【ワークショップ レポート】ショコラミルでチョコレートを作ろう

先月、チョコレート研究の第一人者である広島大学名誉教授・工学博士の佐藤清隆先生をお迎えして、ワークショップを開催しました。チョコレートに携わっているわたしたちでさえ、佐藤先生のお話をお伺いする機会はそれほど多くありません。
そんな貴重なクラス様子を、チョコレートメーカーの海老沢めぐみがレポートします。

“夏の足音がようやく聞こえてきた7月末、わたしは佐藤先生に初めてお会いしました。

ダンデライオン・チョコレートとしては、今年2月に開催したクラフトチョコレートマーケット前夜祭の特別コンテンツとして、佐藤先生にワークショップ行なっていただきました。公開直後に満席になるなど、全国のチョコレート好きが先生の話を聞きに蔵前に集まりました。
そんなご縁もあって、大人向けのワークショップと子ども向けのワークショップの2つを佐藤先生にお願いしました。

わたしが参加したのは、「ショコラミルでチョコレートを作ろう」という、キッズ向けのクラスです。

トリュフやオランジェット、チョコレートドリンクを作ったり、マシュマロやオレンジピールにショコラミルで作ったできたてのカカオリカーをディップしてテイスティングを行なったり、盛りだくさんの内容です。
佐藤先生は終始笑顔。大きな身振り手振りで行われるクラスは、終始引き込まれっぱなし、圧倒されまくりのあっという間の2時間です。

 

ワークショップが始まり、「ショコラミル」の話になると佐藤先生の目がキラリと輝きます。

皆さんは「ショコラミル」をご存知でしょうか?
なかなか聞きなれないこの単語。それもそのはず、こちらは佐藤先生が開発した機械なのです。昔は、メターテと呼ばれる石のまな板を使ってカカオ豆からチョコレートを作っていました。そのメターテの日本版とも言えるのがこの「ショコラミル」です。
素材は御影石という摩擦などに強く劣化しにくいものを使用しており、見た目は石臼の製粉機のような形で上部に穴があいていて、そこにカカオニブを入れて石臼を回すと、石臼の間からすり潰されたカカオリカーがでてくる仕組みになっています。

石臼の中を見てみるとたくさんの溝と空間があります。この隙間は、ニブをきちんとすりつぶすために重要な仕組みなのだそうです。
「ショコラミル」を使用することで、ニブが液状に変化していくことが見てわかりやすく、参加している子どもたちの目が急に輝くのがとても印象的でした。

出てきたカカオリカーのテイスティングをみんなで行います。お砂糖が入っていないので、カカオリカーは大変苦く、口に残ります。
佐藤先生もこのビターすぎるカカオリカーは好きではないそうです。

 

カカオは、約500年ほど前から中南米に広がりました。
古くは液体にして飲まれていたようで、今わたしたちが食べているような固形のチョコレートは、170年ほど前からなんだとか。食べるチョコレートができたのは、随分最近だということがわかりました。
チョコレートは、1000種類以上の香り成分を持ち、「失恋したらチョコレート」や「寝る前にチョコレート」など香りがもたらす効果があること、そしてそれは人工的に作り出すことはできないなど。
カカオについて、チョコレートについて、まだまだ自分の知らないことばかりで、小学生向けとはいえ普段チョコレートを製造しているわたしも聞き入ってしまうほど面白い内容でした。

 

他のスタッフからも聞いていた通り、佐藤先生は熱く、パワフルな方でした。
子どもたちと同じ目線に立ち、全力で向き合い応えようとする姿は素晴らしく、一人のインストラクターとして多くのことを学ばせていただきました。佐藤先生のような方に出会えたのは、自分の人生にとって大変大きな出来事でした。


Text by Ebisawa”
つい先日、佐藤先生から「面白い内容のワークショップができた!」と連絡が入りました。次回の佐藤先生のクラスは、今年の冬を予定しています。少し先になりますが、楽しみにお待ちくださいませ。
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