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ビールに合うチョコレートを開発「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」

ビールに合うチョコレートを開発「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」

三菱UFJ信託銀行が手がけるユーザーデータサービス「Dprime」とマイクロブルワリーAJB Co.の「Waste 2 Beer」プロジェクトの一環として、ダンデライオン・チョコレートのカカオハスクを使用したビール「我」が発売されました。このビールは、チョコレートを製造する上で廃棄されるカカオハスク(カカオ豆の外皮)をアップサイクルして作られたものです。 今回ダンデライオン・チョコレートでは、このビールに合わせたチョコレートバーを開発。ビールとチョコレート両方に同じドミニカ共和国産カカオを使用し、「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」として、オンラインストアにて販売中です。 ビールに合わせたチョコレートのフレーバーを作り出すという、いつもとは異なるアプローチで開発されたこのチョコレートバーについて、チョコレートプロダクションチーム マネージャーの古野真理子にインタビューしました。   【関連記事】 カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法 カカオハスクビールに合うチョコレートの味わいを求めて ダンデライオン・チョコレートでチョコレートを開発するときは、通常一人の開発担当者がそのカカオ豆のフレーバーを最大限引き出せるよう、サンプルの試作とスタッフによるテイスティングを繰り返し、最終的な味わいを決定します。 今回は、最終的な味わいが「カカオハスクビールに合うフレーバー」ということが決まっていたため、通常とは逆の手順で開発を進めることになりました。 古野:カカオハスクを使用したビールの味わいに合わせ、ビールとチョコレートの相乗効果によるおいしさだけでなく、チョコレート単体でも楽しんでいただけるように、これまでの実績を参考にして開発を進めていきました。ビール自体に濃厚さがあるので、軽く食べられるようなチョコレートを意識して試飲と試食を重ね、チームの皆でイメージしながら作りました。 【関連記事】 チョコレートバーの開発ってどう進めるの? カカオ豆ときび砂糖のみでつくったチョコレート、なぜここまで味わいが違う? 開発する上では、ビールに合わせるが故に難しかったことや、普段とは違うこだわったポイントもあったそうです。 古野:今回はカカオニブをすり潰す工程において、砂糖を入れるタイミングを決めるのが難しかったですね。開発中もチョコレートにえぐみが残ってしまっていて、それをどう和らげて食べやすいチョコレートにするのか、砂糖の投入タイミングを見極めました。ビール独特のキレを損なわず、かつチョコレートのフレーバーをしっかりと感じられるようなペアリングになるように心がけました。 出来上がったチョコレートバーのフレーバーは「ブラウニー、キャラメルクリーム、オレンジピール」。モルト由来のロースト風味とカカオの香りがする濃厚なインペリアルスタウトに寄り添う、バランスの良いチョコレートに仕上がりました。 古野:チョコレートの甘さのなかにオレンジピールのような酸味と苦味のあるフルーティーな要素も併せ持ち、コクのあるキャラメルのようなフレーバーもあります。ビールに負けず、でも主張し過ぎず包み込むような、優しさと可憐さのあるフレーバーになったと思います。 インペリアルスタウトの苦味と、チョコレートのオレンジのような酸味が口の中で混ざり合うことによって、お互いの良さが消えず、逆に甘みが際立ち、最後はキリッと締まる、おいしさの相乗効果が生まれました。 ビールとチョコレートをおいしくテイスティングする方法 チョコレートは舌の上で溶けることで、フレーバーを感じることができます。そのため、通常冷たくして飲むビールとペアリングをするときには、ちょっとした工夫をすると良いそうです。 古野:このビールはキンキンに冷やさなくてもとってもおいしいので、少し室温に戻しておくのがおすすめです。まずはチョコレートを先に一口食べ、少し口の中で溶かしてからビールを飲むと、どちらもおいしく楽しめると思います。ビールの温度変化とともに味わいも少しずつ変化するので、時間をかけて楽しめるビールとチョコレートになっています。 【関連記事】 ​​チョコレートのおいしい食べ方は?テイスティングや保存方法を紹介 こんな場所でこんな方におすすめ「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」の楽しみ方 最後に、このペアリングセットを楽しむシチュエーションや、どんな方におすすめしたいか、聞いてみました。 古野:実際にテイスティングしてみると、チームメンバーからはさまざまなイメージが膨らんできました。共通していたのは、「ゆっくりとした時間に大切な人とシェアしながら」ということ。なかには、「焚き火の前で語らう時に、このビールとチョコレートがあったら最高」という具体的な声も(笑)。自分へのご褒美ももちろん良いですが、仕事終わりや休みの日などに、このビールとチョコレートで、いつもとは違う楽しい時間が過ごせるのではないかと思います。プレゼントするなら、ビールに詳しい方や、お酒好きのシックな方におすすめです。このペアリングセットはビール好きにもチョコレート好きにも、年齢、性別を問わず楽しんでいただけると思います。ぜひ、このペアリングセットでくつろぎの時間をお過ごしください。...

ビールに合うチョコレートを開発「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」

三菱UFJ信託銀行が手がけるユーザーデータサービス「Dprime」とマイクロブルワリーAJB Co.の「Waste 2 Beer」プロジェクトの一環として、ダンデライオン・チョコレートのカカオハスクを使用したビール「我」が発売されました。このビールは、チョコレートを製造する上で廃棄されるカカオハスク(カカオ豆の外皮)をアップサイクルして作られたものです。 今回ダンデライオン・チョコレートでは、このビールに合わせたチョコレートバーを開発。ビールとチョコレート両方に同じドミニカ共和国産カカオを使用し、「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」として、オンラインストアにて販売中です。 ビールに合わせたチョコレートのフレーバーを作り出すという、いつもとは異なるアプローチで開発されたこのチョコレートバーについて、チョコレートプロダクションチーム マネージャーの古野真理子にインタビューしました。   【関連記事】 カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法 カカオハスクビールに合うチョコレートの味わいを求めて ダンデライオン・チョコレートでチョコレートを開発するときは、通常一人の開発担当者がそのカカオ豆のフレーバーを最大限引き出せるよう、サンプルの試作とスタッフによるテイスティングを繰り返し、最終的な味わいを決定します。 今回は、最終的な味わいが「カカオハスクビールに合うフレーバー」ということが決まっていたため、通常とは逆の手順で開発を進めることになりました。 古野:カカオハスクを使用したビールの味わいに合わせ、ビールとチョコレートの相乗効果によるおいしさだけでなく、チョコレート単体でも楽しんでいただけるように、これまでの実績を参考にして開発を進めていきました。ビール自体に濃厚さがあるので、軽く食べられるようなチョコレートを意識して試飲と試食を重ね、チームの皆でイメージしながら作りました。 【関連記事】 チョコレートバーの開発ってどう進めるの? カカオ豆ときび砂糖のみでつくったチョコレート、なぜここまで味わいが違う? 開発する上では、ビールに合わせるが故に難しかったことや、普段とは違うこだわったポイントもあったそうです。 古野:今回はカカオニブをすり潰す工程において、砂糖を入れるタイミングを決めるのが難しかったですね。開発中もチョコレートにえぐみが残ってしまっていて、それをどう和らげて食べやすいチョコレートにするのか、砂糖の投入タイミングを見極めました。ビール独特のキレを損なわず、かつチョコレートのフレーバーをしっかりと感じられるようなペアリングになるように心がけました。 出来上がったチョコレートバーのフレーバーは「ブラウニー、キャラメルクリーム、オレンジピール」。モルト由来のロースト風味とカカオの香りがする濃厚なインペリアルスタウトに寄り添う、バランスの良いチョコレートに仕上がりました。 古野:チョコレートの甘さのなかにオレンジピールのような酸味と苦味のあるフルーティーな要素も併せ持ち、コクのあるキャラメルのようなフレーバーもあります。ビールに負けず、でも主張し過ぎず包み込むような、優しさと可憐さのあるフレーバーになったと思います。 インペリアルスタウトの苦味と、チョコレートのオレンジのような酸味が口の中で混ざり合うことによって、お互いの良さが消えず、逆に甘みが際立ち、最後はキリッと締まる、おいしさの相乗効果が生まれました。 ビールとチョコレートをおいしくテイスティングする方法 チョコレートは舌の上で溶けることで、フレーバーを感じることができます。そのため、通常冷たくして飲むビールとペアリングをするときには、ちょっとした工夫をすると良いそうです。 古野:このビールはキンキンに冷やさなくてもとってもおいしいので、少し室温に戻しておくのがおすすめです。まずはチョコレートを先に一口食べ、少し口の中で溶かしてからビールを飲むと、どちらもおいしく楽しめると思います。ビールの温度変化とともに味わいも少しずつ変化するので、時間をかけて楽しめるビールとチョコレートになっています。 【関連記事】 ​​チョコレートのおいしい食べ方は?テイスティングや保存方法を紹介 こんな場所でこんな方におすすめ「カカオハスクビールとチョコレートのペアリングセット」の楽しみ方 最後に、このペアリングセットを楽しむシチュエーションや、どんな方におすすめしたいか、聞いてみました。 古野:実際にテイスティングしてみると、チームメンバーからはさまざまなイメージが膨らんできました。共通していたのは、「ゆっくりとした時間に大切な人とシェアしながら」ということ。なかには、「焚き火の前で語らう時に、このビールとチョコレートがあったら最高」という具体的な声も(笑)。自分へのご褒美ももちろん良いですが、仕事終わりや休みの日などに、このビールとチョコレートで、いつもとは違う楽しい時間が過ごせるのではないかと思います。プレゼントするなら、ビールに詳しい方や、お酒好きのシックな方におすすめです。このペアリングセットはビール好きにもチョコレート好きにも、年齢、性別を問わず楽しんでいただけると思います。ぜひ、このペアリングセットでくつろぎの時間をお過ごしください。...

カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

近年、食品ロスや廃棄物の削減に取り組むなかで、本来は捨てられるはずのものから新しいものを生み出す、アップサイクルが注目されています。実はチョコレートの生産過程でも、廃棄されてしまうものがあります。それがカカオ豆の外皮「カカオハスク」です。 現在ダンデライオン・チョコレートでは、さまざまなメーカーとともに、カカオハスクをおいしく楽しくアップサイクルできる商品づくりに取り組んでいます。今回は、カカオハスクがどのようにして新たな商品に生まれ変わるのか、活用事例についてご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら カカオハスクとは? チョコレートの主原料であるカカオ。ラグビーボールほどの大きさの実からチョコレートに利用されるのは、実はほんのわずかです。カカオの実の中にある「種」を発酵、乾燥させたものが「カカオ豆」。このカカオ豆一粒一粒は、ピーナッツのような薄い外皮「カカオハスク」で覆われています。   【関連記事】 カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   カカオハスクは繊維質で粉砕しにくく、チョコレートにしたときに口当たりが悪くなってしまうため、製造過程で必ず取り除かれる部分。お米は玄米の状態では「ぬか層」に包まれていますが、精米することで白米になります。カカオハスクは、お米でいう「ぬか層」にあたります。 カカオハスクができるまで 1. 選別 2. ロースト(焙煎) 3. ウィノウイング(風選) 4. メランジング(磨砕) 5. テンパリング・成形 チョコレートの製造工程は、カカオ豆の選別から始まり、ロースト(焙煎)、ウィノウイング(風選)、メランジング(磨砕)、テンパリング、成形です。 このなかでカカオハスクができるのは、ウィノウイングの工程。ローストしたカカオ豆をウィノワーという機械で細かく砕き、外皮と内側のカカオニブを分離します。そしてファンを使って風を当て、軽い外皮を吹き飛ばしてカカオニブを取り出します。 ローストしたカカオ豆からは、25-30%がカカオハスクとして分離されます。   【関連動画】 Bean...

カカオの未利用資源を新たな商品に カカオハスクの活用法

近年、食品ロスや廃棄物の削減に取り組むなかで、本来は捨てられるはずのものから新しいものを生み出す、アップサイクルが注目されています。実はチョコレートの生産過程でも、廃棄されてしまうものがあります。それがカカオ豆の外皮「カカオハスク」です。 現在ダンデライオン・チョコレートでは、さまざまなメーカーとともに、カカオハスクをおいしく楽しくアップサイクルできる商品づくりに取り組んでいます。今回は、カカオハスクがどのようにして新たな商品に生まれ変わるのか、活用事例についてご紹介します。 ダンデライオン・チョコレートの商品一覧はこちら カカオハスクとは? チョコレートの主原料であるカカオ。ラグビーボールほどの大きさの実からチョコレートに利用されるのは、実はほんのわずかです。カカオの実の中にある「種」を発酵、乾燥させたものが「カカオ豆」。このカカオ豆一粒一粒は、ピーナッツのような薄い外皮「カカオハスク」で覆われています。   【関連記事】 カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   カカオハスクは繊維質で粉砕しにくく、チョコレートにしたときに口当たりが悪くなってしまうため、製造過程で必ず取り除かれる部分。お米は玄米の状態では「ぬか層」に包まれていますが、精米することで白米になります。カカオハスクは、お米でいう「ぬか層」にあたります。 カカオハスクができるまで 1. 選別 2. ロースト(焙煎) 3. ウィノウイング(風選) 4. メランジング(磨砕) 5. テンパリング・成形 チョコレートの製造工程は、カカオ豆の選別から始まり、ロースト(焙煎)、ウィノウイング(風選)、メランジング(磨砕)、テンパリング、成形です。 このなかでカカオハスクができるのは、ウィノウイングの工程。ローストしたカカオ豆をウィノワーという機械で細かく砕き、外皮と内側のカカオニブを分離します。そしてファンを使って風を当て、軽い外皮を吹き飛ばしてカカオニブを取り出します。 ローストしたカカオ豆からは、25-30%がカカオハスクとして分離されます。   【関連動画】 Bean...

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

ベンチェ, ベトナム 70% 生産者:Marou生産国:ベトナム地域:ベンチェ 事業形態:ベトナム国内の農家と直接取引を行うチョコレートメーカーカカオ豆:生産組合で栽培、発酵、乾燥したカカオ豆を購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:メッシュの乾燥台カカオ豆のフレーバー:砂糖がけした生姜、糖蜜、アップルサイダー ベトナムはどんな国? ベトナム社会主義共和国は、インドと中国の間、インドシナ半島東部に縦に細長くのびる東南アジアの国。北は中国、西はカンボジアとラオスに接しています。 国土の面積は約32.9万㎢(日本の0.88倍)で、人口は9,646万人(2019年)。現在多くの日本企業も進出し、急激な経済発展を遂げている新興国のひとつです。   ベトナムは、北部、中部、南部の3つの区域に分かれていて、北部には政治・文化の中心である首都ハノイ、中部にはリゾート地として人気の高いダナン、南部にはベトナム最大の商業都市ホーチミンがあります。   公用語はベトナム語。「ベトナム」という国名は「越(ベト)」「南(ナム)」の意味で、19世紀初めに誕生したベトナム最後の王朝・グエン朝が全土を統一した際に「越国南方の地」と称したとされています。 このようにベトナム語の単語の多くは漢字をベトナム式に読んだもので日本語の音読みに近く、日本人には学習しやすい外国語のひとつと言われています。 ベトナムのカカオ事情 国の主要産業は米、コーヒー、カシューナッツ、ブラックペッパー、ゴムなどの​​農林水産業で、その中でカカオは約4,000トン、世界の生産量の約0.1%ほどです。   ベトナムにカカオが伝わったのは、1800年代のフランスからと言われています。1882年にフランスがハノイを占領し、1884年にはベトナムがフランスの保護国となり実質的な植民地となります。当時カカオは高価に取り引きされていたため、フランスは植民地であるベトナムに大規模なカカオ農園をつくり、生産体制を拡大しようとしていました。しかし、想定以下の品質のものしかできず、カカオ農園はそのまま置き去りにされてしまいます。   その後1980年代にはソ連の支援を受け大規模なカカオ農園が再度増加しますが、ソ連崩壊後は買い手が激減し、ベトナムのカカオ生産は再度困難な状況に陥ってしまいます。   2000年代になると米国のSUCCESS Allianceなどの投資の元、ベトナムに残る小規模カカオ農家への技術支援や生産・輸出体制の強化に乗り出します。   このようにベトナム産カカオは歴史や社会事情に振り回されながらも、今も残る農家たちによって大事に守られてきました。南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なるカカオ豆には、今や多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目しています。また、フランスの影響を色濃く残すベトナムならでは、暑い国でもチョコレートは受け入れやすく、ベトナム産カカオに特化したチョコレートメーカーが多いのも特徴です。 マルゥについて マルゥを創業したのは、ベトナムを旅行中に出会った2人のフランス人、ヴィンセント・モローとサミュエル・マルタです。2人はカカオ農園を訪れた際にその品質に魅了され、2011年にカカオサプライヤー兼チョコレートメーカーを立ち上げます。ちなみに「マルゥ(Marou)」は2人の苗字から名付けられています。  ...

カカオの生産地を知ろう(ベンチェ, ベトナム)

ベンチェ, ベトナム 70% 生産者:Marou生産国:ベトナム地域:ベンチェ 事業形態:ベトナム国内の農家と直接取引を行うチョコレートメーカーカカオ豆:生産組合で栽培、発酵、乾燥したカカオ豆を購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:メッシュの乾燥台カカオ豆のフレーバー:砂糖がけした生姜、糖蜜、アップルサイダー ベトナムはどんな国? ベトナム社会主義共和国は、インドと中国の間、インドシナ半島東部に縦に細長くのびる東南アジアの国。北は中国、西はカンボジアとラオスに接しています。 国土の面積は約32.9万㎢(日本の0.88倍)で、人口は9,646万人(2019年)。現在多くの日本企業も進出し、急激な経済発展を遂げている新興国のひとつです。   ベトナムは、北部、中部、南部の3つの区域に分かれていて、北部には政治・文化の中心である首都ハノイ、中部にはリゾート地として人気の高いダナン、南部にはベトナム最大の商業都市ホーチミンがあります。   公用語はベトナム語。「ベトナム」という国名は「越(ベト)」「南(ナム)」の意味で、19世紀初めに誕生したベトナム最後の王朝・グエン朝が全土を統一した際に「越国南方の地」と称したとされています。 このようにベトナム語の単語の多くは漢字をベトナム式に読んだもので日本語の音読みに近く、日本人には学習しやすい外国語のひとつと言われています。 ベトナムのカカオ事情 国の主要産業は米、コーヒー、カシューナッツ、ブラックペッパー、ゴムなどの​​農林水産業で、その中でカカオは約4,000トン、世界の生産量の約0.1%ほどです。   ベトナムにカカオが伝わったのは、1800年代のフランスからと言われています。1882年にフランスがハノイを占領し、1884年にはベトナムがフランスの保護国となり実質的な植民地となります。当時カカオは高価に取り引きされていたため、フランスは植民地であるベトナムに大規模なカカオ農園をつくり、生産体制を拡大しようとしていました。しかし、想定以下の品質のものしかできず、カカオ農園はそのまま置き去りにされてしまいます。   その後1980年代にはソ連の支援を受け大規模なカカオ農園が再度増加しますが、ソ連崩壊後は買い手が激減し、ベトナムのカカオ生産は再度困難な状況に陥ってしまいます。   2000年代になると米国のSUCCESS Allianceなどの投資の元、ベトナムに残る小規模カカオ農家への技術支援や生産・輸出体制の強化に乗り出します。   このようにベトナム産カカオは歴史や社会事情に振り回されながらも、今も残る農家たちによって大事に守られてきました。南北に長くのびる地形からも、生産地によってフレーバーが大きく異なるカカオ豆には、今や多くのBean to Bar チョコレートメーカーが注目しています。また、フランスの影響を色濃く残すベトナムならでは、暑い国でもチョコレートは受け入れやすく、ベトナム産カカオに特化したチョコレートメーカーが多いのも特徴です。 マルゥについて マルゥを創業したのは、ベトナムを旅行中に出会った2人のフランス人、ヴィンセント・モローとサミュエル・マルタです。2人はカカオ農園を訪れた際にその品質に魅了され、2011年にカカオサプライヤー兼チョコレートメーカーを立ち上げます。ちなみに「マルゥ(Marou)」は2人の苗字から名付けられています。  ...

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオの違いと魅力を解説 -

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリ...

ダンデライオン・チョコレートで販売している2種類のドミニカ共和国産カカオ70%のチョコレートバー「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」は、実は同じ生産者「ソルサル・カカオ」のカカオ豆を使用していますが、その味わいは大きく異なります。なぜ、同じ生産国、生産者でも異なるフレーバーのチョコレートができるのでしょうか?それぞれの特徴や魅力を解説します。 生産者「ソルサル・カカオ」とは ソルサル・カカオはチャールズ・キルヒナー(通称チャック)達によって創設されたカカオ生産者。チャックはピース・コープ(日本の青年海外協力隊)で滞在したドミニカ共和国で、自身が博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じて現地の経済活動を創ることができるのではと想い、この事業を始めました。 【関連記事】サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み   私たちがなぜソルサル・カカオのカカオ豆を使用しているのか、それは彼らの理念に共感している他にも、チャックがとったある誠実な行動にもあります。 事業を始めた当初、ソルサル・カカオはカカオ豆の発酵施設を持っていなかったため、近隣のオコ・カリベという生産者に発酵・乾燥工程を委託していました。 【関連記事】カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   私たちがチャックに初めて彼のカカオ豆を発注したとき、オコ・カリベはチャックのカカオ豆と別のカカオ豆をブレンドして発酵させてしまいました。ダンデライオン・チョコレートがシングルオリジンのカカオ豆にこだわっていることを知っていたチャックは、それを包み隠さず私たちに話し、「発注はキャンセルしても良い」と申し出てくれたのです。 おそらく、私たちは届いたカカオ豆を見ても、ブレンドされたかどうかまでは分からなかったと思います。チャックは私たちが何を大切にしているかを理解してくれていたからこそ、このように伝えてくれたのでした。 「顧客に対して誠実であることには価値がある。数千km離れた地でカカオ豆がどのように育てられたか事実を隠すのは簡単だが、長いパートナーシップの要は信頼を構築することであり、それが個人的にも経済的にも満足のいくビジネスになるんだ」   私たちはチャックを、そしてソルサル・カカオを信頼しているからこそ、自信を持って彼のカカオ豆を使用しているのです。 ソルサル・エステートのカカオ豆 「エステート」とは「私有地」のこと。ソルサル・エステートのカカオ豆はソルサル・カカオが購入したドゥアルテ州の山中412ヘクタールの土地のうち、約30%を占める地域で栽培されているカカオからできています。 この土地はドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域で、面積の70%はツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持されています。ここでチャック達はカカオ豆の生産を通したツグミの保護というビジネスモデルへの挑戦をスタートしたのです。 ソルサル・コミュニタリオのカカオ豆 「コミュニタリオ」はスペイン語で「コミュニティ」の意味。このカカオ豆はソルサル・カカオが保有する野鳥保護区「レゼルバ・ソルサル」の近隣地域にある農園で育てられたカカオからできています。つまりソルサル・カカオと同じコミュニティの仲間達によるカカオ豆です。 保全区域内に住む25の農家が育てた、バードフレンドリー認証を受けたカカオ。ソルサル・カカオは彼らと協力し農業技術や投資支援を通して、年間約200トンのカカオ豆を生産しています。 チョコレートの味わいの違い ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオのチョコレートバーを開発したのは、ダンデライオン・チョコレートで最も長くチョコレートメーカーを務める2人、古野真理子(写真左)と土屋まり(写真右)。2人のこれまでの経験と感性で出来上がったチョコレートバーは、それぞれ全く異なる味わいになりました。  ...

生産者が同じでもカカオのフレーバーが異なる? - ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリ...

ダンデライオン・チョコレートで販売している2種類のドミニカ共和国産カカオ70%のチョコレートバー「ソルサル・エステート, ドミニカ共和国 70%」と「ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%」は、実は同じ生産者「ソルサル・カカオ」のカカオ豆を使用していますが、その味わいは大きく異なります。なぜ、同じ生産国、生産者でも異なるフレーバーのチョコレートができるのでしょうか?それぞれの特徴や魅力を解説します。 生産者「ソルサル・カカオ」とは ソルサル・カカオはチャールズ・キルヒナー(通称チャック)達によって創設されたカカオ生産者。チャックはピース・コープ(日本の青年海外協力隊)で滞在したドミニカ共和国で、自身が博士課程で学んだ森林経済学の知識を活かし、カカオを通じて現地の経済活動を創ることができるのではと想い、この事業を始めました。 【関連記事】サステナブルなカカオビジネス:ソルサル・カカオの取り組み   私たちがなぜソルサル・カカオのカカオ豆を使用しているのか、それは彼らの理念に共感している他にも、チャックがとったある誠実な行動にもあります。 事業を始めた当初、ソルサル・カカオはカカオ豆の発酵施設を持っていなかったため、近隣のオコ・カリベという生産者に発酵・乾燥工程を委託していました。 【関連記事】カカオ豆が私たちの手元に届くまで – 収穫から出荷までの長い道のり -   私たちがチャックに初めて彼のカカオ豆を発注したとき、オコ・カリベはチャックのカカオ豆と別のカカオ豆をブレンドして発酵させてしまいました。ダンデライオン・チョコレートがシングルオリジンのカカオ豆にこだわっていることを知っていたチャックは、それを包み隠さず私たちに話し、「発注はキャンセルしても良い」と申し出てくれたのです。 おそらく、私たちは届いたカカオ豆を見ても、ブレンドされたかどうかまでは分からなかったと思います。チャックは私たちが何を大切にしているかを理解してくれていたからこそ、このように伝えてくれたのでした。 「顧客に対して誠実であることには価値がある。数千km離れた地でカカオ豆がどのように育てられたか事実を隠すのは簡単だが、長いパートナーシップの要は信頼を構築することであり、それが個人的にも経済的にも満足のいくビジネスになるんだ」   私たちはチャックを、そしてソルサル・カカオを信頼しているからこそ、自信を持って彼のカカオ豆を使用しているのです。 ソルサル・エステートのカカオ豆 「エステート」とは「私有地」のこと。ソルサル・エステートのカカオ豆はソルサル・カカオが購入したドゥアルテ州の山中412ヘクタールの土地のうち、約30%を占める地域で栽培されているカカオからできています。 この土地はドミニカでは初となる個人資本による野鳥の保全区域で、面積の70%はツグミの保護区(レゼルバ・ソルサル)として「永久に完全な自然状態」で維持されています。ここでチャック達はカカオ豆の生産を通したツグミの保護というビジネスモデルへの挑戦をスタートしたのです。 ソルサル・コミュニタリオのカカオ豆 「コミュニタリオ」はスペイン語で「コミュニティ」の意味。このカカオ豆はソルサル・カカオが保有する野鳥保護区「レゼルバ・ソルサル」の近隣地域にある農園で育てられたカカオからできています。つまりソルサル・カカオと同じコミュニティの仲間達によるカカオ豆です。 保全区域内に住む25の農家が育てた、バードフレンドリー認証を受けたカカオ。ソルサル・カカオは彼らと協力し農業技術や投資支援を通して、年間約200トンのカカオ豆を生産しています。 チョコレートの味わいの違い ソルサル・エステートとソルサル・コミュニタリオのチョコレートバーを開発したのは、ダンデライオン・チョコレートで最も長くチョコレートメーカーを務める2人、古野真理子(写真左)と土屋まり(写真右)。2人のこれまでの経験と感性で出来上がったチョコレートバーは、それぞれ全く異なる味わいになりました。  ...

カカオの生産地を知ろう(ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国)

カカオの生産地を知ろう(ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国)

ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込) 生産者:Zorzal Cacao生産国:ドミニカ共和国地域:ドゥアルテ 事業形態:私有地の農園と鳥の保護区も持つ中央発酵施設カカオ豆:16軒のカカオ農家からウェットビーンズを購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:ビニールハウス内のメッシュの乾燥台とセメントのパティオカカオ豆のフレーバー:ナッツ、甘い果実 商品ページはこちら ドミニカ共和国はどんな国? ドミニカ共和国はカリブ海に浮かぶ島々の中では二番目に大きいイスパニョーラ島の東側に位置し、西側にはハイチ共和国があります。 国土の面積は約4.8万㎢、九州と高知県を合わせた広さで、人口は1,074万人(2019年)です。   ヨーロッパ人で初めてカカオを発見したのはコロンブスと言われていますが、実はヨーロッパ人で初めてドミニカ共和国に上陸したのもコロンブスだそうです。 ドミニカ共和国は原住民と様々な人種が混じり合う多民族国家で、様々な文化が混じり合っています。   また、ドミニカ共和国は米国メジャーリーグで活躍する選出を多く輩出する野球大国。日本プロ野球にもドミニカ共和国出身の選手がいると思うと、少し身近な国に感じられます。   公用語はスペイン語。国名の由来はスペイン語で「安息日」を意味し、スペイン人が入植した日がカトリック暦の「聖なる安息日」だったことに由来するそうです。 ドミニカ共和国のカカオ事情 国の主要産業はバナナ、ココナッツ、柑橘類などの農業で、その中でカカオは世界で10番目の生産国(2019年:89,000トン)で、国の一大産業のひとつになっています。   オーガニック認証を受けているカカオ豆が多いことも特徴で、ドミニカ共和国のカカオ生産の60%を占めているサンフランシスコ・デ・マコリスでは70%近くがオーガニック認証のカカオ豆を生産しています。   またドミニカ共和国では、カカオの品質が良くない、発酵せずに乾燥した安価な「サンチェス(Sanchez)」と、品質が良く発酵工程を経たBean to Bar メーカーが使用する「ヒスパニオラ(Hispaniola)」に分類しており、現状はサンチェスが60%、ヒスパニオラが40%と言われています。 ソルサル・カカオについて 彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、サンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる、自然と共存出来る環境です。   ソルサル・カカオは、チャールズ・キルヒナー博士(通称チャック)が2012年に創業した、自然保護と経済活動の両立を目指して立ち上げられました。...

カカオの生産地を知ろう(ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国)

ソルサル・コミュニタリオ, ドミニカ共和国 70%¥1,296(税込) 生産者:Zorzal Cacao生産国:ドミニカ共和国地域:ドゥアルテ 事業形態:私有地の農園と鳥の保護区も持つ中央発酵施設カカオ豆:16軒のカカオ農家からウェットビーンズを購入発酵方式:並べた木箱乾燥方法:ビニールハウス内のメッシュの乾燥台とセメントのパティオカカオ豆のフレーバー:ナッツ、甘い果実 商品ページはこちら ドミニカ共和国はどんな国? ドミニカ共和国はカリブ海に浮かぶ島々の中では二番目に大きいイスパニョーラ島の東側に位置し、西側にはハイチ共和国があります。 国土の面積は約4.8万㎢、九州と高知県を合わせた広さで、人口は1,074万人(2019年)です。   ヨーロッパ人で初めてカカオを発見したのはコロンブスと言われていますが、実はヨーロッパ人で初めてドミニカ共和国に上陸したのもコロンブスだそうです。 ドミニカ共和国は原住民と様々な人種が混じり合う多民族国家で、様々な文化が混じり合っています。   また、ドミニカ共和国は米国メジャーリーグで活躍する選出を多く輩出する野球大国。日本プロ野球にもドミニカ共和国出身の選手がいると思うと、少し身近な国に感じられます。   公用語はスペイン語。国名の由来はスペイン語で「安息日」を意味し、スペイン人が入植した日がカトリック暦の「聖なる安息日」だったことに由来するそうです。 ドミニカ共和国のカカオ事情 国の主要産業はバナナ、ココナッツ、柑橘類などの農業で、その中でカカオは世界で10番目の生産国(2019年:89,000トン)で、国の一大産業のひとつになっています。   オーガニック認証を受けているカカオ豆が多いことも特徴で、ドミニカ共和国のカカオ生産の60%を占めているサンフランシスコ・デ・マコリスでは70%近くがオーガニック認証のカカオ豆を生産しています。   またドミニカ共和国では、カカオの品質が良くない、発酵せずに乾燥した安価な「サンチェス(Sanchez)」と、品質が良く発酵工程を経たBean to Bar メーカーが使用する「ヒスパニオラ(Hispaniola)」に分類しており、現状はサンチェスが60%、ヒスパニオラが40%と言われています。 ソルサル・カカオについて 彼らの農園があるレゼルバ・ソルサルは、サンフランシスコ・デ・マコリスから車で2時間ほどのところにあります。緑豊かな山あいにカカオが生い茂り、ツグミのさえずりも聞こえる、自然と共存出来る環境です。   ソルサル・カカオは、チャールズ・キルヒナー博士(通称チャック)が2012年に創業した、自然保護と経済活動の両立を目指して立ち上げられました。...

【レポート】ホンジュラス 農園訪問

【レポート】ホンジュラス 農園訪問

ダンデライオン・チョコレートのチョコレートメーカー伴野智映子が、2018年10月15日(月)~22日(月)にホンジュラスのカカオ農園と発酵施設を訪れました。今回は、その時の貴重な体験記をご紹介します。想像を絶するアドベンチャーな旅を、お楽しみください。 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ホンジュラスまでの道のり ホンジュラスまでは、ソウル、ロサンゼルス、エルサルバドル、と飛行機を3回乗り換え、30時間半かけて到着。首都のサン・ペドロ・スーラから北部ラセイバまで車で移動し、6人でぎゅうぎゅうのセスナ機に乗り換え東に向かうこと1時間半、さらにそこから凸凹道をトラックで30分、ようやくカカオ生産者カカオ・ダイレクトの発酵施設があるワンプシルピにたどり着きました。一体いつになったらこの目でカカオを見られるんだろう・・・と思いながらも、私たちが普段使っているカカオ豆は相当遠いところにあるんだ、とこの時点で身を持って実感しました。 カカオとの初対面 私にとって今回は初めてのカカオ農園訪問でした。カカオの木を見たらきっと感動するだろうなと思っていましたが、現実はそんな悠長なことを言っている余裕はありませんでした。なにしろ、ワンプシルピのカカオ農園(もはや農園というより野生のジャングル)は沼地を歩いて30分の奥地にあり、そこらじゅうに蚊が粉雪のように舞っています。手で蚊を払い、沼地に足を取られないように足元を見ながら歩いていると突然「ここ!カカオがあるよ」声をかけられはっと顔を上げると、カカオがひょっこり現れます。おかげで、あまり良い写真は撮れずじまいでした。 ここでは基本的にカカオの木を日差しから守るシェイドツリーはなく、カカオのみを栽培しています。土壌が沼地で湿潤なため、水分が豊富にありカカオに日陰を作らなくても土壌が乾かず成長できるそうです。間引きして栄養分が一本一本に行き渡るようにしています。「農園」ということばからは想像もできないワイルドな環境。ここでカカオを育て収穫する労力はとんでもないものだ、と痛感しました。 カカオ豆とカヌーの長旅 このワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆をつくる上でもっとも大変なのが、この奥地からどうやってカカオを運び出すか、です。収穫の方法は2通りあり、ひとつは農家さん自身が収穫したカカオポッドを発酵施設に持ち込むパターン。もうひとつが、カカオ・ダイレクトのスタッフが各農家まで引き取りに行くパターンです。路上のアクセスは困難なので、各農家へはピパンテというカヌーでパトゥカ川を上って向かいます。各農家は、カヌーが来る日に合わせてカカオを収穫して実と種を取り出し、当日川辺まで担いで持っていきます。 収穫したカカオ豆は、カカオ・ダイレクトの発酵施設で発酵後、乾燥させます。この豆の特徴は、他の産地よりも乾燥時間を長くとっていること。通常1週間程度ですが、ここでは2-3週間ほどかけています。もともと湿度が高いエリアというのが理由ですが、ゆっくり乾燥することで、酸味やえぐみが完全に抜け、ミネラル感や土壌感のあるフレーバーになります。 乾燥したカカオ豆はまたカヌーに乗せて倉庫へ移動します。私たちも同行しましたが、これがまた長旅でした。このエリアは生物圏保護区域でもあるリオ・プラタノ地区ですが、コロンビアからの麻薬の輸送ルートとなっており、マフィアが森林を刈りそこで家畜を育てさせ、資金調達しているという話も(!)。さすが世界一危険な国と言われるだけあります。途中スコールに合い、激流のなか小さなボートに乗り換え急流すべり体験をしてようやくカカオ豆との旅が終了、丸2日間かかりました。ここまでして私たちの手元に届いたカカオ豆、とてつもなく貴重なものに思えてきました。 さいごに ホンジュラス東部をぐるっと回った旅になりましたが、多くのカカオ農園を訪れているダンデライオン・チョコレートのカカオ豆買い付け担当グレッグですら「これまでで一番アドベンチャーな体験だった」と言っていました。私は初めてのカカオ農園訪問だったので、それを聞いてもうどこへでも行ける気持ちになっています。あらためて、私たちが毎日作っているチョコレートの原材料は遠く離れた、日本では想像できない方法でつくられていることが分かりました。そして、これだけの労力をかけて作り上げられたカカオ豆を、いかにおいしいチョコレートにするか、私たちはもっともっと探求していきたいと強く思いました。 関連商品 ワンプゥ, ホンジュラス 70%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆は、まろやかで繊細なフレーバーを引き出すために優しくローストしています。フルボディのワインなら赤白ともに相性抜群です。 ワンプゥ, ホンジュラス 85%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆が持つクラシックなカカオ感に加え、繊細でフローラルな香りを引き出しています。緑茶や黒豆茶と合わせて、爽やかなペアリングをお楽しみいただけます。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら

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ダンデライオン・チョコレートのチョコレートメーカー伴野智映子が、2018年10月15日(月)~22日(月)にホンジュラスのカカオ農園と発酵施設を訪れました。今回は、その時の貴重な体験記をご紹介します。想像を絶するアドベンチャーな旅を、お楽しみください。 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ダンデライオン・チョコレート公式オンラインストア その他 ホンジュラスまでの道のり ホンジュラスまでは、ソウル、ロサンゼルス、エルサルバドル、と飛行機を3回乗り換え、30時間半かけて到着。首都のサン・ペドロ・スーラから北部ラセイバまで車で移動し、6人でぎゅうぎゅうのセスナ機に乗り換え東に向かうこと1時間半、さらにそこから凸凹道をトラックで30分、ようやくカカオ生産者カカオ・ダイレクトの発酵施設があるワンプシルピにたどり着きました。一体いつになったらこの目でカカオを見られるんだろう・・・と思いながらも、私たちが普段使っているカカオ豆は相当遠いところにあるんだ、とこの時点で身を持って実感しました。 カカオとの初対面 私にとって今回は初めてのカカオ農園訪問でした。カカオの木を見たらきっと感動するだろうなと思っていましたが、現実はそんな悠長なことを言っている余裕はありませんでした。なにしろ、ワンプシルピのカカオ農園(もはや農園というより野生のジャングル)は沼地を歩いて30分の奥地にあり、そこらじゅうに蚊が粉雪のように舞っています。手で蚊を払い、沼地に足を取られないように足元を見ながら歩いていると突然「ここ!カカオがあるよ」声をかけられはっと顔を上げると、カカオがひょっこり現れます。おかげで、あまり良い写真は撮れずじまいでした。 ここでは基本的にカカオの木を日差しから守るシェイドツリーはなく、カカオのみを栽培しています。土壌が沼地で湿潤なため、水分が豊富にありカカオに日陰を作らなくても土壌が乾かず成長できるそうです。間引きして栄養分が一本一本に行き渡るようにしています。「農園」ということばからは想像もできないワイルドな環境。ここでカカオを育て収穫する労力はとんでもないものだ、と痛感しました。 カカオ豆とカヌーの長旅 このワンプゥ, ホンジュラスのカカオ豆をつくる上でもっとも大変なのが、この奥地からどうやってカカオを運び出すか、です。収穫の方法は2通りあり、ひとつは農家さん自身が収穫したカカオポッドを発酵施設に持ち込むパターン。もうひとつが、カカオ・ダイレクトのスタッフが各農家まで引き取りに行くパターンです。路上のアクセスは困難なので、各農家へはピパンテというカヌーでパトゥカ川を上って向かいます。各農家は、カヌーが来る日に合わせてカカオを収穫して実と種を取り出し、当日川辺まで担いで持っていきます。 収穫したカカオ豆は、カカオ・ダイレクトの発酵施設で発酵後、乾燥させます。この豆の特徴は、他の産地よりも乾燥時間を長くとっていること。通常1週間程度ですが、ここでは2-3週間ほどかけています。もともと湿度が高いエリアというのが理由ですが、ゆっくり乾燥することで、酸味やえぐみが完全に抜け、ミネラル感や土壌感のあるフレーバーになります。 乾燥したカカオ豆はまたカヌーに乗せて倉庫へ移動します。私たちも同行しましたが、これがまた長旅でした。このエリアは生物圏保護区域でもあるリオ・プラタノ地区ですが、コロンビアからの麻薬の輸送ルートとなっており、マフィアが森林を刈りそこで家畜を育てさせ、資金調達しているという話も(!)。さすが世界一危険な国と言われるだけあります。途中スコールに合い、激流のなか小さなボートに乗り換え急流すべり体験をしてようやくカカオ豆との旅が終了、丸2日間かかりました。ここまでして私たちの手元に届いたカカオ豆、とてつもなく貴重なものに思えてきました。 さいごに ホンジュラス東部をぐるっと回った旅になりましたが、多くのカカオ農園を訪れているダンデライオン・チョコレートのカカオ豆買い付け担当グレッグですら「これまでで一番アドベンチャーな体験だった」と言っていました。私は初めてのカカオ農園訪問だったので、それを聞いてもうどこへでも行ける気持ちになっています。あらためて、私たちが毎日作っているチョコレートの原材料は遠く離れた、日本では想像できない方法でつくられていることが分かりました。そして、これだけの労力をかけて作り上げられたカカオ豆を、いかにおいしいチョコレートにするか、私たちはもっともっと探求していきたいと強く思いました。 関連商品 ワンプゥ, ホンジュラス 70%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆は、まろやかで繊細なフレーバーを引き出すために優しくローストしています。フルボディのワインなら赤白ともに相性抜群です。 ワンプゥ, ホンジュラス 85%¥1,296(税込)ホンジュラスの熱帯雨林モスキーティア地方・プラタノ川流域の生物研保護区で育つこのカカオ豆は、丸太船で丸二日かけて川上流に渡り収穫されます。2018年収穫のこの豆が持つクラシックなカカオ感に加え、繊細でフローラルな香りを引き出しています。緑茶や黒豆茶と合わせて、爽やかなペアリングをお楽しみいただけます。 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら 「製造工程のすべては私たちのファクトリーで」ダンデライオン・チョコレートのチョコレートバー 商品一覧はこちら