【インタビュー】チョコレート・プロダクション 桑原正成

 

17日(土)より「カアボン, グアテマラ 70%」の販売を開始します。今回のローストプロファイラーは、Factory TourやChocolate 201のインストラクターとしても活躍する桑原正成。今回は発売を前に桑原くんにインタビューを行いました。


 



 


Q:いよいよ桑原くんがプロファイルを行なったチョコレートバー「カアボン, グアテマラ 70%」の販売が始まりますね。


 


桑原:すごく楽しみです。


 


 


Q:さて今日は桑原くんのこと、チョコレートの開発秘話についてなどいろいろ聞いていきたいと思っています。よろしくお願いします。


 


桑原:なんでも聞いてください。笑


 


 


Q:ではまず、入社したきっかけについて教えて下さい。


 


桑原:入社する前は、パティシエとしてケーキを作っていました。ケーキの中でもチョコレートを使ったものが好きで。僕がいたお店では製菓用のチョコレートを加工してケーキを作っていました。以前の僕にとって“チョコレート”は製菓用のチョコレートのことでした。どんな過程を経て、この形(製菓用のチョコレート)になっているのか知りませんでした。


ダンデライオン・チョコレートのことはたまたま知りました。僕、求人ページを見るのが好きなんですよね。他のお菓子メーカーの様子がわかるので、定期的に見ていてその時に。


Bean to Barってなんだろう?って思いましたね。


次は、チョコレートをやりたいと思っていたので、その気持ちにフックしたんだと思います。


 


 


Q:実際働いてみてどうでした?


 


桑原:純粋に楽しかったです。


今までは、色々な材料を組み合わせて味を作り出していましたが、ここではカカオ豆ときび砂糖のみで味のバリエーションを表現しています。こんなにカカオの味に広がりがあるのを知りませんでした。豆の選別から始まって、焙煎、砂糖を入れるタイミング、コンチングの時間...一見単純に見えますが、“単純じゃない”ところが面白いですね。


 



 


Q:「カアボン, グアテマラ」ってどんな豆なんですか?


 


桑原:僕たちが取り扱っているカカオ豆の中でサイズが1番大きいのが「カアボン, グアテマラ」です。通常の豆の1.5~2倍くらいあります。


 



 


Q:桑原くんが目指したチョコレートは?


 


桑原:「カアボン, グアテマラ」は蔵前で1番初めにペストリー用のグラウンドチョコレートとして開発されました。そのため、どんな味なのかある程度、知っていたんです。僕にとってはあまり味に特徴がない印象だったので、チョコレートバーとして開発した時、豆の個性をどう引き出すか、難しいと感じていました。


いざプロファイルを始めると、赤ワインのような渋みと酸味を感じたんです。この時点でチョコレートバーの方向性が決まりました。


ただ、この後、僕の優柔不断さがでるんですけど。笑


 


 


Q:と言うと?


 


桑原:ローストの温度を変えテストを繰り返す中で、選択肢が2つ出てきました。


1つ目は赤ワインっぽい渋みと酸味、2つ目は日本酒っぽい、酒粕っぽい味。


どちらが個性的かというと後者の方で、今あるラインナップや今まで食べたことのある味ではなかったんです。どちらを選ぶかで本当に迷いました。


 


 


Q:最終的な味の決め手はどこでしたか?


 


桑原:すごく悩みましたね...。それで、チョコレートを開発をするときの「カカオ豆本来の味を生かす」という原点に立ち帰りました。


そうすると、2つめの日本酒っぽい味は少しずれてしまうんです。なんて言うか...無理やり個性的にしているって感じで。


そこでもう一度、最初に感じた赤ワインっぽい渋みと酸味を追求しようと決めました。


赤ワインと一口に言ってもいろいろなワインがありますよね?フレッシュで若々しいもの、フルーティでみずみずしいもの、熟成したもの...など。僕は、その中でも熟成した味を引き出したいと思いました。


 


 


Q: チョコレートバーを開発する際にプレッシャーはありましたか?


 


桑原:ローストプロファイラーに選ばれた時、今あるチョコレートの中で一番美味しいバーを作ろうと決めました。


一ヶ月くらい開発にかかったんですけど、開発しているときは、もうずっと「カアボン, グアテマラ」のことを考えていました。どういう味に持って行こうかな?どっちの味を引き出そうかな?って。


ある程度主軸を決めてからも、それぞれ少しずつ違うフレーバーを感じるのでどこを摘み取るかとか。僕は美味しいって思うけど、はたして皆んなも同じように感じるかとか。考えたらキリがないですね。笑


 



 


Q:大変だったことはありますか?


 


桑原:さっきも言ったんですけど、「カアボン, グアテマラ」って通常のカカオ豆よりサイズが大きい。今までと同じロースト時間だと豆の中心部分まで火が通らないんです。中まで火を通そうとするとどうしても長くなってしまいます。それだと、自分が思い描く味ではなくなってしまう。


この豆は生の状態の時、赤ワインの様なフレーバを持つので、あえて中心まで火を通さないことで、その渋みや酸味を表現することができました。


 


 


Q:こだわりのポイントはありますか?


 


桑原:チョコレートバーはワインと同じ様に、収穫した場所や時期、作り手によっても味が違って来ます。さらに製造したあとも少しずつ味が変化するんです。面白いですよね。


お客さまの手元に届く時が一番美味しい状態になるように考えました。


 


 


Q:自分の名前が入ったチョコレートバーを初めて見たとき、どう感じましたか?


 


桑原:正直、嬉しかったです。真理子さん(サンフランシスコ・デ・マコリス、ドミニカ共和国 70%」のプロファイラー)も言ってましたけど、雇われる側で働いている限り、商品の開発を行なっても名前が入るわけではありません。


「カアボン, グアテマラ」のバーには僕の名前が入ります。まずいって言われたらどうしよう...。笑


全て僕の責任ですよね。


自信を持って作ったものなので、美味しいって言ってもらえたら嬉しいですね。


 


 


Q:オススメの食べ方はありますか?


 


桑原:せっかくだから赤ワインと合わせて欲しいですね。赤ワインに合うもの...チーズとかも面白いかもしれません。


大人なひと時を。笑


 



 


Q:仕事の面白さ、やりがいを教えてください。


 


桑原:Bean to Barは一つ一つが単純作業です。言ってしまえば誰にでもできるんです。


だけど、毎回同じクオリティに持っていかなければならないので、そこが結構大変ですね。


ワークショップのインストラクターをしていると、よく「どの工程が重要ですか」と聞かれることがありますが、全部の工程が大切で、一切手を抜くことができません。


その代わり、それぞれの作業をきちんと行うことで美味しいチョコレートができるので、最後まで一貫して行うこの仕事にやりがいを持っています。


 


 


Q:今後の目標はありますか?


 


桑原:カカオ農園に行きたいです。


蔵前ではカカオ豆が輸入されて、選別するところから始まります。今度はこの豆がどうやって蔵前まで来るかを現地に見に行きたいです。


 


 


Q:最後に一言お願いします。


 


桑原:最高のチョコレートバーができました。まずは食べていただいて、ぜひ感想を聞かせてください。


嬉しいコメントも厳しいご意見でもなんでもお待ちしています。僕は蔵前で働いていますので、いつでもお声がけください。


 


 


Q:今日は熱く語っていただきありがとうございます!


 



 


約1時間にも及ぶインタビューを終え、桑原くんのBean to Barへのこだわり、「カアボン, グアテマラ 70%」への思いを聞くことができました。


中心部まで火を通さずにカカオ豆が本来もつ味を引き出したり、渋みと酸味を追求したりと彼のこだわりを細部まで知り、販売開始が待ち遠しくなりました。


 


「カアボン, グアテマラ 70%」は17日(土)より販売開始です。皆さまぜひ感想をお聞かせください!


 


 


 


 

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