、コーヒー用のロースターをカカオ用に改造したりと、知恵を絞って思い描く機械を自分たちで作りあげていました。そんなことからも、SFの店舗ではより“クラフト”を感じていただけるかもしれません。」
Factory and Caf
SFでは“Factory and Caf”と“Factory”で働くスタッフは、別々のチームとしてほぼ固定されています。今回の研修では真理子さんが2箇所で働けるよう、特別にシフトを組んでもらいました。
Factory
「“Factory”はまさに工場という感じで!
一度に50sのカカオ豆を焙煎できるロースター(蔵前は10kg)やウィノワー(蔵前の1.5倍)など、一つ一つの機械がとても大きいです。
SFも蔵前もテンパリングマシーンは同じものを使用していますが、こちらでは1日に約1,290枚のチョコレートを製造しています。(その数なんと、蔵前店の約4倍です。)生産量が多いので、フォイリングはプロダクション以外のスタッフも手伝います。
SFではラッピングやラベル貼りは、1945年ドイツ製のアンティークの機械で行われますが、日本ではフォイリングやラッピング、ラベル貼りまで全てスタッフの手作業で行われています。
いろいろなファクトリーを経験して見えたのは、どのスタッフにも共通する“美味しいチョコレートを届けたい”という熱い気持ち。たくさんの量を作っていても最終的には1枚1枚のチェックを怠りません。チョコレートづくりに真摯に向き合っているからこその作業です。」
場所や機械は違えど、ダンデライオン・チョコレートの考え方は同じです。「たくさんの人に美味しいチョコレートを届ける」ということを、SFのスタッフも日本のスタッフも大切にしています。
真理子さんは日本ではワークショップのインストラクターも務めています。そんな彼女は、研修前からSFで行われるワークショップにも大変な関心がありました。
「SFでは日本でも定番のFactory Tour、Chocolate 101、Chocolate class 201に加えて、Tea and ChocolateやCoffee and Chocolate などのオリジナルのクラスなど、さまざまなワークショップに挑戦しています。
今回はSFの初の試みであるAN EDIBLE HISTORY OF CHOCOLATEに参加しました。紀元前に発見されたチョコレートがどのようにして現在の形になったのか、歴史を通してチョコレートについて学びます。昔の人たちが行なっていた方法でカカオ豆を砕いたり、再現したドリンクを飲んだりと歴史とともに変化していくカカオを体験することができます。
AN EDIBLE HISTORY OF CHOCOLATE
SFの研修では、クラス内の雰囲気や参加者とインストラクターとの距離間なども学びたいと思っていたので、日本のクラスとの違いがとても勉強になります。」
SFのワークショップに参加し、さらに深い学びを得た真理子さん。さらに磨きのかかった彼女のクラスがとても待ち遠しいです。
「Excange programを通して色々な事に気づき、学ぶ事ができました。
言葉の壁、文化の違いと日々戸惑う中で約1ヶ月働けたのは、SFスタッフがわたしを一緒に働く仲間として歓迎してくれたからだと思います。1度でも一緒に働けばチームの一員です。
さらに他のクラフトチョコレートメーカーたちとの横の繋がりもとても大切にしています。SFスタッフは教える事を惜しみません。この一つ一つの行動が、クラフトチョコレートを生活に根付かせているのだと感じました。
日本に帰国したら、SFで感じたことをまずは身近なチームメイトへ、そしてダンデライオン・チョコレートを愛してくださるお客さまへ、身をもってお伝えしたいと思います!」
もともと好奇心が旺盛で柔軟な真理子さん。そんな彼女が今回のExchange Programを通してさらに大きく変化している様子が伝わって来ます。真理子さんが、わたしたちスタッフにどんな影響を与えてくれるのか、今から楽しみです。
研修もあと数日、真理子さんと遠藤くんの帰国も近づいて来ました。悔いが残らぬよう、最後までたくさんの学びを得て来て欲しいと思います。